「こ」

血液

骨髄破壊的移植:造血幹細胞移植の基礎

- 骨髄破壊的移植とは骨髄破壊的移植は、造血幹細胞移植を行う際の一つの方法です。造血幹細胞移植とは、血液を作り出す能力を持つ細胞「造血幹細胞」を、健康な人から患者に移植する治療法です。骨髄破壊的移植では、移植の前に「骨髄破壊的前処置」と呼ばれる重要な準備段階があります。骨髄破壊的前処置とは、高用量の抗がん剤や放射線を用いて、患者の骨髄機能を一時的に抑える処置です。「骨髄破壊」と聞くと思わず不安になるかもしれませんが、これは移植を成功させるために必要なプロセスです。この処置には、主に二つ目的があります。一つ目は、白血病などの血液疾患の原因となる異常な細胞を、体から取り除くことです。二つ目は、移植する健常な造血幹細胞が、患者の骨髄に定着しやすくなるように、環境を整えることです。骨髄破壊的前処置によって、健康な造血幹細胞が移植されやすくなるため、移植後の生存率向上や再発率の低下など、良い結果が期待できます。
脳・神経

口腔顔面失行:話したり食べたりすることの難しさ

- 口腔顔面失行とは口腔顔面失行は、脳の一部の損傷が原因で発症する病気です。 この病気になると、話したり、食べたりといった、口や顔の動きをスムーズに行うことが難しくなります。私たちは普段、無意識に口や顔の筋肉を動かして、会話や食事をしています。しかし、口腔顔面失行になると、脳からの指令が口や顔の筋肉にうまく伝わらなくなるため、これらの動作に支障が出てしまうのです。 例えば、口を開け閉めする、舌を動かす、表情を作るといった動作が困難になります。口腔顔面失行は、「観念運動失行」と呼ばれる、体を思い通りに動かせなくなる症状の一つです。観念運動失行は、手足の動作に障害が現れる場合もありますが、口腔顔面失行は、口や顔の動きに特異的に症状が現れる点が特徴です。口腔顔面失行は、脳卒中や脳腫瘍、頭部外傷などが原因で起こることがあります。また、神経変性疾患に伴って発症することもあります。治療には、言語聴覚士によるリハビリテーションなどが行われます。リハビリテーションでは、口や顔の筋肉の訓練や、発音練習などを行います。
血液

骨髄非破壊的移植:新たな希望

- はじめに近年、血液のがんや免疫不全症などの難病に対する治療法として、造血幹細胞移植が広く行われています。造血幹細胞移植とは、血液を作り出すもととなる細胞を、健康なドナーから患者に移植する治療法です。この治療法は、従来の治療法では治癒が難しいとされてきた多くの患者さんに、再び健康な生活を送るチャンスをもたらしてきました。従来の造血幹細胞移植では、患者の骨髄を、放射線や抗がん剤を用いて完全に破壊する必要がありました。これは、移植するドナーの細胞を、患者の体内で確実に生着させるために必要な処置でした。しかし、この骨髄破壊は、患者にとって大きな負担となるものでした。強い吐き気や脱毛、感染症のリスク増加など、様々な副作用が生じる可能性があったからです。そこで近年注目されているのが、骨髄非破壊的移植と呼ばれる新しい移植法です。骨髄非破壊的移植では、従来のような骨髄破壊を行わず、より身体への負担が少ない方法でドナーの細胞を移植します。この方法により、高齢の患者さんや合併症を持つ患者さんでも、移植治療を受けられる可能性が広がることが期待されています。この資料では、骨髄非破壊的移植について、その種類やメリット、デメリットなどを詳しく解説していきます。
脳・神経

高次脳機能障害について

- 高次脳機能障害とは 高次脳機能障害は、交通事故や脳卒中といった病気や怪我によって脳が損傷することで発症します。脳の損傷により、言語、記憶、注意、遂行機能、社会的行動、情緒といった機能に障害が現れ、日常生活に様々な支障をきたす状態を指します。 高次脳機能障害では、具体的な症状として、言葉を発したり理解することが困難になる場合があります。また、新しいことを覚えられなくなったり、覚えが悪くなったりする記憶障害、周りの状況を把握することが困難になる注意障害などもみられます。 さらに、計画を立てたり、物事を順序立てて行うことが難しくなる遂行機能障害、他人とのコミュニケーションがうまくいかなくなる、場にそった行動が取れなくなるといった社会的行動の障害、感情のコントロールが難しくなる情緒障害なども現れることがあります。 これらの症状は、脳の損傷部位や程度によって異なり、一人ひとり症状の出方が異なります。そのため、個々の症状に合わせたリハビリテーションや支援が必要となります。

