総合健康ガイド

歯科・口腔

顔の側面に位置する最大の唾液腺:耳下腺

- 耳下腺の位置と形状顔の両側、耳の下あたりに位置する耳下腺は、唾液を作り出す器官である唾液腺の中でも最も大きいものです。その名の通り、耳の下方に位置しており、より詳しく見ると、顎の後ろから耳の前方にかけて広がっています。形はちょうど三角形に似ており、普段は皮膚の下に隠れています。耳下腺は、ちょうど耳たぶの下から顎の角にかけて、幅広く位置しています。そして、その前端は咬筋という、ものを噛むときに使う筋肉の上にまで達しています。耳下腺は、このように顔の側面に位置し、唾液を分泌する重要な役割を担っています。
呼吸器

CO2ナルコーシス:酸素過剰の落とし穴

- CO2ナルコーシスとはCO2ナルコーシスは、血液中の二酸化炭素濃度が異常に高くなることで、意識がもうろうとしたり、思考力が低下したりする状態を指します。人間の呼吸は、通常、血液中の酸素と二酸化炭素の濃度に応じて無意識に調整されています。酸素が不足したり、二酸化炭素が過剰になると、脳は呼吸中枢に指令を送り、呼吸の速さや深さを調整して、血液中のガス濃度を一定に保とうとします。しかし、肺の病気や呼吸筋の麻痺、閉鎖空間での酸素不足など、様々な原因によってこの呼吸による調整機能がうまく働かなくなると、血液中の二酸化炭素濃度が上昇し始めます。すると、二酸化炭素は血液に溶け込んで酸性を示すようになり、脳を含む全身の細胞の働きが阻害されてしまいます。これが、CO2ナルコーシスの状態です。初期症状としては、頭痛やめまい、吐き気などが現れ、さらに症状が進むと、意識がもうろうとしたり、判断力が鈍ったり、筋肉の痙攣や昏睡状態に陥ることがあります。CO2ナルコーシスは、適切な治療を行わなければ命に関わる危険な状態です。治療には、酸素投与や人工呼吸器による呼吸管理、原因となっている病気の治療などが行われます。
外科

心臓手術の立役者:人工心肺装置

- 人工心肺装置とは心臓は、私たちの体全体に血液を送り届ける重要な役割を担っています。まるで休むことなく動き続けるポンプのようです。しかし、心臓に病気や異常が見つかり手術が必要になった場合、手術を行うために一時的に心臓の動きを止める必要があります。心臓が止まると、血液を送り出すことができなくなり、体中に酸素が行き渡らなくなってしまいます。そこで活躍するのが、「人工心肺装置」です。人工心肺装置は、その名の通り「人工的に心臓と肺の働きを作り出す装置」です。心臓手術中に心臓が停止している間、人工心肺装置が心臓と肺の代わりに血液に酸素を送り込み、全身に循環させる役割を担います。具体的には、心臓が送り出すはずの血液を体外に取り出し、人工心肺装置内のポンプで酸素を溶かし込んだ血液を再び体内に戻します。この一連の働きによって、心臓が停止している間も、脳や他の臓器に酸素が供給され続けるのです。人工心肺装置は、心臓手術において欠かせない存在であり、心臓外科手術の安全性を飛躍的に高めました。心臓手術という大きな負担がかかる手術でも、患者さんが安心して手術を受けられるよう、医療技術は常に進歩し続けています。

解熱鎮痛剤の代表格:アスピリン

アスピリンは、正式名称をアセチルサリチル酸といい、鎮痛や解熱、炎症を抑える効果を持つ薬です。歴史は古く、19世紀後半に開発されて以来、世界中で広く利用されてきました。 アスピリンは、体内で作られるプロスタグランジンという物質の生成を抑えることで効果を発揮します。プロスタグランジンは、痛みや発熱、炎症を引き起こす物質です。アスピリンはこのプロスタグランジンの生成を抑えることで、痛みや発熱を和らげ、炎症を鎮めるのです。 アスピリンは、頭痛、歯痛、生理痛、筋肉痛、関節痛など、様々な痛みに効果があります。また、風邪やインフルエンザなどの発熱にも効果があります。 しかし、アスピリンは胃腸障害などの副作用を引き起こす可能性もあります。特に、空腹時に服用すると胃を痛めることがあります。また、妊娠中の方や胃潰瘍などがある方は、服用前に医師に相談する必要があります。
産婦人科

