総合健康ガイド

食生活

健康の秘訣!魚油のパワーを探る

- 魚油とは?魚油とは、イワシ、サバ、マグロなど、私たちが普段口にすることの多い魚から作られる油のことです。 これらの魚を煮沸し、溶け出した脂肪分を集めて精製することで、独特の香りと風味を持つ黄金色の油が出来上がります。 一見すると、家庭で使うサラダ油と変わらないように思えるかもしれません。しかし、魚油には、サラダ油には含まれていない、健康に良いとされる様々な成分が含まれています。古くから、魚をよく食べる地域の人々は、心臓病が少ないという事実に注目が集まっていました。その後の研究で、魚油に含まれるDHAやEPAと呼ばれる成分が、血液をサラサラにしたり、中性脂肪値を下げたりする効果を持つことが明らかになってきました。 DHAは脳の働きを活発にする効果も期待されており、記憶力や学習能力の向上にも役立つと考えられています。 また、EPAには、炎症を抑えたり、関節の痛みを和らげる効果も期待されています。魚油は、サプリメントとして手軽に摂取できることも魅力の一つです。魚を食べる機会が少ない方や、魚独特の臭みが苦手な方でも、効率的に健康 benefits を得ることができます。日々の食生活に魚油を取り入れることで、健康的な毎日を送るための一助となるでしょう。
救急

多臓器不全:生命を脅かす状態

- 多臓器不全とは私たちの身体は、まるで精巧な機械のように、心臓、肺、肝臓、腎臓といった様々な臓器が互いに連携し、調和を保つことで、はじめて健やかに過ごすことができます。しかし、ある日突然、この精密なシステムが狂ってしまうことがあります。それが、複数の臓器が同時に、あるいは次々とその機能を失っていく、多臓器不全と呼ばれる状態です。多臓器不全は、文字通り、複数の臓器が正常に機能しなくなることを意味します。たとえば、肺炎によって肺の機能が低下すると、体全体に酸素が行き渡らなくなります。すると、酸素不足を補おうと心臓に負担がかかり、やがて心臓も正常に機能しなくなることがあります。さらに、心臓の働きが弱まると、血液を送り出す力が衰え、腎臓や肝臓など、他の臓器にも悪影響が及んでしまうのです。このように、一つの臓器の不全が、ドミノ倒しのように他の臓器に波及していくのが、多臓器不全の特徴です。多臓器不全を引き起こす原因は、重症感染症や外傷、大手術など様々です。共通しているのは、いずれも身体への負担が非常に大きく、生命を脅かす危険な状態であるということです。一度に複数の臓器が機能不全に陥るため、生命維持は非常に困難になり、残念ながら死に至る可能性も高くなります。そのため、早期発見と迅速な治療が何よりも重要となります。
検査

PCR検査でわかること

- PCR検査とは近年、ニュースや新聞で「PCR検査」という言葉を耳にする機会が増えましたね。では、PCR検査とは一体どのような検査なのでしょうか。PCR検査は、「ポリメラーゼ連鎖反応」の略称で、検体の中に特定のウイルスや細菌の遺伝子があるかどうかを調べる検査です。例えば、新型コロナウイルスかどうかを調べる場合には、鼻の奥や唾液などから採取した検体に、新型コロナウイルスの遺伝子が含まれているかどうかを調べます。PCR検査の最大の特徴は、その感度の高さにあります。従来の検査方法では、検体中にウイルスや細菌がある程度の量まで増えないと検出できませんでしたが、PCR検査ではごくわずかな量の遺伝子でも検出することが可能です。これは、PCR検査が遺伝子を増幅させるという仕組みを持っているからです。少ない遺伝子量でも増幅することで、高い精度で検出できるのです。また、PCR検査は、従来の検査方法と比較して、短時間で結果が得られることも大きなメリットです。そのため、感染症の早期発見・早期治療に大きく貢献しています。近年では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために広く活用され、その名が知られるようになりました。
耳鼻科

