肺の機能を調べる検査:肺拡散能検査とは

呼吸器

肺の機能を調べる検査:肺拡散能検査とは

病院での用語を教えて

先生、「肺拡散能検査」って、どんな検査かよくわからないんですけど…

体の健康研究家

そうか。「肺拡散能検査」は簡単に言うと、肺がどれだけ効率よく酸素を取り込めるかを調べる検査だよ。

病院での用語を教えて

肺が酸素を取り込む…? どうやって調べるんですか?

体の健康研究家

体に害がない程度の少量の一酸化炭素を吸って、吐く息に含まれる量を調べるんだ。一酸化炭素は酸素と同じように肺から吸収されるから、これで肺の機能を調べることができるんだよ。

肺拡散能検査とは。

「肺拡散能検査」は、肺がどれだけ効率的に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出できるかを調べる検査です。

具体的には、酸素の代わりに、ヘモグロビンと結びつきやすい一酸化炭素を使います。体に害がない程度の少量の一酸化炭素を吸い込み、しばらく息を止めてから吐き出し、その呼気を分析します。

もし、吐き出した息に多くの 一酸化炭素が残っていれば、肺の機能が低下している可能性があります。これは、間質性肺炎や肺気腫などの病気が疑われるサインとなります。

肺拡散能検査とは何か

肺拡散能検査とは何か

– 肺拡散能検査とは何か肺拡散能検査は、呼吸において重要な役割を担う肺の機能、「ガス交換能」を評価するための検査です。 ガス交換能とは、息を吸い込んだ際に肺胞に取り込まれた酸素が、どれほど円滑に血液中に移動するかを示す能力を指します。私たちが呼吸によって体内に取り込んだ酸素は、肺胞と呼ばれる小さな袋状の組織で毛細血管へと移動し、血液によって全身に運ばれます。この、肺胞から毛細血管への酸素の移動がスムーズに行われることこそが、効率的な酸素摂取に不可欠です。しかし、肺気腫や間質性肺炎、肺線維症といった病気にかかると、肺胞の壁が厚くなったり、肺胞と毛細血管の間が繊維化したりすることで、酸素の移動が阻害され、ガス交換能が低下してしまいます。 ガス交換能が低下すると、体内に十分な酸素を取り込むことができなくなり、息切れや動悸、倦怠感といった症状が現れます。さらに症状が進行すると、唇や指先が青紫色になるチアノーゼを引き起こすこともあります。肺拡散能検査では、患者さんに少量の一酸化炭素ガスを含む空気を吸ってもらい、そのガスが肺から血液中にどれくらい移動するかを測定します。 一酸化炭素は酸素と同様にヘモグロビンと結合しやすい性質を持つため、この検査によって酸素の移動能力を間接的に評価することができます。この検査は、自覚症状がある場合だけでなく、病気の早期発見や治療効果の判定、手術前の肺機能評価など、様々な目的で実施されます。

項目 説明
肺拡散能検査とは 肺のガス交換能を評価する検査
※ガス交換能:肺胞から毛細血管へどれだけスムーズに酸素が移動するか
ガス交換能が低下する病気 肺気腫、間質性肺炎、肺線維症など
ガス交換能低下の症状 息切れ、動悸、倦怠感、チアノーゼなど
検査方法 少量の一酸化炭素ガスを含む空気を吸い、肺から血液への移動量を測定
検査の目的 病気の早期発見、治療効果の判定、手術前の肺機能評価など

一酸化炭素を用いる理由

一酸化炭素を用いる理由

肺拡散能検査は、肺から血液中に酸素がどれくらい効率よく取り込まれるかを調べる検査です。この検査では、吸う息の中にごくわずかな一酸化炭素が含まれています。一酸化炭素は、大量に吸い込むと人体に有害な気体ですが、検査で使用する量はごく微量なので心配ありません。

では、なぜ酸素ではなく一酸化炭素が使われるのでしょうか?それは、一酸化炭素が酸素に比べて、血液中の赤血球にあるヘモグロビンという物質と非常に強く結合する性質を持っているからです。酸素を使うよりも、一酸化炭素を使う方が、肺から血液へのガスの移動量を正確に測ることができるのです。

たとえるなら、スポンジに水をしみこませる様子を想像してみてください。水をたくさん吸収するスポンジと、少ししか吸収しないスポンジがあるとします。水を少し垂らしただけでは、どちらのスポンジがよく水を吸うのか判断できません。しかし、水を大量にかければ、よく水を吸うスポンジは、そうでないスポンジよりも、より多くの水を吸収するでしょう。

肺拡散能検査では、一酸化炭素は大量の水の役割を果たします。一酸化炭素を使うことで、肺がどれくらい効率よくガス交換を行っているのかを、より正確に評価することができるのです。