一度は妊娠経験があっても?続発性不妊症について

- 続発性不妊症とは 「続発性不妊症」とは、過去に妊娠や出産を経験していながらも、その後は妊娠に至らない状態のことを指します。 例えば、「一人目は比較的スムーズに授かったのに、二人目がなかなかできない」、「一度流産を経験してから、妊娠しなくなった」というような場合が、続発性不妊症に当てはまります。 妊娠・出産経験があることから、周囲からは「またそのうちできるでしょ」「一人いるんだから大丈夫」などと思われがちで、悩みを打ち明けにくいという側面も持ち合わせています。 実は、不妊治療を受けている方の約半数は、この続発性不妊症に該当すると言われています。決して珍しいものではなく、多くの方が抱える悩みの一つなのです。
歯科・口腔

意外と知らない?顎の下にある唾液腺「顎下腺」

私たちの口の中には、唾液を分泌する器官である唾液腺が存在します。唾液腺は、大きく分けて3つと、それ以外にも小さなものが多数存在します。耳の下あたりにあるのが耳下腺、顎の下にあるのが顎下腺、舌の下にあるのが舌下腺です。その他に、口唇、頬粘膜、舌などにも小さな唾液腺は数多く存在します。 唾液腺から分泌される唾液は、食事の際に食べ物を湿らせて飲み込みやすくしたり、消化酵素によって食べ物の消化を助けたりするなど、重要な役割を担っています。また、口の中を清潔に保つことで、細菌の増殖を抑え、口臭や虫歯などの予防にも役立っています。さらに、食べ物の味を感じやすくする役割も担っており、私たちが食事を楽しむためにも欠かせないものです。このように、唾液腺と唾液は、健康な生活を送る上で非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
呼吸器

肺炎:その症状と予防法

- 肺炎とは?肺炎とは、肺に炎症が起こり、様々な症状を引き起こす病気です。肺の中の、空気を取り込んで血液に酸素を送る「肺胞」と呼ばれる小さな袋に、細菌やウイルスなどの病原体が侵入し、炎症を起こすことで発症します。肺炎は、誰にでも発症する可能性のある身近な病気ですが、決して軽視することはできません。特に、乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ方などは、重症化しやすい傾向があります。肺炎が重症化すると、呼吸困難に陥り、入院が必要となるケースもあります。最悪の場合、命に関わる危険性もあるため、注意が必要です。肺炎の原因は様々ですが、大きく分けると、細菌、ウイルス、真菌などが挙げられます。中でも、肺炎球菌という細菌による肺炎は多く、高齢者の方に多く見られます。また、インフルエンザなどのウイルス感染をきっかけに、細菌性の肺炎を併発することもあります。肺炎の予防には、普段から手洗いやうがいを徹底し、外出時にはマスクを着用するなど、感染症対策を心がけることが大切です。また、高齢者や基礎疾患を持つ方は、肺炎球菌ワクチンなどの予防接種を受けることも有効な手段です。肺炎は、早期発見・早期治療が重要です。咳や痰、発熱などの症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
産婦人科

不妊治療の選択肢:排卵誘発法

- 排卵誘発法とは排卵誘発法とは、女性の体内で卵巣から卵子が飛び出す、排卵と呼ばれる現象を促す治療法です。通常、自然な排卵のサイクルに問題がある、あるいは排卵が全く見られないために妊娠が難しい女性に対して行われます。排卵誘発法には、いくつかの方法があります。 飲み薬として服用するタイプの薬や、注射によって投与するタイプの薬など、患者さんの状態に合わせて適切な方法が選択されます。 これらの薬は、脳の下垂体に働きかけてホルモンの分泌を促し、卵巣での卵胞の成長と成熟、そして排卵を誘発します。排卵誘発法は、単独で行われる場合もあれば、体外受精などの高度生殖医療と組み合わせて行われる場合もあります。体外受精の場合、排卵誘発法によって複数の卵胞を育てて成熟卵子を採取し、体外で受精させた後、子宮に戻します。排卵誘発法は、多くの場合有効な治療法となりますが、多胎妊娠のリスクや、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの副作用が起こる可能性も考慮しなければなりません。治療を受ける際には、医師からこれらのリスクや副作用、治療期間、費用などについて十分な説明を受け、納得した上で治療を開始することが重要です。
検査

