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臨床現場の隠語?!ハーベーって何?

病院で働いていると、「ハーベー測ってきて」や「ハーベーの数値どうだった?」といった会話を耳にすることがあるかもしれません。この「ハーベー」は一体何を指すのでしょうか?日常会話では聞き慣れない言葉ですが、実は医療現場ではよく使われている言葉なのです。 「ハーベー」は、正式には「ヘモグロビンA1c」と呼ばれる検査値の略称です。 ヘモグロビンA1cは、過去1~2ヶ月の平均的な血糖値を反映する指標であり、糖尿病の診断や治療効果の判定に非常に重要な役割を担っています。 健康な人の場合、ヘモグロビンA1cの値は一定の範囲内に収まりますが、糖尿病の人は血糖値が高くなるため、ヘモグロビンA1cの値も高くなります。そのため、医療現場では「ハーベー測ってきて」という指示が、患者さんの血糖コントロール状態を把握するために行われるのです。 患者さんとのコミュニケーションを円滑にするためには、専門用語を避けて分かりやすい言葉を使うことが重要です。しかし、医療現場では、簡潔に指示を出したり、情報を共有したりするために、専門用語や略語が頻繁に使われます。今回の「ハーベー」のように、一見分かりにくい言葉であっても、それが何を意味するのか、なぜ使われるのかを理解することで、医療現場でのコミュニケーションをよりスムーズに行うことができるでしょう。
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出血:その原因と症状、治療法について

- 出血とは?出血とは、何らかの原因で血液が血管の外に出てしまう状態のことを指します。私たちの体は、心臓から送り出された血液が、全身に張り巡らされた血管を通って栄養や酸素を運び、再び心臓へと戻ってくることで生命を維持しています。しかし、この血管が損傷を受けると、血液が本来流れるべき道から外へと漏れ出てしまうのです。出血には大きく分けて、体の外に血液が流れ出る「外傷性出血」と、体の内部で血管から血液が漏れ出てしまう「内出血」の二つがあります。外傷性出血は、切り傷や擦り傷など、皮膚に損傷を受けた場合に起こる出血で、目で見て確認することができます。一方、内出血は、体の内部で起こる出血であるため、外見からは分かりにくいという特徴があります。打撲や骨折などで血管が損傷した場合などに起こりやすく、皮膚の下に出血が広がると、青あざとなって現れることがあります。出血の程度は、ごくわずかな量のものから、生命に関わるような大量出血まで様々です。出血が軽度であれば、自然に止血されることもありますが、大量出血の場合は、適切な処置を行わないと命に関わる危険性があります。そのため、出血の量や状況に応じて、適切な対応をとることが重要です。
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免疫の破壊者、HIVの脅威

- HIVとはHIVは「ヒト免疫不全ウイルス」と呼ばれるウイルスの略称です。このウイルスは、私たちの体を病気から守る免疫システムを標的にして攻撃するという特徴を持っています。免疫システムは、体の中に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体から私たちを守ってくれる、いわば「体の防衛部隊」です。風邪をひいたときや、インフルエンザにかかったときに、熱が出たり、咳が出たりするのは、この免疫システムが病原体と戦っている証拠です。HIVはこの免疫システムの中で、特に重要な役割を担う「リンパ球」という細胞を破壊してしまいます。リンパ球は、例えるなら「体の防衛部隊の司令塔」のような役割を果たしています。司令塔であるリンパ球が破壊されてしまうと、免疫システムからの指令がうまく伝わらなくなり、体は防衛力を失ってしまいます。その結果、通常では感染症を引き起こさないような弱い病原体にも感染しやすくなってしまうのです。HIVは、血液、精液、膣分泌液、母乳などを介して感染します。HIVに感染しても、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、ウイルスは体の中で静かに増殖を続け、免疫システムを徐々に破壊していきます。そして、免疫力が著しく低下した状態になると、「後天性免疫不全症候群(AIDS)」を発症します。
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血球貪食症候群:免疫の暴走とその脅威

