免疫の司令塔:CXCL8の役割
- 炎症を引き起こすCXCL8とは私たちの身体は、怪我や細菌感染など、様々な刺激に対して防御反応を起こします。これを炎症と呼びますが、この炎症反応において中心的な役割を担うタンパク質の一つがCXCL8です。 CXCL8は、「C-X-Cモチーフケモカインリガンド8」の略称であり、インターロイキン8(IL-8)としても知られています。では、ケモカインとは一体どのようなものでしょうか。ケモカインは、白血球などの免疫細胞を炎症部位に誘導する、いわば「誘導物質」のようなものです。体内で炎症が起こると、CXCL8のようなケモカインが分泌され、まるで道しるべのように、免疫細胞を炎症部位へと導きます。CXCL8は、特に好中球と呼ばれる免疫細胞を誘導する作用が強いことが知られています。好中球は、細菌などの病原体を貪食する能力に優れた細胞です。 CXCL8は、好中球を炎症部位に誘導することで、病原体の排除を促進し、生体の防御に貢献しています。しかし、炎症反応は、時に過剰に起こってしまうことがあります。このような場合、CXCL8は過剰に産生され、慢性的な炎症を引き起こす要因となります。例えば、関節リウマチなどの自己免疫疾患や、がん、動脈硬化などの疾患において、CXCL8が関与していることが知られています。このように、CXCL8は炎症反応において重要な役割を担っており、その作用の解明は、様々な炎症性疾患の治療法開発に繋がると期待されています。