「マ」

その他

医療費と質のバランス:マネジドケアとは

- マネジドケアとは マネジドケアとは、医療費の増加を抑えつつ、加入者への医療サービスの質を向上させることを目的とした医療保険の仕組みです。従来の医療保険では、医療機関が自由に診療を行い、その費用を保険者に請求していました。この方法では、医療費が膨らみやすく、医療の質もばらつきが生じる可能性がありました。 そこで登場したのがマネジドケアです。マネジドケアでは、保険者が医療機関と契約し、診療内容や費用を事前に調整します。この調整によって、医療費の抑制と医療の質の向上を図ります。 具体的には、患者が医療機関を受診する際に、事前に保険者に承認を得る必要がある場合があります。また、あらかじめ決められた医療機関ネットワーク内でのみ診療を受けることが条件となっている場合もあります。 このように、マネジドケアは従来の医療保険に比べて患者側にもいくつかの制限が設けられます。しかし、その反面、医療費の負担を軽減できる、質の高い医療サービスを受けられる可能性が高まるなど、患者にとってのメリットも存在します。
産婦人科

マンマってどういう意味?

病院で働く医師や看護師は、日々患者さんの病気と向き合っています。その中で、病気の名前や治療法などを簡潔に表現するために、専門用語や略語を使うことがあります。 「マンマ」もそうした言葉の一つで、乳癌や乳腺外科のことを指します。これは、英語で乳癌を意味する「Mammary Cancer」から来ています。「Mammary(乳房の)」の最初の部分をとって、短く「マンマ」と呼ぶようになったのです。 医師や看護師の間では、カルテに症状や治療内容を記録する際に、このような短縮語がよく使われます。例えば、「マンマの手術」と書かれていれば、それは乳癌の手術を意味します。このように、医療現場では短い言葉で多くの情報を共有することで、業務の効率化を図っているのです。
アレルギー

末梢性免疫寛容:自己と非自己の識別

私たちの体は、まるで外敵から身を守る城壁のように、常に外部からの侵入者から守られています。この防御システムを担うのが免疫システムです。免疫システムは、体内に入ってきた物質が、自分自身の体の一部であるか、そうでない外部からの侵入者であるかを正確に見分ける能力を持っています。この見分け方は、まるで城壁を守る兵士が、味方と敵を見分けるかのようです。 免疫寛容とは、免疫システムが自分自身の細胞や組織を「自己」と認識し、攻撃しないようにする状態を指します。これは、味方の兵士同士が誤って攻撃し合わないようにするための、非常に重要な仕組みです。免疫寛容が正常に働いているおかげで、私たちは自分の体の中で、免疫細胞が暴走することなく、健やかに過ごすことができます。 しかし、この精巧なシステムにも、時に誤作動が起こることがあります。免疫寛容が何らかの原因で破綻すると、免疫システムが自己の細胞や組織を「非自己」と誤って認識し、攻撃してしまうことがあります。これが、自己免疫疾患と呼ばれる病気です。自己免疫疾患では、本来守られるべき自己の組織が、免疫システムの攻撃によって炎症を起こしたり、機能障害を起こしたりします。 免疫寛容は、私たちの体が正常に機能するために、そして健康を維持するために、欠かせないものです。この複雑な仕組みを理解することで、自己免疫疾患などの病気の予防や治療法の開発に繋がる可能性も期待されています。
その他

結合組織の異変がもたらすもの:マルファン症候群

- マルファン症候群とは マルファン症候群は、生まれつき体の様々な組織や器官を繋ぎとめ、支える役割を担う結合組織に異常が生じることで、全身に様々な症状が現れる病気です。 通常、結合組織は体を支える柱や梁のように、それぞれの場所に必要な強度や弾力性を持って機能しています。しかし、マルファン症候群の方は、この結合組織を作るための設計図に異常があるため、十分な強度や弾力性を持たない結合組織が作られてしまいます。 その結果、骨格の成長に影響が出たり、心臓や血管、目などの重要な臓器に異常が現れたりするのです。 例えば、骨格では、背が高くなったり、手足が長くなったり、背骨が曲がってしまったりする症状が現れることがあります。また、心臓では、大動脈に瘤が出来てしまったり、心臓の弁が正常に機能しなくなったりすることがあります。さらに、目では、水晶体がずれてしまったり、網膜剥離を起こしやすくなったりするなど、様々な症状が現れる可能性があります。 このように、マルファン症候群は、結合組織の異常によって、体の様々な場所に影響が及ぶ可能性のある病気なのです。
耳鼻科