私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵から身を守るために免疫システムが備わっています。通常、免疫細胞はこのシステムを通じて、侵入してきた外敵を攻撃し、排除する働きをしています。しかし、まれに、この免疫システムが過剰に反応し、自分自身の細胞を攻撃してしまうことがあります。これが、過剰な免疫反応が引き起こす病気と呼ばれるものです。 血球貪食症候群は、このような過剰な免疫反応が原因で起こる病気の一つです。この病気では、免疫細胞が正常な血液細胞を、あたかも外敵であるかのように誤って認識し、攻撃を加えてしまいます。その結果、赤血球、白血球、血小板といった血液細胞が破壊され、様々な症状が現れます。 発熱、全身倦怠感、リンパ節の腫れといった風邪に似た症状が見られることがありますが、貧血、出血傾向、感染症の悪化など、より重篤な症状が現れることもあります。原因は未だはっきりとは解明されていませんが、感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患などが発症の引き金となる可能性が示唆されています。 血球貪食症候群は、命に関わることもある病気です。早期の診断と適切な治療が重要となります。
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血液が固まる病気:血栓とは

- 血栓の概要私たちの体内を循環している血液は、怪我をした時などに傷口をふさぐ重要な役割を担っています。通常、出血すると血液中の成分が反応し、複雑な過程を経て血液が凝固し、出血を止める仕組みになっています。 しかし、この血液凝固のメカニズムが、怪我をしていない状態でも過剰に働いてしまうことがあります。その結果、血管の中で血液が固まってしまう現象を、血栓と呼びます。血栓は、それができる場所によって、大きく動脈血栓と静脈血栓に分けられます。動脈は心臓から全身に血液を送り出す血管である一方、静脈は全身から心臓へ血液を送り返す血管です。動脈血栓は、動脈硬化などにより血管の内壁が損傷し、そこに血小板やフィブリンなどが集積して形成されます。動脈血栓は、心臓の冠動脈で発生すると心筋梗塞、脳の血管で発生すると脳梗塞を引き起こすなど、生命に関わる重大な病気を引き起こす可能性があります。一方、静脈血栓は、血液の流れが滞りやすい足の静脈にできやすいという特徴があります。飛行機のエコノミークラスなど、長時間同じ体制で座り続けることで足の静脈に血栓ができることがあり、エコノミークラス症候群とも呼ばれます。静脈血栓は、肺の血管に詰まると肺塞栓症を引き起こすことがあり、こちらも命に関わる危険性があります。このように、血栓は発生する場所や原因によって様々な病気を引き起こす可能性があり、注意が必要です。
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出血とは?:症状と原因、治療法まで

出血とは、血管が傷つき、血液が血管の外に出てしまう現象を指します。私たちが健康な状態であるとき、血液は心臓から送り出され、全身に張り巡らされた血管の中だけを流れています。しかし、何らかの原因で血管が損傷すると、この血液が血管の外に漏れ出てしまうのです。これが、出血です。 出血は、その発生場所によって大きく三つに分けられます。一つ目は、体外への出血です。例えば、指を切ってしまった場合や鼻血が出た場合などがこれに当たります。二つ目は、体腔内への出血です。これは、体の外からは見えない場所で出血が起こることを指します。例えば、お腹の中で出血が起こったり、頭蓋骨の中で出血が起こったりすることがあります。三つ目は、組織内への出血です。これは、皮膚の下など、組織の中に出血が起こることを指します。 出血の症状や重症度は、出血の場所だけでなく、出血量や原因によっても大きく異なります。少量の出血であれば、自然に止まることもありますが、大量の出血が起こると、生命に関わる危険性も出てきます。そのため、出血が起こった場合には、適切な処置を迅速に行うことが重要です。
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知っておきたい血小板減少症

- 血小板減少症とは血液の中には、体にとって重要な役割を担う様々な種類の細胞が流れています。その一つに、血管が傷ついたときに傷口を塞いで出血を止める働きをする「血小板」があります。この血小板が、何らかの原因で正常な数よりも少なくなってしまう病気が、血小板減少症です。健康な人の場合、血液1マイクロリットルあたり15万から40万個程度の血小板が存在しています。しかし、血小板減少症では、この数が減少してしまいます。血小板の数が減ると、出血を止める機能が低下するため、出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなったりします。具体的には、鼻血が出やすくなったり、歯茎から出血しやすくなったりすることがあります。また、皮膚の下に出血が起こり、青あざができやすくなったり、赤い斑点(点状出血)が現れたりすることもあります。さらに、重症化すると、頭蓋内出血などの重大な出血を引き起こす可能性もあります。血小板減少症の原因は様々で、自己免疫疾患や白血病、薬剤の副作用などが挙げられます。原因や症状、重症度によって治療法は異なり、それぞれの患者さんに合わせた治療が行われます。
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免疫の主役:顆粒球の種類と役割

