目・眼科

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眼を見ればわかること:眼底検査のススメ

- 眼底検査とは?眼底検査は、眼の奥にある眼底を調べる検査です。眼底は、カメラで例えるとフィルムに相当する場所で、光を感知して映像として脳に伝えるために重要な役割を担っています。ここには、視力に直接関わる網膜や、脳と目を繋ぐ視神経など、多くの重要な組織が集まっています。眼底検査では、瞳孔を通して特殊なレンズを用いて眼底を観察します。検査は、比較的簡単に行うことができ、痛みもほとんどありません。眼底の状態を詳しく調べることで、様々な目の病気を早期に発見することができます。例えば、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症といった、失明に繋がる可能性のある病気も、眼底検査によって早期発見・治療が期待できます。眼底検査は、目の病気だけでなく、全身の健康状態を知る上でも役立ちます。高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、自覚症状が現れにくい病気ですが、眼底の血管の状態に変化が現れることがあります。そのため、眼底検査を受けることで、これらの病気の早期発見や、重症化の予防に繋がる可能性があります。このように、眼底検査は、私たちの視力と健康を守る上で非常に重要な検査です。定期的に眼底検査を受けることで、安心して生活を送れると言えるでしょう。
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縮瞳:そのメカニズムと重要性

私たちの眼の中央で、黒く輝いている部分を瞳孔と呼びます。瞳孔は、カメラの絞りのように、眼に入る光の量を調整する重要な役割を担っています。明るい場所では、瞳孔は小さくなって光の量を抑え、まぶしすぎるのを防ぎます。逆に、暗い場所では瞳孔は大きくなって、より多くの光を取り込もうとするのです。 この瞳孔が小さくなる現象を「縮瞳」と言います。縮瞳は、瞳孔括約筋という筋肉が収縮することによって起こります。瞳孔括約筋は、虹彩と呼ばれる瞳孔を囲む円形の組織の中にあります。 縮瞳は、明るい光に反応して自然に起こる生理的な現象です。これは、私たちの眼を強い光から保護し、視覚を正常に保つために非常に重要な機能です。また、縮瞳は、特定の薬物や神経系の状態によって引き起こされることもあります。例えば、モルヒネなどの薬物は縮瞳を引き起こすことが知られています。
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身近な目の病気:結膜炎

- 結膜炎とは結膜炎は、眼球の表面を覆う薄い膜である結膜に炎症が生じる病気です。この結膜は、まぶたの裏側と白目の部分を覆っており、眼球の表面を保護し、潤いを保つ役割を担っています。結膜炎になると、この結膜が炎症を起こし、様々な不快な症状が現れます。結膜炎は、その原因によって大きく3つに分類されます。* -感染性結膜炎- 細菌やウイルスなどの病原体が目に感染することで起こる結膜炎です。特に、アデノウイルスによるものは「流行性角結膜炎」と呼ばれ、非常に感染力が強く、学校や職場などで集団発生することがあります。また、細菌性の結膜炎は、黄色い目やにが出ることが特徴です。* -アレルギー性結膜炎- 花粉やダニなどのアレルゲンが原因で起こる結膜炎です。春や秋の花粉の季節に症状が悪化することが多く、目のかゆみ、充血、涙などの症状が現れます。* -刺激性結膜炎- 化粧品やシャンプー、排気ガス、タバコの煙などの刺激物が目に入ることで起こる結膜炎です。結膜炎は、原因に応じた治療を行うことが重要です。感染性結膜炎の場合、細菌感染には抗菌薬の点眼薬、ウイルス感染には抗ウイルス薬の点眼薬が処方されます。アレルギー性結膜炎には、抗アレルギー薬の点眼薬や内服薬を使用します。刺激性結膜炎の場合は、原因となる刺激物を避け、目を保護することが大切です。結膜炎は、適切な治療を行えば、ほとんどの場合、数日から1週間程度で治ります。しかし、症状が重い場合や、適切な治療を行わない場合は、視力に影響が出たり、合併症を引き起こす可能性もあります。そのため、少しでも気になる症状があれば、早めに眼科を受診することが大切です。
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医療用語解説:アウゲって何?

