ループスアンチコアグラントを理解する
- ループスアンチコアグラントとは
ループスアンチコアグラント(LA)は、血液が固まるのを防ぐ働きを持つ「アンチコアグラント(抗凝固物質)」という言葉を含むため、その名前だけ聞くと、血液を固まりにくくする物質のように思えるかもしれません。しかし実際には、LAは血液を固まりやすくする可能性のある自己抗体の一種です。
私たちの体内では、血管が傷ついて出血すると、それを止めるために血液を固める仕組みが働きます。この血液凝固には、様々な成分が関わっていますが、その中でも重要な役割を担うのが「リン脂質」という成分と「プロトロンビン」という血液凝固因子です。
LAは、このリン脂質とプロトロンビンが結合した状態に対して作られる抗体です。LAは、リン脂質とプロトロンビンの結合を阻害するのではなく、むしろ促進する働きがあります。その結果、血液凝固反応が過剰に促進され、血栓という血液の塊ができやすくなってしまうのです。
LAは、全身性エリテマトーデス(SLE)という自己免疫疾患の患者さんの血液中で高頻度に認められます。SLEは、自分自身の細胞や組織に対して抗体が作られ、様々な臓器に炎症を引き起こす病気です。LAは、SLEの活動性を評価する上で重要な指標の一つとなっています。