患者様の生活を支える訪問診療:医療の新しい形
病院での用語を教えて
先生、訪問診療って病院に行くのとどう違うんですか?
体の健康研究家
いい質問ですね。病院に行く場合は、自分から病院に出かけて診察を受けますが、訪問診療は医師が患者さんの家まで来て診察を行います。つまり、病院に行かずに自宅で診察や治療を受けられるということです。
病院での用語を教えて
へえー、家だと安心ですね!でも、病院と同じように診察や治療ができるんですか?
体の健康研究家
その通り!最近では、在宅医療用の機器も発達していて、病院に行かなくても、検査や点滴、場合によっては人工呼吸器を使った治療も受けられるようになっています。もちろん、症状によっては入院が必要な場合もありますが、家でも安心して治療を受けられるようになっているんですよ。
訪問診療とは。
お医者さんが患者さんの家を訪問して、お家で診療を行うことを「訪問診療」と言います。
急に具合が悪くなった時に、一時的に医師に家に来てもらう「往診」とは違い、訪問診療はあらかじめ訪問する日を決め、計画的に治療を進めていくところが大きな違いです。
最近では、家で過ごす患者さんが増えてきたことを受けて、病院と同じレベルの治療を家で受けられるように、たくさんの医療機器が開発されています。
そのおかげで、家でも様々な検査や点滴、呼吸を助ける機械を使った治療、栄養を補う点滴、がんなどのつらい症状を和らげる治療など、病院に行かなくても同じような治療を受けられるようになってきています。
訪問診療では、病院と同じように、医師や看護師など様々な専門家がチームを組んで治療にあたっています。
【訪問診療に携わる人たち】
・医師
患者さんの家を定期的に訪問し、症状が変化しないか、治療の効果が出ているかなどを診ていきます。
症状が落ち着いている場合は、月に2回ほどの訪問が一般的ですが、急変時には、その都度訪問します。
必要があれば、看護師、薬剤師、リハビリテーションの専門家、栄養士などに、訪問して患者さんを診るように指示を出します。
亡くなった方の死亡診断書を書くのも仕事の一つです。
・歯科医師、歯科衛生士
歯科医師と歯科衛生士がチームを組んで患者さんの家を訪問し、治療や口の中のケアを行います。
訪問診療を受ける患者さんの多くはお年寄りなので、虫歯や歯周病のケアだけでなく、入れ歯の調整なども大切な仕事です。
口の中を清潔に保つことで、食べ物を誤って気管に入ってしまい起きる肺炎を予防できると言われています。
・看護師
訪問看護ステーションなどに所属し、医師の指示のもと患者さんの家を訪問します。
体温や脈拍などをチェックしたり、生活しやすいように部屋を整えたり、床ずれのケアや心のケアなど、様々な看護を行います。
・薬剤師
医師の指示に従って患者さんの家を訪問します。
主な仕事は、処方された薬を渡したり、薬の服用を支援したり、薬が余っていないか確認するなど、薬に関する管理全般です。
在宅で療養している患者さんが薬を飲み忘れることがないようにすることも、大切な役目です。
・理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
医師の指示のもとに患者さんの家を訪問します。
患者さんが自分の力で日常生活を送れるように、歩く練習やトイレ動作、食事動作、入浴動作などの練習、家の改造や福祉用具に関するアドバイスなどを行います。
病院へ行かずに医療が受けられる
近年、病院に行かずに医療を受けられる「訪問診療」というサービスが注目されています。これは、病気や怪我、高齢などにより、病院への通院が困難な方のために、医師や看護師が自宅まで訪問して診療を行うというものです。
高齢化が進む現代社会において、病院への往復は体力的な負担が大きく、特に一人暮らしの方や足の不自由な方にとっては大きな負担となっていました。訪問診療は、このような負担を軽減し、住み慣れた自宅で安心して療養生活を送りたいという方々のニーズに応えるものとして、大きな役割を担っています。