「アウゲ」という単語を耳にしたことがありますか? 普段の生活ではあまり耳にする機会がないかもしれませんが、実は医療現場で使われている言葉なのです。 「アウゲ」は、ドイツ語の「Auge」に由来する言葉で、日本語では「目」を意味します。医療の分野では、この「アウゲ」はそのまま「眼科」を指す言葉として使われています。 つまり、「アウゲ」を専門とする医師は、目の病気や治療を専門とする「眼科医」ということになります。 「アウゲ」は、眼科医が患者さんの目の状態を診察したり、治療方針を検討したりする際に使われます。例えば、「アウゲの検査の結果、白内障の症状が見られます」といった具合です。 少し難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、「アウゲ」は「眼科」のことだと覚えておけば、医療に関する情報に触れる際に役立つはずです。
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見え方の異変に潜む病気:黒内障

- 黒内障とは黒内障は、一時的に視力が低下したり、視野の一部が欠けて見えなくなったりする病気です。多くは片方の目に起こり、まるでカーテンが閉まるように、あるいは墨を流したように視界が暗くなっていくのが特徴です。この症状は、通常数分から数十分で自然に回復します。しかし、まれに数時間続く場合もあり、注意が必要です。黒内障自体は命に関わる病気ではありません。ただし、放置すると失明のリスクがある病気の前兆である可能性があります。例えば、網膜剥離、網膜動脈閉塞症、視神経炎といった病気は、放置すると失明に至る可能性のある病気です。 これらの病気は、初期症状として黒内障が現れることがあります。また、片頭痛に伴って黒内障が起きる場合もあります。 この場合は、閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれる、ギザギザとした光が見える症状を伴うことがあります。黒内障は、一時的な症状とはいえ、重大な病気のリスクを秘めている可能性があります。そのため、症状が出た場合は自己判断せずに、速やかに眼科を受診し、適切な検査を受けることが重要です。
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眼の構造と機能:前房の役割

眼球は、外界のものを見て認識するために、光を捉えて脳に情報を送る、カメラのような役割を担っています。 その複雑な構造の中で、前房は角膜と虹彩の間に存在する、房水と呼ばれる透明な液体で満たされた空間を指します。 前房は、単なる空間ではなく、眼の健康維持において重要な役割を担っています。 第一に、前房は角膜や水晶体といった眼の組織に栄養を供給し、老廃物を除去する役割を担っています。 房水は、眼球内の代謝を維持するために、これらの組織に必要な酸素や栄養素を運び、不要なものを運び出す役割を担っています。 第二に、前房は、眼球内圧を一定に保つことで、眼球の形状を維持し、視覚機能を正常に保つ役割を担っています。 眼球内圧は、眼球が適切な形状を維持するために必要な圧力で、前房内の房水の量によって調節されています。 第三に、前房は、外部からの衝撃を吸収し、眼球内部の組織を保護する役割を担っています。 前房は、クッションのような役割を果たすことで、外部からの衝撃を和らげ、眼球内部の繊細な組織を守っています。 このように、前房は、その存在が眼球の健康維持に大きく貢献しています。
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アディー症候群:その症状と治療法

- アディー症候群とはアディー症候群は、眼と神経に影響を与えるまれな病気です。 多くの場合、左右どちらか一方の目にのみ症状が現れ、視力に影響が出ることもあります。-# 原因と症状この病気は、瞳孔の収縮をコントロールする神経がダメージを受けることで発症します。瞳孔は眼球の中心にあり、カメラのレンズのように光を調節する役割を担っています。健康な目では、明るい場所では瞳孔が小さく収縮し、暗い場所では大きく広がります。 これは、周囲の明るさに応じて瞳孔を通過する光の量を調整し、鮮明な視界を保つために重要な機能です。しかし、アディー症候群を発症すると、損傷を受けた神経は瞳孔を正しく収縮させることができなくなります。 そのため、患側の瞳孔は健常な側の瞳孔よりも大きくなり、光が当たってもすぐに反応しなくなります。また、近くの物を見るときに、両方の目でピントを合わせる機能(調節力)にも影響が出ることがあります。-# 診断と治療アディー症候群は、眼科医による診察と検査によって診断されます。 多くの場合、特別な治療法はありませんが、症状を和らげる方法はいくつかあります。例えば、明るい場所ではサングラスをかけることで、まぶしさを軽減することができます。 また、老眼鏡を使用することで、近くの物が見えにくくなる症状を改善できる場合があります。アディー症候群は進行性の病気である場合もありますが、多くの場合、視力に深刻な影響を与えることはありません。 気になる症状がある場合は、早めに眼科を受診し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
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難病:カーンズ・セイヤー症候群を知る

