髄膜炎:脳と脊髄を守る膜の炎症

脳・神経

髄膜炎:脳と脊髄を守る膜の炎症

病院での用語を教えて

先生、「髄膜炎」ってどんな病気ですか?

体の健康研究家

「髄膜炎」は、脳や脊髄を包んでいる髄膜という膜に炎症が起こる病気だよ。細菌やウイルスが原因で起こることが多いんだ。

病院での用語を教えて

脳や脊髄を包んでいる膜に炎症が起こるんですね。どんな症状が出るんですか?

体の健康研究家

そうだね。症状は、高熱、頭痛、嘔吐など、風邪とよく似ているんだけど、ひどい頭痛や首の硬直、意識障害などがみられることもあるよ。髄膜炎が疑われるときは、すぐに病院を受診することが大切だよ。

髄膜炎とは。

「髄膜炎」っていう病気の言葉の意味について説明するね。人の脳や脊髄は、3つの薄い膜(髄膜)に包まれて守られているんだけど、このうち、くも膜と軟膜、それと、この2つの膜の間にあるくも膜下腔という場所に炎症が起こってしまう病気のことを言うんだ。

髄膜炎とは

髄膜炎とは

– 髄膜炎とは私たちの脳と脊髄は、髄膜と呼ばれる薄い膜で覆われています。この髄膜は、外部からの衝撃をや病原菌から脳や脊髄を守る、いわば鎧のような役割を担っています。 髄膜炎は、この重要な髄膜に炎症が起こる病気です。髄膜炎の原因として最も多いのは、細菌やウイルスなどの病原体による感染です。その他、真菌や寄生虫、特定の薬剤や病気によって引き起こされることもあります。髄膜炎は、初期症状として発熱、頭痛、吐き気など、風邪に似た症状が現れることが多く、注意が必要です。症状が進むにつれて、首の硬直、意識障害、けいれん、光過敏など、より重い症状が現れることもあります。乳幼児の場合は、これらの典型的な症状が現れにくく、機嫌が悪い、ミルクの飲みが悪いといった症状が見られることもあります。髄膜炎は、重症化すると命に関わる可能性もある病気です。特に細菌性髄膜炎は、早期に適切な治療を行わないと、後遺症が残ったり、最悪の場合死に至ることもあります。そのため、髄膜炎の疑いがある場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。早期に診断し、適切な治療を開始することで、重症化を防ぐことができます。

項目 内容
髄膜の役割 脳と脊髄を保護する
髄膜炎の原因 主に細菌やウイルスによる感染
髄膜炎の初期症状 発熱、頭痛、吐き気など風邪に類似
髄膜炎の重症化時の症状 首の硬直、意識障害、けいれん、光過敏
乳幼児の髄膜炎の症状 機嫌が悪い、ミルクの飲みが悪い
髄膜炎のリスク 重症化すると命に関わる可能性
細菌性髄膜炎のリスク 後遺症が残ったり、死に至る可能性
髄膜炎の疑いがある場合の対処法 速やかに医療機関を受診

髄膜炎の原因

髄膜炎の原因

– 髄膜炎の原因髄膜炎は、脳と脊髄を覆う髄膜に炎症が起こる病気です。 この炎症は、様々な原因によって引き起こされますが、大きく分けて細菌、ウイルス、その他に分類されます。最も多い原因は細菌感染です。 細菌の中でも、肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌などは、髄膜炎を引き起こす代表的な細菌です。これらの細菌は、鼻や喉に存在することがあり、咳やくしゃみによって空気中に飛散し、それを吸い込むことで感染します。特に、免疫力が低下している乳幼児や高齢者は、これらの細菌に感染しやすく、髄膜炎を発症するリスクが高くなります。次に多い原因は、ウイルス感染です。 エンテロウイルス、ムンプスウイルス、ヘルペスウイルスなどが髄膜炎の原因となるウイルスとして挙げられます。これらのウイルスは、感染者との接触や、ウイルスを含む飛沫を吸い込むことで感染します。ウイルス性髄膜炎は、細菌性髄膜炎に比べて症状が軽い場合が多く、特別な治療を必要とせずに自然に治癒することがほとんどです。その他、真菌や寄生虫、薬剤などが原因となる髄膜炎は稀です。 真菌や寄生虫による髄膜炎は、免疫力が著しく低下している場合に発症しやすく、重症化することもあります。薬剤が原因で起こる髄膜炎は、特定の薬剤を使用した後に発症することがあります。髄膜炎は、早期に発見し適切な治療を行うことが重要です。 症状としては、高熱、頭痛、嘔吐、首の痛みや硬直などがあります。これらの症状が現れた場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。