感染症治療の立役者:抗生物質

抗生物質は、微生物が作り出した、他の微生物の増殖を抑える物質です。例えるなら、目に見えない小さな生き物が、別の小さな生き物を退治する武器を作り出すようなものです。この武器は、人間にとって悪い影響を与える細菌を退治するために使われます。私達が普段かかる病気の中にも、抗生物質が有効なものがたくさんあります。例えば、肺炎は肺に炎症を起こす病気ですが、細菌が原因で起こる肺炎には抗生物質がよく効きます。また、おしっこを出す時に痛みを伴う尿路感染症や、皮膚に炎症を起こす病気も、抗生物質で治療できる場合があります。抗生物質は、細菌の種類によって効果が異なります。細菌を退治するための武器も、敵の種類に合わせて変える必要があるのです。ですから、自己判断で抗生物質を使うのは大変危険です。医師の診察を受け、適切な抗生物質を処方してもらうことが重要です。
血液

輸血医療の要!交差適合試験とは?

私たちは、病気や怪我などで血液が不足すると、輸血によって血液を補います。輸血は、不足した血液を補うことで、命を救うための大切な医療行為です。しかし、輸血を行う際には、血液型に注意しなければなりません。なぜなら、自分と異なる血液型の血液を輸血されると、血液の中で抗原抗体反応という免疫反応が起こり、体に深刻な影響を及ぼす可能性があるからです。 人間の血液は、大きくA型、B型、AB型、O型の4つの血液型に分類されます。これは、赤血球の表面にある抗原と、血漿中に含まれる抗体の種類によって決まります。A型の人はA抗原と抗B抗体、B型の人はB抗原と抗A抗体、AB型の人はA抗原とB抗原を持っていますが、抗体は持っていません。O型の人は、抗原を持たず、抗A抗体と抗B抗体の両方を持っています。 輸血の際には、この血液型を合わせる必要があります。例えば、A型の人にB型の血液を輸血すると、A型の人の中にある抗B抗体が、B型血液中のB抗原と反応し、赤血球を破壊してしまいます。これが抗原抗体反応で、発熱や吐き気、最悪の場合、ショック症状を引き起こし、死に至ることもあります。 安全な輸血を行うためには、血液型について正しく理解し、血液型に合った輸血を受けることが重要です。輸血は、多くの場合、緊急を要するため、日頃から自分の血液型を知っておくことが大切です。
検査

免疫の記憶を探る:抗体検査とは

- 抗体検査とは抗体検査とは、血液などを用いて、体の中に特定の病原体に対する抵抗力となる物質が存在するかどうかを調べる検査です。私たちの体には、外から侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体から身を守る仕組みが備わっています。この仕組みを「免疫」と呼びます。病原体が体内に侵入してくると、私たちの体はそれと戦うための特別な物質を作ります。これを「抗体」と言います。抗体は、特定の病原体だけを攻撃する性質を持っています。例えば、はしかウイルスに対する抗体は、はしかウイルスだけを攻撃し、インフルエンザウイルスには作用しません。このように、抗体は鍵と鍵穴の関係のように、特定の病原体だけにぴったりと結合して、それを攻撃します。一度病気に感染すると、その病原体に対する抗体が体の中に作られ、その後も長い間、体内に残る場合があります。このため、再び同じ病原体に感染したときに、体はすばやく病原体を撃退することができます。これを「免疫記憶」と呼びます。抗体検査は、この免疫記憶を利用した検査です。血液中に特定の病原体に対する抗体が存在するかどうかを調べることで、過去にその病気に感染したことがあるかどうかを調べることができます。ただし、抗体検査はあくまでも過去の感染の可能性を示唆するものであり、現在の感染状態や病気の診断を確定するために行うものではありません。
検査

