糖尿病神経障害:高血糖が引き起こす神経の合併症

脳・神経

糖尿病神経障害:高血糖が引き起こす神経の合併症

病院での用語を教えて

先生、『糖尿病神経障害』って、どんな病気のことかよく分かりません。高血糖が続くと神経がダメになるって、どういうことですか?

体の健康研究家

いい質問だね。『糖尿病神経障害』は、高血糖が長く続くと、神経に栄養を送る血管が傷ついて、神経自体も傷んでしまう病気なんだ。神経が傷つくと、体のいろいろなところに支障が出てくるんだよ。

病院での用語を教えて

神経が傷つくと、どんな風に困るんですか?

体の健康研究家

例えば、足先に痺れが出たり、感覚が鈍くなったりする。ひどくなると、歩けなくなってしまうこともあるんだ。他にも、消化不良を起こしたり、立ちくらみがしたりと、様々な症状が現れるんだよ。

糖尿病神経障害とは。

『糖尿病神経障害』っていう病気について説明するね。これは、長い間、血液の中の糖分が多い状態が続くと、体の端っこの方の神経や、自分の意思とは関係なく働く神経がうまく働かなくなる病気なんだ。糖尿病の三大合併症の一つで、糖尿病網膜症や糖尿病腎症と同じくらい重要な合併症なんだよ。血液の中の糖分が多い状態が続くと、神経そのものがむくんだり、性質が変わってしまったり、神経に栄養を送る細い血管が詰まってしまうことが原因だと考えられているんだ。糖尿病神経障害は、たくさんの神経が障害される場合、自分の意思とは関係なく働く神経が障害される場合、一つの神経だけが障害される場合の3つに細かく分けられるんだ。

糖尿病神経障害とは

糖尿病神経障害とは

– 糖尿病神経障害とは糖尿病神経障害は、長期間にわたる高血糖状態によって引き起こされる、神経の合併症です。私たちの体には、脳からの指令を全身に伝えたり、外部からの刺激や感覚を脳に届けたりする、神経という組織が張り巡らされています。この神経は、高血糖状態が続くことでダメージを受けたり、栄養を運ぶ血管が詰まったりすることで、その働きが鈍くなってしまうことがあります。これが糖尿病神経障害と呼ばれる状態です。神経は、大きく分けて感覚神経、運動神経、自律神経の3つに分類されます。糖尿病神経障害は、これらの神経のうちどれが障害されるかによって、現れる症状が異なってきます。例えば、感覚神経が障害されると、手足にしびれや痛み、感覚の鈍さなどが現れます。運動神経が障害されると、筋力低下や歩行障害などが起こりやすくなります。また、自律神経が障害されると、便秘や下痢、立ちくらみ、発汗異常など、様々な症状が現れることがあります。糖尿病神経障害は、糖尿病患者全体の約3割にみられると言われています。初期には自覚症状が出にくいこともありますが、症状が進行すると日常生活に支障をきたす場合もあります。そのため、早期発見と適切な治療、そして日々からの血糖コントロールが非常に重要です。

神経の種類 症状
感覚神経 手足のしびれや痛み、感覚の鈍さ
運動神経 筋力低下、歩行障害
自律神経 便秘、下痢、立ちくらみ、発汗異常

糖尿病の三大合併症の一つ

糖尿病の三大合併症の一つ

糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が続く病気です。高血糖が続くと、血管に負担がかかり、様々な合併症を引き起こします。その中でも、糖尿病神経障害は、糖尿病網膜症、糖尿病腎症と並んで、糖尿病の三大合併症の一つとして知られています。
糖尿病神経障害は、高血糖によって血管が傷つけられることで、神経に栄養や酸素が行き渡らなくなり、神経の働きが損なわれることで起こります。症状としては、手足のしびれや痛み、感覚が鈍くなる、便秘や下痢、立ちくらみなどが挙げられます。これらの症状は、初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまう場合もあります。
糖尿病神経障害は、放置すると、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。例えば、足の感覚が鈍くなると、傷に気づかず感染症を起こしやすくなったり、転倒しやすくなるなど、日常生活でのリスクが高まります。また、自律神経障害が起こると、消化不良や排尿障害、起立性低血圧などが起こり、生活の質を著しく低下させる可能性があります。
糖尿病神経障害は、早期発見・早期治療が非常に重要です。糖尿病と診断された場合は、定期的に医師の診察を受け、神経障害の有無を確認する必要があります。また、血糖コントロールを良好に保つことが、神経障害の予防・改善に繋がります。食事療法、運動療法、薬物療法などを組み合わせ、適切な血糖値を維持しましょう。

項目 詳細
糖尿病神経障害とは 高血糖によって血管が傷つき、神経への栄養・酸素供給が不足し、神経の働きが損なわれる病気
症状 手足のしびれや痛み、感覚鈍麻、便秘、下痢、立ちくらみなど (初期症状は自覚しにくい場合もある)
合併症のリスク
  • 足の感覚鈍麻による傷の悪化、感染症、転倒リスク増加
  • 自律神経障害による消化不良、排尿障害、起立性低血圧など
重要性 早期発見・早期治療が重要
予防と改善
  • 定期的な医師の診察と神経障害の確認
  • 血糖コントロール (食事療法、運動療法、薬物療法)

高血糖が神経に及ぼす影響

高血糖が神経に及ぼす影響

高血糖とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度が高くなる状態を指します。この状態が続くと、体にとって様々な悪影響が生じることが知られていますが、その中でも特に深刻なのが神経への影響です。では、なぜ高血糖が神経障害を引き起こすのでしょうか?

