総合健康ガイド

循環器

冠状動脈疾患集中治療室:心臓を守る最前線

心臓疾患専門の集中治療室(CCU)は、心臓に疾患を持つ患者さんの命を守るための重要な役割を担っています。ここでは、冠動脈疾患などの深刻な心臓病を抱えた患者さんに対し、集中的な治療と注意深いケアが提供されます。 CCUは、病院の中でも特に重要な部署の一つです。心臓疾患の専門医である循環器内科医をはじめ、高度なトレーニングを受けた看護師、薬の専門家である薬剤師、医療機器の操作に精通した臨床工学技士など、多くの医療従事者がチームを組んで24時間体制で患者さんの状態を監視し、必要な医療を提供しています。 CCUでは、心電図や血圧、酸素飽和度などの生体情報を常時監視し、患者さんの状態の変化に迅速に対応できる体制が整えられています。また、人工呼吸器や心臓カテーテルなどの高度な医療機器も備えられており、必要があればすぐに使用できる状態になっています。 CCUは、心臓病の緊急事態に対応するだけでなく、手術後や重い心臓発作後の患者さんの回復を助ける役割も担っています。 CCUでの集中的な治療とケアは、患者さんの命を救い、健康を取り戻すために不可欠なのです。
心の問題

アルコール依存症からの回復を支える会:AAとは

- アルコール依存症という病気アルコール依存症は、お酒を飲む量や飲む時間について、自分の意思でコントロールすることができなくなってしまう病気です。たびたびお酒を飲み過ぎてしまったり、飲酒したいという強い欲求に負けてしまったり、周囲から指摘されても飲酒量を減らすことができない状態を指します。これは、決して個人の性格の弱さや意思の問題が原因ではありません。アルコールを摂取し続けることで、脳の機能や身体の代謝が変化し、お酒なしでは正常な状態を保てなくなってしまうのです。アルコール依存症が進行すると、飲酒を続けるために仕事や家庭、人間関係を犠牲にしてしまうことがあります。また、飲酒によって脳や肝臓、胃などの臓器に damage が蓄積し、様々な病気を引き起こすリスクも高まります。アルコール依存症は、適切な治療を受けることで回復できる病気です。 医療機関では、患者さん一人ひとりの症状や状況に合わせて、薬物療法やカウンセリング、自助グループへの参加などを組み合わせた治療が行われます。もし、ご自身や周囲の人がアルコール依存症で悩んでいる場合は、早めに医療機関に相談することをお勧めします。
小児科

りんご病とは?

りんご病は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスが原因で起こる感染症で、主に幼児や小児の間で流行してみられます。医学的には伝染性紅斑と呼ばれています。 この病気は、発熱や特徴的な赤い発疹が現れることで知られており、特に両頬が赤くなる様子から「りんご病」という通称で広く知られています。赤い発疹は、最初は顔に現れ、その後、腕や体、足などにも広がっていくことがあります。発疹は、網目状に見えることもあり、かゆみを感じる場合もあります。 りんご病は、一般的に軽症で経過し、特別な治療を必要とせず自然に治癒することがほとんどです。症状としては、発熱や発疹の他に、だるさ、頭痛、関節痛などがみられることがありますが、これらの症状も通常は数日以内に軽快します。 しかしながら、免疫機能が低下している人や妊婦では、りんご病が重症化する可能性もあるため注意が必要です。妊婦が感染すると、まれに胎児に影響が及ぶことがあります。 りんご病は、咳やくしゃみなどの飛沫感染や、接触感染によって人から人に感染します。感染を防ぐためには、手洗いやうがいをこまめに行い、咳エチケットを心がけることが大切です。
泌尿器