風邪症候群:ありふれた疾患の真相

皆様、こんにちは。今回は、私たちにとって非常に身近な病気である「風邪」についてお話しします。医学の世界では、「感冒」や「急性鼻咽頭炎」とも呼ばれるこの病気は、誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。 風邪は、くしゃみや鼻水、喉の痛み、咳、発熱などの症状を引き起こし、私たちの日常生活に支障をきたすことがあります。これらの症状は、体内に侵入してきたウイルスを撃退しようと、私たちの体が懸命に戦っている証拠なのです。 風邪の原因となるウイルスは200種類以上も存在し、周囲の気温や湿度などの環境要因も影響するため、風邪を完全に予防することは難しいのが現状です。しかし、手洗いやうがいをこまめに行う、十分な睡眠をとる、栄養バランスのとれた食事を心がけるなど、日頃から予防対策をしておくことが重要です。 また、風邪の症状には個人差があり、軽い症状ですむ場合もあれば、高熱が続いたり、肺炎などの合併症を引き起こす場合もあります。そのため、自分の体の状態をよく観察し、必要であれば医療機関を受診するようにしましょう。 今回は、風邪の基本的な情報についてお伝えしました。次回以降は、風邪の症状を和らげる方法や、重症化を防ぐためのポイントなど、より具体的な内容について詳しく解説していきます。どうぞお楽しみに。
看護技術

看護の基盤:アセスメントを理解する

- アセスメントとは看護師は、患者さんの状態をより良くするために、計画を立てて行動します。その計画を立てるための土台となるのが、アセスメントです。アセスメントとは、患者さんの状態を可能な限り正確に把握することであり、看護師にとって最初の、そして非常に重要なステップと言えます。看護師は、患者さんの状態を把握するために、まず情報を集めます。情報を集める際には、患者さんから直接伺う必要があります。例えば、「熱っぽい」「頭が痛い」「吐き気がする」といった訴えや、「不安だ」「家族が心配だ」といった気持ちは、患者さん自身にしかわからない主観的な情報であり、とても重要です。しかし、患者さんの言葉だけに頼るのではなく、看護師自身の目で見て、耳で聞いて、手で触れて得られる情報も大切です。これらの情報は、客観的な情報と呼ばれ、表情やしぐさ、体温や脈拍、皮膚の状態やお腹の音などを、医療者としての知識や経験に基づいて確認します。さらに、血液検査やレントゲンなどの検査結果も、客観的な情報として加わります。このように、アセスメントでは、患者さんから直接伺う主観的な情報と、看護師が自身の五感や検査結果から得る客観的な情報を組み合わせて、総合的に判断します。このプロセスを通じて、患者さんの状態をより深く理解することができ、その後の看護計画へと繋げていくことができるのです。
血液

アルブミン: 血液中の働き者

私たちの体内を巡る血液は、主に細胞成分と血漿という液体成分で構成されています。赤血球、白血球、血小板といった細胞成分は、それぞれ酸素を運搬したり、外部からの細菌やウイルスから体を守ったり、出血を止めたりと重要な役割を担っています。そして、これらの細胞成分を包み込むように存在するのが血漿です。 アルブミンは、この血漿中に溶けているタンパク質の中で最も量が多いものです。体重60kgの人の場合、血液中に約240gものアルブミンが存在し、血漿全体の約60%を占めていると言われています。これは、アルブミンが私たちの体にとって、どれほど重要な役割を担っているかを物語っています。
健康寿命

ADL:生活の基盤となる動作

- ADLとはADLは「Activities of Daily Living」の頭文字を取った言葉で、日本語では「日常生活動作」と訳されます。人が毎日を健康に、そして自分の力で生きていくために必要な、基本的な動作のことを指します。食事や排泄、着替えや移動など、普段何気なく行っている行動も、実はADLとして体系的に分類されているのです。 ADLは大きく分けて、食事、排泄、整容、更衣、移動、入浴の6つに分類されます。 食事は食べ物を口に運び、噛んで飲み込むまでの一連の動作、排泄はトイレに行って用を足す動作を指します。整容は、髪を梳いたり、顔を洗ったり、歯を磨いたりといった身だしなみを整える動作、更衣は服を着たり脱いだりする動作を指します。移動は、寝返りを打ったり、歩いたり、車椅子を使って移動したりといった動作が含まれます。そして入浴は、浴槽に入ったり出たり、体を洗ったりする動作を指します。 これらの動作は、私たちが人間らしく、社会生活を送る上で欠かせないものです。ADLがスムーズに行えることは、生活の質を維持するだけでなく、心の健康にも大きく関わってきます。しかし、病気や怪我、加齢などによって、ADLが困難になることがあります。そのような場合は、周囲の人の助けを借りながら、可能な範囲でADLを維持していくことが大切です。
目・眼科

