体の内部を詳しく見る:核磁気共鳴断層撮影
病院での用語を教えて
先生、「核磁気共鳴断層撮影」って、何だか難しそうな名前ですよね。一体どんな検査なんですか?
体の健康研究家
そうだね。難しそうな名前だけど、簡単に言うと、体の中を詳しく調べるための検査だよ。強い磁石と電波を使って、体の断面の写真を撮るんだ。
病院での用語を教えて
へえ〜。レントゲン写真とは違うんですか?
体の健康研究家
そうなんだ。レントゲンは骨を見るのに得意だけど、「核磁気共鳴断層撮影」は筋肉や臓器、血管など、体の中をもっと詳しく見ることができるんだよ。
核磁気共鳴断層撮影とは。
「核磁気共鳴断層撮影」という医療や健康に関する言葉は、体の臓器や組織を詳しく調べるための「磁気共鳴画像法」と同じ意味です。
核磁気共鳴断層撮影とは
– 核磁気共鳴断層撮影とは核磁気共鳴断層撮影(かくじききょうめいだんそうさつえい)は、強力な磁場と電波を利用して、体内の臓器や組織の様子を画像化する検査方法です。一般的には「MRI」と省略して呼ばれることが多く、医療現場において病気の診断や治療方針の決定などに欠かせない検査となっています。では、MRIはどのような仕組みで体の内部を画像化しているのでしょうか。私たちの体は、水素原子を多く含む水素化合物で構成されています。MRIでは、この水素原子核が磁場に対して起こす反応(核磁気共鳴現象)を利用して画像を得ています。具体的には、まず検査装置内の強力な磁場によって体内の水素原子核を整列させます。そこに特定の周波数の電波を照射すると、水素原子核はエネルギーを吸収し、一時的に励起状態になります。そして、電波を止めると、水素原子核は元の状態に戻りながら、吸収したエネルギーを放出します。この時放出されるエネルギーの強さをコンピュータで処理することで、臓器や組織の形や性質を反映した断面画像が得られるのです。MRIは、X線を用いないため被ばくの心配がなく、また、体のあらゆる方向の断面を自由に描出できるという特徴があります。さらに、造影剤を使わずに血管を描出できるなど、他の画像診断法と比べて多くの利点があります。そのため、脳、心臓、血管、筋肉、関節など、様々な部位の検査に用いられています。
項目 | 内容 |
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概要 | 強力な磁場と電波を利用して、体内の臓器や組織の様子を画像化する検査方法。体のあらゆる方向の断面を自由に描出できる。 |
原理 | 水素原子核が磁場に対して起こす反応(核磁気共鳴現象)を利用。水素原子核が電波の照射と停止によってエネルギーを吸収・放出する際に得られる信号を処理して画像化。 |
利点 | X線を用いないため被ばくの心配がない。体のあらゆる方向の断面を自由に描出できる。造影剤を使わずに血管を描出できる。 |
用途 | 脳、心臓、血管、筋肉、関節など、様々な部位の検査。 |
仕組み
– 仕組み
私たちの体は、酸素や炭素など様々な元素から構成されていますが、中でも水素は非常に多く含まれています。水素は、体内の水分や脂肪など、あらゆる組織に存在しています。
MRI検査はこの水素原子核の性質を利用して、体の内部を画像化する技術です。
水素原子核は、小さな磁石のような性質を持っており、普段はバラバラの方向を向いています。そこにMRI装置を用いて強力な磁場をかけると、水素原子核は磁場の向きに沿って整列します。
さらに、特定の周波数の電波を照射すると、水素原子核はエネルギーを吸収し、一時的に磁場の方向からズレます。その後、電波を照射するのを止めると、水素原子核は元の状態に戻りながら、吸収したエネルギーを電波として放出します。
MRI装置はこの放出された電波を捉え、コンピューターで処理することで画像を構築します。
組織によって水素原子の密度や電波の放出パターンが異なるため、臓器や組織の形や状態を詳細に描出することができます。例えば、筋肉と脂肪では水素原子の密度が異なるため、MRI画像でははっきりと区別することができます。また、腫瘍など、正常な組織とは異なる性質を持つ部分は、周囲の組織とは異なる信号として検出されるため、病気の診断にも役立ちます。
項目 | 内容 |
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構成元素 | 水素は体内の水分や脂肪など、あらゆる組織に存在 |
水素原子核の性質 | 小さな磁石のような性質を持ち、通常はバラバラの方向を向いている |
MRI検査の仕組み | 1. 強力な磁場をかけ、水素原子核の向きを揃える 2. 特定の周波数の電波を照射し、水素原子核にエネルギーを吸収させる 3. 電波照射を止めると、水素原子核はエネルギーを電波として放出 4. 放出された電波を捉え、画像化 |