膀胱の門番:膀胱収縮筋の役割

私たちの体には、不要なものを体外に出すための精巧な仕組みが備わっています。その一つである排尿は、腎臓で血液から濾し出された尿を膀胱に一時的に溜め込み、適切なタイミングで体外に排出するという、複雑なプロセスです。この排尿という行為をスムーズに行うために、重要な役割を担っているのが膀胱収縮筋です。 膀胱は、まるで伸縮自在な袋のような構造をしており、尿を蓄える役割を担っています。この膀胱の壁を取り囲むように存在しているのが膀胱収縮筋です。膀胱に尿が溜まると、その刺激が脳に伝わります。そして、脳からの指令を受けた膀胱収縮筋が収縮することで、膀胱内の圧力が上昇し、尿が尿道へと押し出されます。同時に、尿道の周りの筋肉が緩むことで、尿は体外へと排出されます。 このように、膀胱収縮筋は、尿を溜めておく、そして排出するという、排尿における二つの動作を巧みにコントロールするために、無くてはならない役割を担っています。もしも、膀胱収縮筋の働きが弱まったり、損傷を受けたりすると、尿漏れや頻尿といった排尿に関するトラブルが生じてしまう可能性があります。 健康な生活を送るためには、この重要な膀胱収縮筋を健全な状態に保つことが大切です。バランスの取れた食生活や適度な運動を心掛けることはもちろん、排尿を我慢し過ぎないなど、日々の生活習慣にも気を配りましょう。
看護技術

手術後の静脈血栓症予防とインパルス

外科手術は、病気や怪我を治し、私たちの健康を取り戻すための大切な方法です。しかし、どんな手術にも、体への負担や合併症と呼ばれる予期せぬ症状が現れる可能性があります。合併症は、手術の種類や患者さんの状態によって様々ですが、その中でも特に注意が必要なものが、下肢の深部静脈血栓症です。 これは、足の奥深くにある静脈に血液の塊(血栓)ができてしまう病気です。足の静脈は、心臓へ戻る血液の通り道となっているため、ここに血栓ができてしまうと血液の流れが滞ってしまいます。そして、血栓の一部が剥がれて血流に乗って肺に到達すると、肺の血管が詰まってしまう肺塞栓症を引き起こします。肺塞栓症は、呼吸困難や胸の痛みなどの症状を引き起こし、最悪の場合、命を落とす危険性もある恐ろしい病気です。 深部静脈血栓症は、手術後、特に腹部の手術や足の骨の手術を受けた後に起こりやすくなります。これは、手術によって血液の流れが変化したり、長時間同じ姿勢でいることで足の静脈に血栓ができやすくなるためです。深部静脈血栓症を予防するためには、医師の指示に従って弾性ストッキングを着用したり、足の運動をこまめに行うことが大切です。また、手術後は足のむくみや痛み、熱感など、血栓症のサインを見逃さないように注意する必要があります。
脳・神経

逆耐性現象:薬物依存症の影

- 逆耐性現象とは逆耐性現象とは、覚醒剤などの一部の薬物を摂取した際に現れる、一般的な薬物への反応とは異なる現象です。この現象は、フラッシュバック現象や感受性増感現象とも呼ばれ、薬物依存からの回復を目指す上で大きな障壁となることがあります。一般的に、薬物は使い続けることで体が薬に慣れてしまい、効果が薄れていくと考えられています。これは耐性と呼ばれる現象で、多くの薬物で見られます。しかし、逆耐性現象は、この常識とは反対の現象です。逆耐性現象では、薬物の使用量を減らしたり、使用を中止した後でも、過去に大量に摂取した時と同じような効果が現れることがあります。まるで、体が以前の強い薬の効果を「記憶」しているかのように、少量の摂取でも過剰に反応してしまうのです。この現象は、薬物が脳に与える影響が変化することで起こると考えられています。具体的には、脳内の神経伝達物質のバランスが薬物によって崩れ、その影響が長期にわたって残ってしまうことが原因として挙げられます。逆耐性現象は、薬物依存からの回復を難しくするだけでなく、予期せぬ過剰摂取による健康被害のリスクを高めます。そのため、薬物依存治療においては、この現象を理解し、適切な治療法を選択することが重要となります。
泌尿器

膀胱腫瘍を内視鏡で治療!TURBTとは?