瞳孔の異常と神経梅毒:アーガイル=ロバートソン瞳孔

- 瞳孔の役割光を調整する窓私たちの目は、外界の情報を取り込むための重要な器官です。そして、その役割を担う上で、瞳孔はカメラのレンズのように機能し、周囲の明るさに応じて大きさを自動的に調整することで、適切な量の光を取り込んでいます。明るい場所にいる時、例えば太陽の下では、瞳孔は小さくなります。これは、瞳孔括約筋という筋肉が収縮することで、瞳孔の周りの組織を絞り込むように働くためです。逆に、暗い場所、例えば夜道や薄暗い部屋の中では、瞳孔は大きく開きます。これは、瞳孔散大筋という筋肉が収縮することで、瞳孔を囲む組織を広げるように働くためです。このように、瞳孔の大きさを変化させることで、網膜に届く光の量を調節し、常に最適な視界を確保しているのです。この瞳孔の大きさの変化は、自律神経系と呼ばれる、私たちの意思とは無関係に働く神経系によってコントロールされています。意識的に瞳孔の大きさを変えることはできませんが、私たちの目は、知らず知らずのうちに周囲の環境に合わせて、常に最適な状態を保っているのです。瞳孔の役割は、単に光を調整するだけではありません。瞳孔の大きさの変化は、感情や興味、さらには健康状態などを反映することも知られています。
その他

院内感染の原因菌:クレブシエラ属とは

クレブシエラ属は、私たちの腸内に常に住み着いている細菌の一種です。腸内には、体に良い働きをするものから、病気を起こすものまで、様々な種類の細菌がいますが、クレブシエラ属もその一つです。 健康な人では、クレブシエラ属が病気を起こすことはほとんどありません。しかし、病気や高齢などによって免疫力が低下している人や、入院している人などは、クレブシエラ属によって日和見感染症を引き起こすことがあります。日和見感染症とは、健康な人では発症しにくい感染症ですが、免疫力が低下した際に発症しやすくなる感染症のことを指します。 クレブシエラ属は、顕微鏡で観察すると、他の腸内細菌と比べて少し大きく、周りに厚い膜を持っていることが特徴です。この膜は莢膜と呼ばれ、クレブシエラ属が体内の免疫細胞から攻撃されるのを防ぐ、いわば盾のような役割を果たしています。このため、免疫力が低下した人では、クレブシエラ属を排除することが難しく、感染症を引き起こしやすくなってしまうのです。
看護技術

患者中心の医療を実現する:ウォーキングカンファレンスのすすめ

- ウォーキングカンファレンスとは従来の会議室で行うカンファレンスとは異なり、患者さんのベッドサイドで行われるものがウォーキングカンファレンスです。会議室に集まって行う形式とは異なり、医師や看護師が患者さんのもとへ直接足を運び、その場で話し合いを行います。特徴的なのは、患者さん自身も議論に参加できる点です。治療方針やケア内容について、医師や看護師から直接説明を受け、疑問点があればその場で質問できます。ウォーキングカンファレンスでは、患者さんは医療従事者と顔を見ながら、自分の病気や治療について話し合うことができます。そのため、治療内容に対する理解を深めることができ、納得した上で治療に臨むことが期待できます。また、自身の意見や希望を伝えることで、より積極的に治療や看護に関わることができます。このような患者中心の姿勢は、患者さんの不安や疑問を軽減するだけでなく、医療従事者との信頼関係構築にも役立ちます。その結果、治療効果の向上や患者さんの満足度向上、ひいては医療の質向上に繋がると期待されています。
検査