私たちの体は、まるで外敵の侵入を防ぐ城塞のように、様々な防御機構を備えています。細菌やウイルスといった病原体は、常に私たちの体への侵入を試みており、健康を脅かす存在です。この目に見えない敵から身を守るため、体内では様々な種類の細胞が活躍しています。その中でも、血液中に存在する白血球は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体と戦う、いわば「兵士」のような役割を担っています。 白血球にはいくつかの種類がありますが、その中でも「顆粒球」は、細胞内に小さな顆粒と呼ばれる袋状の構造を多数持ち、その中に様々な物質を蓄えているという特徴があります。顆粒球は、体内を常に巡回し、パトロールを行いながら、病原体や異物が侵入してくると、すかさず現場に駆けつけます。そして、顆粒の中に蓄えられた殺菌作用のある物質を放出し、病原体や異物を攻撃します。この殺菌物質は、例えるならば、敵を倒すための武器のようなものです。さらに顆粒球は、炎症反応を引き起こす物質も放出します。炎症反応は、傷ついた組織を修復するために必要なプロセスであり、他の免疫細胞を呼び寄せる役割も担っています。このように、顆粒球は、免疫システムの最前線で活躍する重要な役割を担っています。
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臨床現場の用語:ハーベーって何?

病院で働く医師や看護師などは、日々の業務の中で膨大な量の情報を扱っています。診察記録や検査結果、投薬 instructions など、正確に情報を伝えることが非常に重要です。しかし、医療現場は常に時間との闘いです。限られた時間の中ですべてを丁寧に伝えることは難しく、情報を簡潔に伝えるために、医療従事者の間では専門用語や略語がよく使われています。 これらの略語は、医療従事者にとっては共通認識となっているため、円滑なコミュニケーションを図る上で大変役に立ちます。例えば、血液検査の結果を伝える際に「WBC 8000」と言えば、白血球数が8000/μLであることを意味し、すぐに患者さんの状態を把握することができます。しかし、医療従事者以外の人にとっては、これらの略語は暗号のようにしか聞こえず、不安に感じてしまうかもしれません。 もし、診療中に意味の分からない言葉が出てきたら、遠慮なく質問するようにしましょう。医療従事者は、患者さんが安心して治療を受けられるよう、分かりやすい言葉で説明するよう努める必要があります。
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ビタミンB12欠乏症:その原因と症状

- ビタミンB12欠乏症とはビタミンB12欠乏症は、体の中にビタミンB12が不足してしまうことで起こる病気です。ビタミンB12は、食事から摂取する必要のある栄養素の一つで、新しい赤血球を作ったり、神経の働きを正常に保ったりするために欠かせません。健康な体を維持するためには、毎日こまめにビタミンB12を補給することが重要です。ビタミンB12が不足すると、様々な不調が現れることがあります。代表的な症状としては、体がだるく疲れやすくなったり、めまいや動悸、息切れを感じたりすることが挙げられます。また、顔色が悪くなったり、食欲がなくなったりすることもあります。さらに、手足のしびれや感覚の異常、歩行障害などの神経症状が現れることもあり、進行すると、認知機能の低下や精神症状を引き起こす可能性もあります。ビタミンB12欠乏症は、加齢に伴う胃腸の機能低下や、胃を切除する手術を受けた後などに起こりやすくなります。また、菜食主義者の方や、胃酸を抑える薬を常用している方も、ビタミンB12が不足しやすいため注意が必要です。ビタミンB12欠乏症の治療には、不足しているビタミンB12を補給することが必要です。ビタミンB12を多く含む食品を積極的に摂取したり、場合によっては、医師の指導のもと、ビタミン剤を服用したりするなどの方法があります。日頃からバランスの取れた食生活を心がけ、ビタミンB12欠乏症を予防することが大切です。
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出血を止める仕組み:止血とは