- カーンズ・セイヤー症候群とは?カーンズ・セイヤー症候群は、眼球の動きをコントロールする筋肉や、視力に重要な役割を果たす網膜という部分に異常が生じる病気です。 私たちの体を作っている細胞の一つ一つには、エネルギーを作り出す工場のような役割を持つ「ミトコンドリア」という小さな器官が存在します。カーンズ・セイヤー症候群は、このミトコンドリアの働きが、遺伝子の変化によって低下してしまうことが原因で起こります。ミトコンドリアは、特に多くのエネルギーを必要とする臓器、例えば心臓、筋肉、脳などに多く存在します。カーンズ・セイヤー症候群では、眼球の動きや視力に関わる組織でミトコンドリアの機能が低下するため、眼球運動障害や網膜の異常といった症状が現れると考えられます。この病気は、10代で発症することが多いものの、非常にまれな病気であるため、診断が難しい場合もあります。また、現在のところ、カーンズ・セイヤー症候群は、親から子に遺伝する病気ではないと考えられています。そのため、家族に患者さんがいる場合でも、その家族が必ずしもこの病気を発症するわけではありません。
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アディー症候群:その症状と治療法

- アディー症候群とはアディー症候群は、眼と神経に影響を及ぼす稀な病気です。 この病気は、光の量を調整するために瞳孔の大きさを変化させる神経線維に影響を与えます。 瞳孔は、カメラのレンズのように、眼に入ってくる光の量を調整する役割をしています。通常、明るい場所では瞳孔は小さく収縮し、暗い場所では大きく広がります。これは、瞳孔の大きさを調節する神経が正常に機能しているためです。しかし、アディー症候群では、瞳孔を収縮させる役割を担う神経が障害されています。その結果、アディー症候群の患者さんの瞳孔は、光に反応して適切に収縮せず、健常な人と比べて大きく見られることがあります。また、近くのものを見るときに瞳孔が収縮する反応も弱くなり、ピントを合わせにくくなるため、物がぼやけて見えることがあります。アディー症候群の原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、多くの場合、体の免疫システムが自分の神経組織を誤って攻撃してしまう自己免疫反応が関与していると考えられています。アディー症候群は、視力に影響を与える病気ですが、適切な治療や対処法によって、日常生活を支えることは可能です。
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眼圧:目の健康のバロメーター

- 眼圧とは眼球は、あたかもボールのように丸い形をしていますが、これは内部の圧力によって保たれています。この眼球内部の圧力のことを、眼圧と呼びます。人間の眼は、常に一定の圧力を保つことで、正常な機能を果たしています。では、なぜ眼球内に圧力が生まれるのでしょうか?それは、眼球内で、房水と呼ばれる透明な液体が常に循環し、一定量を保っているためです。房水は、眼球内の組織に栄養を供給したり、老廃物を排出したりする役割を担っています。この房水の分泌と排出のバランスが崩れると、眼圧に影響を及ぼします。眼圧は、眼の健康状態を保つ上で、非常に重要な要素です。眼圧が高すぎる状態が続くと、視神経に負担がかかり、視野が狭くなったり、視力が低下したりする緑内障という病気を引き起こす可能性があります。一方、眼圧が低すぎる場合は、眼球が萎縮したり、視力に影響が出たりすることがあります。眼圧は、健康診断などでも測定されることがあります。これは、自覚症状がない段階で、眼の病気を早期発見するためです。眼圧の値は個人差がありますが、一定の範囲内に保たれていることが大切です。
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立体視の仕組み:世界を奥行きで捉える