体の奥を照らす光:ファイバースコープ

私たちは自分の体の中で何が起こっているのか、普段は意識することもなく過ごしています。しかし、体の不調を感じた時、医師は体の内側を詳しく調べる必要があります。そのために用いられる道具の一つに、ファイバースコープがあります。 ファイバースコープは、まるで細い管のような形をした医療機器です。この管は柔軟性があり、体の表面だけでなく、口や鼻、あるいは小さな穴から挿入することで、体の奥深くまで到達することができます。 医師は、ファイバースコープの先端に付けられた小さなカメラを通して、臓器や消化管などの様子を、まるでテレビを見ているかのように観察することができます。さらに、ファイバースコープには、組織を採取するための小さな鉗子や、治療のためのレーザー光線などを送るための管も備わっており、観察だけでなく、治療にも役立てることができます。 ファイバースコープを用いることで、これまで手術をしなければわからなかった体の内部の状態を、患者への負担を少なく調べることができるようになりました。これは、医療技術の大きな進歩と言えるでしょう。
歯科・口腔

意外と知らない!舌下腺の役割

皆さんは、「唾液腺」と聞いて、どんなものを思い浮かべるでしょうか?食べ物を口に入れた時に、耳の下あたりが少し痛くなる経験をしたことがある人は、それが「耳下腺」という唾液腺であることを知っているかもしれません。 実は、私たちの口の中には、唾液を分泌する大きな臓器である「大唾液腺」が3つも存在しています。食べ物をスムーズに飲み込むのを助けるだけでなく、消化を助けたり、お口の中を清潔に保ったり、虫歯を防いだりと、唾液は私たちの健康にとって、とても重要な役割を担っています。 今回は、3つある大唾液腺のうちの一つ、「舌下腺」について詳しく解説していきます。舌下腺は、他の2つの唾液腺と比べて少し特殊な性質を持っています。一体どんな働きをするのか、どこに位置するのか、これから一緒に見ていきましょう。
循環器

命に関わる大動脈解離:その静かな脅威

- 大動脈解離とは私たちの体には、全身に血液を送り出すために休むことなく働き続けている心臓という臓器があります。そして、心臓から送り出された血液を全身に届ける役割を担っているのが動脈と呼ばれる血管です。その中でも特に重要なのが、心臓から直接血液を受け取り、全身へと送り出す役割を担う「大動脈」です。大動脈解離とは、この大動脈の壁の一部が内側から裂けてしまう病気です。大動脈の壁は、内膜、中膜、外膜という三層構造になっています。何らかの原因で内膜に亀裂が生じると、心臓から送り出された血液がその亀裂に入り込み、本来の血液の通り道とは別の空間を作り出してしまいます。この新しくできた空間を「偽腔」、本来の血液の通り道を「真腔」と呼びます。大動脈解離が起こると、胸や背中に激しい痛みを感じることが多く、まるで引き裂かれるような激痛に襲われます。また、脈拍の異常や血圧の低下、呼吸困難、意識障害などの症状が現れることもあります。大動脈解離は、放置すると破裂してしまう危険性があり、命に関わる事態になりかねません。そのため、早期発見と迅速な治療が非常に重要となります。
呼吸器