組織による違い | 水素原子の密度や電波の放出パターンが異なるため、臓器や組織の形や状態を詳細に描出可能 |
利点
– 利点
MRI検査は、人体に対して優しい検査として知られており、様々な利点があります。
まず、X線撮影やCT検査とは異なり、放射線を使用しません。そのため、放射線による体への負担を心配する必要がありません。これは、妊娠中の女性や成長段階にある子供にとって特に重要です。
また、MRI検査は骨や空気の影響を受けにくいという特徴があります。X線撮影やCT検査では、骨や空気が邪魔をして、その奥にある臓器や組織をはっきりと映し出すことが難しい場合があります。しかし、MRI検査では骨や空気の影響をほとんど受けずに、脳や脊髄、関節などの内部構造を鮮明に描出することができます。
さらに、MRI検査では造影剤を使用することで、より詳細な情報を得ることが可能です。造影剤は、血管や腫瘍など、特定の組織や臓器を強調して映し出す効果があります。これにより、病気の早期発見や正確な診断に役立ちます。
このように、MRI検査は患者さんにとって負担が少なく、様々な病気の診断に有効な検査方法と言えるでしょう。
項目 | 詳細 |
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放射線 | 使用しない |
対象者 | 妊娠中の女性、成長段階の子供にも安心 |
骨や空気の影響 | 受けにくい |
描出対象 | 脳、脊髄、関節などの内部構造 |
造影剤 | 使用することで、血管や腫瘍などを強調して映し出すことが可能 |
効果 | 病気の早期発見、正確な診断 |
検査を受けるにあたって
– 検査を受けるにあたって
これから行われるMRI検査について、検査を受ける前に知っておくべきことや注意点をご説明いたします。
MRI検査は、強力な磁場と電波を用いて体の内部を詳しく調べる検査です。検査時間は、30分から1時間程度で終了します。検査中は、筒状の装置の中に横になったまま、体を動かさないようにしていただく必要があります。
検査中は装置から大きな音が発生しますが、ご安心ください。検査前に耳栓をお渡ししますので、ご使用いただくことで音が軽減されます。
狭い場所が苦手な方や、お子様の場合は、不安を感じることもあるかもしれません。事前に医師やスタッフにお伝えいただければ、安心して検査を受けていただけるよう対応いたしますので、ご遠慮なくご相談ください。
また、体内にペースメーカーや人工関節などの金属が入っている方は、MRI検査を受けることができない場合があります。検査前に必ず医師にご申告ください。
項目 | 内容 |
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検査時間 | 30分から1時間程度 |
検査中の体勢 | 筒状の装置の中に横になったまま、体を動かさない |
検査中の音 | 大きな音が発生するが、耳栓を使用 |
不安を感じる場合 | 医師やスタッフに相談 |
MRI検査を受けられない可能性がある場合 | 体内にペースメーカーや人工関節などの金属が入っている場合 |
まとめ
– まとめ
核磁気共鳴断層撮影(MRI)は、強力な磁場と電波を用いて、人体内部の臓器や組織を鮮明に画像化することができる画期的な画像診断技術です。
従来のレントゲン検査では見ることが難しかった、骨以外の組織や臓器についても、詳細な情報を得ることが可能です。具体的には、脳、脊髄、心臓、血管、筋肉、関節、内臓など、体のあらゆる部位をくまなく調べることができます。
MRI検査は、がん、脳卒中、心臓病、整形外科領域の疾患など、様々な病気の診断に大きく貢献しています。
さらに、病気の進行度合いを把握したり、治療の効果を判定したりするためにも非常に有効です。
MRI検査は、放射線を使用しないため、人体への負担が少なく、安全性の高い検査方法として広く普及しています。
このように、MRIは、現代医療において欠かせない検査方法の一つと言えるでしょう。
項目 | 内容 |
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定義 | 強力な磁場と電波を用いて、人体内部の臓器や組織を鮮明に画像化する技術 |
利点 |
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応用例 |
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