- 膀胱腫瘍と診断されたら「膀胱腫瘍」と診断を受けると、当然のことながら、驚きと不安な気持ちに襲われるでしょう。診断名は同じ「膀胱腫瘍」でも、腫瘍が体の表面に近い場所にできる「良性」の場合と、体の奥深くまで進行する可能性のある「悪性(がん)」の場合があります。膀胱腫瘍は、尿をためておくための臓器である膀胱の内側にできる腫瘍です。そして、腫瘍が良性であるか悪性であるか、腫瘍の大きさや種類、進行度合いなどによって、適切な治療法は異なってきます。初期の膀胱がんの治療法として、よく用いられるのが「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」です。これは、尿道から内視鏡という細い管状の医療機器を挿入し、膀胱内部を観察しながら、腫瘍を電気で切除する方法です。開腹手術と比べて体への負担が少なく、回復も早いというメリットがあります。しかし、TURBTだけで完全にがんが取りきれるとは限りません。また、がんの種類や進行度によっては、TURBT以外の治療法、例えば抗がん剤を用いた化学療法や放射線治療などを併用する必要がある場合もあります。大切なのは、医師から診断内容や治療方針について、しっかりと説明を受けることです。不安な点や疑問点は、遠慮なく医師に相談し、納得のいく治療を受けていきましょう。
産婦人科

新生児を守る移動式ベッド:コット

- コットとは産婦人科や小児科で生まれたばかりの赤ちゃんを寝かせるために、移動式のベッドが使われています。このベッドは「コット」と呼ばれ、病院内で赤ちゃんを安全に移動させたり、お母さんのベッドのすぐそばに寄せて赤ちゃんのお世話や授乳をしやすくするために使われています。コットの特徴は、上段が透明なケースのようになっていることです。これにより、赤ちゃんをあらゆる角度から観察することができます。また、外部からの刺激や感染から赤ちゃんを守る役割も果たします。コットは、赤ちゃんの安全と快適さを考慮して設計されています。ベッドの高さは調節可能で、お母さんが無理のない姿勢で赤ちゃんのお世話ができるようになっています。また、ベッドの側面には柵が設けられており、赤ちゃんが誤って転落するのを防ぎます。さらに、コットの下部には収納スペースが設けられており、おむつやおしりふきなどのベビー用品を収納することができます。このように、コットは病院において、新生児の安全と快適な環境を提供するために欠かせないものです。そして、お母さんにとっても、安心して赤ちゃんのお世話ができる環境を提供してくれる、心強い味方といえるでしょう。
検査

健康のバロメーター:体温計を知ろう

- 体温計とは体温計は、私たちの体の状態を知るための、とても身近な道具です。毎日のように使う人もいれば、風邪を引いた時くらいしか使わない人もいるかもしれません。しかし、体温計が示す「体温」は、私たちの健康状態を映す重要なサインです。体温計を使うことで、私たちは自分の体が正常な状態にあるのか、そうでないのかを知ることができます。 体温計は、体の内部の温度を測ることで、健康状態をチェックするための道具です。健康な状態では、私たちの体温はほぼ一定に保たれています。これは、体が外部の気温の変化に関係なく、常に活動しやすい状態を保つために、体温調節機能が働いているからです。しかし、体に異常が起こると、この体温調節機能がうまく働かなくなり、体温が上昇したり、低下したりすることがあります。 体温計で体温を測ることで、発熱や低体温症などの体の異常を早期に発見することができます。早期発見は、適切な処置や治療を受けるために非常に重要です。また、毎日の体温を記録することで、自分の平熱を知ったり、体調の変化に気づくことができるようになります。 体温計には、脇の下で測るタイプや耳で測るタイプ、おでこで測るタイプなど、様々な種類があります。それぞれに特徴があるので、用途や好みに合わせて選ぶと良いでしょう。 体温計は、健康管理に欠かせないアイテムです。正しく使って、健康的な毎日を送りましょう。
その他