- 立体視とは私たちが普段、物体をただ眺めるのではなく、奥行きや立体感を感じながら捉えることができるのは「立体視」という機能のおかげです。この機能は、両方の目で見たわずかに異なる像を、脳内で処理し統合することによって生まれます。人間の目は顔の正面に並んでついているため、右目と左目では、同じものを見ても、わずかに異なる角度から見ていることになります。このとき、左右の目それぞれに映る像のわずかなずれのことを「両眼視差」と呼びます。脳は、この両眼視差という情報を巧みに利用して、奥行きや距離感を認識しています。 例えば、近くの物を見るとき、両目はより内側に寄せるように動きます。このとき、両眼視差は大きくなります。反対に、遠くの物を見るときは、両目は平行に近くなり、両眼視差は小さくなります。脳は、このような両眼視差の変化を、奥行きや距離という情報に変換しているのです。立体視は、私たちが日常生活を送る上で欠かせない機能です。物を掴む、階段を上り下りする、スポーツを楽しむなど、あらゆる場面で、無意識のうちに立体視を活用しています。この機能が損なわれると、空間を正確に把握することが困難になり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。
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眼球を守る三層構造:眼球外壁

私たちがものを見ることができるのは、眼球という精巧な器官のおかげです。この眼球は、カメラに例えると分かりやすくなります。 まず、眼球は大きく二つに分けることができます。カメラ本体に相当する「眼球外壁」と、レンズやフィルムに相当する「眼球内容物」です。 眼球外壁は、眼球の外側を構成する構造です。これは、カメラでいうと外側のケースにあたり、眼球の形状を保ち、内部を保護する役割を担っています。具体的には、強膜、角膜、脈絡膜、虹彩、毛様体などの組織から成り立っています。 一方、眼球内容物は、眼球内部を満たす構造です。これはカメラ内部のレンズやフィルム、センサーにあたり、光を感知し、映像として脳に伝える役割を担います。具体的には、水晶体、硝子体、網膜などの組織から成り立っています。 このように、眼球は外壁と内容物という二つの要素が組み合わさることで、私たちに外界の景色を見せてくれるのです。
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眼窩を守る堅牢な壁:眼窩外壁

- 眼窩の構造眼窩は、顔面に左右対称に位置する骨で囲まれた空洞で、その内部に眼球を保護するように収めています。 ちょうど頭蓋骨が脳を守るように、眼窩は眼球とその周囲の組織を外部からの衝撃や圧力から保護する役割を担っています。眼窩は、例えるなら部屋のような構造をしています。天井に当たる部分が上壁、床に当たる部分が下壁、鼻側に面した部分が内側壁、そして顔の外側に面した部分が外側壁と呼ばれ、これらの壁が組み合わさって眼窩空間を形成しています。それぞれの壁は複数の骨によって構成されています。上壁は主に前頭骨と蝶形骨という骨から成り、その薄さから衝撃に弱く骨折しやすいという特徴があります。下壁は上顎骨、口蓋骨、頬骨という3つの骨からなり、上壁同様に薄いため骨折のリスクが高い部分です。内側壁は涙骨、篩骨、上顎骨の一部から成り、非常に薄い骨でできているため、強い衝撃によって骨折しやすく、眼窩周囲の組織に影響が及ぶ可能性があります。外側壁は頬骨と蝶形骨の一部からなり、他の壁と比べて厚く頑丈なため、外部からの衝撃に強いという特徴があります。また、眼窩は単なる閉鎖された空間ではなく、視神経や血管、神経などが通るための通路も備えています。特に重要なのが視神経管と呼ばれる開口部で、眼球と脳を繋ぐ視神経の通り道となっています。このように、眼窩は複雑な構造を持つことで、眼球を安全に保護し、その機能を正常に保つための重要な役割を果たしているのです。
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水晶体の核:その役割と加齢変化

眼球の内部には、カメラのレンズと同様に、光を集めて網膜に像を結ぶ役割を担う水晶体という組織が存在します。水晶体は透明で弾力性に富み、その柔軟性によって厚さを変化させることで、遠近両方の焦点調節を可能にしています。 この水晶体の中心部には、「核」と呼ばれる硬い構造が存在します。水晶体の主な成分は、クリスタリンと呼ばれるタンパク質ですが、核は、このクリスタリンが長年かけて変化し、高密度に凝集した領域です。そのため、水晶体全体で見ると、透明なレンズ組織の中で、核はひときわ硬い部分として区別されます。 水晶体核は、加齢と共に硬く、また大きく成長していきます。核が硬くなると水晶体の柔軟性が失われ、ピント調節機能が低下し、老眼と呼ばれる状態を引き起こします。さらに、核が大きくなると、水晶体全体の透明度が低下し、白内障の原因となることもあります。このように、水晶体核は、水晶体の機能維持に重要な役割を果たしており、その状態は視力に大きな影響を与えます。
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眼瞼下垂:原因と症状、治療法について