免疫のguardman:抗原検査

- 抗原検査とは私たちの体は、常に外部から侵入してくるウイルスや細菌などの異物から身を守るため、免疫システムという防御機構を備えています。この免疫システムは、体内に入ってきた異物を「抗原」として認識し、攻撃を仕掛けます。抗原検査とは、この免疫反応を利用して、特定の抗原が存在するかどうかを調べる検査です。例えば、風邪の原因となるウイルスが体内に侵入した場合、私たちの免疫システムはそのウイルスが持つ特有の抗原に反応します。抗原検査では、この反応を利用して、採取した検体の中に特定のウイルスの抗原が含まれているかどうかを調べます。もし、検査対象の抗原が検出されれば、そのウイルスに感染している可能性が高いと判断できます。抗原検査は、PCR検査と比較して、短時間で結果が得られるというメリットがあります。そのため、医療現場では、迅速な診断が必要な場合に広く用いられています。ただし、抗原検査はPCR検査と比べて感度が低い場合があり、偽陰性(実際には感染しているにも関わらず、検査結果が陰性となること)の可能性も考慮する必要があります。
消化器

体の出口、肛門の役割と病気

私達が毎日口にする食べ物は、胃や腸で消化・吸収され、栄養となって全身に届けられます。そして、その過程で残ったものが便です。便は、いわば体の「残りカス」であり、肛門はこれを体外へと送り出す、いわば体の「出口」としての重要な役割を担っています。 肛門は消化管の最終地点に位置し、体の最も低い場所に位置しています。この肛門が正常に機能することで、私達は不快な思いをすることなく、健康的な生活を送ることができるのです。 肛門は、単なる排出口ではなく、精巧な仕組みによってその役割を果たしています。肛門括約筋と呼ばれる筋肉が、便意がないときは肛門をしっかりと閉じて、便が漏れるのを防いでいます。そして、便が直腸に到達し、便意を感じると、脳からの指令によって肛門括約筋が緩み、便を排出します。 さらに、肛門の粘膜には、便をスムーズに排出するための粘液を分泌する機能も備わっています。この粘液が不足すると、排便時に痛みを感じたり、出血を伴ったりすることがあります。 このように、肛門は私達が健康的な生活を送る上で欠かせない役割を担っています。日々の生活の中で、肛門の健康にも気を配ることが大切です。

抗胸腺細胞グロブリン:免疫を抑制する治療薬

- 抗胸腺細胞グロブリンとは 抗胸腺細胞グロブリンは、体を守る免疫システムの働きを調整する薬です。 私たちの体には、外から侵入してくる細菌やウイルスなどの異物から身を守る、免疫という優れた仕組みが備わっています。この免疫システムで中心的な役割を担うのがリンパ球と呼ばれる細胞です。リンパ球は、異物を攻撃し排除する働きがありますが、時には、本来攻撃すべきでない自分の体の細胞を誤って攻撃してしまうことがあります。 このようなリンパ球の異常によって引き起こされる病気を自己免疫疾患と呼びます。自己免疫疾患では、過剰に活性化したリンパ球が、自分自身の臓器や組織を攻撃してしまうため、様々な症状が現れます。 抗胸腺細胞グロブリンは、過剰に活性化したリンパ球の働きを抑え、免疫システムのバランスを整えることで、自己免疫疾患の症状を改善する効果があります。具体的には、抗胸腺細胞グロブリンはリンパ球の表面にくっつき、その働きを阻害したり、リンパ球を破壊したりすることで、免疫を抑える働きをします。 このように、抗胸腺細胞グロブリンは、自己免疫疾患の治療において重要な役割を担っています。
検査