訪問診療では、医師による診察や治療、薬の処方、点滴などの医療処置だけでなく、看護師による健康状態の確認や日常生活のサポートなども行われます。さらに、必要に応じてリハビリテーションや栄養指導なども受けられるため、自宅にいながらにして、病院とほぼ同等の医療サービスを受けることが可能となっています。
このように、訪問診療は、患者さんの身体的な負担を軽減するだけでなく、住み慣れた環境で安心して療養生活を送ることを支援し、生活の質の向上にも大きく貢献していると言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
サービス名 | 訪問診療 |
対象者 | 病気、怪我、高齢などにより通院が困難な方 |
サービス内容 | – 医師による診察・治療・薬の処方・点滴などの医療処置 – 看護師による健康状態の確認や日常生活のサポート – リハビリテーション – 栄養指導 |
メリット | – 体力的負担の軽減 – 住み慣れた環境での療養 – 安心して生活できる – 生活の質の向上 |
訪問診療と往診の違い
「お医者さんが自宅に来てくれる」というと、「訪問診療」と「往診」という言葉が思い浮かぶかもしれません。どちらも医師が患者さんの自宅を訪れるという点では共通していますが、実際には異なる医療行為です。
まず、「往診」は、患者さんの容体が急変した場合など、緊急性を要する場合に行われます。例えば、高熱が続く、強い腹痛がある、急に息苦しくなったといった場合が挙げられます。患者さんや家族からの連絡を受けて、医師が緊急で駆けつけるというイメージです。
一方、「訪問診療」は、あらかじめ計画を立て、定期的に患者さんの自宅を訪問し、継続的な医療を提供するものです。通院が困難な方や、自宅での療養を希望される方などを対象としています。計画的に訪問することで、健康状態の変化を早期に発見したり、適切な医療処置を継続的に行ったりすることができます。
このように、往診は緊急性の高い場合に、訪問診療は計画的に継続的な医療を提供する場合に用いられます。どちらも自宅で医療を受けられるというメリットがありますが、それぞれ目的や内容が異なるため、状況に応じて使い分けることが重要です。
項目 | 往診 | 訪問診療 |
---|---|---|
目的 | 緊急性の高い場合の医療行為 | 通院困難な患者等への計画的・継続的な医療の提供 |
対象 | 急な容態の変化(高熱、腹痛、息苦しさなど) | 通院困難な方、自宅療養希望者など |
頻度 | 緊急時、不定期 | 定期(あらかじめ計画) |
進化する在宅医療機器
近年、高齢化社会の進展に伴い、病院ではなく自宅で療養を希望する人が増えています。このような状況の中、自宅にいながら病院と変わらないレベルの医療を受けられるように、様々な医療機器が開発され、進化を遂げています。
従来、血液検査や心電図検査などは病院で行うのが一般的でしたが、現在では小型で持ち運び可能な検査機器が登場しており、自宅にいながら医師の診断を受けることが可能です。また、点滴や人工呼吸器の管理も、自宅で安全かつ容易に行えるような機器が開発され、普及が進んでいます。これらの機器には、患者の状態をリアルタイムで把握できるセンサーや、異常を検知すると自動で医師に連絡する機能などが搭載されており、安全性と利便性を兼ね備えています。
こうした在宅医療機器の進化は、患者の負担を軽減するだけでなく、医師や看護師不足の解消にも繋がる可能性を秘めています。今後、さらに高度な医療を自宅で提供できるよう、医療機器の開発はますます進歩していくと予想されます。
従来 | 現在 | 将来 |
---|---|---|
病院での検査が一般的(血液検査、心電図検査など) | 小型・可搬式の検査機器により、自宅で医師の診断が可能に。 | 更に高度な医療を自宅で提供できるように開発が進む見込み。 |
– | 点滴、人工呼吸器なども、自宅で安全かつ容易に使用可能な機器が登場し普及。 | – |
– | 患者の状態をリアルタイムに把握できるセンサー、異常時に自動で医師に連絡する機能を搭載し、安全性と利便性を両立。 | – |
訪問診療を支える専門家たち