静かなる脅威:間質性肺炎を知る

- 呼吸の陰に潜む病気「間質性肺炎」。あまり聞き慣れない病名かもしれません。しかし、近年、患者数が増加傾向にある病気の一つです。私たちが、当たり前のように行っている呼吸。その陰で、肺では、体中に酸素を送り込むために、休むことなく働いています。 肺の中に、「肺胞」と呼ばれる小さな袋がたくさんあり、ここで、血液中に酸素を取り込み、代わりに二酸化炭素を排出するという、ガス交換が行われています。「間質性肺炎」は、この肺胞の周囲にある「間質」と呼ばれる組織に炎症が起こる病気です。間質は、肺胞を支え、その形を保つ役割を担っています。この間質に炎症が起こると、肺が硬くなり、酸素を十分に取り込めなくなります。初期症状としては、「息切れ」や「乾いた咳」がみられます。しかし、これらの症状は、他の病気でもみられることがあり、また、初期の段階では自覚症状がほとんどない場合もあるため、発見が遅れてしまうこともあります。間質性肺炎の原因は、様々です。喫煙、ハウスダスト、カビ、ウイルス感染、薬の副作用などが挙げられますが、原因が特定できない場合もあります。間質性肺炎は、放置すると、肺の線維化が進み、呼吸不全に至ることもあります。早期発見、早期治療が重要となる病気です。
看護技術

医療現場で使われるマーゲンチューブ:その役割と種類

- マーゲンチューブとはマーゲンチューブは、鼻腔から食道を通って胃まで挿入する、柔らかな材質で作られた管のことです。この管は、胃管、胃チューブ、胃ゾンデ、マーゲンゾンデ、NGチューブなど、様々な呼ばれ方をします。医療現場では、記録を簡略化するため、MチューブやMaチューブと表記されることもあります。マーゲンチューブは、口から食事を摂ることが困難な患者さんにとって、非常に重要な医療機器です。例えば、意識障害や嚥下障害などで、口から安全に食事を摂ることができない場合に、このチューブを通して栄養剤を直接胃に送り込みます。また、手術後や病気の影響で食欲不振に陥っている患者さんにも、マーゲンチューブを用いて栄養を補給することがあります。さらに、マーゲンチューブは栄養補給以外にも、投薬や胃の内容物の排出、胃の検査など、様々な目的で使用されます。例えば、錠剤を飲み込むことが難しい患者さんには、薬を溶かしたものをマーゲンチューブから投与します。また、胃の中に出血や毒物が認められる場合には、チューブを通して内容物を吸引し排出します。このように、マーゲンチューブは、患者さんの生命維持や治療の促進に大きく貢献する医療機器と言えるでしょう。
歯科・口腔

診察時の安全確保:指甲

医師は、患者さんの訴えに基づき、病気の原因を探るため様々な診察を行います。その中でも、口の中や喉の奥を観察する口腔咽頭診察は、扁桃腺の腫れや炎症など、様々な病気を診断する上で欠かせません。 しかし、口腔咽頭診察は、医師にとってあるリスクを伴う診察としても知られています。診察を行う際、医師は患者さんの口の中に指を入れて、舌の付け根あたりを触診します。この時、患者さんが急に口を閉じてしまうと、医師の指を噛んでしまう可能性があるのです。特に、幼い子供の場合、診察に対する恐怖心から、反射的に口を閉じてしまうことがあります。また、意識がはっきりしない患者さんの場合も、自分の意思で口を開け続けることが難しいため、医師は注意深く診察を進める必要があります。 このようなリスクを避けるため、近年では、金属製のへらを用いて舌を押さえる方法が一般的になりつつあります。また、内視鏡を用いることで、医師が指を口の中に入れることなく、より安全に口腔咽頭を診察できるようになりました。しかし、小さな子供や嘔吐反射の強い患者さんの場合、内視鏡を用いた診察が難しいケースもあるため、医師は患者さんの状態に合わせて、適切な診察方法を選択する必要があります。
循環器

動脈硬化の正体:アテロームとは?