自己免疫疾患の指標:抗核抗体

- 抗核抗体とは私たちの体を守る免疫システムは、通常、細菌やウイルスなどの外敵にのみ攻撃を仕掛けます。この攻撃を担うのが「抗体」と呼ばれる物質です。抗体は、特定の敵だけに反応するように作られており、その敵を的確に見分けて攻撃します。 ところが、「抗核抗体」は、この免疫システムの働き方が少し異なります。 抗核抗体とは、その名の通り、「細胞の核」を攻撃する抗体のことを指します。細胞の核は、いわば体の設計図である遺伝情報(DNA)を保管している大切な場所です。抗核抗体がこの核を攻撃してしまうと、正常な細胞が傷つけられ、様々な症状が現れる可能性があります。 では、なぜ私たちの体は自分自身の細胞を攻撃してしまうような抗体を作ってしまうのでしょうか? その理由はまだ完全には解明されていません。しかし、遺伝的な要因や、ウイルス感染、紫外線、ストレス、喫煙などの環境要因が関係していると考えられています。抗核抗体は、膠原病や自己免疫疾患の指標として検査されますが、抗核抗体を持っているからといって必ずしもこれらの病気を発症するわけではありません。 多くの場合、抗核抗体は健康な人にも低いレベルで存在しており、特に症状を引き起こすことはありません。しかし、抗核抗体の量が多い場合や、特定の種類の抗核抗体が検出された場合は、医師の診察が必要となることがあります。
血液

抗リン脂質抗体症候群:自己免疫と血栓症の密接な関係

- 疾患の概要抗リン脂質抗体症候群は、自分の免疫システムが誤って自分自身を攻撃してしまう、自己免疫疾患の一種です。この病気では、血液が固まりやすくなるという特徴があります。通常、私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵から身を守るために免疫システムが備わっています。しかし、抗リン脂質抗体症候群を発症すると、この免疫システムが正常に機能しなくなります。免疫システムの一部である抗体が、本来攻撃すべきでないリン脂質という血液中の成分を攻撃してしまうのです。リン脂質は、細胞膜の構成成分であり、また血液凝固にも関与しています。抗リン脂質抗体がリン脂質に結合すると、血液が固まりやすくなり、血栓と呼ばれる血液の塊が血管内にできてしまいます。血栓は、血管を詰まらせてしまい、血液の流れを悪くします。これが、様々な臓器に影響を及ぼし、深刻な症状を引き起こす原因となるのです。例えば、脳の血管で血栓が生じると脳梗塞、心臓の血管で生じると心筋梗塞を引き起こす可能性があります。また、妊娠中の女性では、胎盤の血管に血栓ができやすくなるため、流産や早産のリスクが高まります。抗リン脂質抗体症候群は、根本的な治療法はまだ見つかっていません。しかし、血液が固まりにくくなる薬を服用することで、血栓の形成を防ぎ、症状の悪化を抑えることができます。
アレルギー

膠原病:全身に影響を及ぼす疾患群

- 膠原病とは膠原病とは、体の中で重要な役割を果たしている結合組織が、自分自身の免疫システムによって攻撃されてしまう病気の総称です。特に、結合組織の主成分である膠原線維が標的となることから、膠原病と名付けられました。膠原線維は、骨や軟骨、皮膚、血管、内臓など、体のあらゆる場所に存在し、組織の強度や弾力性を保つ働きをしています。例えるなら、建物を支える鉄骨のようなものです。この膠原線維が炎症を起こしたり、破壊されたりすることで、様々な臓器に障害が生じ、多岐にわたる症状が現れるのが膠原病の特徴です。膠原病には、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、強皮症など、多くの種類が存在します。それぞれの病気によって、主に障害を受ける臓器や症状、経過は大きく異なります。膠原病の原因はまだはっきりとは解明されていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に関係していると考えられています。また、膠原病は、比較的若い世代、特に20代から40代の女性に発症しやすいことも特徴の一つです。膠原病は、早期に発見し、適切な治療を行うことで、症状の進行を抑え、日常生活を維持することができる病気です。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
その他

膠原病類縁疾患:古典的膠原病との関連

- 膠原病とは膠原病は、体の様々な部位で炎症を引き起こす病気の総称です。 私たちの体は、臓器や組織を支え、結びつける役割を持つ結合組織で構成されています。膠原病は、この結合組織や血管の壁に炎症が起こり、組織が硬くなってしまう「線維素様変性」と呼ばれる変化を特徴とします。1942年、ポール・クレンペラーという医師によって提唱された膠原病は、当初、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、結節性多発動脈周囲炎、リウマチ熱の6つの病気を「古典的膠原病」として定義しました。膠原病は、免疫の異常が原因と考えられています。 本来、免疫は細菌やウイルスなどの外敵から体を守る仕組みですが、膠原病では、この免疫システムが誤って自分の体の組織を攻撃してしまうのです。 その結果、炎症が慢性化し、様々な臓器に障害を引き起こします。膠原病の症状は、発熱、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感など、風邪に似た症状で始まることが多いです。 また、皮膚の発疹や脱毛、口内炎、胸膜炎、心膜炎など、様々な症状が現れることもあります。膠原病は、早期発見・早期治療が大切です。 早期に適切な治療を開始することで、症状をコントロールし、病気の進行を抑えることが期待できます。
その他

