腫瘍マーカー:がん診断の羅針盤
- 腫瘍マーカーとは
腫瘍マーカーとは、がん細胞が作り出す特殊な物質、あるいはがん細胞の影響を受けて体内で作られる物質のことです。 これらの物質は、血液や尿、組織などの中にごく微量ながら存在しており、その量を測定することで、がんの診断や治療効果の判定などに役立てることができます。
例えるならば、池に鯉が住み着くと、池の水質が変化する様子に似ています。普段は澄んでいる池に鯉が住み始めると、鯉の排泄物などによって水が濁ったり、特定の成分が増えたり減ったりするでしょう。
私たちの体も、がん細胞という“異物”が存在することで、内部環境が変化し、特定の物質が増減するのです。この変化を捉えるのが腫瘍マーカー検査です。
ただし、腫瘍マーカーは、がん細胞だけが作り出すとは限りません。正常な細胞からもごく微量ながら分泌されるものもあり、炎症や臓器の機能障害など、がん以外の原因でも数値が上昇することがあります。
そのため、腫瘍マーカー検査だけで、がんの確定診断を行うことはできません。あくまでも、がんの可能性を評価する指標の一つとして、画像検査や病理検査などと組み合わせて総合的に判断されます。