- 止血の定義止血とは、怪我などで傷ついた血管から血液が流れ出るのを止めること、あるいはその状態を指します。私たちの体は、常に怪我や出血のリスクにさらされています。転倒して擦りむいたり、刃物で切ってしまったりと、日常生活の中で血管が傷つく場面は少なくありません。そのような時、私たちの体は自然に血を止める仕組みが備わっており、これを「止血」と呼びます。止血は、私たちの命を守るために非常に重要な機能です。もし、この止血がうまく働かないと、わずかな怪我でも大量出血を引き起こし、命に関わる危険性があります。私たちの体には、出血を感知するとすぐに働き始める、非常に精巧な止血システムが備わっています。止血の過程は、大きく分けて3つの段階に分けられます。まず、血管が損傷すると、その部分を縮めて出血量を抑えようとします。次に、傷ついた血管内皮に血小板が付着し、互いに凝集することで一時的な止血栓を形成します。これを血小板血栓と呼びます。最後に、血液中の凝固因子が活性化し、複雑な反応を経て最終的にフィブリンというタンパク質が生成されます。このフィブリンが血小板血栓をさらに強化し、より強固な止血栓を形成することで、出血は完全に止まります。このように、私たちの体には傷ついた血管から血液が流れ出るのを防ぐ、巧妙な仕組みが備わっているのです。
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巨赤芽球性貧血:原因と症状

- 巨赤芽球性貧血とは人間の体内を循環する血液には、赤い色をした細胞である赤血球が含まれています。この赤血球は、体の隅々まで酸素を運ぶという重要な役割を担っています。巨赤芽球性貧血とは、この赤血球が正常に成熟することができず、血液中で酸素を運ぶ役割を十分に果たせない状態になることで発症する貧血です。健康な状態では、骨髄と呼ばれる骨の中心部で、赤血球の元となる細胞が分裂と成熟を繰り返しながら、正常な赤血球へと成長していきます。しかし、巨赤芽球性貧血では、この成熟過程がうまくいかず、「巨赤芽球」と呼ばれる未熟な状態の赤血球が骨髄の中に異常に増加してしまいます。巨赤芽球は、正常な赤血球に比べてサイズが大きく、機能も未熟なため、効率的に酸素を運ぶことができません。その結果、巨赤芽球性貧血になると、体が酸素不足に陥り、様々な症状が現れます。代表的な症状としては、顔面蒼白、息切れ、動悸、疲労感、めまいなどが挙げられます。また、舌の炎症や神経障害などが現れることもあります。巨赤芽球性貧血の原因として最も多いのは、ビタミンB12や葉酸の不足です。ビタミンB12と葉酸は、赤血球の成熟に欠かせない栄養素です。これらの栄養素が不足すると、赤血球が正常に成熟することができなくなり、巨赤芽球性貧血を引き起こします。
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抗リン脂質抗体症候群:自己免疫と血栓症の密接な関係

- 疾患の概要抗リン脂質抗体症候群は、自分の免疫システムが誤って自分自身を攻撃してしまう、自己免疫疾患の一種です。この病気では、血液が固まりやすくなるという特徴があります。通常、私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵から身を守るために免疫システムが備わっています。しかし、抗リン脂質抗体症候群を発症すると、この免疫システムが正常に機能しなくなります。免疫システムの一部である抗体が、本来攻撃すべきでないリン脂質という血液中の成分を攻撃してしまうのです。リン脂質は、細胞膜の構成成分であり、また血液凝固にも関与しています。抗リン脂質抗体がリン脂質に結合すると、血液が固まりやすくなり、血栓と呼ばれる血液の塊が血管内にできてしまいます。血栓は、血管を詰まらせてしまい、血液の流れを悪くします。これが、様々な臓器に影響を及ぼし、深刻な症状を引き起こす原因となるのです。例えば、脳の血管で血栓が生じると脳梗塞、心臓の血管で生じると心筋梗塞を引き起こす可能性があります。また、妊娠中の女性では、胎盤の血管に血栓ができやすくなるため、流産や早産のリスクが高まります。抗リン脂質抗体症候群は、根本的な治療法はまだ見つかっていません。しかし、血液が固まりにくくなる薬を服用することで、血栓の形成を防ぎ、症状の悪化を抑えることができます。
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免疫の主役:顆粒球の役割