慢性穿孔性中耳炎:耳の穴と聞こえの関係

- 慢性穿孔性中耳炎とは慢性穿孔性中耳炎は、中耳炎が治った後も、鼓膜に開いた穴(穿孔)が塞がらず残ってしまう病気です。通常、急性中耳炎にかかると、耳の痛みや発熱、耳だれなどの症状が現れます。多くの場合、適切な治療を行うことでこれらの症状は改善し、鼓膜の穴も自然に塞がっていきます。しかし、急性中耳炎にかかってから3ヶ月以上経っても鼓膜の穴が塞がらない場合は、慢性穿孔性中耳炎になっていると考えられます。慢性穿孔性中耳炎になると、耳だれや難聴といった症状が繰り返し現れることがあります。また、耳だれによって耳の中が常に湿った状態になるため、細菌が繁殖しやすくなります。そのため、放置すると、さらに重症化し、手術が必要になる場合もあります。慢性穿孔性中耳炎は、適切な治療と日々のケアが重要な病気です。気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
看護技術

医療現場で使われるマーゲンチューブ:その役割と種類

- マーゲンチューブとはマーゲンチューブは、鼻腔から食道を通って胃まで挿入する、柔らかな材質で作られた管のことです。この管は、胃管、胃チューブ、胃ゾンデ、マーゲンゾンデ、NGチューブなど、様々な呼ばれ方をします。医療現場では、記録を簡略化するため、MチューブやMaチューブと表記されることもあります。マーゲンチューブは、口から食事を摂ることが困難な患者さんにとって、非常に重要な医療機器です。例えば、意識障害や嚥下障害などで、口から安全に食事を摂ることができない場合に、このチューブを通して栄養剤を直接胃に送り込みます。また、手術後や病気の影響で食欲不振に陥っている患者さんにも、マーゲンチューブを用いて栄養を補給することがあります。さらに、マーゲンチューブは栄養補給以外にも、投薬や胃の内容物の排出、胃の検査など、様々な目的で使用されます。例えば、錠剤を飲み込むことが難しい患者さんには、薬を溶かしたものをマーゲンチューブから投与します。また、胃の中に出血や毒物が認められる場合には、チューブを通して内容物を吸引し排出します。このように、マーゲンチューブは、患者さんの生命維持や治療の促進に大きく貢献する医療機器と言えるでしょう。
看護技術

マーゲンチューブ:医療現場で活躍する縁の下の力持ち

医療現場で使用される器具の中には、その名称が複数存在するものがあります。例えば、胃の内容物を吸引したり、栄養剤を注入するために用いる管は、「マーゲンチューブ」と呼ばれることがあります。しかし、これはほんの一例に過ぎません。 実際には、このチューブは「胃管」「胃チューブ」「胃ゾンデ」「マーゲンゾンデ」「NGチューブ」など、実に様々な呼ばれ方をします。さらに医療現場では、記録の簡略化のために「Mチューブ」や「Maチューブ」と略されることもしばしばです。 なぜ、これほど多くの名称が存在するのでしょうか。それは、このチューブが医療現場において非常に多くの場面で使用され、医療従事者にとって非常に身近な存在であることを意味していると考えられます。それぞれの医療機関や部署、さらには個人によって、慣れ親しんだ呼び方が存在するのでしょう。 このように、医療器具には複数の名称を持つものが少なくありません。これは、医療従事者間のコミュニケーションを複雑にする可能性も孕んでいます。しかし、裏を返せば、それだけ医療が発展し、多様な場面で様々な医療器具が活躍していることの証と言えるでしょう。
産婦人科

マンマってどんな意味?

