血液透析における生命線:ブラッドアクセス
病院での用語を教えて
先生、「ブラッドアクセス」ってよく聞くんですけど、どういう意味ですか?
体の健康研究家
「ブラッドアクセス」は、血液透析を受ける時に、体と透析装置をつなぐための入り口と出口のことだよ。わかりやすく言うと、血液が行き来するための特別な通路だね。
病院での用語を教えて
通路ですか? 体にそんな通路を作るんですか?
体の健康研究家
そうなんだ。手術で腕に作った血管の入り口と出口を、透析装置につなぐんだ。だから「ブラッドアクセス」は、透析患者さんにとってとても大切なものなんだよ。
ブラッドアクセスとは。
「血液浄化療法の一つである血液透析を行う際に、患者の体から血液を体の外にある透析装置へと送り出し、きれいになった血液を再び体内に戻すための血液の通り道のことを指します。本来は血管接続という意味の言葉が正しいのですが、近年では商品名であるブラッドアクセスという言葉が広く使われるようになりました。」
ブラッドアクセスとは
– ブラッドアクセスとは血液透析を受ける患者さんにとって、ブラッドアクセスは、まさに生命線とも言える重要なものです。血液透析は、腎臓の機能が低下した際に、体内の血液を一度体外へ取り出し、人工的に老廃物や余分な水分を取り除いた後、再び体内に戻す治療法です。ブラッドアクセスは、この治療において、血液を体外循環させるための重要な役割を担っています。体外への血液の出入り口となるブラッドアクセスは、具体的には、動脈と静脈を体内または体外でつなぎ合わせることで作られます。このつなぎ目によって、血液透析に必要な大量の血液を、体外へ取り出したり、体内に戻したりすることができるのです。ブラッドアクセスには体内型と体外型の二つの種類があり、それぞれに利点と欠点があります。体内型は、自分の血管同士を手術でつなぎ合わせて作るため、異物を体内に埋め込む必要がありません。しかし、血管が成熟するまでには時間がかかり、すぐに使用できないという側面もあります。一方、体外型は人工血管を用いるため、手術後すぐに使用できます。しかし、感染症のリスクや、定期的な交換が必要となるなど、注意すべき点も存在します。いずれの方法でブラッドアクセスを作成するかは、患者さんの状態や生活スタイルなどを考慮して、医師とよく相談の上で決定されます。血液透析を安全かつ円滑に行うためには、ブラッドアクセスに対する正しい理解と、日頃からの適切な管理が欠かせないと言えるでしょう。
種類 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
体内型 | 異物を体内に埋め込む必要がない | 血管が成熟するまで時間がかかり、すぐに使用できない |
体外型 | 手術後すぐに使用できる | 感染症のリスク、定期的な交換が必要 |
ブラッドアクセスの種類
血液透析を受けるためには、繰り返し多量の血液を体外に出したり、体内に戻したりする必要があります。そのため、血液の出入り口となる血管へのアクセスルートを確保することが非常に重要です。これをブラッドアクセスと呼びます。ブラッドアクセスには、大きく分けて三つの種類があります。
一つ目は、シャントと呼ばれる方法です。これは、自分の腕にある動脈と静脈を手術でつなぎ合わせることで、静脈を太く丈夫にし、血液を流れやすくするものです。シャントは、他の方法と比べて感染のリスクが低く、長持ちする傾向があるため、可能であれば第一選択となります。
二つ目は、グラフトと呼ばれる方法です。これは、人工血管を体内に埋め込み、動脈と静脈をつなぐものです。自分の血管が使えない場合や、シャントが作れない場合に選択されます。グラフトはシャントに比べて感染や詰まりのリスクが高いため、注意深い管理が必要です。
三つ目は、カテーテルと呼ばれる方法です。これは、一時的な対応として、管を太い静脈から心臓に近い大きな血管に挿入するものです。カテーテルは、シャントやグラフトの準備が整うまでの間や、緊急を要する場合に用いられます。カテーテルは感染のリスクが高く、長期間の使用には適していません。
このように、ブラッドアクセスにはそれぞれメリットとデメリットがあります。どの方法を選択するかは、患者さんの体の状態や治療方針によって異なります。医師とよく相談し、自分に合ったブラッドアクセスを選択することが大切です。
ブラッドアクセス | 説明 | メリット | デメリット | その他 |
---|---|---|---|---|
シャント | 自分の腕の動脈と静脈を手術でつなぎ合わせる。 | 感染のリスクが低い。長持ちする傾向がある。 | – | 可能であれば第一選択。 |
グラフト | 人工血管を体内に埋め込み、動脈と静脈をつなぐ。 | 自分の血管が使えない場合や、シャントが作れない場合に選択できる。 | シャントに比べて感染や詰まりのリスクが高い。 | 注意深い管理が必要。 |
カテーテル | 一時的な対応として、管を太い静脈から心臓に近い大きな血管に挿入する。 | シャントやグラフトの準備が整うまでの間や、緊急を要する場合に用いることができる。 | 感染のリスクが高い。長期間の使用には適していない。 | – |
シャント:長期的な利用に最適
血液透析を継続的に受けるには、体の外に血液の通り道を作る必要があります。この血液の通り道をシャントと呼びます。シャントにはいくつか種類がありますが、特に自分の血管だけを使って作るシャントは、長期的な利用に適しているとされています。
なぜなら、人工血管を用いたシャントと比べて、血液が固まりにくく、細菌感染のリスクも低いからです。人工血管は異物であるため、血液が固まりやすく、感染症のリスクも高くなってしまいます。その点、自分の血管だけを使ったシャントは、長期間安心して使用できるという利点があります。
