血液の隠れた主役:血漿の役割
病院での用語を教えて
先生、「血漿」って、血液の中にあるって習ったんですけど、どんなものなんですか?
体の健康研究家
そうだね。「血漿」は血液の中にあって、黄色っぽい液体のことだよ。血液を遠心分離機にかけると、上に黄色っぽい液体と、下に赤っぽい塊に分かれるだろう?あの黄色い部分が「血漿」だよ。
病院での用語を教えて
そうなんですね。じゃあ、あの赤い塊は何ですか?
体の健康研究家
それは赤血球や白血球、血小板といった血液の細胞成分が集まったものだよ。つまり、血液は細胞成分とその周りの液体成分である「血漿」で出来ているんだね。
血漿とは。
人間の体の中を流れる血液には、赤血球や白血球といった細胞以外の部分が含まれており、これを血しょうと呼びます。血液全体の約6割がこの血しょうで、残りの約4割が細胞成分です。血液を試験管に入れてぐるぐる回して分離させると、細胞成分は底に沈み、黄色っぽい液体部分が上澄みとして現れます。これが血しょうです。
血漿ってなに?
私たちの体内を巡る血液は、大きく分けて二つの成分で構成されています。一つは赤血球、白血球、血小板といった細胞成分で、もう一つは液体成分である血漿です。血漿は血液全体の約6割を占めており、血液をなめらかに体中に循環させるという重要な役割を担っています。
血液を採取し、試験管に入れたまま高速で回転させることで成分ごとに分離することができます。この操作は遠心分離と呼ばれ、医療現場でも広く活用されています。遠心分離を行うと、重い細胞成分は試験管の底に沈み、上部に透明な薄い黄色の液体部分が現れます。これが血漿です。
血漿の約9割は水分ですが、残りの約1割には、タンパク質、ブドウ糖、脂質、電解質、ビタミン、ホルモンなど様々な成分が含まれています。これらの成分は、体の各組織へ栄養や酸素を運び、老廃物を運び出す役割を担っています。また、免疫機能や血液凝固など、私たちの体を健康に維持するために重要な役割も担っています。
成分 | 割合 | 役割 |
---|---|---|
血液細胞成分 (赤血球、白血球、血小板) |
約4割 | – 酸素運搬 (赤血球) – 免疫機能 (白血球) – 血液凝固 (血小板) |
血漿 | 約6割 | – 血液をなめらかに循環させる – 栄養や酸素を運搬 – 老廃物を運び出す – 免疫機能 – 血液凝固 |
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– 体の機能維持 |
血漿の成分と働き
私たちの体内を流れる血液は、赤い色をした細胞成分である赤血球と、黄色味を帯びた液体成分である血漿から成り立っています。血漿は血液全体の約55%を占めており、体にとって重要な役割を担っています。
血漿の約90%は水でできています。水は、体温調節や物質の運搬など、生命維持に欠かせない役割を果たしています。残りの約10%には、様々な物質が溶け込んでいます。
血漿に溶けているタンパク質には、アルブミンやグロブリンなどがあります。アルブミンは、血液の浸透圧を維持することで、血管内の水分量を調節し、細胞に水分が過剰に流入したり、逆に細胞内の水分が血管内に過剰に流出したりするのを防いでいます。また、ホルモンや栄養素と結合し、体全体に運搬する役割も担っています。グロブリンは、免疫に関わる抗体として、体内に侵入した細菌やウイルスから体を守る働きをしています。
その他にも、ナトリウムやカリウムなどの電解質は、体内の水分バランスやpHバランスを調節することで、細胞が正常に機能する環境を維持しています。グルコースなどの栄養素は、細胞のエネルギー源として利用され、生命活動の維持に貢献しています。さらに、血漿は、細胞の活動によって生じた老廃物を、腎臓などの臓器に運搬し、体外へ排出する役割も担っています。
成分 | 割合 | 主な役割 |
---|---|---|
血漿 | 血液全体の約55% | – |
水 | 血漿の約90% | 体温調節、物質の運搬 |
タンパク質 | 血漿の約7% | – |
アルブミン | – | 血液の浸透圧維持、ホルモンや栄養素の運搬 |
グロブリン | – | 抗体として免疫機能に関与 |
電解質(ナトリウム、カリウムなど) | – | 体内の水分バランスやpHバランスの調節 |
栄養素(グルコースなど) | – | 細胞のエネルギー源 |
老廃物 | – | 腎臓などに運搬し、体外へ排出 |
血漿と病気の関係
私たちの体内を循環する血液は、赤い色をした細胞成分と淡い黄色の液体成分である血漿から成り立っています。
血漿は、単なる水分ではなく、栄養素やホルモン、老廃物など様々な物質を運ぶ役割を担っています。そして、この血漿に含まれる特定の成分を調べることで、様々な病気の診断や体の状態を把握することができるのです。
例えば、食事で摂取した糖質は、体内でエネルギー源となるブドウ糖へと変化し、血漿によって全身に運ばれます。この血漿中のブドウ糖の濃度を血糖値と呼びますが、この値を測定することで糖尿病の診断や治療効果の判定を行うことができます。血糖値が高い状態が続くと血管に負担がかかり、様々な合併症を引き起こすリスクが高まるため、日頃から適切な血糖値を保つことが大切です。