- 顆粒球とは私たちの体内には、細菌やウイルスなどの病原体から身を守る「免疫」というシステムが備わっています。その免疫システムにおいて、最前線で活躍する重要な役割を担っているのが白血球です。白血球は、血液中に存在する細胞の一種で、体内をパトロールし、病原体を見つけると攻撃して排除します。 顆粒球は、この白血球の一種で、細胞内に小さな顆粒と呼ばれる袋状の構造を多数持っていることが特徴です。この顆粒の中には、病原体を撃退するための様々な物質が蓄えられています。顕微鏡で観察すると、顆粒球の細胞質には、まるで小さな粒を散りばめたように顆粒が存在している様子がよくわかります。 顆粒球は、さらに、顆粒の染色性や働きによって「好中球」「好酸球」「好塩基球」の3種類に分類されます。 * 好中球は、顆粒球の中で最も数が多く、細菌や真菌を貪食することで感染防御に重要な役割を果たします。 * 好酸球は、寄生虫感染やアレルギー反応に関与し、寄生虫の排除やアレルギー症状の抑制に働きます。 * 好塩基球は、炎症反応に関与し、ヒスタミンなどの化学物質を放出して炎症を引き起こします。 このように、顆粒球は、それぞれの種類によって異なる役割を担い、私たちの体を病原体から守るために活躍しています。
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血管炎症候群:全身に及ぶ血管の炎症

- 血管炎症候群とは何か 私たちの体は、まるで網の目のように血管が張り巡らされています。この血管は、体中に酸素や栄養を届けるという、人間が生きていく上で欠かせない重要な役割を担っています。同時に、老廃物を回収し、体の外へと運び出すのも血管の大切な仕事です。 血管炎症候群とは、この血管に炎症が起きる病気の総称です。血管は、体の隅々まで血液を送り届けるための重要な通路です。しかし、様々な原因で血管の壁に炎症が起きることがあります。炎症によって血管の壁が厚くなったり、血管の内側が狭くなったりすると、血液の流れが悪くなってしまいます。 血液の流れが悪くなると、酸素や栄養が十分に行き渡らなくなり、臓器や組織の働きが低下してしまいます。また、血管が詰まったり破れたりすると、生命に関わる深刻な事態を引き起こす可能性もあります。 血管炎症候群は、原因や症状、進行の程度などによって様々な種類に分類されます。血管の炎症は、動脈だけでなく、静脈や毛細血管など、あらゆる種類の血管で起こる可能性があります。 血管炎症候群は、比較的まれな病気ですが、命に関わることもあるため、早期発見と適切な治療が重要です。
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免疫力を奪うHIVとは?

- HIVとはHIVは「ヒト免疫不全ウイルス」の略称で、人間の免疫システムを攻撃するウイルスです。免疫システムは、私たちの体を病気から守るために非常に重要な役割を担っています。HIVはこの免疫システムの中で、特に重要な役割を果たす「CD4陽性T細胞」という細胞に感染します。CD4陽性T細胞は、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体を攻撃し、排除する司令塔のような役割を担っています。HIVはこのCD4陽性T細胞に感染し、細胞の中で増殖を繰り返します。その結果、CD4陽性T細胞は破壊され、免疫システムが正常に機能しなくなってしまいます。HIVは、感染した人の血液、精液、膣分泌液、母乳などの体液に含まれており、これらの体液が他の人に移ることによって感染します。具体的には、性交渉、血液を介した感染(注射針の共用など)、母子感染(妊娠中、出産時、授乳時)などの経路で感染します。HIVは空気感染や接触感染はしません。日常生活で感染する可能性は極めて低いと言えます。
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体を守る勇敢な兵士: ナチュラルキラー細胞

