医療の要となる「二次救急」
病院での用語を教えて
先生、『二次救急』ってどういう意味ですか?病院のポスターで見かけたんですけど、よく分からなくて。
体の健康研究家
良い質問だね!『二次救急』は、今すぐ入院したり手術が必要な患者さんを診てくれる病院のことなんだ。例えば、事故で大きな怪我をした時や、急に病気で苦しくなった時に行く病院だよ。
病院での用語を教えて
へえー。じゃあ、風邪をひいた時に行く病院とは違うんですか?
体の健康研究家
その通り!風邪のような軽い症状の時は『初期救急』と言って、二次救急とは別の病院に行くんだ。救急車が必要なほど深刻な場合は『二次救急』、そうでない場合は近くの病院に行く、と覚えておくと良いよ!
二次救急とは。
「二次救急」という言葉は、病気やけがをした時、入院して治療したり、すぐに手術が必要な患者さんを診る救急医療のことです。都道府県ごとに作られる医療の計画では、救急で患者さんを診てくれる病院は、その役割によって、最初の治療を行う「初期救急医療」、入院や手術が必要な人を診る「第二次救急医療」、さらに高度な治療を行う「第三次救急医療」の三段階に分けられています(表1)。
救急医療の段階
「救急医療」と聞いて、皆さんはどのような状況を思い浮かべるでしょうか?交通事故や心筋梗塞といった、一刻を争う重篤な状態を想像する方が多いかもしれません。確かに、このような状況は救急医療が必要となる場合の一例です。しかし、救急医療は症状の緊急度や重症度に応じて、いくつかの段階に分かれています。大きく分けると、初期、二次、三次という段階に分けられ、それぞれの段階に対応した医療機関が地域で役割を分担しています。
まず、初期救急医療は、比較的軽症な患者さんを対象としています。風邪やインフルエンザ、軽い怪我などの場合が該当します。このような場合は、まず地域の診療所を受診し、初期診療を受けることが重要です。診療所では、医師が症状を診察し、必要な検査や治療を行います。そして、症状に応じて、自宅療養や経過観察、あるいは二次救急医療機関への紹介などが行われます。
次に、二次救急医療は、初期救急医療では対応が難しい、より緊急性の高い状態の患者さんを対象としています。骨折、喘息発作、急性腹症などが該当します。このような場合は、二次救急医療機関を受診する必要があります。二次救急医療機関は、初期救急医療機関よりも専門的な医療を提供できる体制が整っており、入院が必要な患者さんにも対応しています。
最後に、三次救急医療は、生命の危機に瀕している重篤な患者さんを対象としています。心肺停止、多発外傷、脳卒中などが該当します。このような場合は、高度な医療を提供できる三次救急医療機関へ、救急車などで搬送されることになります。三次救急医療機関では、集中治療室(ICU)や手術室など、高度な医療設備と専門的な医療スタッフを備えており、24時間体制で重篤な患者さんの救命救急にあたっています。
救急医療の段階 | 対象となる患者 | 症状の例 | 対応する医療機関 |
---|---|---|---|
初期救急医療 | 比較的軽症な患者 | 風邪、インフルエンザ、軽い怪我 | 診療所 |
二次救急医療 | 初期救急医療では対応が難しい、より緊急性の高い状態の患者 | 骨折、喘息発作、急性腹症 | 二次救急医療機関 |
三次救急医療 | 生命の危機に瀕している重篤な患者 | 心肺停止、多発外傷、脳卒中 | 三次救急医療機関 |
二次救急医療の役割
二次救急医療とは、生命に関わるほどの緊急性はないものの、入院や手術が必要となるような中等症以上の病気や怪我に対応する医療のことです。例えば、強い痛みを伴う骨折や、緊急手術が必要となるような虫垂炎、一刻も早い処置が必要な脳卒中の初期症状などが挙げられます。
二次救急医療機関には、一次救急医療機関からの紹介で患者さんが搬送されるケースや、患者さん自身が直接来院されるケースなど、様々なケースが存在します。いずれの場合でも、患者さんの状態を迅速かつ的確に判断し、適切な医療を提供することが求められます。
二次救急医療機関には、内科、外科、整形外科、脳神経外科など、様々な診療科の医師が在籍しており、高度な専門知識と技術を駆使して診療にあたります。また、CTやMRIなどの高度な医療機器も整備されており、迅速な診断と治療を可能にしています。このように、二次救急医療は、地域住民の健康と安全を守る上で重要な役割を担っています。
項目 | 説明 |
---|---|
定義 | 生命に関わるほどの緊急性はないものの、入院や手術が必要となるような中等症以上の病気や怪我に対応する医療 |
対象となる症状・病気の例 |
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患者搬送の方法 |
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求められること | 患者さんの状態を迅速かつ的確に判断し、適切な医療を提供すること |
医療体制 |
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役割 | 地域住民の健康と安全を守る上で重要な役割を担う |
二次救急医療を支える医療従事者