項目 説明
肺拡散能検査 肺から血液への酸素の取り込み効率を調べる検査
検査方法 微量の一酸化炭素ガスを吸入し、その吸収量を測定
一酸化炭素使用の理由 酸素よりもヘモグロビンとの結合力が強く、正確な測定が可能

検査方法と流れ

検査方法と流れ

– 検査方法と流れ

肺拡散能検査は、患者さんの負担が少ない検査方法です。検査時間は10分程度で、痛みを伴う処置もありません。

検査の流れは以下の通りです。

1. まず、患者さんは椅子に楽に座り、鼻をクリップで挟みます。
2. 次に、検査機器に接続されたマウスピースを口にくわえます。
3. スタッフの指示に従って、少量の一酸化炭素を含む混合ガスを深く吸い込みます
4. 息を約10秒間止め、その後、ゆっくりと息を吐き出します。
5. 呼気中の一酸化炭素やその他のガス濃度を測定します。

検査の結果は、肺から血液中に酸素がどれだけ効率的に取り込まれているかを評価するために用いられます。

検査の流れ 説明
1. 椅子に座り、鼻をクリップで挟む
2. 検査機器に接続されたマウスピースを口にくわえる
3. 少量の一酸化炭素を含む混合ガスを深く吸い込む
4. 息を約10秒間止め、その後、ゆっくりと息を吐き出す
5. 呼気中の一酸化炭素やその他のガス濃度を測定する

検査結果が示すもの

検査結果が示すもの

健康診断などで呼吸機能検査を受けた際、その結果が何を意味するのか、気になる方もいるのではないでしょうか。今回は、検査結果から何がわかるのか、特に「肺のガス交換能」に焦点を当てて解説します。

呼吸機能検査のひとつに、「肺拡散能検査」というものがあります。これは、肺がどれくらい効率的に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出できるかを調べる検査です。具体的には、ごく少量の一酸化炭素を含む空気を吸い込み、息を止めた後、吐き出す際に、その一酸化炭素がどれくらい減少したかを測定します。

この検査で、一酸化炭素の吸収率が低い場合、肺が酸素を十分に取り込めていない状態を示しており、「肺拡散能の低下」と診断されます。肺拡散能の低下の原因には、肺の間質と呼ばれる部分に炎症が起こる「間質性肺炎」や、肺胞が壊れてしまう「肺気腫」、肺に線維が増えて硬くなる「肺線維症」などが考えられます。

反対に、一酸化炭素の吸収率が高い場合は、肺は正常に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出できていると考えられます。つまり、肺拡散能は正常であり、ガス交換はスムーズに行われていると言えるでしょう。

ただし、検査結果だけで病気の確定診断が下されるわけではありません。医師は、検査結果に加えて、症状や病歴、身体診察などを総合的に判断し、診断を確定します。そのため、検査結果について気になることがあれば、自己判断せずに、必ず医師に相談するようにしましょう。

項目 内容
肺拡散能検査 肺が酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する効率を調べる検査
検査方法 少量の一酸化炭素を含む空気を吸い込み、吐き出す際に一酸化炭素がどれくらい減少したかを測定
一酸化炭素吸収率が低い場合 肺拡散能の低下。間質性肺炎、肺気腫、肺線維症などの可能性
一酸化炭素吸収率が高い場合 肺は正常に機能し、ガス交換もスムーズに行われている
注意点 検査結果だけで病気の確定診断はできない。医師に相談が必要

検査の重要性

検査の重要性

健康を維持するためには、体の異常にいち早く気づくことが重要です。そのために有効な手段の一つが、様々な検査です。検査には、自覚症状が現れる前に病気を発見できるという大きなメリットがあります。

呼吸器疾患の多くは、初期段階では自覚症状がほとんどありません。そのため、息苦しさや咳などの症状が出てから医療機関を受診しても、病気がかなり進行している場合も少なくありません。しかし、肺拡散能検査を受けることで、自覚症状が現れる前の段階で、肺機能の低下や異常を発見することができます。肺拡散能検査は、肺から血液中に酸素が取り込まれる能力を調べる検査です。

息切れや呼吸困難などの症状がある方はもちろんのこと、健康診断で肺機能の低下を指摘された方、喫煙習慣のある方などは、症状がなくても一度検査を受けてみることをおすすめします。早期発見、早期治療によって、健康な肺を維持していくことが大切です。

検査の重要性 肺拡散能検査
早期発見・早期治療
自覚症状が現れる前の病気発見
肺から血液への酸素取り込み能力を測定
呼吸器疾患の早期発見に有効
対象者 息切れや呼吸困難がある方
健康診断で肺機能低下を指摘された方
喫煙習慣のある方など

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