酸素と生命:好気的な世界を探る

私たちが暮らす環境は、空気や水など、様々な物質で満ちています。その中でも、酸素は生命にとって欠かせないものです。「好気的」とは、まさにこの酸素が存在している状態のことを指します。 私たちが日々吸い込んでいる空気中には、およそ21%もの酸素が含まれています。これは地球の大気全体で見ても同じ割合であり、酸素は地球上に豊富に存在していると言えるでしょう。 この酸素は、私たち人間を含め、動物や植物など多くの生物が生きていく上で欠かせない役割を担っています。呼吸によって体内に取り込まれた酸素は、体内の細胞一つ一つに届けられ、栄養素を分解し、生命活動に必要なエネルギーを生み出すために使われます。 つまり、私たちが動き、考え、生きていくために、酸素のある環境、すなわち好気的な環境は必要不可欠なのです。
血液

細胞膜の重要成分:コレステロール

- コレステロールとは人間の体を含め、動物の体を作る細胞。その細胞一つ一つを包む膜を細胞膜といい、体の細胞全てに存在します。この細胞膜を作るために必要な成分の一つがコレステロールです。細胞膜は細胞の内側と外側を隔てる役割を担っており、細胞が正常に働くために無くてはならない存在です。 コレステロールは、細胞膜の構造を保ち、その流動性を調整する働きをしています。もし、コレステロールが不足すると細胞膜が硬くなってしまい、細胞本来の働きが損なわれてしまいます。逆に、コレステロールが多すぎると細胞膜が不安定になり、これもまた細胞の機能に悪影響を及ぼす可能性があります。 コレステロールは体内のあらゆる細胞に存在しますが、脳や脊髄、肝臓など、生命維持に重要な役割を担う臓器に多く分布しています。これは、これらの臓器が活発に活動するために、多くのコレステロールを必要としているためと考えられています。 このように、コレステロールは細胞の働きを正常に保つために欠かせない物質です。しかし、その量が多すぎても少なすぎても体に悪影響があるため、バランスを保つことが重要です。
その他

体の代謝を支える甲状腺

首の前側、ちょうど喉仏の下あたりに、蝶々が羽を広げたような形をした小さな器官があります。これが甲状腺です。蝶々の羽に例えられる左右対称の部分は、それぞれ右葉と左葉と呼ばれています。 甲状腺の大きさは個人差があり、一概には言えませんが、健康な成人であれば、縦と横が4~5cmほどです。これはちょうど親指と人差し指で丸を作ったくらいの大きさです。重さは15~20gほどしかありません。 甲状腺は一見小さく目立たない器官ですが、体内の代謝を調整するという重要な役割を担っています。代謝とは、体内に取り入れた栄養素をエネルギーに変えたり、不要なものを排出したりといった、生命活動の根幹となる活動のことです。甲状腺は、この代謝活動をスムーズに行うために必要なホルモンを分泌しています。そのため、甲状腺に異常が生じると、体重や体温調節、脈拍、消化機能など、体の様々な機能に影響が出てしまうことがあります。
アレルギー

