PAP

循環器

肺動脈圧:沈黙のうちに心臓を蝕む病気

心臓から血液が送り出され、全身に酸素を供給するために、肺は重要な役割を担っています。心臓から肺へと血液を運ぶ血管を肺動脈といいますが、この肺動脈内の圧力のことを肺動脈圧と呼びます。肺動脈圧は、心臓が円滑に血液を循環させるために、重要な指標の一つとなっています。 心臓が収縮し、血液を送り出す時の肺動脈圧を収縮期圧と呼びます。また、心臓が拡張し、血液を再び心臓に取り込む時の肺動脈圧は拡張期圧と呼ばれます。これらの圧力は、心臓の活動と深く関連しており、健康な状態を保つためには、それぞれの圧力が適切な範囲内に収まっている必要があります。収縮期圧は30~15mmHg、拡張期圧は8~2mmHgが正常範囲とされています。 さらに、肺動脈圧を平均化した平均圧も重要な指標です。平均圧は、心臓が一回拍動する間に、肺動脈にかかる圧力を平均化したもので、18~9mmHgが正常範囲とされています。これらの数値はあくまでも目安であり、年齢や体格、健康状態などによって個人差があります。 肺動脈圧は、肺高血圧症などの病気と密接に関係しています。肺高血圧症は、肺動脈の圧力が異常に高くなる病気で、息切れや動悸、疲れやすさなどの症状が現れます。肺動脈圧の変化に注意することで、こうした病気の早期発見・治療に繋がることが期待されます。
PAGE TOP