血液ガス分析:健康状態を知る窓

血液ガス分析とは、私たちの体内を流れる血液を採取し、その成分を分析することによって、全身の状態、特に呼吸機能や酸塩基平衡の状態を評価する検査です。 私たちの身体は、細胞が正常に機能するために常に酸素を必要とし、活動によって生じた二酸化炭素を体外へ排出する必要があります。血液は、肺から取り込んだ酸素を全身の細胞へ運び、細胞から排出された二酸化炭素を肺へ運搬する役割を担っています。 血液ガス分析では、血液中に含まれる酸素や二酸化炭素の量や圧力、血液のpH(酸性・アルカリ性の度合い)などを測定します。これらの値を調べることで、肺が正常に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出できているか、また体内の酸とアルカリのバランスが適切に保たれているかを評価することができます。 血液ガス分析は、呼吸器疾患の診断や治療効果の判定、集中治療室などでの重症患者の状態把握など、幅広い目的で活用されています。
検査

BMI:肥満度を知るための指標

- BMIとはBMIは、Body Mass Indexの頭文字を取ったもので、日本語では体格指数と訳されます。これは、身長と体重から算出される数値で、あなたの体が身長に対してどの程度の重さであるかを示す指標です。このBMIの値を見ることで、肥満度を客観的に判断することができます。計算式は単純で、体重(キログラム) ÷ 身長(メートル) ÷ 身長(メートル)で求められます。例えば、身長が1.75メートル、体重が70キログラムの方であれば、70 ÷ 1.75 ÷ 1.75 = 22.9となります。BMIは、単に太っているか痩せているかを判断するだけでなく、健康状態の目安として用いられます。一般的に、BMIが18.5未満は「低体重」、18.5以上25未満は「普通体重」、25以上30未満は「肥満度1」、30以上35未満は「肥満度2」、35以上は「肥満度3」と分類され、それぞれに健康上のリスクが異なります。ただし、BMIはあくまで目安であり、体脂肪率や筋肉量などを考慮していないため、人によってはBMIだけでは正確な肥満度を測れない場合もある点は留意が必要です。例えば、アスリートのように筋肉量が多い方は、BMIが高くても肥満と判断できないことがあります。BMIは健康状態を把握する上で参考になる指標の一つです。日頃から自身のBMIを意識し、健康的な生活習慣を心がけましょう。
脳・神経

脊髄を守るクッション、硬膜外腔

私たちの体の中心には、脳から続く神経の束である脊髄が通っています。脊髄は、脳からの指令を体へ伝えたり、体からの感覚を脳へ伝えたりする、生命維持にも関わる重要な役割を担っています。しかし、その役割とは裏腹に、脊髄はとても繊細な組織です。そのため、外部からの衝撃から守るための精巧な仕組みが備わっています。硬膜外腔は、まさにこの保護に貢献する空間なのです。 脊髄は、まず硬膜という丈夫な膜によって包まれています。硬膜は、その名の通り硬い膜で、外部からの衝撃を和らげるクッションの役割を果たします。さらに、硬膜の外側には、脊柱管と呼ばれる骨のトンネルが存在します。脊柱管は、複数の椎骨と呼ばれる骨が連結して構成されており、硬膜をしっかりと覆っています。そして、この硬膜と脊柱管の間にわずかに存在する隙間を、硬膜外腔と呼びます。硬膜外腔は、脂肪組織や血管などが緩く詰まった空間であり、脊髄への衝撃を吸収する役割を担います。 硬膜外腔は、医療現場でも重要な役割を果たします。例えば、出産時の痛みを和らげるための硬膜外麻酔では、この硬膜外腔に麻酔薬を注入します。このように、硬膜外腔は、脊髄を守るだけでなく、医療においても重要な役割を担う空間なのです。
泌尿器

淋病:性感染症を知ろう

- 淋病とは淋病は、淋菌と呼ばれる細菌が原因で引き起こされる、性感染症の一つです。この病気は、性行為によって人にうつります。具体的には、性行為の際に、口、性器、肛門といった粘膜を通じて、淋菌が体内に侵入することで感染します。淋病に感染すると、主に性器に炎症が起こります。男性の場合、尿道に炎症が起こり、排尿時に痛みを感じたり、膿が出るといった症状が現れます。女性の場合、子宮頸管に炎症が起こり、おりものの増加や下腹部の痛みといった症状が現れます。ただし、淋病は症状が出ないまま進行することも少なくありません。症状がないまま放置すると、将来的に不妊症のリスクが高まったり、他の病気を併発する可能性もあります。淋病は、淋菌感染症や淋疾とも呼ばれます。淋病と診断された場合、医師の指示に従って抗生物質を服用することで治療します。淋病は早期に発見し、適切な治療を受ければ完治する病気です。しかし、治療せずに放置すると、自身だけでなく、パートナーにも感染を広げてしまう可能性があります。性感染症を防ぐためには、性行為の際にコンドームを正しく使用することが重要です。また、定期的に性感染症の検査を受けることも大切です。
その他