成人期とは:年齢や定義、変化を解説

- 成人期の定義成人期とは、一般的に心身ともに成長が終わり、大人として認められる時期のことを指します。 これは、子どもから大人への移行期であり、社会の一員として、責任ある行動や自立した生活が求められるようになります。 しかし、成人期の定義は一概には決まっておらず、様々な分野によって捉え方が異なります。医学の分野では、身体的な成長がほぼ完了し、生殖機能が成熟する時期を成人期と定義することがあります。法律的な観点では、選挙権や飲酒、喫煙、婚姻など、一定の権利や行為が認められる年齢を成人年齢と定めています。 社会的な視点では、就職や結婚、出産など、社会人としての役割や責任を担うようになる時期を成人期と捉えることが多いでしょう。文化的な観点からは、それぞれの文化圏や社会の伝統や慣習に基づいて、成人式などの儀式や通過儀礼を経て、成人として認められることもあります。このように、成人期は多角的な視点から定義され、明確な線引きがあるわけではありません。成人期は、単なる年齢による区切りではなく、生物学的な発達、法的・社会的な責任、文化的な認識など、様々な要素が複雑に絡み合って構成されていると言えるでしょう。
泌尿器

排尿中枢:体からの尿の排出を制御する

- 排尿中枢とは 人間は、体内で不要になった水分や老廃物を尿として体外に排出します。この尿の排出をスムーズに行うために、体には尿を膀胱にためておき、適切なタイミングで排尿を促す仕組みが備わっています。この仕組みをコントロールしているのが、脳と脊髄の一部に存在する「排尿中枢」と呼ばれる神経中枢です。 排尿中枢は、脳の橋にある排尿中枢(橋排尿中枢)と、脊髄の仙髄にある排尿中枢(仙髄排尿中枢)の二つに分けられます。橋排尿中枢は、排尿を意識的にコントロールする際に働く上位中枢としての役割を担います。一方、仙髄排尿中枢は、膀胱が尿で満たされると反射的に排尿を促す、より原始的な中枢です。 これらの排尿中枢は、膀胱や尿道に分布する感覚神経、筋肉を動かす運動神経と複雑にネットワークを形成し、互いに情報をやり取りしながら排尿の開始・停止を制御しています。 例えば、膀胱に尿がたまると、その情報が感覚神経によって脊髄、そして脳へと伝えられます。すると、脳は状況を判断し、適切なタイミングで排尿するように指令を出します。この指令は脊髄を通り、仙髄排尿中枢を経由して膀胱や尿道の筋肉に伝えられ、排尿が開始されます。 このように、排尿中枢は、複雑な神経回路網によって緻密に制御された、体にとって重要な機能と言えるでしょう。
産婦人科

授乳:母と子の大切な時間

- 授乳とは生まれたばかりの赤ちゃんにとって、外界と関わり、自身の体を通して栄養を取り入れる初めての体験となるのが授乳です。これは、母親の母乳、もしくは育児用ミルクを赤ちゃんに与える行為を指します。小さな体にとって、授乳は生命維持に欠かせない行為と言えるでしょう。授乳を通して赤ちゃんは、成長に必要な栄養素を摂取します。母乳には、赤ちゃんの発達段階に合わせた最適な栄養素がバランス良く含まれています。また、免疫力を高める成分も含まれており、病気から赤ちゃんを守ってくれる役割も果たします。育児用ミルクは、母乳が出ない、あるいは十分に出ない場合に母乳の代わりとして用いられます。近年では、母乳に含まれる栄養素を参考に、赤ちゃんの健康な成長を助ける成分が配合された製品も数多く販売されています。一般的に、赤ちゃんが生まれてから1歳頃までを授乳期間と呼びます。この時期の赤ちゃんは、授乳を通して栄養を摂取するだけでなく、母親との愛着関係を築き、安心感を得ながら成長していきます。授乳は、単に栄養補給としての役割だけでなく、赤ちゃんが健やかに成長するために重要な意味を持つ行為と言えるでしょう。
検査

