「ふ」

消化器

体の中心を探る:腹腔とその役割

私たちの体は、まるで精巧に組み合わされたパズルのように、様々な器官や組織が複雑に組み合わさって成り立っています。その中でも、腹腔は、体の中心部に位置する重要な空間です。ちょうど肋骨の下、胸部との境界には横隔膜と呼ばれる薄い筋肉の膜があり、これが呼吸に合わせて上下に動くことで、肺に空気を入れたり出したりするのを助けています。腹腔は、この横隔膜から骨盤腔まで広がる、まるで体の中心に設けられた舞台のような空間です。 この舞台の上では、様々な臓器がそれぞれ重要な役割を演じています。例えば、食べ物を消化・吸収する胃や腸、栄養分を貯蔵したり、有害な物質を解毒する肝臓、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓など、生命維持に欠かせない臓器が数多く存在しています。 さらに、腹腔はこれらの臓器を保護する役割も担っています。腹腔の壁は、筋肉や脂肪組織などで構成されており、外部からの衝撃から臓器を守っています。また、腹腔内には腹膜と呼ばれる薄い膜があり、臓器同士が摩擦を起こさないよう、潤滑油のような役割を果たしています。このように、腹腔は私たちの体が正常に機能するために無くてはならない、まさに「体の重要な空間」と言えるでしょう。
資格・職種

新人看護師を支える制度:プリセプターシップ

- プリセプターシップとは病院などの医療現場では、新しい仲間を迎える際に、新人看護師に対して先輩看護師がマンツーマンで指導や教育を行う制度があります。これをプリセプターシップと呼びます。看護師として働き始めたばかりの頃は、学生時代の病院実習とは異なる現場の厳しさや責任の重さに戸惑い、不安を感じることが少なくありません。慣れない環境、初めてのことばかりで、緊張の毎日を送る中で、プリセプターと呼ばれる先輩看護師は、新人看護師の不安を取り除き、安心して仕事ができるよう、親身に寄り添いサポートする役割を担います。プリセプターシップの目的は、単に病院の業務を教えることだけではありません。新人看護師が、医療現場で働く者としての責任感や倫理観を育み、患者さん一人ひとりに寄り添うことのできる、思いやりのある看護師として成長していくために必要な知識や技術を、時間をかけて丁寧に指導していくことを大切にしています。プリセプターシップを通して、新人看護師は安心して仕事に慣れ、一日も早く一人前の看護師として活躍できるよう、知識や技術を習得していきます。そして、この制度は、先輩看護師にとっても、後輩を指導することで自身の看護技術や指導方法を見つめ直し、成長を促す機会となっています。
食生活

プリン体と健康

- プリン体とはプリン体とは、私たちの体の設計図ともいえる遺伝情報を持つDNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)といった核酸を構成する物質の一つです。DNAは細胞の核の中にあり、遺伝情報を担う重要な物質です。一方、RNAはDNAの遺伝情報を元にタンパク質を合成する役割を担っています。つまり、プリン体は遺伝情報を伝える物質の材料と言えるでしょう。また、プリン体はエネルギー源として知られるATP(アデノシン三リン酸)やGTP(グアノシン三リン酸)の材料にもなります。ATPは、体内のあらゆる活動に使われるエネルギーの貯蔵・運搬を担っています。呼吸や運動、体温維持など、生命活動のほぼ全てにATPが関わっていると言っても過言ではありません。GTPも細胞内の情報伝達やタンパク質の合成など重要な役割を担っており、プリン体はこれらのエネルギー代謝にも深く関わっています。このプリン体は、体内で合成されるだけでなく、私たちが毎日食べる食物からも摂取されます。そのため、プリン体を多く含む食品を摂りすぎると、体内のプリン体濃度が高まり、健康に影響を与える可能性があります。具体的には、プリン体が分解される過程で尿酸が作られ、尿酸が体内に過剰に蓄積されると、痛風のリスクが高まるとされています。

胃酸を抑える薬:プロトンポンプ阻害薬

- プロトンポンプ阻害薬とは私たちの胃は、食べたものを消化するために強い酸性の胃液を分泌しています。この胃液には、食べ物を分解するだけでなく、細菌の繁殖を抑える役割もあります。しかし、胃酸が必要以上に多く分泌されてしまうと、胃や十二指腸の粘膜を傷つけ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気を引き起こすことがあります。また、胃酸が食道に逆流することで、胸やけやげっぷ、炎症などを引き起こす逆流性食道炎といった病気の原因となることもあります。 このような胃酸が過剰に分泌されてしまう病気の治療薬として、現在広く使われているのがプロトンポンプ阻害薬です。プロトンポンプ阻害薬は、胃壁にある細胞の中にあるプロトンポンプという酵素の働きを阻害することで、胃酸の分泌を抑える薬です。 プロトンポンプ阻害薬は、従来の胃酸を抑える薬と比べて効果が高く、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などの治療に非常に効果があります。また、ピロリ菌の除菌治療を行う際にも、他の薬と組み合わせて使用されます。 プロトンポンプ阻害薬は、医療現場で広く使われている薬ですが、副作用として便秘や下痢、頭痛、発疹などが現れることがあります。また、長期にわたって服用すると、骨粗鬆症やマグネシウム欠乏症のリスクが高まる可能性も指摘されています。そのため、自己判断で服用せず、必ず医師の指示に従って服用する必要があります。
検査

