身近な病気:蓄膿症について
病院での用語を教えて
先生、『蓄膿症』ってよく聞くんですけど、どんな病気なんですか?
体の健康研究家
良い質問だね。『蓄膿症』は、鼻の奥にある空洞『副鼻腔』に膿がたまる病気だよ。
病院での用語を教えて
鼻の奥に膿がたまるんですか? なんで、そんなことになるんですか?
体の健康研究家
風邪やアレルギーで鼻の炎症が長引くと、副鼻腔の入り口がふさがってしまい、膿がたまってしまうんだ。だから、『蓄膿症』は『慢性副鼻腔炎』とも呼ばれているんだよ。
蓄膿症とは。
「蓄膿症」は医学や健康に関する言葉で、慢性副鼻腔炎のことを一般的にこう呼びます。
蓄膿症とは
– 蓄膿症とは蓄膿症は、医学的には慢性副鼻腔炎と呼ばれ、鼻の奥にある空洞、副鼻腔に炎症が起こり、膿が溜まった状態を指します。この副鼻腔は、頬や目の奥、おでこなど顔面の骨の中に左右対称にいくつか存在し、鼻腔と細い通路でつながっています。通常、副鼻腔の内側は薄い粘膜で覆われており、空気の通り道となるだけでなく、声の響きを良くしたり、吸い込んだ空気の加湿や温度調節などの役割を担っています。しかし、風邪やアレルギー性鼻炎などによって鼻の粘膜に炎症が起こると、この副鼻腔へと続く通路が狭くなり、炎症が副鼻腔にまで広がってしまうことがあります。すると、副鼻腔の粘膜からも鼻水と似たような分泌液が排出されますが、炎症によって腫れ上がった粘膜により、分泌液が排出されずに副鼻腔内に溜まってしまい、細菌が増殖して膿が溜まってしまうのです。これが蓄膿症のメカニズムです。蓄膿症になると、鼻詰まりや鼻水、顔面の痛み、嗅覚障害などの症状が現れます。さらに、炎症が長引くと、頭痛や集中力の低下、倦怠感、微熱などの症状が現れることもあります。これらの症状は、日常生活に支障をきたすだけでなく、放置すると重症化して合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
項目 | 詳細 |
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定義 | 鼻の奥にある空洞、副鼻腔に炎症が起こり、膿が溜まった状態 |
副鼻腔の役割 | 空気の通り道、声の響きを良くする、吸い込んだ空気の加湿や温度調節 |
原因 | 風邪やアレルギー性鼻炎などによる鼻の炎症が副鼻腔に広がる |
メカニズム | 炎症により副鼻腔の粘膜が腫れ、分泌液が排出されずに溜まり、細菌が増殖して膿になる |
症状 | 鼻詰まり、鼻水、顔面の痛み、嗅覚障害、頭痛、集中力の低下、倦怠感、微熱など |
合併症のリスク | 放置すると重症化し、合併症を引き起こす可能性あり |
蓄膿症の原因
蓄膿症は、鼻腔とつながっている副鼻腔という空洞に膿が溜まる病気です。その原因はさまざまであり、最も多いのはウイルスや細菌による感染症です。例えば、風邪をひいた際に、鼻の粘膜に炎症が起こり、それが副鼻腔まで広がってしまうことで発症します。
また、アレルギー性鼻炎や鼻茸(はなたけ)も、蓄膿症のリスクを高める要因となります。アレルギー性鼻炎は、花粉やダニなどのアレルゲンによって鼻の粘膜に炎症が起こる病気で、鼻茸は、鼻の粘膜にできるポリープ状の腫瘤のことです。これらの病気があると、鼻の粘膜が腫れやすくなったり、鼻汁の排出が悪くなったりするため、細菌感染を起こしやすくなり、蓄膿症を引き起こしやすくなると考えられています。
さらに、生まれつき鼻の骨が曲がっている鼻中隔弯曲症などの構造的な問題も、蓄膿症の原因となります。鼻中隔弯曲症があると、鼻腔が狭くなったり、空気が通りにくくなったりするため、鼻の粘膜に炎症が起こりやすくなるためです。
その他、加齢やストレス、栄養不足などによって免疫力が低下すると、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まり、蓄膿症を発症しやすくなることもあります。このように、蓄膿症は、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症すると考えられます。
原因 | 説明 |
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ウイルスや細菌による感染症 | 風邪などにより鼻の粘膜に炎症が起こり、副鼻腔に広がることで発症する。 |
アレルギー性鼻炎 | 花粉やダニなどのアレルゲンによって鼻の粘膜に炎症が起こり、細菌感染を起こしやすくなる。 |
鼻茸(はなたけ) | 鼻の粘膜にできるポリープ状の腫瘤。鼻の粘膜が腫れやすくなり、鼻汁の排出が悪くなり、細菌感染を起こしやすくなる。 |
鼻中隔弯曲症 | 生まれつき鼻の骨が曲がっていることで、鼻腔が狭くなり、鼻の粘膜に炎症が起こりやすくなる。 |
免疫力の低下 | 加齢やストレス、栄養不足などによって免疫力が低下すると、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まり、蓄膿症を発症しやすくなる。 |
蓄膿症の症状
蓄膿症は、鼻の奥にある空洞(副鼻腔)に膿が溜まってしまう病気です。この病気になると、鼻の奥に溜まった膿が原因で様々な症状が現れます。
代表的な症状としては、まず鼻の詰まりがあります。これは、炎症によって副鼻腔の粘膜が腫れ上がり、鼻の空気の通り道を塞いでしまうために起こります。また、鼻水にも変化が現れます。健康な状態であれば透明でサラサラとしている鼻水が、蓄膿症になると黄色や緑色のもったりとした鼻水に変わります。これは、膿が鼻水に混ざっているためです。さらに、鼻水が喉に流れ落ちる後鼻漏もよく見られる症状です。
これらの症状に加えて、顔面にも症状が現れることがあります。炎症を起こした副鼻腔がある頬や目の周りなどに痛みや圧迫感を感じることがあります。また、蓄膿症が原因で嗅覚に異常を感じたり、頭痛、咳、倦怠感、微熱などの症状を伴うこともあります。
蓄膿症は、症状の程度や現れ方が人によって大きく異なります。そのため、風邪と似た症状が出てしまうこともあり、注意が必要です。風邪のような症状が長引く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
症状 | 詳細 |
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鼻の詰まり | 炎症による副鼻腔の粘膜の腫れが原因 |
鼻水 | 黄色や緑色のもったりとした鼻水に変化 |
後鼻漏 | 鼻水が喉に流れ落ちる |
顔面の痛みや圧迫感 | 炎症を起こした副鼻腔周辺に発生 |
その他 | 嗅覚異常、頭痛、咳、倦怠感、微熱など |
蓄膿症の治療法
慢性副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症の治療においては、薬物療法が主要な役割を担います。 具体的には、鼻の粘膜に生じた炎症を抑えるために、ステロイド薬を点鼻薬として使用します。 さらに、細菌感染が確認された場合には、原因となる細菌を排除するために抗菌薬が処方されます。
薬物療法に加えて、鼻洗浄やネブライザー療法なども重要な治療法です。 鼻洗浄は、生理食塩水などを用いて鼻腔内を洗浄することで、粘液の排出を促し、炎症の原因となる物質や細菌を取り除きます。 ネブライザー療法は、薬剤を霧状にして鼻腔や副鼻腔に直接届けることで、効果的に炎症を抑え、症状の改善を図ります。
これらの治療を続けても効果が不十分な場合や、鼻茸(ポリープ)などの合併症がある場合には、手術療法が検討されます。 手術では、内視鏡を用いて鼻腔内の狭窄した部分を広げたり、副鼻腔への排膿を促したりすることで、根本的な治療を目指します。
治療法 | 詳細 |
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薬物療法 | – ステロイド薬の点鼻薬:鼻の粘膜の炎症を抑える – 抗菌薬:細菌感染がある場合に、原因菌を排除 |
鼻洗浄 | 生理食塩水などを用いて鼻腔内を洗浄し、粘液の排出を促し、炎症の原因となる物質や細菌を取り除く |
ネブライザー療法 | 薬剤を霧状にして鼻腔や副鼻腔に直接届け、効果的に炎症を抑え、症状の改善を図る |
手術療法 | 内視鏡を用いて鼻腔内の狭窄した部分を広げたり、副鼻腔への排膿を促したりすることで、根本的な治療を目指す(効果不十分な場合や、鼻茸などの合併症がある場合に検討) |
日常生活での注意点
慢性副鼻腔炎は、予防と改善のために日常生活での注意も大切な病気です。
まず、外出時にはマスクを着用することで、ウイルスやアレルゲンなどの吸い込みを防ぎましょう。マスクは、空気中の塵やほこりを物理的に遮断する役割を果たします。
また、外出後や食事の前後には、こまめな手洗いとうがいを習慣化しましょう。これは、手に付着したウイルスや細菌を洗い流し、口の中を清潔に保つために有効です。さらに、鼻うがいを行うことで、鼻の奥に付着した異物を洗い流し、鼻の中を清潔に保つことができます。
乾燥した環境では、鼻の粘膜が傷つきやすくなり、炎症が悪化する可能性があります。そのため、室内の湿度を適切に保つことが大切です。具体的には、加湿器を使用したり、濡れたタオルを部屋に干したりするなどの方法があります。また、日頃から水分を十分に摂取することも、鼻の粘膜を乾燥から守るために重要です。
さらに、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を心掛けることで、体の免疫力を高め、慢性副鼻腔炎の予防と改善に役立ちます。
項目 | 詳細 |
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外出時 | マスク着用 (ウイルスやアレルゲンの吸い込み防止) |
外出後・食事の前後 | 手洗い・うがい (ウイルスや細菌の除去) 鼻うがい (鼻の異物除去) |
乾燥対策 | 加湿器の使用、濡れタオル 水分補給 |
生活習慣 | 十分な睡眠 バランスの取れた食事 適度な運動 |