患者中心の医療:ナラティブ・ベイスト・メディスンの実践

- ナラティブ・ベイスト・メディスンとは ナラティブ・ベイスト・メディスン(NBM)は、患者さんの語りに真摯に耳を傾けることを重視した医療です。従来の医療では、病気の原因や症状、治療法といった科学的な側面ばかりに焦点が当てられてきました。検査値や画像診断の結果といった客観的なデータに基づいて診断や治療方針が決定され、患者さんはまるで「治療を受ける対象」として扱われているように感じることも少なくありませんでした。 しかし、NBMでは、患者さんが病気によってどのような経験をしてきたのか、どのような影響を受けているのか、そしてどんな思いで日々を過ごしているのか、その人自身の物語に目を向けます。患者さんがこれまで歩んできた人生や、その人を取り巻く環境、価値観、そして病気に対する思いや感情を理解することで、医療者はより深く患者さんに共感し、信頼関係を築くことができます。 NBMは、決して科学的な医療を否定するものではありません。検査データやエビデンスに基づいた治療は引き続き重要ですが、NBMは、そこに患者さんの物語という温かみを添えることで、患者さん一人ひとりに寄り添った、より人間的な医療の実現を目指します。NBMは、医療者と患者さんの間に新たなコミュニケーションの形を生み出し、医療そのもののあり方を見つめ直すきっかけを与えてくれるでしょう。
検査

赤血球沈降速度:炎症を測る指標

- 赤血球沈降速度とは赤血球沈降速度(せっけっきゅうちんこうそくど)は、一般的に赤沈や血沈と略され、血液検査の項目の一つです。 この検査では、採血した血液を細いガラス管に入れ、垂直に立てて1時間放置します。そして、その間に赤血球が沈んでいく速さを測定します。 健康な状態では、赤血球はゆっくりと沈んでいきます。しかし、体内で炎症が起きている場合、赤血球は互いにくっつきやすくなり、塊となった状態で速く沈んでいきます。これは、炎症によって血液中のタンパク質のバランスが崩れ、赤血球の表面の電荷が変化することが原因です。赤沈は、炎症の程度を大 crude に把握する検査であり、その値が速いほど、体内で炎症が起きている可能性が高いことを示唆します。 ただし、赤沈だけで、どの部位にどのような炎症が起きているかを特定することはできません。具体的な病気の診断には、他の検査結果や症状と合わせて総合的に判断する必要があります。赤沈は、関節リウマチや血管の炎症など、様々な病気の診断や経過観察に用いられます。 また、原因不明の発熱や炎症症状がある場合にも、有用な検査となります。
脳・神経

運動の影の立役者:錐体外路系

- 錐体外路系とは 私たちは、歩いたり、物を掴んだり、言葉を話したりと、日々、何気なく体を動かしています。こうした動作は、脳からの指令によって筋肉が正確に動くことで成り立っています。 脳から筋肉へ指令を伝える経路は大きく二つに分けられます。一つは、私たちの意識的な運動をコントロールする錐体路系です。もう一つは、今回解説する錐体外路系です。 錐体外路系は、運動の司令塔である大脳皮質から始まり、脳幹にある神経核を経由して、脊髄へと信号を伝えます。この経路は、私たちの意志とは無関係に働く、いわば運動の「自動操縦装置」のような役割を担っています。 例えば、歩く際に、私たちは一つ一つの足の運び方を意識していません。また、姿勢を維持するために、絶えず体のバランスを微調整していることにも気づきません。こうした無意識下の運動は、錐体外路系がコントロールしています。 錐体外路系は、運動の開始や停止、滑らかさ、力の入れ具合などを調整し、錐体路系と協調しながら、スムーズで協調性の取れた運動を可能にしています。 錐体外路系が正常に機能しなくなると、パーキンソン病のように体が硬直したり、動作が遅くなったり、逆に、舞踏病のように意図しない動きが出てしまったりといった運動障害が現れます。
検査