しかし、シャントを作るためには手術が必要となり、体の状態によっては作ることが難しい場合があります。また、手術後もシャントが完全に機能するまでには時間が必要です。血液透析を始めるまでに時間的な余裕がない場合などには、他の方法を検討する必要があるでしょう。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
自分の血管を使ったシャント | ・血液が固まりにくい ・細菌感染のリスクが低い ・長期間安心して使用できる |
・手術が必要 ・体の状態によっては作れない場合がある ・機能するまで時間が必要 |
人工血管を用いたシャント | – | ・血液が固まりやすい ・感染症のリスクが高い |
グラフト:シャントが難しい場合に
透析治療には欠かせない血液の通り道を作る方法として、シャント手術とグラフト手術があります。シャント手術が難しい場合に、グラフト手術が選択されることがあります。
グラフト手術では、人工血管を用いて動脈と静脈を接続します。人工血管を使用するため、患者さん自身の血管の状態に左右されにくく、手術も比較的容易です。また、手術後短期間で透析治療に使用できるようになるという利点もあります。
しかし、グラフト手術には、シャント手術に比べて血栓(血の塊)ができやすく、感染症のリスクも高まるという側面も持ち合わせています。そのため、定期的な検査や医師による診察が必要不可欠です。さらに、人工血管は永久的に使用できるわけではなく、時間の経過とともに劣化していく可能性があります。そのため、長期にわたる使用には適さない場合もあり、将来的には再手術が必要となるケースもあります。
グラフト手術を受ける際は、医師からそれぞれの治療法の長所と短所について十分な説明を受け、理解しておくことが重要です。
手術方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
グラフト手術 | ・患者自身の血管の状態に左右されない ・手術が比較的容易 ・手術後短期間で透析治療を開始できる |
・血栓ができやすい ・感染症のリスクが高い ・人工血管は劣化するため、再手術が必要となる可能性がある |
シャント手術 | ・グラフト手術と比較して、血栓や感染症のリスクが低いと考えられる ・人工血管を使用しないため、長期にわたる使用が可能 |
カテーテル:緊急時や一時的な利用に
– カテーテル緊急時や一時的な利用にカテーテルは、必要な時にすぐに使用できるという大きな利点があります。そのため、緊急で血液透析が必要になった場合や、一時的に血液透析を行う場合に適しています。例えば、急性の腎不全や、慢性腎臓病が悪化した場合などに、カテーテルによる血液透析が救命処置となることがあります。しかし、カテーテルはシャントやグラフトと比べて、血栓(血の塊)ができやすく、感染症のリスクが非常に高いという側面も持ち合わせています。これは、カテーテルが体外に露出している部分があり、そこから細菌が侵入しやすいためです。また、カテーテル自体が血管を傷つけ、血栓を形成するリスクを高める可能性も指摘されています。これらのリスクを踏まえ、カテーテルは長期的な血液透析の手段としては適していません。長期的な血液透析が必要な場合は、シャントやグラフトの作成を検討する必要があります。カテーテルを使用する場合は、清潔な環境を保ち、感染予防に細心の注意を払うことが重要です。カテーテル挿入部の消毒や、手洗いの徹底など、医療従事者の指導のもと、適切な感染対策を行う必要があります。
メリット | デメリット | 注意点 |
---|---|---|
緊急時や一時的な血液透析に適している | 血栓ができやすく、感染症のリスクが高い | 清潔な環境を保ち、感染予防に細心の注意を払う必要がある |
ブラッドアクセスの重要性
血液透析は、腎臓の機能が低下した際に、体内に溜まった老廃物や余分な水分を人工的に取り除くための治療法です。この血液透析を行う上で、「ブラッドアクセス」は欠かせないものとなります。ブラッドアクセスとは、血液透析のために体外と血管をつなぐ経路のことです。
血液透析では、十分な量の血液を体外へ取り出し、浄化装置に通して再び体内に戻す必要があります。この血液の出入りを行うための血管へのアクセスルートこそがブラッドアクセスであり、血液透析治療の成否を左右すると言っても過言ではありません。
ブラッドアクセスには、主に「シャント」と「カテーテル」の二つの種類があります。シャントは、自分の動脈と静脈を手術でつなぎ合わせて作るもので、長期的に使用することを目的としています。一方、カテーテルは、太い血管に管を挿入するもので、主に緊急時やシャント作成までの短期間の使用に適しています。それぞれにメリット・デメリットがあるため、患者さんの状態に合わせて適切なブラッドアクセスを選択することが重要です。
そして、ブラッドアクセスを長く安全に使い続けるためには、患者さん自身による日頃からの管理も大切です。清潔を保つことはもちろんのこと、重いものを持ったり、血圧を急激に上げたりするような行動は、ブラッドアクセスに負担をかける可能性があります。また、普段からシャント部に触れてみて、皮膚の下で「スリル」と呼ばれる震えを感じることや、聴診器で「シュッシュッ」という音が聞こえることを確認することで、シャントの状態を把握することが重要です。
ブラッドアクセスは、患者さんにとって血液透析を継続していく上で、まさに命綱とも言えるものです。医師や看護師の指示に従って適切に管理し、大切に扱うように心がけましょう。
種類 | 説明 | メリット | デメリット | その他 |
---|---|---|---|---|
シャント | 自分の動脈と静脈を手術でつなぎ合わせる | 長期使用が可能 | 手術が必要 | 日常的な管理(清潔保持、スリル確認など)が必要 |
カテーテル | 太い血管に管を挿入する | 緊急時や短期間の使用に適している | 感染のリスクが高い |