免疫の要!HLAと私たちの身体
- HLAとは何か?HLA(えいちえるえー)は、ヒト白血球抗原(じんはっけっきゅうこうげん)の略称で、私たちの体の細胞の表面にある、いわば名札のようなものです。この名札は、一人ひとり異なっており、自分自身の細胞と、そうでない細胞を見分けるために重要な役割を担っています。たとえば、風邪をひいたときや、体内に細菌が侵入したとき、私たちの体は免疫システムを使って、これらの病原体と戦います。このとき、HLAは、免疫細胞に「これは自分の細胞ではなく、敵である」ということを知らせる目印となり、免疫細胞が正確に病原体を攻撃するのを助けます。もし、HLAがない、あるいは正常に機能しない場合、免疫細胞は自分自身の細胞と、外敵を区別することができなくなってしまいます。その結果、自分自身の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患や、逆に、本来攻撃すべき病原体や異常な細胞を排除できず、感染症やがんになりやすくなる可能性があります。臓器移植の際にも、HLAの型が適合するかどうかが非常に重要です。提供者とレシピエントのHLAの型が大きく異なる場合、レシピエントの免疫システムは、移植された臓器を「自分のものではない」と認識し、攻撃してしまう可能性があります。これを拒絶反応といい、移植医療においては、いかに拒絶反応を抑えるかが大きな課題となっています。このように、HLAは、私たちの体の免疫システムにおいて、非常に重要な役割を担っています。HLAの研究が進歩することで、病気の治療法や予防法の開発、そして、より安全な臓器移植の実現につながることが期待されています。