病院で働く人たちの会話を聞いていると、「マンマ」という言葉が使われているのを耳にすることがあるかもしれません。これは、「乳腺」に関する病気や手術を指す医療用語です。 例えば、「マンマ外来」といえば、乳腺の病気を専門に診察する外来のことです。乳腺の病気には、乳がんや乳腺炎などがあります。「マンマの手術」という言葉は、乳腺に関する手術全般を指します。乳腺の病気の治療として、腫瘍を取り除く手術などが行われます。 医療現場では、専門的な話を簡潔にするために「マンマ」のような略語が使われることがよくあります。医師や看護師同士がコミュニケーションを取る際には便利な表現ですが、患者さんに対しては、分かりやすい言葉で説明することが大切です。そのため、患者さんに対して直接「マンマ」という言葉が使われることは少ないかもしれません。 しかし、診察や検査の説明の中で、「マンモトーム」や「マンモグラフィ」といった言葉を耳にすることはあるでしょう。これらは「マンマ」を語源とする医療用語です。「マンモトーム」は、乳腺組織の一部を採取する検査のことです。また、「マンモグラフィ」は、乳房のレントゲン検査のことを指します。これらの検査は、乳がんの早期発見などに役立っています。
検査

乳がん検診の要:マンモグラフィ

- マンモグラフィとはマンモグラフィは、乳房を専門に撮影するために開発されたレントゲン装置を用いて、乳房内部の様子を画像化する検査です。乳房を圧迫板と呼ばれる板で挟んで薄く伸ばした状態で撮影することで、より鮮明な画像を得ることができ、微細な病変の見逃しを防ぎます。 マンモグラフィは、触診では感じ取れないような早期の乳がんの発見に非常に有効な検査として知られています。具体的には、乳がんの初期段階で見られることの多い、小さなしこりや石灰化と呼ばれる乳腺組織内のカルシウム沈着を画像で確認することができます。 早期の乳がんは、自覚症状が現れない場合も少なくありません。マンモグラフィを受けることで、自覚症状が出る前にがんを発見し、早期に治療を開始できる可能性が高まります。早期発見・早期治療は、乳がんの治療成績向上に大きく貢献するため、マンモグラフィは世界中で広く実施されています。 ただし、マンモグラフィは乳腺組織の重なりによって病変が見えにくくなる場合があり、乳がんを全て発見できるわけではありません。また、ごく稀に撮影時の痛みを伴う場合があります。検査を受ける際は、事前に医師から検査のメリットとデメリットについて説明を受けるようにしましょう。
目・眼科

顔の印象を決める眉毛の役割

顔の中でも特に目立つパーツである目は、額から続く緩やかな隆起によって額と分けられています。その隆起の最も突出している部分の縁に沿って、左右対称に近い形で弓状に生えているのが眉毛です。 眉毛は顔の印象を決める上で重要な役割を果たしており、その形や濃さ、生え方によって、大きく印象が変わります。 眉毛は、顔の中心に近い部分を眉頭、顔の外側に向かうにつれて眉尻と呼び、眉頭から眉尻に向かって緩やかにカーブを描いています。 このカーブは、左右対称ではなく、微妙に異なる場合が多く、その非対称性が顔に個性を与えています。 また、眉毛の濃さや長さ、眉頭と眉尻の位置関係も人それぞれ異なり、顔立ちの多様性を生み出す要因となっています。 例えば、眉頭の間隔が狭い人は、キリッとした印象を与えやすく、逆に間隔が広い人は、穏やかな印象を与えやすいと言われています。 このように、眉毛は顔の印象を左右するだけでなく、その人の持つ雰囲気や個性を表現する上でも重要な役割を担っています。
脳・神経