近年、病院から自宅へ帰り、住み慣れた環境で療養生活を送る人が増えています。このような在宅医療を支えるのが訪問診療です。訪問診療は、医師だけが単独で行うのではなく、医師、看護師、薬剤師、理学療法士など、多くの医療専門家がそれぞれの専門知識を生かして、患者さんを支えるチーム医療です。
まず、医師は、患者さんの自宅を訪問し、病状の確認や治療方針の決定、薬の処方などを行います。患者さんの訴えに耳を傾け、診察を通して現在の状態を把握し、適切な治療方針を立てます。そして、看護師は、医師の指示のもと、点滴や注射、床ずれの処置などの医療処置や、食事、入浴、トイレなどの日常生活のサポートを行います。さらに、患者さんや家族が安心して療養生活を送れるよう、病気や治療に関する説明や日常生活のアドバイスなども行います。
薬剤師は、患者さんの服薬状況の確認や薬の管理、飲み合わせの確認、副作用のチェックなどを行います。患者さんが安全かつ効果的に薬を使用できるよう、服薬の指導も行います。理学療法士は、患者さんの身体機能の回復や維持を目指し、関節の動きを良くする運動や筋力トレーニングなどのリハビリテーションを行います。
このように、訪問診療は、医師、看護師、薬剤師、理学療法士など、多くの医療専門家がそれぞれの専門性を発揮し、連携することで成り立っています。そして、患者さん一人ひとりの状態に合わせた医療を提供することで、住み慣れた自宅での生活を継続できるようサポートしています。
専門家 | 役割 |
---|---|
医師 | – 病状の確認、治療方針の決定、薬の処方 – 患者さんの訴えを聞き、診察を通して適切な治療方針を立てる |
看護師 | – 医師の指示に基づく医療処置(点滴、注射、床ずれの処置など) – 日常生活のサポート(食事、入浴、トイレなど) – 病気や治療に関する説明、日常生活のアドバイス |
薬剤師 | – 服薬状況の確認、薬の管理、飲み合わせの確認、副作用のチェック – 安全かつ効果的な薬の使用のための服薬指導 |
理学療法士 | – 身体機能の回復や維持のためのリハビリテーション – 関節の動きを良くする運動や筋力トレーニング |
多職種連携の重要性
近年、病院から自宅へと療養の場を移す患者さんが増えています。このような在宅医療においては、医師や看護師だけでなく、薬剤師、理学療法士、ケアマネージャーなど、様々な専門職が連携して患者さんを支える体制、すなわち多職種連携が非常に重要となります。
訪問診療では、医師は診察や治療、看護師は日常生活の援助や医療処置、薬剤師は薬の管理や指導、理学療法士はリハビリテーションなど、それぞれの専門性を活かして患者さんのケアにあたります。そして、これらの専門職が互いに連携し、情報を共有することで、患者さんの状況を多角的に把握することが可能となります。例えば、薬剤師は患者さんの服薬状況を医師や看護師に伝えることで、副作用の早期発見や適切な薬の調整に役立てることができます。また、理学療法士は患者さんの身体機能や自宅環境を医師や看護師に報告することで、より安全で効果的なリハビリテーション計画を作成することができます。
さらに、多職種連携は、患者さんやその家族の希望を尊重した医療を提供するためにも重要です。患者さんや家族の抱える不安や悩みに対して、医師や看護師だけでなく、薬剤師や理学療法士、ケアマネージャーなど、それぞれの専門家がそれぞれの立場から助言や支援を行うことで、患者さんの生活の質向上にも貢献することができます。
このように、訪問診療における多職種連携は、患者さん中心の医療を提供するために欠かせないものです。 それぞれの専門職が積極的にコミュニケーションを図り、互いの専門性を尊重しながら連携していくことが、患者さんの安心と安全な在宅療養を支えることに繋がります。
専門職 | 役割 | 多職種連携での貢献例 |
---|---|---|
医師 | 診察、治療 | – |
看護師 | 日常生活の援助、医療処置 | – |
薬剤師 | 薬の管理、指導 | 服薬状況を医師や看護師に伝達し、副作用の早期発見や薬の調整に貢献 |
理学療法士 | リハビリテーション | 患者さんの身体機能や自宅環境に関する情報を共有し、効果的なリハビリテーション計画の作成に貢献 |
ケアマネージャー | – | – |