輸血医療の要!交差適合試験とは?
病院での用語を教えて
先生、『交差適合試験』ってどんな検査ですか?難しそうな名前でよくわかりません。
体の健康研究家
そうだね。『交差適合試験』は、手術などで輸血が必要な時に、患者さんと血液を提供してくれる人の血液が合うかどうかを調べる大切な検査なんだよ。
病院での用語を教えて
血液が合わないとどうなるんですか?
体の健康研究家
合わない血液を輸血してしまうと、体に悪い影響が出てしまうんだ。そこで、事前に『交差適合試験』をして、安全な輸血ができるようにしているんだよ。
交差適合試験とは。
「交差適合試験」は、病気や怪我をした人に輸血を行う際に、血液を提供してくれる人と血液を受け取る人の血液が合うかどうかを調べる検査のことです。この検査は「こうさてきごうしけん」と読み、「クロスマッチ」や「クロスマッチングテスト」と呼ばれることもあります。
輸血と血液型の関係
私たちは、病気や怪我などで血液が不足すると、輸血によって血液を補います。輸血は、不足した血液を補うことで、命を救うための大切な医療行為です。しかし、輸血を行う際には、血液型に注意しなければなりません。なぜなら、自分と異なる血液型の血液を輸血されると、血液の中で抗原抗体反応という免疫反応が起こり、体に深刻な影響を及ぼす可能性があるからです。
人間の血液は、大きくA型、B型、AB型、O型の4つの血液型に分類されます。これは、赤血球の表面にある抗原と、血漿中に含まれる抗体の種類によって決まります。A型の人はA抗原と抗B抗体、B型の人はB抗原と抗A抗体、AB型の人はA抗原とB抗原を持っていますが、抗体は持っていません。O型の人は、抗原を持たず、抗A抗体と抗B抗体の両方を持っています。
輸血の際には、この血液型を合わせる必要があります。例えば、A型の人にB型の血液を輸血すると、A型の人の中にある抗B抗体が、B型血液中のB抗原と反応し、赤血球を破壊してしまいます。これが抗原抗体反応で、発熱や吐き気、最悪の場合、ショック症状を引き起こし、死に至ることもあります。
安全な輸血を行うためには、血液型について正しく理解し、血液型に合った輸血を受けることが重要です。輸血は、多くの場合、緊急を要するため、日頃から自分の血液型を知っておくことが大切です。
血液型 | 抗原 | 抗体 |
---|---|---|
A型 | A | 抗B |
B型 | B | 抗A |
AB型 | AとB | なし |
O型 | なし | 抗Aと抗B |
血液型不適合と輸血反応
私たちは普段、あまり意識することはありませんが、血液にはA型、B型、O型、AB型といったようにいくつかの種類(血液型)があります。輸血を行う際には、この血液型を正確に把握することが非常に重要です。なぜなら、異なる血液型を輸血してしまうと、血液型不適合という反応が起こり、命に関わるような深刻な事態を引き起こす可能性があるからです。
私たちの血液中には、自分の血液型とは異なる血液型に対して攻撃を仕掛ける「抗体」と呼ばれる物質が存在します。例えば、A型の人はB型の血液に対して攻撃する抗体を持っています。もし、A型の人に誤ってB型の血液を輸血してしまうと、A型の人が元々持っている抗体が、輸血されたB型の血液中の赤血球を異物と見なし、攻撃してしまいます。
この攻撃によって赤血球が破壊されると、様々な症状が現れます。発熱や悪寒、吐き気といった比較的軽い症状が出ることもあれば、血管の中で血液が固まり、血流が滞ってしまうこともあります。その結果、貧血が悪化したり、腎臓などの臓器に障害が出たり、最悪の場合はショック状態に陥り、死に至ることもあります。
輸血は、病気や怪我などで失われた血液を補うための大切な医療行為です。しかし、血液型不適合のリスクを避けるため、輸血を行う前には必ず血液型の確認を行い、安全性を確保することが何よりも重要です。
血液型不適合を起こした場合のリスク | 症状 |
---|---|
血液凝固、血流停滞 | 貧血の悪化、腎臓などの臓器障害、ショック状態、死亡 |
赤血球の破壊 | 発熱、悪寒、吐き気 |
交差適合試験の重要性
輸血は、病気や怪我などで失われた血液を補うための重要な医療行為です。安全に輸血を行うためには、血液型検査に加えて、交差適合試験が欠かせません。
血液型検査では、ABO式やRh式といった主な血液型を調べます。しかし、血液型には、これらの主なもの以外にも、非常に多くの種類が存在します。血液型検査だけでは、これらの稀な血液型の不適合を見つけることはできません。また、過去に受けた輸血や妊娠によって、血液中に特定の血液型に対する抗体が作られている場合があります。このような場合、血液型検査では異常がなくても、輸血によって重い副作用が起きる可能性があります。