アネロイド式血圧計:仕組みと特徴

- アネロイド式血圧計とはアネロイド式血圧計は、家庭や病院などで広く使われている血圧を測るための器具です。水銀を使わないため、安全で扱いやすいという利点があります。 測定の際には、腕にカフと呼ばれる帯状の袋を巻き付けます。このカフに空気を送り込むことで、腕の動脈を圧迫します。そして、聴診器を用いて、圧迫された状態から徐々に空気を抜いていく際に聞こえる血管音の変化を聞き取ります。 血管音の変化は、文字盤の針の動きと連動しており、音が初めて聞こえた時が最高血圧、音が消えた時が最低血圧を示します。 アネロイド式血圧計は、聴診器を用いた聴診による測定が必要なため、ある程度の訓練や経験が必要です。しかし、正確に使用することで、家庭でも手軽に血圧を把握することができます。
看護技術

褥瘡の予防と対策について

- DECとはDECとは、体の同じ部位に長時間、圧力がかかり続けることで起こる皮膚や皮下組織の損傷のことです。一般的には「褥瘡」や「床ずれ」といった言葉の方が馴染みがあるかもしれません。 長時間、体重によって特定の部位の血流が滞ってしまうことが原因で、皮膚や皮下組織に栄養や酸素が行き渡らなくなり、細胞が壊死してしまうことで発生します。 特に、寝たきりの状態や車椅子を長時間利用しているなど、自力で体位変換を行うことが難しい方に多く見られます。 初期症状としては、皮膚の赤みや腫れ、熱感などが挙げられます。 さらに症状が進むと、水ぶくれや皮膚のびらん、潰瘍などが現れ、重症化すると皮膚の壊死や感染症を引き起こす可能性もあります。 DECは、適切な予防と早期の発見、そして適切な治療を行うことで、症状の悪化を防ぐことが可能です。 日頃から、皮膚を清潔に保つこと、栄養状態を良好に保つこと、そして定期的に体位変換を行うことなどが重要です。
心の問題

自我:本能と理性のはざまで

- 心の構造人間の心は、複雑で多様な側面を持っていますが、フロイトは精神分析学の観点から、心の働きを3つの要素に分類しました。それは、本能、自我、そして超自我です。まず、「本能」は、私たちが生まれながらにして持っている、生命維持や種の保存などの根源的な欲求や衝動を指します。これは、喜びを求め、苦痛を避けようとする、人間の本能的なエネルギーの源泉とも言えるでしょう。お腹が空いたら食べ物を求め、眠くなったら眠るといった、私たちが普段無意識に行っている行動も、本能に基づいていると言えます。次に、「超自我」は、両親や周囲の人々、社会全体から影響を受けて形成される道徳観や倫理観を内面化したものです。これは、例えるならば、常に私たちの行動を監視し、善悪を判断する「良心」のような役割を担っています。私たちが衝動的に行動したいと思った時、それを抑え、社会のルールや道徳に則った行動をとるように促すのは、この超自我の働きによるものです。最後に、「自我」は、本能と超自我の間で葛藤しながら、現実世界をうまく渡り歩くために調整役を担っています。本能の要求と超自我の制約の間でバランスを取りながら、状況に合わせて適切な行動を選択するのが自我の役割です。例えば、お腹が空いた時に、本能はすぐに食べ物を要求します。しかし、周囲に人がいる場合や、食事の時間ではない場合には、自我は超自我の教えに従い、適切なタイミングや場所まで食べるのを我慢するように指示を出します。このように、自我は、本能と超自我の両方の要求を満たせるように、現実的な解決策を見つけ出す働きをしています。
心の問題