私たちは、目に見えない脅威に常に囲まれながら日々を過ごしています。空気中にはウイルスや細菌が漂い、体内では、正常な細胞が突然変異を起こし、体にとって害をなす存在へと変貌を遂げることがあります。このような、私たちの健康を脅かす存在から身を守るため、体内には複雑かつ精巧な防御システムが備わっています。それが免疫システムです。 免疫システムは、体内に侵入した異物や、体内で発生した異常な細胞をいち早く認識し、攻撃、排除することで、私たちの体を守ってくれています。この免疫システムにおいて、最前線に立ち、勇敢に戦う兵士と例えられる細胞が存在します。それが、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)です。NK細胞は、生まれながらに備わっている免疫システムである自然免疫の中心的役割を担い、常に体内をパトロールし、異物や異常細胞を攻撃します。驚くべきことに、NK細胞は、標的となる細胞を事前に認識しておく必要がありません。まるで、訓練された兵士のように、独自の能力で敵を見分け、即座に攻撃を仕掛けることができるのです。 NK細胞の攻撃方法は、まさに「細胞爆弾」と呼ぶにふさわしいものです。彼らは、パーフォリンとグランザイムという、強力なタンパク質を分泌します。パーフォリンは、標的となる細胞の膜に穴を開け、グランザイムはその穴から細胞内へと侵入し、細胞を内部から破壊します。このように、NK細胞は、体内を常に監視し、見つけた敵を即座に排除することで、私たちの健康を守ってくれているのです。
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輸血を支える「供血者」の役割

- 供血者とは供血者とは、事故や病気、手術などで血液が必要となった人のために、自らの血液を提供してくれる人のことです。輸血は、不足した血液を補い、命をつなぐための大切な医療行為です。そして、その輸血を陰ながら支えているのが「供血者」と呼ばれる人々です。誰しも、病気や事故で予期せず輸血が必要となる可能性があります。しかし、血液は人工的に作ることはできず、私たちが健康な生活を送るためには、十分な量の血液を医療現場に確保しておくことが不可欠です。供血は、健康な人が行えば、身体への負担は少なく、安全な行為です。そして、わずか400ml程度の血液を提供することで、誰かの命を救い、健康を取り戻すための大きな力となります。近年、少子高齢化の影響もあり、輸血を必要とする人は増加傾向にある一方で、供血者は減少しています。将来にわたって、安全な血液製剤を安定的に供給していくためには、より多くの人の理解と協力が不可欠です。一人でも多くの人が供血について考え、行動を起こすことが、未来の医療を支えることにつながります。
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顕微鏡的多発血管炎:小さな血管の大きな炎症

- 顕微鏡的多発血管炎とは顕微鏡的多発血管炎という病名は、あまり聞き馴染みがないかもしれません。この病気は、体中に張り巡らされた細い血管に炎症が起こることで、様々な症状が現れます。「多発血管炎」という名前が示すように、炎症は体の複数の血管に生じます。しかし、肉眼では確認できないほど小さな血管で炎症が起こるため、「顕微鏡的」という言葉が付け加えられています。顕微鏡的多発血管炎は、免疫システムの異常が原因と考えられていますが、はっきりとした原因はまだ解明されていません。本来、免疫システムは細菌やウイルスなどの外敵から体を守る働きをしています。しかし、顕微鏡的多発血管炎を発症すると、この免疫システムが誤って自分の体の血管を攻撃してしまうのです。その結果、血管の壁が炎症を起こし、血液の流れが悪くなったり、血管が破れて出血したりすることがあります。顕微鏡的多発血管炎は、放置すると重症化することもあるため、早期発見・早期治療が重要です。症状としては、発熱、体重減少、倦怠感、筋肉痛、関節痛など、風邪に似た症状が現れることがあります。また、血管の炎症が起こる場所によっては、皮膚の紫斑、咳や息切れ、腹痛、腎機能障害などの症状が現れることもあります。もし、これらの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。
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献血:命をつなぐ尊い行為

- 供血者の定義供血者とは、医療現場において必要とされる輸血のために、自らの血液を無償で提供してくれる人のことを指します。輸血は、手術中や事故による大量出血、または病気の治療など、様々な状況において人の命を救うために欠かせない医療行為です。輸血に必要となる血液は、健康な人々からの献血によって賄われています。献血された血液は、安全性を確保するために厳密な検査が行われた後、輸血を必要とする患者さんのもとへ届けられます。 つまり、供血者とは、自らの血液を提供するという尊い行為を通して、医療を支え、他の人の命を救うことに貢献していると言えるでしょう。
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細胞膜の重要成分:コレステロール

