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手術後の回復における同化期:体の再建

- 体の回復段階私たちは、手術や怪我を負うとその瞬間から、体が本来持つ自然な回復力によって、健康な状態へと向かい始めます。この回復のプロセスは、大きく4つの段階に分けられます。最初の段階は、障害・傷害期と呼ばれる時期です。この時期は、文字通り体に損傷が生じた直後から始まり、炎症反応が強く現れます。患部が赤く腫れ上がったり、熱を持ったり、痛みを感じるのは、体が傷を治そうと懸命に働いている証拠です。この時期には、安静にして患部を冷やし、炎症を抑えることが大切になります。次の段階は、転換期と呼ばれ、炎症反応が徐々に治まり、体が次の段階へと移行する準備期間にあたります。この時期には、傷口が塞がり始め、腫れや熱も引いていきます。しかし、まだ痛みは残っている場合があり、無理は禁物です。そして、同化・筋力回復期に入ります。この時期の特徴は、損傷した組織の修復が本格的に始まり、新しい細胞が作られていくことです。この時期には、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素を積極的に摂ることが重要になります。これらの栄養素は、細胞の修復や再生に欠かせない役割を果たします。最後の段階は、脂肪蓄積期です。この時期になると、見た目には傷が完全に治ったように見えるかもしれません。しかし、体の中ではまだ組織の修復が続いており、完全に回復したとは言えません。この時期には、油断せずにバランスの取れた食事を心がけ、再発を防ぐとともに、健康な状態を維持していくことが重要になります。このように、体の回復は段階的に進んでいきます。それぞれの段階に合わせた適切な処置や栄養管理を行うことで、よりスムーズに回復へと導くことができるのです。
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命をつなぐ尊い行為:ドナーについて

病気や事故などによって、体の一部が機能しなくなってしまうことがあります。その結果、日常生活に支障をきたしたり、命に関わるような深刻な状況に陥ったりすることも少なくありません。そのような患者さんの命を救うために、臓器移植という治療法があります。臓器移植は、機能を失った臓器の代わりに、健康な臓器を移植する治療法です。臓器を提供してくれる人のことを、ドナーと呼びます。 ドナーには、大きく分けて2つの種類があります。1つは、ご自身が亡くなられた後に臓器を提供する「脳死ドナー」と、もう1つは、生きている間に臓器の一部を提供する「生体ドナー」です。脳死ドナーは、心臓死とは異なり、脳の機能が完全に停止した状態を指します。この状態でも、心臓や肺など、他の臓器は機能していることがあります。そのため、人工呼吸器などを用いることで、心臓を動かし続けながら臓器を摘出することが可能になります。一方、生体ドナーは、主に親族間で、腎臓や肝臓の一部などを提供します。 ドナーから提供される臓器は、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球など、多岐にわたります。これらの臓器は、移植を必要とする患者さんの体内に移植され、再びその機能を取り戻すことが期待されます。ドナーは、まさに他の人の命と未来を救う、尊い贈り物をする存在と言えるでしょう。
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自家移植:自分の体の一部を使って治す

- 自家移植とは自家移植とは、病気や怪我によって損傷を受けたり機能しなくなったりした組織や臓器を、健康な状態に戻すための治療法の一つです。 具体的には、患者さん自身の体の一部を採取し、治療を必要とする別の部位に移植します。移植に用いられる組織や臓器はさまざまです。例えば、重度の火傷を負った場合には、自身の健康な皮膚を採取し、損傷を受けた部位に移植します。 また、骨髄移植では、健康な骨髄液を採取し、血液の病気の治療に役立てます。自家移植の最大のメリットは、拒絶反応のリスクが極めて低い点にあります。 通常の臓器移植では、他人の臓器を移植するため、体内の免疫システムが、移植された臓器を「異物」と認識し攻撃してしまうことがあります。これが拒絶反応です。しかし、自家移植では、移植片は元は自分の体の一部であるため、免疫システムが攻撃することはありません。このため、自家移植では、拒絶反応を抑えるための免疫抑制剤を長期間にわたって服用する必要性が低く、感染症などの副作用のリスクを軽減することができます。自家移植は、患者さん自身の細胞や組織を利用することで、身体への負担を最小限に抑えながら、さまざまな病気や怪我の治療に貢献できる可能性を秘めた治療法と言えるでしょう。
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知っておきたい病気:ヘルニア

- ヘルニアとは私たちの体は、まるで部屋のように、筋肉や組織の壁によっていくつもの区画に仕切られています。そして、胃や腸などの臓器は、それぞれ決められた区画の中に収まっています。しかし、この仕切りの壁が弱くなったり、穴が開いてしまったりすることがあります。ヘルニアとは、このように体の内部にある組織や臓器の一部が、本来あるべき場所から、弱くなった壁の隙間を通って飛び出してしまっている状態のことを指します。飛び出した臓器は、皮膚の下に膨らみとして現れることが多く、触ると柔らかいことが多いです。また、ヘルニアの種類や症状の程度によっては、痛みを伴うこともあります。痛みは、重いものを持ち上げたり、咳やくしゃみをしたり、長時間立っていたりするときに強くなることがあります。ヘルニアは、お腹、鼠径部(そけいぶ)、太ももの付け根、おへその周りなど、体の様々な場所に起こる可能性があります。また、加齢、肥満、妊娠、重いものを持ち上げるなどの腹圧がかかる動作、慢性的な咳なども、ヘルニアのリスクを高める要因となります。自己判断せず、体に異常を感じたら、医療機関を受診するようにしましょう。
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