混合性結合組織病:複数の膠原病の特徴を併せ持つ疾患

- 混合性結合組織病とは混合性結合組織病は、いくつかの膠原病の特徴を併せ持つ自己免疫疾患です。膠原病とは、本来、体を守るはずの免疫システムが、自分自身の体の組織を誤って攻撃してしまう病気の総称です。特に、骨や軟骨、血管など、体の様々な部分を繋ぎ支える結合組織が攻撃を受けることで、様々な症状が現れます。混合性結合組織病は、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎といった、代表的な膠原病の特徴を併せ持つ点が特徴です。それぞれの膠原病の特徴が、混合性結合組織病ではどのように現れるのか、具体的に見ていきましょう。まず、全身性エリテマトーデスは、顔面に出る蝶の形をした赤い発疹や関節の痛み、発熱、倦怠感といった症状が特徴です。次に、全身性強皮症は、皮膚が硬くなる症状や、指先の血行が悪くなるレイノー現象などがみられます。そして、多発性筋炎/皮膚筋炎は、筋肉の炎症による筋力低下や、皮膚の発疹、関節の痛みといった症状が現れます。このように、混合性結合組織病は、複数の膠原病の症状が複雑に重なり合って現れるため、診断が非常に難しい病気です。さらに、患者さん一人ひとりで、どの膠原病の症状が強く現れるかも異なり、症状の現れ方も様々であるため、治療法も患者さんの状態に合わせて慎重に検討する必要があります。
検査

関節リウマチと抗CCP抗体

関節リウマチは、免疫の働きに異常が生じ、本来体を守るはずの免疫細胞が、自分自身の関節を攻撃してしまうことで起こる病気です。原因はまだはっきりと解明されていませんが、遺伝的な要因と環境要因が複雑に関係していると考えられています。体のあちこちの関節に炎症が起こり、進行すると関節が破壊され、変形してしまうこともある、慢性的な炎症性疾患です。 関節リウマチは、早期に診断し、適切な治療を開始することが非常に重要です。早期に治療を開始することで、炎症を抑え、関節の破壊の進行を遅らせることができます。そして、関節の機能をできるだけ維持し、日常生活の制限を最小限に抑えることが期待できます。 関節リウマチの診断は、患者さんの症状、診察所見、血液検査、画像検査などを総合的に判断して行われます。関節の痛みや腫れ、朝のこわばりなどの症状に加え、血液検査ではリウマチ因子や炎症反応などを調べます。さらに、X線検査で関節の炎症や破壊の程度を評価します。関節リウマチは、放置すると関節の変形が進行し、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。早期発見・早期治療によって、病気の進行を抑え、より良い状態を保つことが期待できます。
その他

生命の炎を燃やす甲状腺ホルモン

- 甲状腺ホルモンとは人間の首の前側、喉仏の下あたりに位置する、蝶が羽を広げたような形をした小さな器官、それが甲状腺です。小さくても、この甲状腺から分泌されるホルモンは、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。それが、「甲状腺ホルモン」です。甲状腺ホルモンは、体のほぼ全ての細胞に作用し、細胞の代謝をコントロールする働きを持っています。例えるならば、全身の細胞たちがオーケストラだとすると、甲状腺ホルモンは指揮者のような存在と言えるでしょう。指揮者の指示によって演奏の速度が変わるように、甲状腺ホルモンの量によって体の代謝速度も変化します。甲状腺ホルモンが適切に分泌されている状態では、心拍数や体温、エネルギー産生などが正常に保たれ、健康的な状態を維持できます。消化や呼吸、脳の活動、そして子供の成長など、多岐にわたる生命活動に影響を与えているため、甲状腺ホルモンのバランスが崩れると様々な不調が現れる可能性があります。
その他

甲状腺ホルモンが過剰になると?甲状腺機能亢進症を解説

- 甲状腺機能亢進症とは甲状腺機能亢進症は、甲状腺という蝶ネクタイのような形をした器官から分泌されるホルモン(甲状腺ホルモン)が必要以上に分泌されてしまう病気です。このホルモンは、体の代謝を調整する重要な役割を担っており、過剰に分泌されると、全身の臓器の働きが活発になりすぎてしまいます。その結果、心臓がドキドキしたり、息が切れやすくなったり、汗をかきやすくなるといった症状が現れます。また、体重が減ったり、食欲が増進したりする一方で、常に疲れていたり、イライラしやすくなるといった症状が現れることもあります。症状は人によって異なり、症状が軽い場合は、日常生活に支障がないため、自分が甲状腺機能亢進症であることに気づかないこともあります。しかし、放置すると、動悸や息切れがひどくなったり、体重減少が進むことがあります。さらに、重症化すると、心臓に負担がかかり、心不全などを引き起こす可能性もあります。そのため、気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。
その他