交差適合試験は、実際に患者さんの血液と、輸血予定の血液を少量ずつ混ぜ合わせて、目視や顕微鏡で観察する試験です。この試験を行うことで、血液型検査だけでは発見できない、稀な血液型不適合や、予期せぬ抗体の存在などを確認することができます。
このように、交差適合試験は、安全な輸血のために非常に重要な検査です。輸血を受ける際には、必ずこの試験が行われていることを確認しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
血液型検査 | – ABO式、Rh式といった主な血液型を調べる。 – 稀な血液型の不適合や、過去の輸血や妊娠によってできた抗体の存在は見つけられない場合がある。 |
交差適合試験 | – 患者さんの血液と輸血予定の血液を少量ずつ混ぜ合わせて、目視や顕微鏡で観察する。 – 血液型検査だけでは発見できない、稀な血液型不適合や、予期せぬ抗体の存在などを確認できる。 |
交差適合試験の方法
輸血を行う際には、患者さんにとって安全な血液であるかを確かめるために、交差適合試験と呼ばれる検査が必須です。この試験は、大きく分けて主試験と予備試験の二つの段階から成り立ちます。
まず、主試験では、実際に患者さんの体内に入れる輸血予定の血液を用います。患者さんの血液から分離した血清と、輸血予定の血液を混ぜ合わせ、目視で観察したり、専用の機械を用いたりして、凝集や溶血といった反応が起こるかどうかを調べます。凝集とは、赤血球同士がくっつき合ってしまう現象で、溶血とは赤血球が破壊されてしまう現象です。これらの反応が見られる場合は、血液型不適合などの問題があり、輸血によって重大な副作用を引き起こす可能性があるため、輸血は行えません。
一方、予備試験では、患者さんの赤血球と、輸血予定の血液から分離した血清を用いて、同様の凝集や溶血の反応を調べます。
主試験と予備試験の両方で、凝集や溶血といった反応が見られず、陰性という結果であれば、安全に輸血を行うことができると判断されます。このように、二段階の異なる方法で慎重に検査を行うことで、より安全な輸血を実現しています。
試験 | 目的 | 方法 | 判定 |
---|---|---|---|
主試験 | 輸血予定の血液が患者さんの血液と適合するかを調べる。 | 患者血清 + 輸血予定血液 ・凝集反応の有無 ・溶血反応の有無 |
反応があれば陽性、なければ陰性 |
予備試験 | 患者さんの赤血球と輸血予定の血清との適合性を調べる。 | 患者赤血球 + 輸血予定血清 ・凝集反応の有無 ・溶血反応の有無 |
反応があれば陽性、なければ陰性 |
安全な輸血のために
輸血は、手術や治療などで失われた血液を補うための重要な医療行為です。多くの場合、輸血によって患者さんの命を救ったり、健康を回復させたりすることができます。しかし、血液は私たちの体にとって非常に重要な役割を担っているため、安易に他の人の血液を輸血できるわけではありません。もしも血液型が異なる血液を輸血してしまうと、血液型不適合という重い副作用を引き起こし、最悪の場合、命に関わる可能性もあるのです。安全な輸血を行うためには、血液型検査と交差適合試験が欠かせません。
血液型検査では、患者さんの血液型を正確に調べます。私たちが普段A型、B型などと呼んでいる血液型は、赤血球の表面にある抗原の違いによって分類されています。血液型が異なる血液を輸血すると、この抗原に対する抗体が体内で作られ、輸血された赤血球を攻撃してしまうのです。これが血液型不適合と呼ばれる反応です。
交差適合試験は、実際に輸血する血液と患者さんの血液を混ぜ合わせて、血液型不適合を起こす可能性がないかを調べる試験です。血液型検査で同じ血液型と判定されても、まれに血液型が細かく異なる場合があり、交差適合試験を行うことで、より安全性を高めることができます。
このように、輸血は多くの命を救う大切な医療行為ですが、安全に行うためには、医療従事者が血液型検査や交差適合試験を適切に行い、患者さんに安全な血液を届ける責任があります。
項目 | 説明 |
---|---|
輸血の重要性 | 手術や治療で失われた血液を補い、命を救ったり健康を回復させたりする。 |
血液型不適合 | 異なる血液型の輸血によって引き起こされる重い副作用。血液型は赤血球表面の抗原の違いで分類され、不適合な血液が体内に入ると、抗体が作られ、輸血された赤血球を攻撃する。 |
血液型検査 | 輸血前に患者さんの血液型を正確に調べる検査。 |
交差適合試験 | 輸血する血液と患者さんの血液を混ぜ合わせ、血液型不適合の可能性がないかを確認する試験。血液型検査で同じでも、細かく異なる場合があり、安全性を高めるために重要。 |
輸血の安全性 | 医療従事者は、血液型検査や交差適合試験を適切に行い、患者さんに安全な血液を届ける責任がある。 |