意識障害:その種類と症状について
病院での用語を教えて
先生、「意識障害」ってよく聞く言葉ですが、具体的にどういう状態のことをいうのですか?
体の健康研究家
良い質問だね。「意識障害」とは、簡単に言うと、周りの様子が分からなくなったり、呼びかけに反応できなかったりする状態のことだよ。
病院での用語を教えて
周りの様子が分からなくなる、というと?
体の健康研究家
例えば、意識がぼーっとして、自分がどこにいるのか、誰と話しているのか分からなくなったり、見えているものが実際とは違うものに見えたりする状態だね。ひどい場合には、全く反応がなくなり、眠っているように見える「昏睡」という状態になることもあるよ。
意識障害とは。
「意識障害」とは、ものの分かり方がぼんやりとしてしまい、周りの刺激や呼びかけに反応できなかったり、置かれている状況を正しく理解できなかったりする状態のことです。意識障害には、大きく分けて「意識混濁」と「意識変容」の二つがあります。周りの刺激や呼びかけに反応を示さない状態を「意識混濁」、実際にはないものが見えたり(幻覚)、考えがまとまらなくなったりする状態(錯乱)などを「意識変容」といいます。意識障害の中でも最も重い状態は「昏睡」と呼ばれ、完全に意識を失ってしまいます。
意識障害とは
– 意識障害とは意識障害とは、周囲の状況や自分自身の状態を正しく認識することが難しくなった状態を指します。私たちが普段、あたりまえに周りの風景を見たり、人の話を聞いて理解したり、考えたりできるのは、脳が正常に機能しているおかげです。そして、この脳の働きによって保たれている、周囲や自己を認識する能力を「意識」と呼びます。しかし、病気や怪我など、様々な原因によって脳がダメージを受けると、この「意識」を正常に保つことが難しくなり、様々な異常が現れます。これが意識障害です。意識障害の症状は、その程度によって大きく異なります。軽度の意識障害では、ぼーっとしている、何となく反応が鈍いなど、周囲の人もあまり気づかないことがあります。しかし、重度の意識障害になると、呼びかけに全く反応しなくなったり、自分の名前すら分からなくなったり、場合によっては、自力で呼吸をすることも、心臓を動かすことも難しくなり、生命の危機に瀕することもあります。意識障害は、決して他人事ではありません。脳卒中や頭部外傷、低血糖など、比較的誰にでも起こりうる病気や怪我によって引き起こされる可能性があります。普段と様子が違うと感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。
項目 | 説明 |
---|---|
定義 | 周囲の状況や自分自身の状態を正しく認識することが難しくなった状態 |
正常時 | 脳が正常に機能することで、周囲や自己を認識できる(意識を保つことができる) |
意識障害発生時 | 病気や怪我などにより脳がダメージを受け、意識を正常に保てなくなる |
症状 | 軽度:ぼーっとする、反応が鈍いなど 重度:呼びかけへの無反応、自分の名前もわからない、呼吸困難、心停止など |
原因 | 脳卒中、頭部外傷、低血糖など |
意識障害の種類
– 意識障害の種類
意識障害は、周囲への反応や認識に異常をきたし、大きく分けて「意識混濁」と「意識変容」の二つに分類されます。
-# 意識混濁
意識混濁は、意識レベルが全体的に低下した状態です。周囲の状況を正しく認識することが難しくなり、呼びかけに対する反応が遅延したり、質問にうまく答えられなくなったりします。また、意識レベルの低下に伴い、強い眠気を感じたり、ぼーっとしたりする状態が続くこともあります。
-# 意識変容
一方、意識変容は、意識の内容そのものが変化した状態です。周囲の状況は理解できているように見えても、現実とは異なる認識や行動が見られるようになります。例えば、実際には存在しないものが見える幻覚や、根拠のない考えにとらわれる妄想などが現れることがあります。また、急に興奮状態になったり、反対に無気力で動けなくなったりするなど、感情や行動にも大きな変化が現れることがあります。
-# 重要なポイント
