静かに広がる脅威:多発性骨髄腫
- 多発性骨髄腫とは多発性骨髄腫は、血液のがんである造血器腫瘍の一種です。 私たちの体には、細菌やウイルスなどの病原体から身を守る免疫システムが備わっています。この免疫システムで重要な役割を果たす細胞の一つに、形質細胞と呼ばれるものがあります。形質細胞は、体内に侵入してきた病原体を攻撃する抗体というたんぱく質を作り出す働きをしています。
骨髄は、骨の内部にあるやわらかい組織で、赤血球や白血球、血小板など、血液の細胞を作り出す重要な場所です。この骨髄の中で、形質細胞が何らかの原因でがん化し、異常に増殖してしまう病気を、多発性骨髄腫と呼びます。
多発性骨髄腫は、骨髄の機能を徐々に損なっていくため、健康な血液細胞が十分に作られなくなり、貧血や感染症のリスクが高まります。 また、がん化した形質細胞は、骨を溶かす物質を放出するため、骨がもろくなって骨折しやすくなるのも特徴です。さらに、腎臓の機能が低下したり、高カルシウム血症などの症状が現れたりするなど、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。