甲状腺機能低下症:知っておきたい体のサイン

- 甲状腺機能低下症とは甲状腺機能低下症は、体の代謝に重要な役割を果たす甲状腺ホルモンの分泌量が低下することで起こる病気です。 甲状腺ホルモンは、体のエネルギーを作り出して消費する働きである代謝に大きく関わっています。このホルモンは、まるで体全体のエンジンオイルのようなもので、円滑な体の機能維持に欠かせません。しかし、何らかの原因で甲状腺ホルモンの分泌量が低下すると、体全体のエンジンがスムーズに動かなくなり、様々な不調が現れます。 具体的には、疲れやすさ、寒がり、体重増加、便秘、皮膚の乾燥、むくみ、思考力や集中力の低下など、多岐にわたる症状が現れることがあります。甲状腺機能低下症は、男女問わず、あらゆる年齢層で発症する可能性があります。 特に女性や高齢者に多くみられる傾向があります。 また、自己免疫疾患や甲状腺の手術などが原因で発症することもあります。甲状腺機能低下症は、適切な治療を行えば、症状を改善し、日常生活に支障なく過ごせるようになる場合がほとんどです。 気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。
アレルギー

アトピーの命名者:コカ

医学の歴史を紐解くと、病気の名前を定めることがいかに大切かということが分かります。病気を特定の呼び方で呼ぶことで、医師や研究者たちは共通の認識を持って研究を進めることができ、その結果、人々を苦しみから解放する治療法の発見へと繋がっていくからです。20世紀初頭、原因が分からず、特定の物質に過敏に反応してしまうことで、くしゃみや発疹などの症状に苦しむ人々がいました。様々な物質に対して、特定の人だけが過剰に反応を示す、この奇妙な症状は、長い間医学の謎とされていました。当時、この分野の第一人者であったアーサー・フェルナンデス・コカは、ロバート・クックと共に研究を重ね、この原因不明の過敏反応に「アトピー」という新しい名前を付けました。これはギリシャ語で「奇妙な病気」という意味です。この新しい病名は、それまで漠然と捉えられていた症状を、一つの独立した病気として明確に定義づけるものでした。コカとクックの功績により、アトピーという病気の研究は大きく進展することになりました。アトピーという言葉が広く知られるようになると、世界中の医師や研究者がこの病気に関心を持ち、原因究明や治療法の開発に力を注ぐようになったのです。その結果、アトピーの原因となる物質やメカニズムが徐々に明らかになり、現在では、症状を和らげる効果的な治療法も数多く開発されています。コカとクックがアトピーという言葉を生み出したことは、医学、特にアレルギー学の分野において、非常に大きな功績と言えるでしょう。
その他

知っておきたい体のサイン:亢進とは?

- 体の変化を意味する『亢進』日常生活ではあまり聞き慣れない「亢進」という言葉。しかし、健康状態を表す際には重要な意味を持ちます。「亢進」を簡単に説明すると、体の機能や活動が通常よりも過剰に活発になっている状態を指します。私たちの体には、心臓が血液を送り出す、胃が食べ物を消化する、など、生命を維持するために休むことなく働く様々な機能が備わっています。 これらの機能は通常、体内でのバランスを保ちながら、適切なレベルで活動しています。 しかし、様々な要因によって、このバランスが崩れ、特定の機能が過剰に働いてしまうことがあります。 この状態を「亢進」と呼ぶのです。例えば、毎日活動するためのエネルギーを生み出す甲状腺という器官があります。 この甲状腺の働きが活発になりすぎる状態を「甲状腺機能亢進症」と呼びます。 甲状腺機能亢進症になると、代謝が過剰に進み、動悸、息切れ、体重減少、発汗過多などの症状が現れます。「亢進」は甲状腺に限らず、様々な体の機能に起こり得ます。 例えば、免疫の働きが過剰になるとアレルギー反応が強く出たり、自律神経が過剰に働くと、めまい、動悸、息苦しさなどの症状が現れることがあります。このように「亢進」は、体の機能のバランスが崩れ、過剰に働いている状態を指す言葉です。 「亢進」という言葉を知っておくことで、自身の体の状態や病気について、より深く理解することができます。
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