子どもの愛着:健やかな成長の土台

- 愛着とは何か愛着とは、特定の人に対して特別な感情を抱き、その人と共にいたいと強く感じる気持ちのことです。まるで目に見えない糸で結ばれているように、心の距離が縮まり、安心感や幸福感を覚えます。特に乳幼児期における愛着形成は、その後の子どもの情緒や社会性の発達に大きな影響を与えることが分かっています。生まれたばかりの赤ちゃんは、自分では何もできません。ミルクを飲ませてもらったり、おむつを替えてもらったり、抱っこしてもらったりと、周りの大人の世話が不可欠です。このような状況下で、赤ちゃんは自分を無条件に受け入れてくれ、愛情をかけてくれる特定の大人(多くの場合、母親)に対して、特別な感情を抱くようになります。これが愛着の始まりです。愛着が形成されると、子どもは特定の大人の存在によって安心感や安定感を得ることができ、周囲の世界を探索する意欲や好奇心を育むことができます。反対に、愛着形成がうまくいかないと、情緒不安定になったり、対人関係がうまく築けなかったりするなど、さまざまな問題が生じるリスクが高まると言われています。愛着形成は、子どもの将来を左右すると言っても過言ではありません。子どもの健やかな成長を促すためには、温かで愛情のこもった関わりを通して、子どもとの間に安定した愛着関係を築くことが重要です。
外科

手術の必需品:ケリー鉗子

- ケリー鉗子とは外科手術において、出血を制御し、組織を安全に分離することは非常に重要です。これらの操作をスムーズに行うために欠かせない器具の一つが、ケリー鉗子です。その名の由来は、20世紀初頭に活躍したアメリカの外科医、ハワード・アトウッド・ケリー博士です。彼が考案したこの鉗子は、現在も世界中の手術室で使われています。ケリー鉗子最大の特徴は、先端部分が緩やかに湾曲している点にあります。この独特の形状によって、術野の奥深くにある血管や組織に対しても、的確にアプローチすることが可能となりました。従来のまっすぐな鉗子では届かなかった部分にもアクセスできるため、より安全かつ精密な手術操作を実現できます。ケリー鉗子は、その用途の広さから、様々なサイズが用意されています。小さな血管を挟む際には繊細な作りの小型のもの、より大きな組織を把持する際には頑丈な大型のものといったように、状況に応じて適切なサイズを選択することが重要です。このように、ケリー鉗子は、外科医にとって無くてはならない、まさに「手術の必需品」と言えるでしょう。
心の問題

子どもとの絆と愛着障害

- 愛着障害とは 愛着障害とは、幼い頃に親など、特定の大人との間で安定した愛着関係を築くことができなかったために、感情や他人との付き合い方に問題が生じる発達障害の一種です。 人は誰しも、赤ちゃんとしてこの世に生を受けた時から、保護を求める気持ちを持っています。これは生まれながらに備わった本能のようなもので、愛着の芽生えと言えます。そして、保護者から温かい反応が返ってくることで、赤ちゃんは安心感や信頼感を育んでいきます。この安心感や信頼感が、愛着の基礎となるのです。 しかし、様々な理由から、この愛着形成がうまくいかない場合があります。例えば、虐待や育児放棄など、保護者からの愛情が感じられない環境で育った場合や、施設などで養育者が頻繁に入れ替わり、特定の大人と安定した関係を築けなかった場合などが挙げられます。 こうした環境で育った子どもは、情緒が不安定になりやすく、対人関係を築くのが難しい傾向があります。大人になってからも、この影響は残り続け、生きづらさを感じてしまうケースも少なくありません。
泌尿器