そのメカニズムは大変複雑で、まだ完全には解明されていません。しかし、いくつかの要因が重なり合って発症すると考えられています。

まず、高血糖によって神経細胞内に、ソルビトールや終末糖化産物(AGEs)といった、神経細胞にとって有害な物質が蓄積してしまうことが挙げられます。これらの物質が蓄積すると、神経細胞自身がダメージを受けてしまい、正常な機能を維持することが困難になります。

また、高血糖は、血管を構成する内皮細胞にも悪影響を及ぼします。高血糖状態が続くと、血管内皮細胞が傷つけられ、血管が硬く脆くなってしまいます。その結果、血液の流れが悪くなり、神経細胞に必要な酸素や栄養素が十分に供給されなくなってしまいます。

さらに、神経細胞に栄養を供給する役割を担う、血管周囲細胞にも悪影響が及びます。血管周囲細胞は、神経細胞の周囲を取り囲むように存在し、神経細胞の働きをサポートしています。しかし、高血糖によって血管周囲細胞もダメージを受けると、神経細胞への栄養供給が滞ってしまうのです。

このように、高血糖によって引き起こされる神経障害は、神経細胞自身への直接的なダメージと、血管への影響による間接的なダメージ、この両方が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

要因 メカニズム 影響
神経細胞への直接的影響 高血糖により、神経細胞内にソルビトールや終末糖化産物(AGEs)が蓄積 神経細胞がダメージを受け、正常な機能を維持できなくなる
血管内皮細胞への影響 高血糖により、血管内皮細胞が傷つけられる 血管が硬く脆くなり、血液の流れが悪くなる
神経細胞に必要な酸素や栄養素が不足する
血管周囲細胞への影響 高血糖により、血管周囲細胞がダメージを受ける 神経細胞への栄養供給が滞る

糖尿病神経障害の種類

糖尿病神経障害の種類

糖尿病神経障害は、高血糖の状態が長く続くことで、全身の様々な神経が傷つくことで起こります。大きく分けて三つの種類に分けられます。

一つ目は、「多発性神経障害」と呼ばれるものです。これは、手足の末梢神経が障害されることで起こります。初期症状として、手足の先がピリピリと痺れたり、針で刺すような痛みを感じたりすることがあります。また、感覚が鈍くなり、温度や痛みを感じにくくなることもあります。さらに症状が進むと、足の感覚が全く無くなってしまうこともあり、怪我をしてしまっても気づくのが遅れてしまうことがあります。

二つ目は、「自律神経障害」です。自律神経は、呼吸や消化、体温調節など、生命維持に欠かせない機能をコントロールしています。糖尿病によってこの自律神経が障害されると、便秘や下痢を繰り返したり、立ちくらみを起こしやすくなったり、発汗に異常が見られたりするなど、様々な症状が現れます。

三つ目は、「単一性神経障害」です。これは、脳神経や末梢神経のうち、特定の神経だけが障害されることで起こります。例えば、眼球運動を司る神経が障害されると、ものが二重に見えたり、視野が狭くなったりすることがあります。また、顔面神経が障害されると、顔の片側が麻痺し、口角が下がったり、目を閉じることが難しくなったりします。

糖尿病神経障害は、初期の段階では自覚症状が現れにくいという特徴があります。そのため、定期的な検査によって早期発見し、適切な治療や血糖コントロールを行うことが非常に重要です。

種類 説明 症状
多発性神経障害 手足の末梢神経が障害される
  • 初期:痺れ、痛み、感覚鈍麻
  • 進行:感覚消失、怪我に気づかない
自律神経障害 自律神経が障害される 便秘、下痢、立ちくらみ、発汗異常など
単一性神経障害 特定の脳神経や末梢神経が障害される
  • 眼球運動神経:物が二重に見える、視野狭窄
  • 顔面神経:顔面麻痺、口角下垂、閉眼困難

早期発見と治療

早期発見と治療

糖尿病によって引き起こされる神経障害は、初期段階では自覚症状が現れにくいという特徴があります。そのため、糖尿病と診断された方は、自覚症状の有無にかかわらず、定期的に神経障害の検査を受けることが非常に重要です。

早期に発見し、適切な治療を開始することで、神経障害の進行を遅らせたり、症状を改善したりすることが期待できます。治療において最も重要なのは、食事療法や運動療法などを組み合わせ、血糖値を適切な範囲に保つことです。

血糖コントロールに加えて、症状に応じて薬物療法や理学療法なども行われます。例えば、しびれや痛みなどの症状に対しては、薬によって神経の働きを調整します。また、理学療法では、運動やマッサージなどを通して血流を改善し、神経の回復を促します。

糖尿病神経障害は、放置すると日常生活に支障をきたすような重篤な症状を引き起こす可能性もあります。早期発見、早期治療によって、健康な状態を長く維持できるよう、積極的に医療機関を受診しましょう。

糖尿病神経障害の特徴 対策
初期段階では自覚症状が現れにくい 糖尿病と診断された方は、自覚症状の有無にかかわらず、定期的に神経障害の検査を受ける。
早期発見、早期治療によって、健康な状態を長く維持できるよう、積極的に医療機関を受診する。
早期発見、適切な治療で進行を遅らせたり、症状を改善したりできる
  • 食事療法や運動療法などを組み合わせ、血糖値を適切な範囲に保つ
  • 症状に応じて薬物療法や理学療法などを行う

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