HbA1cでわかる!過去1~2ヶ月の血糖値コントロール

- HbA1cとはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という言葉を耳にしたことはありますか? これは、過去1~2ヶ月間の血糖値の状態を把握するための重要な指標です。 日々の血糖値を測ることも大切ですが、HbA1cを調べることで、より長期的な血糖コントロールの状態を知ることができるのです。私たちの体内にある赤血球には、酸素を全身に運ぶ役割を担うヘモグロビンというタンパク質が存在します。 グルコース(ブドウ糖)は、食事から摂取されエネルギー源となる重要な栄養素ですが、血液中のグルコースがヘモグロビンと結合するとHbA1cが生成されます。 血液中のグルコース値が高い状態が続けば、それだけ多くのグルコースがヘモグロビンと結合するため、HbA1cの値も高くなります。 HbA1cは、過去1~2ヶ月間の血糖値を反映して変化するため、日々の血糖値の変動に左右されにくく、安定した指標として糖尿病の診断や治療効果の判定に広く用いられています。
看護技術

心地よい眠りの準備: イブニングケアのススメ

- イブニングケアで心地よい眠りを一日の終わりに迎える夜は、ただ眠るための時間ではありません。翌朝を気持ちよくスタートさせるために、心身をゆったりと休ませ、質の高い睡眠へと導くための準備をする時間とも言えます。この、夕方から寝るまでの時間を利用したケアを「イブニングケア」と呼びます。日中は仕事や家事、勉強など慌ただしく過ごしていても、イブニングケアの時間を持つことで、活動モードから休息モードへと自然に切り替えることができます。夜のゆったりとした時間を有効活用し、自分自身をいたわることで、心身の緊張を解きほぐし、心地よい眠りへと誘うことができるのです。具体的には、ぬるめのお風呂にゆっくりと浸かったり、好きな香りのアロマを焚いたり、リラックス効果のあるハーブティーを味わったりなど、方法は様々です。また、寝る前のスマホやパソコンの使用を控えたり、部屋の照明を暖色系にしたりすることも、質の高い睡眠を得るための準備として効果的です。イブニングケアは、特別なことをするのではなく、日々の生活の中に取り入れやすい、自分にとって心地よい方法で行うことが大切です。毎日の習慣にすることで、睡眠の質が向上するだけでなく、心身のバランスを整え、より健康的な生活を送ることに繋がります。
呼吸器

鳥インフルエンザとは

鳥インフルエンザは、鳥の間で流行するインフルエンザウイルスが原因で発生する感染症です。 このウイルスは、鶏やアヒルといった家禽に感染することが多く、養鶏場などで集団感染を引き起こすこともあります。また、渡り鳥など野生の鳥もウイルスを持っていることがあり、鳥インフルエンザの拡散に繋がると懸念されています。 鳥インフルエンザは、感染した鳥の糞便などに触れたり、ウイルスを含む埃を吸い込むことで人に感染することがあります。ただし、人への感染は稀であり、鳥から直接人に感染するケースは多くありません。 しかしながら、人への感染が確認された場合、重症化しやすいという特徴があります。肺炎や呼吸困難などを引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。そのため、鳥インフルエンザは人にとっても軽視できない感染症と言えるでしょう。 鳥インフルエンザの予防には、鳥との接触を避ける、鳥の糞便などに触れた場合はよく手を洗う、といった対策が有効です。また、養鶏場などでは、鳥舎の衛生管理を徹底することが重要です。
血液

骨髄検査:血液疾患の診断に欠かせない検査

- 骨髄検査とは骨髄検査は、血液の病気や異常の原因を調べるために行われる検査です。血液は、体中に酸素を運んだり、細菌やウイルスから体を守ったりするなど、生きていく上で欠かせない役割を担っています。この血液を作り出しているのが、骨の中心部にある骨髄と呼ばれる組織です。骨髄では、赤血球、白血球、血小板といった様々な血液細胞が作られていますが、骨髄の病気や異常によって血液細胞が正常に作られなくなると、貧血や感染症、出血傾向などの症状が現れることがあります。骨髄検査では、骨髄液と呼ばれる骨髄に含まれる液体や、骨髄組織そのものを採取して、顕微鏡で観察したり、染色して細胞の種類や数を調べたりします。これらの検査結果から、骨髄の状態や血液細胞の産生能力を評価することで、血液疾患の診断や治療方針の決定に役立てることができます。骨髄検査は、一般的には腰の骨に針を刺して行われます。検査中は局所麻酔を行うため、痛みはほとんど感じませんが、検査後には少し痛むことがあります。骨髄検査は、血液疾患の診断において非常に重要な検査ですが、医師は患者さんの症状や他の検査結果などを総合的に判断した上で、検査の必要性を判断します。
脳・神経