意識混濁と意識変容は、いずれも一時的なものではなく、持続的に症状が現れることが特徴です。もし、周囲の人で意識障害が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。早急な診断と適切な治療が、その後の経過を大きく左右します。
分類 | 説明 | 症状 |
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意識混濁 | 意識レベルが全体的に低下した状態 | ・周囲の状況を正しく認識することが難しい ・呼びかけに対する反応が遅延する ・質問にうまく答えられない ・強い眠気を感じる ・ぼーっとする |
意識変容 | 意識の内容そのものが変化した状態 | ・現実とは異なる認識や行動が見られる ・幻覚 ・妄想 ・急な興奮状態 ・無気力 |
意識障害の原因
意識障害は、周囲の状況を認識することができず、自分自身を表現することが困難な状態を指します。この状態を引き起こす原因は実に様々で、大きく二つに分類することができます。一つは脳そのものに異常が生じる場合、もう一つは脳以外の臓器に異常が生じ、その影響が脳に及ぶ場合です。
まず、脳に直接原因がある場合、脳卒中、頭部外傷、脳腫瘍、髄膜炎、脳炎といった病気が考えられます。脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなる病気を指します。頭部外傷は、頭を強く打つことによって脳に損傷が生じることを指し、その程度は軽度なものから重篤なものまで様々です。脳腫瘍は、脳内に腫瘍ができることで、周囲の組織を圧迫したり、脳の働きを阻害したりします。髄膜炎は、脳や脊髄を覆う髄膜に炎症が生じる病気で、高熱や頭痛、意識障害などを引き起こします。脳炎は、脳そのものに炎症が生じる病気で、ウイルスや細菌感染などが原因となります。
一方、脳以外の臓器に原因がある場合、呼吸不全、心不全、肝不全、腎不全、糖尿病などが挙げられます。これらの病気は、体内の酸素供給や栄養供給、老廃物の排出といった、生命維持に不可欠な機能を担う臓器に異常が生じることで起こります。その結果、脳が必要とする酸素や栄養が不足したり、逆に体内に毒素が蓄積したりすることで、脳の働きが阻害され、意識障害を引き起こすと考えられています。例えば、呼吸不全は肺の機能が低下することで十分な酸素を取り込めなくなる状態を指し、心不全は心臓の機能が低下することで全身への血液循環が滞る状態を指します。肝不全は肝臓の機能が低下することで、体内の有害物質を分解できなくなる状態を指します。腎不全は腎臓の機能が低下することで、血液中の老廃物を濾過して尿として排出することができなくなる状態を指します。糖尿病は、血液中の糖濃度(血糖値)が高くなる病気で、様々な合併症を引き起こすことが知られています。
原因 | 具体的な病気 | 詳細 |
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脳そのものに異常が生じる場合 | 脳卒中 | 脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなる病気 |
頭部外傷 | 頭を強く打つことによって脳に損傷が生じる | |
脳腫瘍 | 脳内に腫瘍ができることで、周囲の組織を圧迫したり、脳の働きを阻害したりする | |
髄膜炎 | 脳や脊髄を覆う髄膜に炎症が生じる病気 | |
脳炎 | 脳そのものに炎症が生じる病気。ウイルスや細菌感染などが原因となる。 | |
脳以外の臓器に異常が生じ、その影響が脳に及ぶ場合 | 呼吸不全 | 肺の機能が低下することで十分な酸素を取り込めなくなる状態 |
心不全 | 心臓の機能が低下することで全身への血液循環が滞る状態 | |
肝不全 | 肝臓の機能が低下することで、体内の有害物質を分解できなくなる状態 | |
腎不全 | 腎臓の機能が低下することで、血液中の老廃物を濾過して尿として排出することができなくなる状態 | |
糖尿病 | 血液中の糖濃度(血糖値)が高くなる病気で、様々な合併症を引き起こすことが知られている |
意識障害の診断