麻痺について

- 麻痺とは麻痺とは、意識はあるのに自分の意思で身体の一部を動かせない、あるいは動きが制限されてしまう状態を指します。 この状態は、脳から筋肉への運動指令を伝える神経経路のどこかに損傷が生じることで引き起こされます。具体的には、脳で発生した運動指令は、まず脊髄へと伝達されます。 その後、脊髄から末梢神経を通じて、最終的に各筋肉へ指令が届けられます。 麻痺は、この経路のいずれかの部位、すなわち脳、脊髄、末梢神経のいずれかが損傷を受けることで発生します。麻痺の原因は多岐にわたり、例えば交通事故などによる脊髄損傷や、脳の血管が詰まったり破れたりする脳卒中などが挙げられます。 また、脳や脊髄の腫瘍、多発性硬化症などの神経疾患、 あるいは筋肉そのものの病気によって麻痺が生じることもあります。麻痺の症状は、損傷を受けた神経の種類や場所、 損傷の程度によって大きく異なります。 手足の力が弱くなる、感覚が鈍くなる、完全に動かせなくなる、 全く感覚がなくなるなど、症状は人によって様々です。
その他

病気の経過: 慢性期とは

病気は一般的に、その経過によって大きく三つの段階に分けられます。発症から間もない時期で、症状が激しく変化しやすい時期を急性期、急性期を乗り越えたものの完治には至らず、症状が安定している時期を慢性期、そして慢性期から更に時間が経過し、身体機能や認知機能が低下していく時期を終末期と呼びます。 今回は、この三つの段階のうち、慢性期について詳しく説明します。慢性期は、急性期のような急激な症状の悪化は見られないものの、完全に治癒する見込みが少ない状態が長く続く期間を指します。慢性期に入るまでの期間や、慢性期における症状、期間は、病気の種類や患者さん一人ひとりの状態によって大きく異なります。例えば、風邪やインフルエンザなどのように、多くの場合、数日から数週間で治癒する病気もあれば、慢性閉塞性肺疾患や糖尿病などのように、慢性期が長期に渡る病気もあります。 慢性期における治療の目標は、病気の進行を出来るだけ抑え、症状を和らげながら、患者さんがその状況に適応し、生活の質を維持・向上できるようにすることです。そのため、患者さん自身の病気に対する理解を深め、セルフケアを積極的に取り入れていくことが重要になります。また、医師や看護師、薬剤師、理学療法士などの医療従事者と協力し、継続的な医療や支援を受けることも大切です。
呼吸器

マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマ肺炎は、「マイコプラズマ ニューモニエ」という微生物が原因で起こる、肺の炎症です。この病気は、一般的には「非定型肺炎」に分類され、特に子供や若い世代に多く発症するという特徴があります。 マイコプラズマ肺炎は、感染力が非常に強く、咳やくしゃみなどの飛沫を介して、人から人へと容易に感染が広がります。感染すると、発熱、咳、痰を伴う場合もあれば、頭痛や倦怠感などの症状が出る場合もあります。症状の現れ方は人によって異なり、軽症で済む場合もあれば、重症化するケースも見られます。 通常、マイコプラズマ肺炎と診断された場合は、医師の指示に従って抗生物質を服用することで症状は改善に向かいます。しかし、重症化すると入院が必要となるケースや、まれに脳炎や心筋炎などの合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。 日頃から、手洗いとうがいを徹底し、外出時にはマスクを着用するなど、感染予防を心がけることが重要です。また、栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠を摂り、免疫力を高めるように心がけましょう。
検査

マルクについて

- マルクとは「マルク」は、医療現場で「骨髄検査」または「骨髄穿刺」と呼ばれる処置を指す言葉です。 骨の中心部には、「骨髄」と呼ばれるスポンジ状の組織が存在します。骨髄は、赤血球、白血球、血小板といった血液細胞を産生する、人体にとって非常に重要な役割を担っています。マルクでは、この骨髄を採取して顕微鏡で観察したり、培養したりすることで、様々な血液疾患の診断や病状の把握を行います。具体的には、貧血、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの診断に役立ちます。検査自体は、通常、腰の骨に局所麻酔をしてから、専用の針を刺して骨髄液を採取します。 痛みや出血を伴うこともありますが、経験豊富な医師が適切な処置を行うため、安全性は高いと言えます。マルクは、血液疾患の診断や治療方針の決定に欠かせない検査です。 検査を受ける際には、医師から検査の目的や方法、予想されるリスクなどについて、十分な説明を受けるようにしましょう。
検査