医療現場で使われる言葉~ハルンって何?~

病院に行くと、医師や看護師が使う、普段の生活では聞き慣れない言葉に戸惑うことはありませんか? 例えば、「バイタルサイン」「サチュレーション」「ルート確保」といった言葉は、医療従事者にとっては日常的な言葉でも、患者さんにとっては初めて耳にする言葉かもしれません。 このような医療現場で使われる専門用語は、患者さんとのコミュニケーションを難しくする一因となる可能性があります。患者さんが自分の症状や治療内容を正確に理解するためには、医師や看護師が分かりやすい言葉で説明することが重要です。 もちろん、医療従事者が専門用語を使うのには理由があります。専門用語を使うことで、正確かつ簡潔に情報を伝えることができますし、他の医療従事者との間で誤解なく意思疎通を図ることができます。しかし、患者さんにとって分かりにくい言葉では、適切な治療を受けてもらうための信頼関係を築くことが難しくなってしまう可能性も考えられます。 医療現場では、患者さんが安心して治療を受けられるよう、分かりやすい言葉で説明することが求められています。医師や看護師は、患者さんの立場に立って、専門用語を避ける、もしくは分かりやすく言い換えるなど、コミュニケーションを工夫していく必要があります。
心の問題

充実した毎日を送るために:メンタルヘルスの理解

「メンタルヘルス」とは、心の健康状態を表す言葉です。これは、私たちの喜怒哀楽といった感情、思考、そして行動に影響を与え、日々の暮らし、友人や家族との関係、そして自分自身の成長や目標達成にも大きく関わってきます。 心の健康は、身体の健康と同様に、私たちが毎日を健やかに過ごすために欠かせません。しかし、身体の健康が常に完璧とは限らないのと同様に、心の健康も常に良好な状態であるとは限りません。 仕事や人間関係のストレス、生活環境の変化、身体的な病気など、さまざまな要因によって心のバランスが崩れ、気分が落ち込んだり、不安を感じたり、イライラしやすくなったりすることがあります。 このような心の不調は誰にでも起こりうることですが、一時的なものから、専門家のサポートが必要となるものまで、その程度はさまざまです。 重要なのは、心の状態に変化を感じたら、無理をせず、自分自身と向き合い、適切な対応をすることです。そして、周囲の人々に相談したり、専門機関の力を借りることも選択肢の一つとして覚えておきましょう。
脳・神経

知っておきたい医療用語:アポ

病院で働く人たちの間では、日常的に様々な専門用語が使われています。その中には、一般の方にはあまり知られていない言葉も少なくありません。「アポ」という言葉も、そうものの一つと言えるでしょう。「アポ」は「あぽ」と読むことが多く、病院の予約や面会などを表す「アポイントメント」を短くした言葉だと勘違いされることもあります。しかし、医療現場で使われる「アポ」は、全く異なる意味を持っています。 それでは、医療現場における「アポ」とは一体何を指すのでしょうか? 「アポ」とは、「apoplexy(アポプレキシー)」の略語であり、これは「脳卒中」を意味する医学用語です。脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳に酸素や栄養が供給されなくなり、様々な神経症状を引き起こす病気です。突然に意識を失ったり、手足が麻痺したり、言葉が話せなくなるなどの症状が現れます。 医療現場では、「アポ」は「脳卒中」の患者さんを指す言葉として使われることが多く、カルテや看護記録にも頻繁に登場します。例えば、「アポの疑いのある患者さんが救急搬送された」「アポ後のリハビリテーション」のように使われます。 「アポ」という言葉一つとっても、医療現場と一般社会では全く異なる意味を持つことが分かります。医療従事者と患者さんとの間で誤解が生じないように、専門用語の意味を正しく理解しておくことが大切です。
看護技術

