臨床現場で使われる「ヘモラール」って？

臨床現場で使われる「ヘモラール」って？

医療現場で使われる専門用語

病院に行くと、医師や看護師が使う専門用語が飛び交っていて、何のことかわからない、なんて経験をしたことはありませんか？ 日常生活ではあまり耳慣れない言葉も、医療現場ではごく当たり前に使われています。

その一つが「ヘモラール」という言葉です。初めて聞いた方は、一体どんな意味だろう？と首を傾げるかもしれません。しかし、医療従事者の間では、日常的に使われている言葉なのです。

「ヘモ」は血液、「ラール」は関係する、という意味があり、組み合わせると「血液に関係する」という意味になります。では、具体的にどんな時に使われるのでしょうか？ 例えば、怪我をして出血が止まらない場合、「ヘモラールショック」を起こす危険性があります。これは、大量の血液が失われることで、血圧が急激に低下し、生命の危機に瀕する状態を指します。

このように、医療現場では、患者さんの状態や治療内容を正確に伝えるために、専門用語が使われています。もちろん、患者さんに対して専門用語を使う場合は、わかりやすく説明することが大切です。しかし、専門用語を知ることで、医師や看護師の説明をより深く理解することにもつながります。

「ヘモラール」の意味とは？

「ヘモラール」という言葉は、英語の「Femoral（フェモラール）」に由来し、日本語で「大腿」、つまり太もものことを指します。そのため、「ヘモラール」と単独で用いられる場合は、太ももに関連することを意味している場合が多いです。

しかし、医療現場においては、「ヘモラール」は通常、「大腿動脈」または「大腿静脈」のことを指す場合が多いです。大腿動脈は、人間の体内で最も太い動脈の一つであり、心臓から送り出された血液を下半身へと運びます。一方、大腿静脈は、下半身から心臓へと戻る血液を運ぶ、同じく太い静脈です。

医療従事者の間では、「ヘモラールアクセス」や「ヘモラールカテーテル」といった用語がよく用いられます。これは、治療や検査のために、大腿動脈や大腿静脈にカテーテルを挿入する医療行為を指しています。大腿部の血管は太く、体表からも比較的確認しやすいため、緊急を要する処置や、他の部位ではアクセスが困難な場合に選択されることが多いです。

動脈と静脈、どちらを指すのか？

「ヘモラール」という単語を耳にしたとき、それが動脈を指すのか静脈を指すのか迷ってしまうことはありませんか？ 実は「ヘモラール」は、それだけでは動脈と静脈のどちらを指すのかを特定できません。 「ヘモラール」という言葉が使われている文脈をよく理解することが重要になってきます。

例えば、「ヘモラールにカテーテルを挿入する」という文章を考えてみましょう。カテーテル治療では心臓などの重要な臓器へ薬剤を送り届けたり、血液の状態を詳しく調べたりするために、太い血管にカテーテルと呼ばれる細い管を挿入します。このような場合、「ヘモラール」は太くて心臓に近い動脈を指している可能性が高いと言えるでしょう。

一方、「ヘモラールから採血を行う」という場合はどうでしょうか？ 血液検査では、体の状態を調べるために血液を採取します。採血は一般的に、針を刺しやすい比較的皮膚に近い場所にある血管から行われます。このような場合、「ヘモラール」は静脈を指している可能性が高いと考えられます。

このように、「ヘモラール」は文脈によって動脈と静脈のどちらを指すのかが変わってくるため、注意が必要です。もし、文脈から判断が難しい場合は、周りの医師や看護師に確認するようにしましょう。医療現場では、安全性と正確性を期すために、疑問点は解消しておくことが非常に大切です。

「ヘモラール」が使われる場面

「ヘモラール」は、医療現場において、血管へのアクセスが必要となる様々な場面で活躍する医療器具です。

心臓カテーテル検査では、心臓の冠動脈の状態を詳しく調べるために、カテーテルと呼ばれる細い管を心臓まで挿入する必要があります。ヘモラールは、太ももの付け根にある大腿動脈からカテーテルを挿入する際に用いられます。大腿動脈は、体の中で最も太い動脈の一つであるため、カテーテルを心臓までスムーズに誘導することが可能となります。

また、腎臓の機能が低下し、血液透析が必要となる人工透析においても、ヘモラールは重要な役割を担います。人工透析を行うには、多量の血液を体外へ取り出し、再び体内に戻す必要があり、この血液の出入り口となるのがヘモラールです。太ももの付け根にある大腿動脈と大腿静脈にヘモラールを挿入することで、効率よく血液を循環させることができます。

さらに、緊急を要する医療現場においても、ヘモラールは欠かせません。事故や病気などにより、短時間で大量の出血が起きた場合、一刻も早く血管を確保し、輸血や薬剤投与を行う必要があります。この際、ヘモラールは大腿動脈や大腿静脈への迅速なアクセスを可能にするため、患者の救命に大きく貢献します。

このように、ヘモラールは心臓カテーテル検査、人工透析、救急医療など、様々な医療現場において、患者さんの命と健康を守るために必要不可欠な医療器具と言えるでしょう。

まとめ

「ヘモラール」という言葉を耳にしたことはありますか？これは医療現場で使われる専門用語の一つで、主に脚の付け根付近を通る太い血管である「大腿動脈」または「大腿静脈」を指します。

同じ「ヘモラール」という言葉でも、状況によって動脈を指す場合と静脈を指す場合があり、注意が必要です。例えば、「ヘモラールアーテリー」と言われれば大腿動脈、「ヘモラールベイン」と言われれば大腿静脈を指します。医療現場では、動脈と静脈を明確に区別するため、通常は「ヘモラール」単独ではなく、「アーテリー」や「ベイン」を付けて呼ぶことが多いと言えるでしょう。

医療ドラマや医療漫画で「ヘモラール」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。この言葉が出てきたときは、周囲の状況から動脈を指しているのか、静脈を指しているのか注意深く聞き取るようにしましょう。今回の解説が、「ヘモラール」という言葉への理解を深める一助となれば幸いです。

Follow me!