原因 病原体例 感染経路 備考
細菌感染 肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌など 咳やくしゃみによる飛沫感染 最も多い原因。乳幼児や高齢者は注意が必要。
ウイルス感染 エンテロウイルス、ムンプスウイルス、ヘルペスウイルスなど 接触感染、飛沫感染 細菌性髄膜炎より症状が軽い場合が多い。多くは自然治癒する。
その他 真菌、寄生虫、薬剤など 稀。免疫力が著しく低下している場合に発症しやすい。

髄膜炎の症状

髄膜炎の症状

– 髄膜炎の症状髄膜炎は、脳と脊髄を覆う髄膜に炎症が起こる病気です。髄膜炎になると、発熱、頭痛、首の硬直といった症状が現れます。これらの症状は髄膜炎の代表的な症状であり、特に頭痛は、頭をハンマーで殴られたような激しい痛みとして感じられることがあります。また、髄膜炎では、上記の主要な症状に加えて、吐き気や嘔吐、意識がもうろうとする、光がまぶしくて仕方がない、筋肉が痙攣するといった症状が現れることもあります。これらの症状は、髄膜の炎症によって神経が刺激されることで起こると考えられています。さらに、乳幼児の場合は、上記の症状に加えて、いつもと様子が違う、母乳やミルクを飲む量が減る、ぐったりしている、頭蓋骨の継ぎ目にあたる部分が膨らんでいるといった症状が現れることがあります。乳幼児は、大人と比べて症状をうまく伝えることができません。そのため、保護者は、乳幼児の普段の様子と変わった様子がないか、注意深く観察する必要があります。髄膜炎は、早期に発見して適切な治療を行えば、治癒する可能性が高い病気です。しかし、治療が遅れると、命に関わる重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。そのため、髄膜炎が疑われる症状が現れた場合は、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。

症状 説明
発熱
頭痛 特に、頭をハンマーで殴られたような激しい痛み
首の硬直
吐き気や嘔吐
意識がもうろうとする
光がまぶしくて仕方がない(羞明)
筋肉が痙攣する
乳幼児の場合:いつもと様子が違う
乳幼児の場合:母乳やミルクを飲む量が減る
乳幼児の場合:ぐったりしている
乳幼児の場合:頭蓋骨の継ぎ目にあたる部分が膨らんでいる(大泉門の膨隆)

髄膜炎の診断

髄膜炎の診断

– 髄膜炎の診断髄膜炎は、脳と脊髄を覆う髄膜に炎症が起こる病気です。その診断には、腰椎穿刺による髄液検査が最も重要です。腰椎穿刺は、背中から細い針を腰椎の隙間に入れ、髄液を採取する検査です。採取した髄液は、顕微鏡での観察や、様々な物質の量を測定する生化学検査を行います。顕微鏡検査では、髄液中の白血球の数や種類を調べることで、髄膜炎の原因となる細菌やウイルスを推測します。細菌性髄膜炎では、白血球数が著しく増加し、主に好中球という種類の白血球が多く見られます。一方、ウイルス性髄膜炎では、白血球数は細菌性髄膜炎ほど増加せず、リンパ球という種類の白血球が多く見られる傾向があります。生化学検査では、髄液中の糖やタンパク質の量を測定します。細菌性髄膜炎では、髄液中の糖が減少し、タンパク質が増加することが多く、ウイルス性髄膜炎では、糖の減少は軽度で、タンパク質の増加もそれほど多くありません。髄液検査に加えて、血液検査も重要な診断方法です。血液中の白血球数や炎症反応を調べることで、髄膜炎の有無や重症度を評価します。さらに、頭部CT検査やMRI検査などの画像検査を行うこともあります。これらの検査では、脳や脊髄の状態を詳しく調べることができ、髄膜炎以外の病気が隠れていないかを確認するのに役立ちます。髄膜炎は早期診断と適切な治療が重要となる病気です。そのため、髄膜炎が疑われる場合には、速やかに医療機関を受診し、必要な検査を受けるようにしてください。