- コレステロールとは人間の体を含め、動物の体を作る細胞。その細胞一つ一つを包む膜を細胞膜といい、体の細胞全てに存在します。この細胞膜を作るために必要な成分の一つがコレステロールです。細胞膜は細胞の内側と外側を隔てる役割を担っており、細胞が正常に働くために無くてはならない存在です。 コレステロールは、細胞膜の構造を保ち、その流動性を調整する働きをしています。もし、コレステロールが不足すると細胞膜が硬くなってしまい、細胞本来の働きが損なわれてしまいます。逆に、コレステロールが多すぎると細胞膜が不安定になり、これもまた細胞の機能に悪影響を及ぼす可能性があります。 コレステロールは体内のあらゆる細胞に存在しますが、脳や脊髄、肝臓など、生命維持に重要な役割を担う臓器に多く分布しています。これは、これらの臓器が活発に活動するために、多くのコレステロールを必要としているためと考えられています。 このように、コレステロールは細胞の働きを正常に保つために欠かせない物質です。しかし、その量が多すぎても少なすぎても体に悪影響があるため、バランスを保つことが重要です。
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体に蓄積されるエネルギー源:中性脂肪

- 中性脂肪とは私たちが日々活動するためのエネルギー源となるのが、中性脂肪です。食事から摂取したエネルギーは、体内でブドウ糖に変換され、すぐに使えるエネルギーとして利用されます。しかし、摂取したエネルギーが消費量を上回ると、体は余ったブドウ糖を中性脂肪に変換し、脂肪細胞に蓄積します。脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪は、いわばエネルギーの貯蔵庫のようなものです。運動したり、食事量が少なくなったりしてエネルギーが不足すると、体は蓄えていた中性脂肪を分解し、再びエネルギーとして利用します。このように、中性脂肪は体にとって重要な役割を担っていますが、過剰に蓄積されると肥満や生活習慣病のリスクを高めることになります。バランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、中性脂肪の蓄積を抑えることが健康維持には大切です。
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ANCA関連血管炎:知っておきたいこと

- ANCA関連血管炎とはANCA関連血管炎という言葉は、あまり馴染みがないかもしれません。これは、自分の免疫の働きが誤ってしまい、自分の体の血管に炎症を起こしてしまう病気です。ANCAとは、「抗好中球細胞質抗体」の略称で、この抗体が自分の体の細胞を攻撃してしまうことが原因です。私たちの体の中には、血管が網の目のように張り巡らされています。この血管に炎症が起きると、血液の流れが悪くなり、体の様々な場所に影響が出てしまいます。症状は実に様々で、発熱やだるさ、関節の痛み、体重減少など、風邪によく似た症状が出ることもあります。さらに厄介なことに、ANCA関連血管炎は、放っておくと重い病気につながる可能性があります。炎症が強くなると、腎臓、肺、神経など、生命維持に欠かせない臓器にまで障害が及んでしまうことがあるのです。ANCA関連血管炎は、早期発見、早期治療が何よりも大切です。原因不明の体調不良が続く場合は、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
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命を脅かす血管の炎症:結節性多発動脈炎

私たちの体の中に張り巡らされた血管は、心臓から送り出された血液を全身に届けるという大切な役割を担っています。その中でも、心臓から送り出された血液を体の各器官へと運ぶのが動脈と呼ばれる血管です。この動脈に炎症が起こり、様々な体の不調を引き起こす病気が、結節性多発動脈炎です。 結節性多発動脈炎は、全身の中規模の動脈に炎症を引き起こします。炎症によって血管の壁がもろくなったり、血管が狭くなったりすることで、血液の流れが悪くなってしまいます。その結果、体の様々な場所に十分な血液が行き渡らなくなり、臓器に障害が生じるのです。 結節性多発動脈炎は、国の指定難病に認定されている病気です。これは、患者数が少なく、原因がまだよくわかっていないこと、そして治療法が確立されていないことを意味します。多くの患者さんが、原因不明の体の痛みや発熱、倦怠感などの症状に悩みながら、長く辛い闘病生活を送っています。
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