- 静かなる脅威アテロームアテロームとは、血管の内壁に脂肪などが溜まっていく病気です。まるで静かに忍び寄る泥棒のように、私たちの体、特に心臓から血液を送り出すための大切な管である動脈に影響を及ぼします。最初はごく小さな変化に過ぎません。血管の内側にコレステロールなどの物質が少しづつ溜まっていきます。これがアテロームと呼ばれるプラークと呼ばれる塊です。この段階では自覚症状はほとんどありません。しかし、時間の経過とともにプラークは成長し、血管を狭くしていきます。血管が狭くなると、血液の流れが悪くなり、様々な体の場所に影響が出始めます。例えば、心臓に栄養を運ぶ血管が狭くなると、胸の痛みや圧迫感(狭心症)を引き起こします。さらに悪化すると、プラークが破裂し、血管が完全に詰まってしまうことがあります。これが心筋梗塞で、命に関わる危険な状態です。アテロームは自覚症状が出にくいため、気づかないうちに進行していることが多く、「静かなる脅威」とも呼ばれています。しかし、食生活の改善や運動習慣など、生活習慣の見直しによって予防することが可能です。健康な血管を維持するために、日頃から自分の体に気を配ることが大切です。
産婦人科

不妊症を理解する:原因、診断、治療法

不妊症とは、妊娠を希望するカップルが、一定期間、避妊をせずに性交渉を行っても妊娠に至らない状態のことを指します。かつては2年間とされていましたが、近年では1年間とされています。これは、妊娠を希望するカップルにとって、大きな不安やストレスをもたらす問題です。 不妊症は決して珍しい問題ではなく、多くのカップルが直面する可能性があります。厚生労働省の調査によると、日本では現在、カップルの約6組に1組が不妊の悩みを抱えていると言われています。晩婚化やライフスタイルの変化などにより、近年ではその数はさらに増加傾向にあります。 不妊の原因は、女性側に原因がある場合、男性側に原因がある場合、そして、両方に原因がある場合、さらに原因不明の場合と様々です。女性側の原因としては、排卵障害、卵管因子、子宮因子などが挙げられます。男性側の原因としては、精子の数や運動量の低下、精路通過障害などがあります。 医学の進歩により、不妊症の原因解明や治療法も発展してきています。不妊治療には、タイミング療法、人工授精、体外受精など様々な方法があります。近年では、患者の状態に合わせたより適切な治療法を選択できるようになってきており、妊娠の可能性も高まってきています。 不妊症は、デリケートな問題であり、一人で抱え込みがちです。しかし、一人で悩まずに、専門医に相談し、適切な検査や治療を受けることが重要です。
呼吸器

肺癌:脅威と闘う

- 肺癌の定義肺癌とは、肺の組織に悪性の腫瘍が発生する病気です。腫瘍は、細胞が異常な増殖を繰り返し、周囲の組織に浸潤したり、他の臓器に転移したりすることで、身体に様々な悪影響を及ぼします。肺は、空気中から酸素を取り込み、体内の二酸化炭素を排出する、人間が生きていく上で欠かせない呼吸を担う臓器です。肺癌は、気管支や肺胞といった、呼吸に直接関わる重要な部分に発生しやすいという特徴があります。これらの組織に腫瘍ができると、空気の通り道が狭くなったり、肺の組織が正常に機能しなくなったりするため、様々な呼吸器症状が現れます。例えば、呼吸が苦しくなったり、咳が止まらなくなったり、痰に血が混ざったりすることがあります。肺癌は、早期発見が難しい病気としても知られています。初期の段階では自覚症状が現れにくく、健康診断などで偶然発見されることも少なくありません。そのため、早期発見・早期治療が重要とされています。定期的な健康診断の受診や、少しでも身体に異変を感じたら、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
呼吸器

生命を支える人工呼吸器:レスピレーター

呼吸を助ける機械というと、あまり馴染みがない方も多いかもしれません。しかし、人工呼吸器と呼ばれるこの機械は、医療現場において、人の命を守る上で欠かせない、とても重要な役割を担っています。 人工呼吸器は、事故や病気など、様々な原因で自力で息をすることが困難になった患者さんの呼吸を、機械の力で補助する医療機器です。肺の機能が低下し、十分な酸素を取り込めなくなってしまった場合でも、人工呼吸器を使うことで、患者さんの体内に酸素を送り込み、二酸化炭素を排出することができます。 人工呼吸器は、患者さんの状態に合わせて、呼吸の回数や一回ごとの空気の量などを細かく調整することができます。また、患者さんが自力で呼吸できるようになるまで、一時的に呼吸をサポートするだけでなく、長期的に呼吸の補助が必要な患者さんにとっても、生活の質を維持するために欠かせない存在となっています。 人工呼吸器は、医療現場において、まさに「命を繋ぐ」ための重要な役割を担っていると言えるでしょう。
耳鼻科