地域住民の健康を守る上で、病院で入院加療が必要な患者を受け入れる二次救急医療は大変重要な役割を担っています。 二次救急医療を支えているのは、医師や看護師だけではありません。 患者さんに最適な医療を提供するために、医師や看護師以外にも、様々な医療従事者がそれぞれの専門性を生かして日夜活躍しています。
例えば、病気の原因究明や診断に欠かせない画像検査を行う診療放射線技師や、血液や尿などを分析し、患者さんの状態を把握する臨床検査技師がいます。 また、患者さんに最適な薬を調剤し、副作用や飲み合わせなどをチェックする薬剤師も重要な役割を担っています。 さらに、病気や怪我によって身体が不自由になった患者さんの機能回復を支援する理学療法士や作業療法士も、二次救急医療には欠かせない存在です。
このように、二次救急医療は多種多様な職種の医療従事者によって支えられています。 そして、それぞれの専門知識や技術を生かし、お互いに連携を取りながら、患者さんの命と健康を守っています。 彼らの献身的な働きがあってこそ、私たちは安心して医療を受けることができるのです。
医療従事者 | 役割 |
---|---|
診療放射線技師 | 画像検査を行い、病気の原因究明や診断をサポート |
臨床検査技師 | 血液や尿などを分析し、患者さんの状態を把握 |
薬剤師 | 患者さんに最適な薬を調剤し、副作用や飲み合わせなどをチェック |
理学療法士・作業療法士 | 病気や怪我によって身体が不自由になった患者さんの機能回復を支援 |
地域医療における重要性
地域住民にとって、身近な場所で必要な医療を受けられることは、安心して暮らせることに繋がります。特に、二次救急医療機関は、地域医療において非常に重要な役割を担っています。
二次救急医療機関は、地域の診療所や病院などの医療機関と密接に連携し、患者さんの症状や重症度に応じて、適切な医療を提供しています。例えば、症状が安定している患者さんに対しては、地域の医療機関と協力して、継続的な治療やリハビリテーションを支援します。一方、より専門的な治療や手術が必要な患者さんに対しては、高度な医療設備や専門医が揃う、より大きな病院へ速やかに搬送する役割を担っています。
さらに、二次救急医療機関は、災害時にも重要な役割を果たします。大規模な地震や台風などの災害発生時には、被災者の受け入れ先となり、緊急医療を提供する体制を整えています。また、地域住民に対する防災教育や訓練にも積極的に取り組み、地域全体の防災意識向上にも貢献しています。
このように、二次救急医療機関は、地域医療の要として、住民の健康と安全を守るために、日々、重要な役割を果たしているのです。
二次救急医療機関の役割 | 内容 |
---|---|
地域医療機関との連携 | 地域の診療所や病院と連携し、患者の症状に応じた適切な医療を提供する。
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災害時の対応 |
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二次救急医療の現状と課題
地域住民の健康を守る上で、病院で入院治療が必要な患者を受け入れる二次救急医療は欠かせない役割を担っています。しかし近年、この二次救急医療体制は様々な課題に直面し、厳しい状況に置かれています。
まず、深刻化しているのが医師不足の問題です。特に地方では、医師の偏在が進んでおり、二次救急医療を担う病院では、限られた医師で多くの患者を診療せざるを得ない状況が続いています。これは医師一人当たりの負担増加に繋がり、過酷な労働環境を招いています。
さらに、医師の高齢化も深刻な問題です。長年、地域医療を支えてきたベテラン医師が、体力的な問題などから診療を続けられなくなるケースが増えています。次世代を担う若い医師の育成が急務ですが、現状では医師不足も相まって、人材確保が困難な状況が続いています。
加えて、医療費抑制政策の影響も無視できません。救急医療は、入院や手術など多くの医療資源を必要とするため、経営的な負担が大きいという側面があります。医療費抑制政策の影響で病院経営が圧迫される中、採算の取りにくい救急医療の維持は病院にとって大きな負担となっています。
これらの要因が複雑に絡み合い、二次救急医療体制は崩壊の危機に瀕しています。二次救急医療の崩壊は、地域医療全体の崩壊に繋がりかねない深刻な問題であり、早急な対策が求められています。
課題 | 内容 |
---|---|
医師不足 | 地方における医師の偏在により、二次救急医療を担う病院では、限られた医師で多くの患者を診療せざるを得ない状況が続いている。医師一人当たりの負担増加に繋がり、過酷な労働環境を招いている。 |
医師の高齢化 | 長年、地域医療を支えてきたベテラン医師が、体力的な問題などから診療を続けられなくなるケースが増えている。次世代を担う若い医師の育成が急務だが、医師不足も相まって、人材確保が困難。 |
医療費抑制政策の影響 | 救急医療は、入院や手術など多くの医療資源を必要とするため、経営的な負担が大きい。医療費抑制政策の影響で病院経営が圧迫される中、採算の取りにくい救急医療の維持は病院にとって大きな負担となっている。 |