- 眼瞼下垂とは眼瞼下垂とは、その名の通り、まぶたが垂れ下がった状態のことを指します。医学的には、上まぶたが正常な位置よりも下がってしまっている状態、あるいは、目を見開こうとした時に上まぶたが十分に持ち上がらない状態を指します。この状態は、生まれつきのものと、後天的に起こるものとに分けられます。生まれつきの眼瞼下垂は、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)や神経の発達が不十分なために起こります。一方、後天的な眼瞼下垂は、加齢に伴う筋肉の衰えや、コンタクトレンズの長年の使用、まぶたへの外傷、脳腫瘍や脳卒中などの病気の影響などが原因で起こることがあります。眼瞼下垂になると、視界が狭くなったり、物が二重に見えたりすることがあります。また、まぶたを無理に持ち上げようとして額に皺が寄ったり、肩こりや頭痛を引き起こすこともあります。さらに、見た目の印象にも影響を与えるため、精神的なストレスを感じる方も少なくありません。軽度の眼瞼下垂の場合、特に治療の必要はありませんが、日常生活に支障が出るほどの症状がある場合は、手術などの治療が必要となる場合があります。症状が気になる場合は、眼科医に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
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見えにくさに潜む脅威:緑内障

- 緑内障とは私たちの目は、カメラに例えられることがあります。レンズを通して入った光は、カメラでいうフィルムにあたる部分で受け止められ、そこから脳に情報が送られることで、私たちは「ものを見る」ことができるのです。このフィルムの役割を果たしているのが視神経と呼ばれる神経です。緑内障とは、眼球内の圧力、すなわち眼圧が上昇することで、この大切な視神経が圧迫され、視機能に障害が生じる病気です。緑内障になると、視界に様々な影響が出始めます。初期には、視野の一部が欠けてしまう、いわゆる「盲点」が生じます。しかし、この段階では自覚症状がほとんどないため、気づかずに進行してしまうケースが多い点が特徴です。病気が進行すると、見える範囲が徐々に狭まっていき、最終的には光すら感じなくなってしまうこともあります。また、視力低下を伴う場合もあり、放置すると失明に至る可能性もある病気です。緑内障は、早期発見・早期治療が非常に重要です。定期的な眼科検診を受けることで、早期発見に繋がり、適切な治療を受けることができます。治療法としては、点眼薬や内服薬による眼圧を下げる治療が一般的です。進行したケースでは、レーザー治療や手術が行われることもあります。
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視界を曇らせる白内障:その原因と治療法

- 白内障とは?人間の目は、カメラとよく似た仕組みで物を見ています。カメラのレンズに相当するのが「水晶体」と呼ばれる組織です。水晶体は透明で、外から入ってきた光を集め、奥にある網膜というスクリーンに像を結びます。 白内障とは、この水晶体が白く濁ってしまう病気です。加齢と共に水晶体の成分が変化することが主な原因ですが、紫外線や糖尿病などの影響で発症することもあります。 水晶体が濁ると、光がうまく通過できなくなり、網膜に鮮明な像を結ぶことができなくなります。そのため、視界がぼやけたり、霞がかかったように見えたりします。 白内障の症状は徐々に進行していきます。初期には、視力が少し低下する程度で、日常生活に支障がない場合も多いです。しかし、放置すると視力がさらに低下し、日常生活に支障をきたすようになります。 白内障が進行すると、手術が必要になることがあります。手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工のレンズを挿入します。近年では、手術の技術も進歩しており、比較的安全に治療を受けることができます。
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瞳孔の大きさの謎:瞳孔不同