– 意識障害の診断意識障害の診断は、患者さんの意識レベルを評価することから始まります。まず、患者さんに呼びかけたり、軽く体を叩いたりして反応を見ます。開眼するかどうか、目線が追従するか、言葉を発するか、指示に従って体を動かせるかなどを確認し、意識の程度を段階的に評価していきます。次に、問診を行います。意識障害が現れた時の状況、症状の経過、既往歴や服用中の薬などについて、家族や周囲にいた人から詳しく話を聞きます。いつ、どこで、どのような症状が現れ、どのように変化したのかを把握することは、原因を特定するために非常に重要です。さらに、様々な検査を行い、原因を突き止めます。脳の構造異常を調べるために、頭部CT検査やMRI検査を行います。これらの検査によって、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、頭蓋内出血、脳腫瘍などが明らかになることがあります。また、髄膜炎や脳炎が疑われる場合には、髄液検査を行います。血液検査では、炎症反応、電解質異常、血糖値、肝機能、腎機能などを調べます。低血糖、薬物中毒、肝性脳症、腎性脳症など、脳以外の臓器の機能不全が原因で意識障害が起こっている場合もあります。また、脳波検査を行い、てんかん発作などの脳の電気活動異常を調べることもあります。これらの検査結果と診察所見を総合的に判断し、意識障害の原因を特定していきます。
診断項目 | 詳細 |
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意識レベルの評価 | – 患者に呼びかけたり、体を軽く叩いたりして反応を確認 – 開眼、目線の追従、発語、指示への反応などを観察し、意識レベルを段階的に評価 |
問診 | – 意識障害発生時の状況、症状の経過、既往歴、服用中の薬などを家族や周囲の人から聞き取り – いつ、どこで、どのような症状が現れ、どのように変化したかを把握 |
検査 | – 頭部CT検査、MRI検査:脳出血、脳梗塞、頭蓋内出血、脳腫瘍などの有無を確認 – 髄液検査:髄膜炎や脳炎の疑いがある場合に実施 – 血液検査:炎症反応、電解質異常、血糖値、肝機能、腎機能などをチェックし、脳以外の臓器の機能不全の可能性を検討 – 脳波検査:てんかん発作などの脳の電気活動異常を調べる |
意識障害の治療
– 意識障害の治療意識障害の治療は、その原因や症状の重さによって大きく異なってきます。軽い意識障害の場合、まず原因を探ることから始めます。例えば、血糖値の低下が原因で意識障害が起きている場合は、ブドウ糖を点滴で投与することで、意識レベルの回復が見込めます。また、細菌による髄膜の炎症、いわゆる髄膜炎が原因の場合は、抗生物質を投与することで治療を行います。このように、原因となっている病気を特定し、適切な治療を行うことで、意識障害からの回復が期待できます。一方、意識障害が重い場合は、より専門的な治療が必要となるため、集中的に治療が行える設備の整った集中治療室(ICU)での管理が必要になります。 ICUでは、自発呼吸が困難な場合は人工呼吸器を用いた呼吸管理を行い、口から食事をとることができない場合は、点滴によって栄養を補給します。さらに、常に変化する血圧や体温を管理するために、様々な医療機器を用いて全身状態を監視します。また、脳の腫れを抑える薬や、脳の代謝を改善する薬などを用いることで、脳へのダメージを最小限に抑える治療も行います。このように、意識障害の治療は原因や重症度によって大きく異なるため、それぞれの患者さんの状態に合わせた適切な治療を行うことが重要です。
意識障害の程度 | 治療方針 | 具体的な治療法 |
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軽度 | 原因の特定と治療 | – 血糖値低下の場合:ブドウ糖点滴 – 髄膜炎の場合:抗生物質投与 |
重度 | 集中治療室(ICU)での管理 | – 人工呼吸器による呼吸管理 – 点滴による栄養補給 – 医療機器による全身状態の監視 – 脳の腫れを抑える薬物療法 – 脳の代謝を改善する薬物療法 |