進化する医療画像診断:マルチスライスCTとは

医療現場において、体の内部を詳しく知ることができる技術は、病気の診断や治療に欠かせないものです。その中でも、CT検査は、体の断面を画像として映し出すことで、医療に大きな革新をもたらしました。 CT検査は、X線を用いて体の様々な角度からの画像を撮影し、コンピューター処理によって体の内部を詳細に再現します。従来のレントゲン検査では、骨や心臓などの大きな構造しか分からなかったのに対し、CT検査では、臓器や血管、さらには腫瘍などの病変もはっきりと映し出すことができます。このため、病気の原因究明や正確な診断に大きく貢献しています。 CT検査が普及する以前は、体の内部の状態を調べるために、実際に患部を切り開いて確認する外科手術が必要となる場合もありました。しかし、CT検査の登場によって、患者さんは体の負担の大きい手術を受けずに、体内の状態を知ることができるようになりました。これは、患者さんにとって肉体的、精神的な負担を大きく軽減するだけでなく、医療現場全体の安全性の向上にもつながっています。 現在では、CT検査は医療現場において幅広く活用されており、病気の早期発見や適切な治療方針の決定に欠かせない検査方法として、重要な役割を担っています。
血液

慢性疾患と貧血の関係

- 慢性疾患に伴う貧血とは 慢性疾患に伴う貧血とは、文字通り、長く続く病気が原因で起こる貧血のことです。 私たちの体内では、赤血球という細胞が、体中に酸素を届ける重要な役割を担っています。この赤血球が、慢性疾患に伴う貧血では数が減ってしまったり、正常に働かなくなったりします。その結果、様々な症状が現れます。 例えば、少し体を動かしただけで息が切れたり、疲れやすくなったり、心臓がドキドキするといった症状を感じます。 慢性疾患に伴う貧血は、決して珍しい病気ではありません。様々な病気が原因で起こる可能性があり、多くの人に見られます。ですから、この貧血について正しく理解し、注意を払うことが大切です。
その他

悪性腫瘍とがん:マリグナンシーを理解する

- マリグナンシーとは医学の世界では、病気の性質や状態を表すために、専門的な用語が使われています。その中でも、「マリグナンシー」という言葉は、「悪性」を意味し、特に腫瘍の診断において重要な意味を持ちます。私たちは、「悪性腫瘍」や「がん」といった言葉をよく耳にしますが、これらは「マリグナンシー」と深く関わっています。それでは、「マリグナンシー」とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか? 簡単に言うと、腫瘍が悪性の性質を持っているかどうかを表す言葉です。腫瘍には、大きく分けて「良性」と「悪性」の二つがあります。良性の腫瘍は、周囲の組織への影響が少なく、増殖速度も緩やかです。一方、悪性の腫瘍は、周囲の組織に浸潤し、破壊しながら増殖していきます。さらに、血液やリンパ液の流れに乗って、遠く離れた臓器にまで移動し、新たな腫瘍を形成することがあります。これを「転移」と呼びます。つまり、「マリグナンシー」は、腫瘍が周囲の組織に浸潤する能力や、転移する能力の高さなどを示す指標となるのです。マリグナンシーの程度が高い腫瘍は、それだけ悪性度が高く、治療が困難になる可能性も高まります。
血液