私たちの目は、カメラとよく似た仕組みで周囲のものを見ています。カメラでレンズが光を集めるように、私たちの目では瞳孔と呼ばれる部分がその役割を担っています。瞳孔は、ちょうどカメラの絞りのように、周囲の環境に合わせて開いたり閉じたりして、眼球に入る光の量を調整しています。 明るい場所では、たくさんの光が目の中に入ってきます。このとき、瞳孔は小さくなって、必要以上の光が入りすぎるのを防ぎます。逆に、暗い場所では、目に入る光が少なくなってしまうため、瞳孔は大きく開いて、より多くの光を取り込もうとします。 この瞳孔の大きさの変化は、瞳孔括約筋と瞳孔散大筋という2つの筋肉の働きによってコントロールされています。瞳孔括約筋は瞳孔を縮める役割を、瞳孔散大筋は瞳孔を広げる役割を担っており、これらの筋肉がそれぞれ収縮と弛緩を繰り返すことで、瞳孔は周囲の明るさに応じて瞬時に大きさを変え、私たちがものを見るのに最適な光の量を調整しているのです。
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輻輳反射:近くの物を見るときの瞳孔の秘密

- 瞳孔反射とは 眼球の中央に位置する黒い部分を瞳孔と言います。瞳孔は、カメラのレンズのように、眼球内に光を取り込むための入り口としての役割を担っています。この瞳孔の大きさが、周囲の環境や条件に応じて変化することを瞳孔反射と呼びます。 瞳孔反射は、主に周囲の明るさの変化に反応して起こります。明るい場所では、眼球内に過剰な光が入るのを防ぐために瞳孔は小さくなります。逆に、暗い場所では、より多くの光を取り込もうとして瞳孔は大きくなります。明るい場所から暗い場所に移動した際に、しばらく周囲がよく見えない経験はありませんか?これは、暗い場所に適応するために瞳孔が十分に開いていないために起こる現象です。 また、瞳孔反射は、見る対象物との距離によっても変化します。近くの物を見るときは、瞳孔は小さくなり、ピントを合わせやすくします。遠くの物を見るときは、より多くの光を取り込むために瞳孔は大きくなります。遠くの山々を眺める時と、目の前の本を読む時では、瞳孔の大きさが異なるのを意識してみると面白いでしょう。 このように、瞳孔反射は、無意識に働く体の機能ですが、常に最適な量の光を眼球内に取り込むことで、私たちがはっきりと物を見るために非常に重要な役割を果たしているのです。
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身近な目の病気:結膜炎

- 結膜炎とは目の表面は、白目と呼ばれる白い部分と、黒目と呼ばれる中央の黒い部分で構成されています。この白目の部分を覆っている薄い膜を結膜と呼びますが、この結膜に炎症が起こる病気を結膜炎と言います。結膜炎になると、目が充血して赤く見えたり、場合によってはピンク色に見えることもあります。結膜炎は、細菌やウイルス、アレルギー物質などが原因で起こることが多く、症状としては、目が赤くなることに加えて、痛みやかゆみ、異物感、目やになどの症状が現れます。また、涙が過剰に出る、光がまぶしく感じるといった症状が出ることもあります。結膜炎は、原因や症状によっていくつかの種類に分けられます。例えば、細菌性の結膜炎は、細菌感染によって引き起こされ、黄色や緑色の目やにが多く出るのが特徴です。一方、ウイルス性の結膜炎は、ウイルス感染によって引き起こされ、透明な水のような目やにが出ることが多いです。また、アレルギー性結膜炎は、花粉やダニなどのアレルギー物質によって引き起こされ、激しいかゆみや充血を伴うことが多いです。結膜炎は、適切な治療を行えば、ほとんどの場合、数日から1週間程度で治癒します。しかし、症状が重い場合や、適切な治療を行わないと、視力に影響が出る可能性もありますので、注意が必要です。もし、結膜炎が疑われる場合は、自己判断せずに、早めに眼科を受診するようにしましょう。
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生命の兆候:睫毛反射