医療におけるカテーテル:役割と種類を解説

- カテーテルとは何か私たちの体には、血管、尿管、消化管など、様々な管が張り巡らされています。これらの管は、血液を循環させたり、栄養を吸収したり、老廃物を排出したりと、生命維持に欠かせない役割を担っています。そして、これらの管を検査したり治療したりするために医療現場で広く使われているのが、カテーテルと呼ばれる柔らかく柔軟性のある管です。カテーテルは、診断や治療を目的として、体内の様々な管や空間に挿入されます。例えば、血管内にカテーテルを挿入することで、血液検査のための採血や、点滴による薬剤投与、心臓の働きを調べるカテーテル検査などを行うことができます。血管は全身に張り巡らされているため、カテーテルを挿入する部位によって、心臓、肺、肝臓など、様々な臓器の検査や治療が可能になります。また、尿道から膀胱にカテーテルを挿入することで、尿が出にくい患者さんの膀胱から尿を排出することができます。これは、前立腺肥大症や神経因性膀胱などの病気で、自力で排尿することが困難な患者さんにとって、大きな助けとなっています。カテーテルを留置することで、患者さんの負担を軽減し、生活の質を向上させることも可能です。さらに、カテーテルは、胆管や膵管などの消化管にも挿入されます。胆石や膵臓がんなどの病気の診断や治療にもカテーテルは欠かせない存在となっています。このように、カテーテルは、現代医療において非常に重要な役割を担っており、様々な病気の診断や治療に貢献しています。そして、医療技術の進歩とともに、カテーテルはさらに進化し、患者さんの負担をより軽減する方向へ進んでいます。
消化器

生活を支えるストーマ:理解を深める

- ストーマとはストーマとは、病気や怪我、手術などによって本来の排泄機能が損なわれた場合に、お腹に人工的に作られた排泄口のことです。本来であれば、便は肛門から、尿は尿道から体外へ排出されます。しかし、病気や手術の影響でこれらの自然な排泄経路が使えなくなることがあります。例えば、大腸がんの手術では、がんを切除するために一部の腸を取り除くことがあります。その結果、肛門から便を排出することが困難になるため、お腹にストーマを造設し、そこから便を体外へ排出することになります。ストーマは、ギリシャ語で「口」を意味する言葉に由来しています。これは、お腹に作られた開口部が、まるで口のように便や尿を体外へ送り出す役割を担っているからです。ストーマは、患者さんにとって生活の質を維持するために非常に重要な役割を果たします。ストーマを造設することで、患者さんは排泄の不安から解放され、より快適な日常生活を送ることができるようになります。ストーマには、主に尿路変更のための「尿路ストーマ」と消化管を変更するための「消化管ストーマ」の二つがあります。消化管ストーマの場合、どの部分を切除したか、どの臓器と繋いでいるかによって、ストーマの名称や排出物の性状が変わってきます。例えば、大腸の一部を切除して造設したストーマを「人工肛門」と呼ぶことがあります。このように、ストーマは患者さんの状態や手術の内容によって、様々な種類があります。
小児科

新生児特定集中治療室:小さな命を守るための最先端医療

新生児特定集中治療室(NICU)は、生まれたばかりの赤ちゃんのうち、病気や未熟さなどにより特別な治療やケアが必要な赤ちゃんのための、病院内にある特別な施設です。日本でNICUが導入され始めたのは1970年代頃からで、当初は未熟児医療を中心に発展してきました。現在では多くの病院に設置されており、医師や看護師だけでなく、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士、栄養士など、様々な専門知識を持った医療スタッフがチームを組んで、24時間体制で赤ちゃんたちのケアにあたっています。 NICUでは、赤ちゃんの呼吸や心拍数を常に監視するモニター、体温を一定に保つ保育器、呼吸を助ける人工呼吸器など、高度な医療機器が揃えられており、赤ちゃんの状態に合わせて適切な治療やケアが提供されます。また、赤ちゃんによっては、点滴による栄養補給や、薬剤投与などが必要となることもあります。 NICUは、小さな命を守るための最後の砦といえます。医療技術の進歩により、かつては助からなかった命が救えるようになり、NICUで治療を受けていた多くの赤ちゃんが元気に成長し、社会に巣立っています。
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