マクロファージ:体の掃除屋

- マクロファージとは私たちの体には、体内に入ってきた細菌やウイルスなどの病原体から体を守る、免疫と呼ばれる仕組みが備わっています。この免疫において中心的な役割を担うのが、様々な種類の免疫細胞です。その中でも、マクロファージは体内をパトロールし、細菌やウイルスなどの病原体や、死んだ細胞などを食べてくれる、掃除屋のような役割を担っています。マクロファージは、直径が10~20マイクロメートルほどの大きさで、これは髪の毛の太さの約5分の1に相当します。その形は一定ではなく、状況に応じてアメーバのように形を変えながら移動し、血管の外にも移動することができます。そして、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体を見つけると、それらを細胞内に取り込んで消化・分解します。この働きによって、マクロファージは私たちの体を病気から守る、重要な役割を担っているのです。また、マクロファージは、死んだ細胞や体内の老廃物を処理する役割も担っています。細胞は常に新しく生まれ変わっていますが、古くなった細胞や死んだ細胞は体内に蓄積してしまうと、炎症を引き起こしたり、様々な病気の原因となってしまいます。マクロファージはこれらの不要な細胞を貪食することによって、体内の環境を正常に保つ役割も担っているのです。
その他

細胞壁を持たない微生物:マイコプラズマ

- マイコプラズマとはマイコプラズマは、私達の身の回りの空気中や土壌、水など、様々な場所に生息する微細な生物です。 私達の体にも、口の中や喉、鼻の中などに普通に存在しています。 この生物は、目に見えないほど小さく、その小ささは細菌と比較してもさらに小さいものです。しかし、その小さな体にも関わらず、私達の体に様々な影響を与えることがあります。マイコプラズマは、他の一般的な細菌とは大きく異なる特徴を持っています。それは、細胞を包む「細胞壁」と呼ばれる構造がないことです。 細胞壁は、細菌にとって、外部環境から身を守り、形を保つために重要な役割を果たしています。しかし、マイコプラズマはこの細胞壁を持たないため、形が一定ではなく、まるでアメーバのように形を変えながら動くことができます。この細胞壁がないという特徴は、マイコプラズマが様々な環境に適応し、生き延びるための武器となっています。 例えば、抗生物質の中には、この細胞壁の合成を阻害することで効果を発揮するものがあります。しかし、マイコプラズマは細胞壁自体を持たないため、これらの抗生物質の影響を受けずに生き続けることができます。 また、その小さな体と柔軟な形状により、他の生物の細胞の中に入り込み、増殖することも可能です。このように、マイコプラズマは、小さく目立たない存在でありながら、私達の健康や生活に影響を与える可能性を秘めた生物と言えるでしょう。
目・眼科

生命の兆候:睫毛反射

- 睫毛反射とは眼は外界の情報を得るための重要な器官ですが、非常にデリケートな構造をしているため、外部からの刺激に対して無意識に眼を守るための仕組みが備わっています。その代表的なものの一つが、「睫毛反射」と呼ばれるものです。睫毛反射は、その名の通り、まつ毛に物体が近づいたり、風や光などの刺激を受けたりした際に、瞬時にまぶたを閉じて眼球を保護する反射的な反応です。この反射は、意識的にまばたきをする時とは異なり、外部からの刺激に対して無意識かつ瞬時に起こる点が特徴です。例えば、小さな虫が目に飛び込んできそうな時や、ボールが飛んできた時などに、私たちはとっさに目を閉じます。これは、意識して目を閉じようとしたのではなく、睫毛反射という生来備わっている反射機能によって、無意識のうちに眼が守られているのです。睫毛反射は、眼球を保護するために非常に重要な役割を担っています。もしも、この反射がうまく働かないと、眼球に傷がついたり、異物が入ったりする危険性が高まります。これは、視力低下や眼疾患に繋がる可能性もあるため、軽視することはできません。このように、睫毛反射は私たちが意識することなく、眼の安全を守ってくれている重要な機能と言えるでしょう。
血液

慢性骨髄性白血病:知っておきたいこと

- 慢性骨髄性白血病とは私たちの体には、血液細胞を作り出す大切な組織が存在します。それが骨髄と呼ばれる組織です。骨髄では、酸素を運ぶ赤血球、細菌やウイルスから体を守る白血球、そして出血を止める血小板といった、血液を構成する重要な細胞が、毎日バランスを保ちながら作られています。 しかし、慢性骨髄性白血病を発症すると、この骨髄で異常が起こります。具体的には、白血球の中の顆粒球という種類の細胞が、過剰に作られてしまうのです。その結果、血液中の細胞のバランスが崩れ、本来必要な赤血球や血小板が減ってしまい、様々な症状が現れます。 慢性骨髄性白血病は、中高年に多く発症する病気として知られていますが、近年では若い世代での発症も報告されています。自覚症状が出にくい病気ではありますが、健康診断などで血液検査の異常を指摘された際は、医療機関への受診をお勧めします。
検査