聴力検査に不可欠な防音室

- 防音室とは防音室とは、外部からの音を遮断し、内部の音も外部に漏らさないように設計された特別な部屋のことを指します。この部屋は、周囲の音の影響を最小限に抑える必要がある様々な場面で活用されています。例えば、病院では、正確な聴力測定を行うために防音室が欠かせません。周囲の騒音を遮断することで、微かな音も聞き取れる環境を実現し、聴力の状態を正しく把握することができます。音楽業界では、楽器の演奏や歌の録音に防音室が利用されます。外部の騒音を遮断することで、クリアでノイズのない音を録音することが可能となります。また、周囲に音が漏れる心配もないため、演奏者は時間や周囲を気にせず、思う存分練習に集中することができます。映画やテレビ番組の制作現場でも、防音室は重要な役割を担っています。ナレーションや吹き替えを行う際、外部の音を遮断し、クリアな音声を録音するために防音室が使われています。このように、防音室は、音に敏感な作業や、周囲に音を漏らしたくない場合に、非常に有効な空間と言えるでしょう。
循環器

医療現場で使われる「 tachyる 」って?

病院などの医療現場では、医師や看護師といった医療従事者たちが、患者さんの症状や治療方針について、迅速かつ正確に情報を共有する必要があります。 そのため、医療現場では独自の言葉遣いが生まれており、専門用語や略語が日常的に飛び交っています。これは、医療従事者同士がスムーズにコミュニケーションをとり、業務を効率的に進めるために欠かせないものです。 こうした医療現場独特の言葉遣いは、時に「 jargon (ジャーゴン)」と呼ばれます。ジャーゴンは、一見すると何の言葉か理解しづらい専門用語や略語、隠語などを含みます。医療従事者以外には馴染みのない言葉が多く、患者さんにとっては分かりにくいと感じることもあるかもしれません。 例えば、「 tachyる(タキる)」という言葉は、医療現場で使われるジャーゴンの一例です。これは、「 tachycardia(頻脈)」という医学用語を短縮したもので、心臓の鼓動が異常に速くなっている状態を指します。このように、医療現場では、専門用語の一部を短縮したり、言い換えたりすることで、コミュニケーションを簡略化し、迅速な情報伝達を可能にしているのです。 しかし、ジャーゴンの使用は、患者さんとの間にコミュニケーションギャップを生む可能性もはらんでいます。そのため、医療従事者は、患者さんに対しては分かりやすい言葉で説明するよう心がける必要があります。患者さんの方も、もし医療従事者の言葉が理解できない場合は、遠慮なく質問することが大切です。
産婦人科

原発性不妊症とは?

妊娠できない状態が続くと、不妊症と診断されますが、その中でも、一度も妊娠を経験したことがない場合を原発性不妊症と呼びます。これは、性交渉の経験があり、かつ避妊をしていないにもかかわらず、一定期間以上妊娠に至らない状況を指します。 では、具体的にどれくらいの期間、妊娠しなければ原発性不妊症と診断されるのでしょうか。一般的には、夫婦生活を1年以上継続していても妊娠に至らない場合に、不妊症の検査を受けることが推奨されています。これは、健康な男女が性交渉を持った場合、1年間で約8割が妊娠に至るとされているためです。しかし、年齢やその他の要因によって、検査を始める時期は個別に対応する必要があります。例えば、女性の年齢が35歳以上の場合や、生理不順、過去の病気など、妊娠しにくい要素を持っている場合は、1年待たずに早めに医療機関を受診することが推奨されます。
呼吸器

気胸治療の必需品、トロッカーとは?