検査項目 目的 細菌性髄膜炎 ウイルス性髄膜炎
腰椎穿刺
(髄液検査)
髄膜炎の原因を特定 – 白血球数:著しく増加
– 白血球の種類:主に好中球
– 糖:減少
– タンパク質:増加
– 白血球数:増加(細菌性髄膜炎ほど多くない)
– 白血球の種類:主にリンパ球
– 糖:軽度減少
– タンパク質:増加(細菌性髄膜炎ほど多くない)
血液検査 髄膜炎の有無や重症度を評価 – 白血球数:増加
– 炎症反応:上昇
– 白血球数:増加(細菌性髄膜炎ほど多くない)
– 炎症反応:上昇(細菌性髄膜炎ほど多くない)
頭部CT検査、MRI検査 脳や脊髄の状態を詳細に調べ、髄膜炎以外の病気を確認    

髄膜炎の治療

髄膜炎の治療

髄膜炎の治療は、その原因によって大きく異なります。大きく分けて細菌性髄膜炎とウイルス性髄膜炎の二つがありますが、それぞれ治療法が異なるため、まず原因を特定することが重要となります。
細菌性髄膜炎の場合、速やかに抗生物質を静脈投与します。抗生物質の種類は、原因となる細菌によって異なります。細菌培養検査の結果が出る前に、経験的に広範囲をカバーできる抗生物質を投与することが一般的です。
一方、ウイルス性髄膜炎の場合、特定のウイルスに効果のある抗ウイルス薬は限られており、対症療法が中心となります。解熱剤や水分補給などで症状を和らげながら、自然に治癒するのを待ちます。ヘルペスウイルスなど、一部のウイルスに対しては抗ウイルス薬が有効な場合もあります。
いずれの髄膜炎の場合も、脳の炎症によって脳圧が上昇することがあります。脳圧が高い場合は、脳圧を下げる薬を投与します。また、炎症を抑えるために、ステロイド薬を使用することもあります。髄膜炎は重症化すると後遺症が残る可能性もあるため、早期に診断し、適切な治療を行うことが非常に重要です。

原因 治療法 備考
細菌性髄膜炎 – 抗生物質の静脈投与
– 原因菌に応じた抗生物質を選択
– 培養検査前に広範囲カバーの抗生物質を投与
ウイルス性髄膜炎 – 特定のウイルスに対する抗ウイルス薬
– 対症療法(解熱剤、水分補給など)
– ヘルペスウイルスなど一部有効な抗ウイルス薬あり
– 自然治癒を待つ
共通 – 脳圧降下薬
– ステロイド薬
– 脳圧上昇時
– 炎症抑制

髄膜炎の予防

髄膜炎の予防

髄膜炎は、脳や脊髄を覆う髄膜に炎症が起こる病気です。髄膜炎は、細菌やウイルスなど、様々な原因で引き起こされますが、中でも細菌性髄膜炎は、適切な治療が行われなければ命に関わる危険性があります。髄膜炎の予防には、日頃から基本的な衛生習慣を身につけることが重要です。こまめな手洗いはもちろん、外出後のうがいも忘れずに行いましょう。また、咳やくしゃみをする際には、口や鼻を覆う「咳エチケット」を徹底することで、周囲への感染拡大を防ぐことができます。さらに、髄膜炎の原因となる細菌の中には、ワクチンで予防できるものがあります。例えば、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などは、髄膜炎の原因となる代表的な細菌ですが、これらの細菌に対するワクチンは、髄膜炎の発症リスクを大幅に減らす効果が期待できます。ワクチンの接種については、かかりつけの医師に相談してみましょう。髄膜炎は、初期症状が風邪に似ているため、自己判断が難しい病気です。高熱、頭痛、嘔吐など、風邪のような症状に加えて、首の痛みや硬直、意識障害などがみられる場合は、すぐに医療機関を受診してください。髄膜炎は周囲への感染の可能性もあるため、早期の診断と治療が重要です。

項目 詳細
病気名 髄膜炎
定義 脳や脊髄を覆う髄膜に炎症が起こる病気
原因 細菌、ウイルスなど様々
危険性 特に細菌性髄膜炎は、治療が遅れると命に関わる可能性あり
予防策 – 日頃から基本的な衛生習慣を身につける(こまめな手洗い、外出後のうがいなど)
– 咳エチケットを徹底する
– 髄膜炎の原因となる細菌に対するワクチンを接種する
注意点 – 初期症状が風邪に似ており、自己判断が難しい
– 高熱、頭痛、嘔吐などの風邪症状に加え、首の痛みや硬直、意識障害がみられる場合は、すぐに医療機関を受診する

Follow me!

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました