知られざる体内の空間:サードスペース

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知られざる体内の空間:サードスペース

病院での用語を教えて

先生、「サードスペース」って医学用語で聞いたんですけど、どういう意味ですか?

体の健康研究家

良い質問だね。「サードスペース」は、簡単に言うと、体の中にある、細胞の中でもないし血管の中でもない場所のことを指すんだ。

病院での用語を教えて

細胞の中でもないし血管の中でもない…?具体的にはどんな場所ですか?

体の健康研究家

例えば、お腹の中にある空間(腹腔)や、肺の周りにある空間(胸腔)などが「サードスペース」にあたるよ。病気になると、こういう場所に水がたまってしまうことがあるんだ。

サードスペースとは。

「サードスペース」という言葉は、医学や健康の分野で使われます。体の中には、細胞の中と血管の中以外にも、空間があります。この細胞と血管以外の場所を「サードスペース」と呼びます。

体内の3つの空間

体内の3つの空間

私たちの体は、成人でおよそ60%が水分で構成されており、この水分は、細胞内液、血管内液、間質液という大きく3つの空間に分かれています。

まず、細胞内液は、体内の細胞一つひとつの内部に存在する液体のことを指します。細胞は、私たちが生きていくために必要な様々な活動を日々行っていますが、細胞内液はこれらの活動の場として重要な役割を担っています。

次に、血管内液は、血液の液体成分である血漿のことを指し、血管の中を流れています。血管内液は、酸素や栄養素を全身の細胞に運び、逆に細胞から二酸化炭素や老廃物を運び出すという重要な役割を担っています。

最後に、間質液は、細胞と細胞の間を満たしている液体のことを指します。細胞は間質液から酸素や栄養素を受け取り、老廃物や二酸化炭素を排出しています。間質液は、細胞と血管内液との橋渡し的存在として重要な役割を担っています。

このように、私たちの体内の水分は、3つの空間に分かれて存在し、それぞれが重要な役割を担っています。これらのバランスが保たれることで、私たちは健康な状態を維持することができます。

体液の区分 説明 役割
細胞内液 細胞一つひとつの内部に存在する液体 細胞活動の場
血管内液(血漿) 血液の液体成分、血管の中を流れる 細胞へ酸素や栄養素を運び、老廃物を運び出す
間質液 細胞と細胞の間を満たす液体 細胞と血管内液との橋渡し

サードスペースとは

サードスペースとは

私たちの体は、細胞の内側である「細胞内」と、血管の中を流れる血液である「血管内」、そして細胞と細胞の間にある「細胞間」の大きく三つの空間に分けられます。体内の水分は、細胞内液と血管内液の間で絶えず移動し、一定のバランスを保つことで、体の機能を正常に維持しています。

細胞と細胞の間にある空間である細胞間は、「サードスペース」とも呼ばれます。通常、サードスペースに存在する水分量は少なく、体液のバランスに大きな影響を与えません。しかし、病気や体の状態によっては、このサードスペースに異常な量の水分が貯留してしまうことがあります。これが「サードスペースへの体液貯留」と呼ばれる状態です。

サードスペースへの体液貯留は、様々な要因で起こります。例えば、心臓、肝臓、腎臓などの臓器の機能が低下すると、体内の水分調節がうまくいかなくなり、サードスペースに水分が溜まりやすくなります。また、低栄養状態や炎症なども、サードスペースへの体液貯留を引き起こす可能性があります。

サードスペースに体液が貯留すると、むくみや体重増加などの症状が現れます。さらに、体液が血管内から減少するため、血液量が減少し、血圧低下や臓器への血流不足などの深刻な状態に陥ることもあります。

このように、サードスペースへの体液貯留は、私たちの体の水分バランスを崩し、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。日頃から、バランスの取れた食事と十分な水分摂取を心がけ、健康的な生活習慣を維持することが大切です。

体内空間 説明 備考
細胞内 細胞の内部 体内の水分の約2/3を占める
血管内 血管の中を流れる血液 体内の水分の約1/3を占める
細胞間(サードスペース) 細胞と細胞の間の空間 通常は水分量が少ない
病気などにより水分が貯留することがある(サードスペースへの体液貯留)

サードスペースと病気

サードスペースと病気

私たちの身体には、血管や細胞以外にも、細胞と細胞の間など、体液が溜まりやすい場所があります。このような場所を「サードスペース」と呼びます。通常、サードスペースに存在する体液量はごくわずかですが、病気の状態によっては、この場所に大量の体液が溜まってしまうことがあります。このような状態を「サードスペースへの体液貯留」と呼び、様々な病気を引き起こす要因となります。

例えば、広範囲の火傷や、体の一部が腐ってしまう壊疽、細菌による全身性の炎症である敗血症、腸が詰まってしまう腸閉塞、膵臓に炎症が起こる急性膵炎などが挙げられます。これらの病気では、体内で激しい炎症反応が起こり、その結果として血管の内壁を作る細胞である血管内皮細胞に隙間ができてしまいます。すると、通常は血管内を流れているはずの水分が、この隙間から血管外へと漏れ出てしまい、サードスペースに溜まってしまうのです。

サードスペースに体液が大量に貯留すると、血管内を流れる血液の量が減ってしまい、血圧の低下や、心臓から送り出される血液の量が減ることで、各臓器への血液の流れが悪くなるなどの問題が生じます。また、サードスペースに溜まった体液は、細菌が増殖しやすい環境であるため、感染症のリスクも高まります。

このように、サードスペースへの体液貯留は、放置すると命に関わるような深刻な合併症を引き起こす可能性もあるため、適切な治療が必要です。

サードスペースへの体液貯留 詳細
定義 血管や細胞間などの体液が溜まりやすい場所(サードスペース)に、大量の体液が貯留した状態。
原因 火傷、壊疽、敗血症、腸閉塞、急性膵炎などの病気により、血管内皮細胞に隙間ができ、血管内の水分が漏れ出すことが原因となる。
症状・合併症
  • 血圧低下
  • 臓器への血流悪化
  • 感染症リスクの増加
治療 適切な治療が必要。

サードスペースへの対応

サードスペースへの対応

胸腔や腹腔以外の場所に体液が貯留する状態をサードスペースといい、心臓や肺、腹部臓器などを取り囲む隙間に水が溜まることを指します。サードスペースへの体液貯留は、感染症や心臓病、肝臓病、腎臓病など、様々な要因によって引き起こされます。また、手術後や外傷後、低栄養状態などもリスクとして挙げられます。
体液貯留への対応は、その原因や重症度によって大きく異なります。
軽度の場合は、安静にして体内の水分量を調整したり、水分や電解質を補給する治療を行います。利尿剤を用いて、尿として水分を排出させることもあります。
重症化すると、呼吸が困難になる場合があり、その際は人工呼吸器を用いて呼吸を補助します。さらに、血液中の老廃物を除去するために、血液浄化療法などの集中治療が必要になることもあります。
サードスペースへの体液貯留は、適切な治療を行わなければ、命に関わる危険性も孕んでいます。そのため、早期発見と早期治療が非常に重要となります。検査には、身体診察や血液検査、画像検査などが用いられます。
サードスペースへの体液貯留は、決して軽視できるものではありません。少しでも異常を感じたら、速やかに医療機関を受診しましょう。

項目 内容
定義 胸腔や腹腔以外の場所に体液が貯留する状態。心臓や肺、腹部臓器などを取り囲む隙間に水が溜まる。
原因 感染症、心臓病、肝臓病、腎臓病、手術後、外傷後、低栄養状態など
治療法 ・軽度:安静、水分量調整、水分・電解質補給、利尿剤
・重症:人工呼吸器、血液浄化療法などの集中治療
検査 身体診察、血液検査、画像検査

まとめ

まとめ

私たちが普段生活する上で、体の内部に存在する空間について意識することはほとんどありません。しかし、医学の世界では、この空間は「サードスペース」と呼ばれ、重要な役割を担っています。

サードスペースは、細胞と細胞の間や、臓器と臓器の間にある隙間のことを指します。通常、この空間には少量の体液が存在し、細胞への栄養供給や老廃物の運搬といった重要な役割を担っています。

健康な状態であれば、サードスペースに存在する体液量は一定に保たれています。しかし、病気になると、このバランスが崩れ、サードスペースに過剰な体液が貯留してしまうことがあります。これが「サードスペースへの体液貯留」と呼ばれる現象です。

体液貯留は、心臓病、肝臓病、腎臓病など、様々な病気が原因で起こります。また、手術後や大怪我の後などにも、体液貯留が起こりやすくなることが知られています。

サードスペースへの体液貯留は、むくみや体重増加といった症状を引き起こすだけでなく、呼吸困難や血圧低下など、生命に関わるような重篤な症状を引き起こすこともあります。

そのため、医療従事者は、サードスペースへの体液貯留を早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。また、一般の方々も、サードスペースへの体液貯留について正しい知識を持ち、体の異常にいち早く気づくことが重要です。

項目 詳細
サードスペースとは 細胞と細胞の間や、臓器と臓器の間にある隙間
役割 細胞への栄養供給や老廃物の運搬
サードスペースへの体液貯留とは 病気などにより、サードスペースに過剰な体液が貯留する現象
原因 心臓病、肝臓病、腎臓病、手術後、大怪我後など
症状
  • むくみ
  • 体重増加
  • 呼吸困難
  • 血圧低下

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