乳がん検診の要!マンモグラフィを理解しよう

- マンモグラフィとは?マンモグラフィは、乳房を調べるための特別なレントゲン検査です。 健康診断などで行われる通常のレントゲン検査では、胸全体を撮影しますが、マンモグラフィでは、乳房だけを細かく調べるために設計された専用の装置を使用します。検査を受ける際には、乳房を装置に挟み、薄く広げた状態で撮影します。これは、乳房内部の構造をより鮮明に写し出すためです。 また、少ない量のX線を当てることで、身体への負担を最小限に抑えながら検査を行うことができます。撮影された画像は、医師によって注意深く分析されます。 医師は、画像から、しこりや石灰化といった、乳がんを疑わせるサインがないかを調べます。 特に、早期の乳がんは、小さなしこりとして現れることが多く、マンモグラフィは、これらの微細な変化を見つけるのに非常に優れています。マンモグラフィは、乳がんの早期発見に大きく貢献しており、広く普及している検査方法です。
血液

希望をつなぐ、末梢血幹細胞移植

血液の病気、特にがんなどの治療において、「末梢血幹細胞移植」という治療法が重要な役割を担っています。この治療法は、私たちの体にとって欠かせない血液を作り出す源である「造血幹細胞」を、健康なドナーのものと置き換えることで、病気を克服へと導きます。 私たちの血液には、酸素を運ぶ赤血球、免疫を担う白血球、出血を止める血小板など、様々な種類の細胞が存在します。これらの細胞は、すべて骨髄という骨の中にあるスポンジ状の組織に存在する「造血幹細胞」から生まれます。造血幹細胞は、例えるならば、様々な血液細胞を生み出す工場のようなものです。 しかし、病気やその治療の影響で、この血液の工場がダメージを受けてしまうことがあります。その結果、正常な血液細胞が作られなくなり、貧血や感染症、出血傾向といった深刻な事態に陥ってしまうのです。 このような状況において、「末梢血幹細胞移植」は、ダメージを受けた血液の工場を、健康なドナーのものと入れ替えることで、再び血液を作り出す機能を取り戻すことを目的とした治療法です。ドナーから提供された造血幹細胞は、レシピエントの骨髄に engraft し、新たな血液細胞を作り始めます。こうして、血液の工場を新しくすることで、病気の治療を目指します。
血液

慢性GVHD:移植後の闘い

- 慢性GVHDとは慢性GVHD(まんせいじーぶいえいちでぃー)は、骨髄移植などを受けた後に起こる病気です。骨髄移植は、血液のがんや一部の難病の治療法として行われます。骨髄移植では、健康な人(ドナー)から提供された血液細胞を、患者さん(レシピエント)の体内に移植します。移植された血液細胞には、免疫細胞が含まれています。免疫細胞は、本来は体内に侵入してきた細菌やウイルスなどを攻撃して、体を守る働きをしています。しかし、骨髄移植の場合、提供されたドナーの免疫細胞が、レシピエントの体を「異物」と認識してしまうことがあります。その結果、ドナーの免疫細胞が、レシピエント自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまうのです。これが、慢性GVHDと呼ばれる病気です。慢性GVHDでは、皮膚、口腔、消化管、肝臓、肺、眼、関節など、体の様々な部位が攻撃対象となる可能性があります。そのため、皮膚の発疹やかゆみ、口内炎、下痢、腹痛、呼吸困難、視力低下、関節痛など、多岐にわたる症状が現れます。慢性GVHDは、移植後3ヶ月以降に発症することが多く、長期にわたる経過をたどることが特徴です。症状の程度は患者さんによって異なり、軽い場合は経過観察のみで済むこともありますが、重症化すると生命に関わることもあります。
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