神経毒:目に見えない脅威

- 神経毒とは神経毒は、私たちの体の中で、脳から指令を伝えたり、感じたり、体を動かしたりするために働く、神経系と呼ばれる仕組みを攻撃する物質のことです。 普段は目に見えないほど小さな物質ですが、体内に入ると、神経細胞という神経系の最小単位に直接作用し、体に様々な異常を引き起こします。神経毒は、大きく分けて二つの作用機序を持っています。一つは、神経細胞同士の情報伝達を阻害する作用です。私たちの脳からの指令は、電気信号として神経細胞の中を伝わっていきます。そして、神経細胞と神経細胞の間にあるシナプスと呼ばれる隙間を、神経伝達物質と呼ばれる化学物質が渡ることで、次の神経細胞へと情報が伝達されていきます。神経毒の中には、この神経伝達物質の放出を妨げたり、神経伝達物質を受け取る受容体を塞いでしまったりするものがあります。その結果、脳からの指令が正しく伝わらなくなり、体の麻痺や呼吸困難などの症状が現れます。もう一つは、神経細胞を過剰に興奮させる作用です。神経細胞は、外部からの刺激に応じて、適切な量の神経伝達物質を放出することで、情報の伝達をコントロールしています。しかし、神経毒の中には、神経細胞を必要以上に興奮させ、過剰な量の神経伝達物質を放出させてしまうものがあります。その結果、筋肉の痙攣やけいれん、ひどい場合には意識障害などを引き起こす可能性があります。このように、神経毒は、神経系に直接作用することで、私たちの体や命に大きな危険をもたらす可能性があります。
その他

患者中心の医療を実現する:問題志向型システムとは?

これまでの医療は、医師の視点や病気自体に重点が置かれがちでした。しかし、医療を取り巻く環境や人々の価値観が変化する中で、患者一人ひとりの状況やニーズを大切にした医療の必要性が高まっています。 従来の医療では、医師の経験や知識に基づいて診断や治療方針が決められることが多く、患者が抱える背景や事情が十分に考慮されないこともありました。 例えば、同じ病気であっても、年齢や生活習慣、仕事、家族構成などが異なれば、治療に対する希望や不安も人それぞれです。 病気の症状だけを見るのではなく、患者一人ひとりの生活や背景、価値観を理解し、その人に最適な医療を提供することが重要になっています。 このような個々の患者に寄り添った医療を実現するために、問題志向型システムは重要な考え方と言えるでしょう。
検査

腫瘍マーカー:がん診断の羅針盤

- 腫瘍マーカーとは 腫瘍マーカーとは、がん細胞が作り出す特殊な物質、あるいはがん細胞の影響を受けて体内で作られる物質のことです。 これらの物質は、血液や尿、組織などの中にごく微量ながら存在しており、その量を測定することで、がんの診断や治療効果の判定などに役立てることができます。 例えるならば、池に鯉が住み着くと、池の水質が変化する様子に似ています。普段は澄んでいる池に鯉が住み始めると、鯉の排泄物などによって水が濁ったり、特定の成分が増えたり減ったりするでしょう。 私たちの体も、がん細胞という“異物”が存在することで、内部環境が変化し、特定の物質が増減するのです。この変化を捉えるのが腫瘍マーカー検査です。 ただし、腫瘍マーカーは、がん細胞だけが作り出すとは限りません。正常な細胞からもごく微量ながら分泌されるものもあり、炎症や臓器の機能障害など、がん以外の原因でも数値が上昇することがあります。 そのため、腫瘍マーカー検査だけで、がんの確定診断を行うことはできません。あくまでも、がんの可能性を評価する指標の一つとして、画像検査や病理検査などと組み合わせて総合的に判断されます。
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