- 睫毛反射とは眼は外界の情報を得るための重要な器官ですが、非常にデリケートな構造をしているため、外部からの刺激に対して無意識に眼を守るための仕組みが備わっています。その代表的なものの一つが、「睫毛反射」と呼ばれるものです。睫毛反射は、その名の通り、まつ毛に物体が近づいたり、風や光などの刺激を受けたりした際に、瞬時にまぶたを閉じて眼球を保護する反射的な反応です。この反射は、意識的にまばたきをする時とは異なり、外部からの刺激に対して無意識かつ瞬時に起こる点が特徴です。例えば、小さな虫が目に飛び込んできそうな時や、ボールが飛んできた時などに、私たちはとっさに目を閉じます。これは、意識して目を閉じようとしたのではなく、睫毛反射という生来備わっている反射機能によって、無意識のうちに眼が守られているのです。睫毛反射は、眼球を保護するために非常に重要な役割を担っています。もしも、この反射がうまく働かないと、眼球に傷がついたり、異物が入ったりする危険性が高まります。これは、視力低下や眼疾患に繋がる可能性もあるため、軽視することはできません。このように、睫毛反射は私たちが意識することなく、眼の安全を守ってくれている重要な機能と言えるでしょう。
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瞳孔の異常:アーガイル=ロバートソン瞳孔について

私たちは、目を通して外界のものを見ることができます。光は目の中に入り、脳に伝えられることで、私たちは景色や色、形などを認識することができます。 目の中にある瞳孔は、カメラの絞りのように、目の中に入る光の量を調整する役割をしています。明るい場所では、瞳孔は小さくなって光の量を減らし、まぶしすぎるのを防ぎます。逆に、暗い場所では、瞳孔は大きくなってより多くの光を取り込もうとし、薄暗い場所でも物が見えるように働きます。 この瞳孔の大きさの変化は、私たちが意識して行っているものではなく、自動的に行われています。まるで、自動ドアのように、周りの明るさに応じて自然と変化するのです。このおかげで、私たちは常に快適な明るさで物を見ることができているのです。
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瞳孔の異常と神経梅毒:アーガイル=ロバートソン瞳孔

- 瞳孔の役割光を調整する窓私たちの目は、外界の情報を取り込むための重要な器官です。そして、その役割を担う上で、瞳孔はカメラのレンズのように機能し、周囲の明るさに応じて大きさを自動的に調整することで、適切な量の光を取り込んでいます。明るい場所にいる時、例えば太陽の下では、瞳孔は小さくなります。これは、瞳孔括約筋という筋肉が収縮することで、瞳孔の周りの組織を絞り込むように働くためです。逆に、暗い場所、例えば夜道や薄暗い部屋の中では、瞳孔は大きく開きます。これは、瞳孔散大筋という筋肉が収縮することで、瞳孔を囲む組織を広げるように働くためです。このように、瞳孔の大きさを変化させることで、網膜に届く光の量を調節し、常に最適な視界を確保しているのです。この瞳孔の大きさの変化は、自律神経系と呼ばれる、私たちの意思とは無関係に働く神経系によってコントロールされています。意識的に瞳孔の大きさを変えることはできませんが、私たちの目は、知らず知らずのうちに周囲の環境に合わせて、常に最適な状態を保っているのです。瞳孔の役割は、単に光を調整するだけではありません。瞳孔の大きさの変化は、感情や興味、さらには健康状態などを反映することも知られています。
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医療現場で使われるドイツ語?アウゲって何?

病院に行くと、医師や看護師が普段使い慣れない言葉を使うことがよくあります。診察室で飛び交う言葉や、カルテに書かれている記号や略語の意味が分からず、不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 これらの医療現場で使われる専門用語は、医師や看護師が患者さんの症状や治療方針について、正確かつスムーズに情報を共有するために欠かせません。例えば、患者さんの状態を伝える際に、「少し気分が悪い」という曖昧な表現ではなく、「悪心がある」という具体的な医学用語を用いることで、他の医療従事者にも症状の程度や種類が明確に伝わります。 また、カルテに記載する際には、限られたスペースに多くの情報を詰め込む必要があり、記録の効率化のために略語が頻繁に使われます。さらに、カルテは個人情報のかたまりであるため、患者さんのプライバシーを守る上でも、専門用語や略語を使うことは重要です。 しかし、医療従事者にとって当たり前の専門用語であっても、患者さんにとっては分かりにくいものです。もし、医師や看護師の説明で分からない言葉があれば、遠慮せずに質問するようにしましょう。
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