- トロッカーの概要トロッカーとは、肺を包む胸膜腔と呼ばれる空間に挿入する管のことです。この管を通して、本来はわずかな空気しか存在しない胸膜腔に溜まった空気や液体、膿などを体外に排出することができます。トロッカーは、主に気胸、胸水、膿胸といった病気の治療において重要な役割を担います。* -気胸-は、肺に穴が開くことで空気が胸膜腔に漏れ出てしまう病気です。* -胸水-は、胸膜腔に水が溜まってしまう病気で、心臓病や腎臓病などが原因で起こることがあります。* -膿胸-は、胸膜腔に細菌感染によって膿が溜まってしまう病気です。これらの病気では、胸膜腔に溜まった空気や液体、膿によって肺が圧迫され、呼吸困難を引き起こす可能性があります。トロッカーを挿入してこれらを排出することで、肺にかかる圧迫を軽減し、呼吸を楽にする効果が期待できます。トロッカーには、細いものから太いものまで様々な種類があります。これは、治療内容や患者さんの状態に合わせて適切な太さのものを選択する必要があるためです。例えば、胸水の排出には比較的細いトロッカーを用いることが多いですが、膿胸のように粘性の高い膿を排出する場合は、太いトロッカーを使用することがあります。トロッカーの挿入は、患者さんの負担を軽減するために、通常は局所麻酔を用いて行われます。医師は、患者さんの症状や画像検査の結果などを総合的に判断し、適切な太さと長さのトロッカーを選択し、安全に挿入します。
その他

頭蓋骨の蝶: 蝶形骨

頭蓋骨は、脳という人体にとって最も重要な器官を保護する、まさに砦のような役割を担っています。そして、その頭蓋骨の中心に位置し、複雑な構造を持つ骨が蝶形骨です。 蝶形骨は、まるで蝶が羽を広げたような形状からその名が付けられました。頭蓋骨の底から側面、そして顔面の一部まで、広範囲に渡って関与しており、その影響力の大きさから、頭蓋骨の要と呼ぶにふさわしい存在です。多くの骨と複雑に組み合わさりながら、頭蓋骨全体の強度を保つ役割を担うだけでなく、脳を支える土台としても機能しています。 蝶形骨は、大きく分けて体、小翼、大翼、翼状突起の4つの部分から構成されています。中央に位置する体は、立方体のような形状をしており、内部には副鼻腔の一つである蝶形骨洞が存在します。体の上面には、脳下垂体が収まる窪みであるトルコ鞍と呼ばれる重要な構造があります。 蝶形骨は、視神経や動眼神経など、眼球運動や視覚に関わる重要な神経が通る孔や、血管が通る溝など、多くの重要な構造を持っています。そのため、蝶形骨の損傷は、視力障害や眼球運動障害、ホルモン異常など、深刻な症状を引き起こす可能性があります。 このように、蝶形骨は、頭蓋骨の中心に位置し、その複雑な構造と多くの重要な機能から、まさに頭蓋骨の要と言えるでしょう。
呼吸器

意外と知らない?肺虚脱「気胸」について

- 気胸とは気胸は、肺を取り囲むように存在する胸腔と呼ばれる空間に空気が入り込むことで、肺が正常に膨らむことができなくなる病気です。通常、呼吸をする際には、肺は空気を取り込むことで膨らみ、息を吐き出すことで縮むという運動を繰り返しています。しかし、気胸になると、肺の外側から圧力がかかるため、肺は十分に膨らむことができなくなります。その結果、呼吸をする際に苦しさを感じたり、胸に痛みを感じたりするようになります。気胸の原因は様々ですが、大きく分けて自然気胸と外傷性気胸の二つに分類されます。自然気胸は、肺に小さな穴が開いてしまうことによって発生し、特に痩せ型の若い男性に多く見られます。一方、外傷性気胸は、肋骨骨折や胸部への衝撃など、外部からの強い力によって肺に穴が開いてしまうことで発生します。気胸の症状は、空気の量や肺の圧迫具合によって異なります。軽度の場合は、自覚症状がほとんどない場合もありますが、重症化すると、呼吸困難や胸の激痛、さらには意識消失に至ることもあります。気胸は、適切な治療を行えば治癒する病気です。治療法としては、安静や酸素吸入、胸腔ドレナージなどがあります。症状が軽い場合は、安静にしていれば自然に治癒することもありますが、重症の場合は、入院して集中的な治療が必要となることもあります。
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