また、肝臓は、血液中のタンパク質の量を調整する重要な役割を担っており、肝臓で作られるタンパク質の量を調べることで、肝機能を評価することができます。もし、肝臓に何らかの異常があると、このタンパク質の量が減少したり、逆に増加したりすることがあります。
さらに、コレステロールや中性脂肪といった脂質も、血漿によって全身に運ばれています。これらの脂質の値を調べることで、動脈硬化のリスクを評価することも可能です。動脈硬化は、血管の壁にコレステロールなどが溜まり、血管が硬く狭くなる病気で、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を引き起こす可能性があります。
このように、一見、単純な液体に見える血漿ですが、私たちの健康状態を把握するための重要な情報源となっています。
血漿成分 | 役割と検査項目 | 関連する病気・状態 |
---|---|---|
ブドウ糖 | エネルギー源として全身に運搬 血糖値測定により、糖尿病の診断や治療効果判定 |
糖尿病 |
タンパク質 | 肝臓で生成され、血液中のタンパク質量を調整 タンパク質量の測定により、肝機能評価 |
肝機能異常 |
脂質 (コレステロール、中性脂肪) | 全身への脂質運搬 脂質値測定により、動脈硬化のリスク評価 |
動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞 |
血漿の利用
– 血漿の利用血液の重要な構成要素である血漿は、医療現場において様々な形で利用され、人々の命を救い、健康を支えています。最も知られている利用方法の一つに、輸血があります。事故や手術などで大量の出血が起こると、体内の血液量が減少し、酸素を運ぶ能力が低下してしまいます。このような場合、赤血球と共に血漿を輸血することで、減少した血液量を補い、循環機能を維持することができます。また、血漿は、様々な医薬品の原料としても大変重要な役割を担っています。血漿を分離・精製することによって、アルブミンや免疫グロブリンといった重要なタンパク質を抽出することができます。アルブミンは、血液中の水分量を調節したり、栄養素を運搬したりする機能を持つため、肝臓病や腎臓病の治療に用いられます。一方、免疫グロブリンは、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体に対する抵抗力を持つため、免疫力が低下した患者さんや特定の感染症の予防や治療に用いられます。このように、血漿は輸血製剤や医薬品として、医療現場において幅広く活用され、私たちの健康維持に大きく貢献しています。 今後、さらに血漿の有効利用が進むことで、より多くの患者さんの治療に役立ち、医療の発展に繋がることが期待されます。
血漿の利用方法 | 用途 | 効果 |
---|---|---|
輸血 | 事故や手術などによる大量出血時 | 減少した血液量を補い、循環機能を維持 |
医薬品の原料 | アルブミンや免疫グロブリンといった重要なタンパク質を抽出 | |
医薬品 | アルブミン | 肝臓病や腎臓病の治療 |
免疫グロブリン | 免疫力が低下した患者さんや特定の感染症の予防や治療 |
献血と血漿
皆さんは、病気や怪我の治療に欠かせない血液が、献血によって支えられていることをご存知でしょうか。近年では、献血された血液を有効活用するために、血液を成分ごとに分けて利用する「成分献血」が主流となっています。成分献血では、体積の大きい赤血球や血小板などを必要とする患者さんに優先的に使用し、残りの成分である血漿は、別の患者さんの治療に役立てられます。
成分献血の中でも、血漿だけを採取する方法を「血漿成分献血」と言います。血漿は血液中の液体成分であり、血液を凝固させる働きを持つ成分や、免疫に関わる成分など、様々な重要な役割を担っています。特に、やけどや手術などで大量の出血が起きた場合や、血液を固りにくくする薬を服用している患者さんの治療には、血漿製剤が欠かせません。
血漿成分献血は、献血後48時間以上経過すれば再び献血が可能となります。これは、血漿は血液中の細胞成分と比べて回復が早いためです。献血の機会が増えることは、より多くの患者さんの命を救うことに繋がります。
医療現場では、今日も多くの患者さんが輸血を必要としています。血液は人工的に作ることはできません。献血は、まさに命をつなぐボランティアと言えるでしょう。ぜひ、献血にご協力をお願いします。
献血の種類 | 主な特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
成分献血 | 血液を成分ごとに分けて利用する方法 | 赤血球、血小板などを必要とする患者に優先的に使用 |
血漿成分献血 | 血漿だけを採取する方法 献血後48時間以上経過すれば再び献血が可能 |
やけどや手術などで大量の出血が起きた場合 血液を固りにくくする薬を服用している患者さんの治療 |