ブルンベルグ徴候:お腹の痛みのサイン

- ブルンベルグ徴候とはお腹の診察において、医師が特定の方法で圧力をかけることで、隠れた病気を発見することがあります。その一つに、ブルンベルグ徴候と呼ばれるものがあります。これは、腹膜炎の可能性を示唆する重要なサインです。腹膜炎とは、お腹の中にある臓器を包む薄い膜である腹膜に炎症が起こる病気です。様々な原因で起こりますが、いずれも緊急性の高い状態であることが多いです。ブルンベルグ徴候は、次のような手順で確認します。1. 医師は、まず患者さんに仰向けに寝てもらいます。2. 次に、お腹の痛みを感じている場所から少し離れた部分を、ゆっくりと指で押していきます。3. しばらく押した後に、急に手を離します。この時、手を離した瞬間に、押していた場所よりも強い痛みを感じた場合、ブルンベルグ徴候が陽性と判断されます。なぜこのような現象が起こるのでしょうか?健康な状態であれば、お腹をゆっくり押されても、手を離した時に強い痛みは感じません。しかし、腹膜に炎症が起こると、わずかな刺激でも痛みとして感じやすくなります。そのため、押している間は腹膜への刺激が抑えられていますが、手を離した瞬間に刺激が強くなり、鋭い痛みとして感じると考えられます。ブルンベルグ徴候は、あくまで腹膜炎の可能性を示唆するサインの一つであり、この徴候だけで診断が確定するわけではありません。しかし、この徴候が見られる場合は、緊急性の高い病気が隠れている可能性も考えられるため、速やかに医師の診察を受けるようにしてください。
血液

血液透析に必須なブラッドアクセスとは

血液透析は、腎臓の働きが低下し、体内の老廃物や余分な水分を十分に排出できなくなった患者さんにとって、生命を維持するために欠かせない治療法です。この治療では、体から血液をいったん体外に取り出し、透析装置と呼ばれる人工腎臓によって血液をきれいにした後、再び体内に戻します。 この血液透析において、「ブラッドアクセス」は患者さんの体と透析装置を繋ぐための重要な役割を担っています。ブラッドアクセスは、大量の血液をスムーズかつ安全に体内と体外で循環させるための特別な経路です。この経路がなければ、透析治療自体を行うことができません。 ブラッドアクセスには、主に「シャント」と「カテーテル」の二つの種類があります。シャントは、自分の血管と動脈を手術でつなぎ合わせて作る経路で、長期間にわたって使用することができます。一方、カテーテルは、太い血管に管を挿入して作る経路で、主に緊急時や一時的な使用に適しています。 血液透析を安全かつ効果的に行うためには、患者さん一人ひとりの状態に合わせた適切なブラッドアクセスを選択し、大切に管理していくことが非常に重要です。ブラッドアクセスは、まさに血液透析の生命線と言えるでしょう。
その他

フィブリノイド変性:免疫と組織の攻防

- フィブリノイド変性とは何かフィブリノイド変性とは、血管や心臓、皮膚、関節など、体の様々な組織に起こる変化のことです。顕微鏡で観察すると、本来は細胞や線維が規則正しく並んでいるはずの組織が、まるでピンク色の雲がかかったように、ぼんやりとした均一な物質に置き換わって見えます。この様子が、血液凝固に関わるタンパク質であるフィブリンが析出した状態に似ていることから、「フィブリノイド変性」と名付けられました。では、なぜこのような変化が起こるのでしょうか? その主な原因として考えられているのが、免疫システムの異常です。私たちの体は、外部から侵入してきた細菌やウイルスなどの異物から身を守るために、免疫システムを備えています。しかし、この免疫システムが何らかの原因で自分の体の組織を攻撃してしまうことがあります。これが自己免疫疾患と呼ばれる病気です。フィブリノイド変性は、この自己免疫疾患において特徴的に見られる変化の一つです。免疫システムが自分の組織を攻撃する際に作られる抗体や免疫複合体が、血管壁などに沈着し、炎症を引き起こします。そして、その過程で組織が壊され、フィブリンによく似た物質に置き換わってしまうのです。フィブリノイド変性は、リウマチなどの自己免疫疾患だけでなく、高血圧や動脈硬化など、血管に負担がかかる病気でも起こることがあります。これらの病気では、血管壁が傷つくことで炎症が起こり、フィブリノイド変性が生じると考えられています。フィブリノイド変性が起こると、組織の機能が低下し、様々な症状が現れます。例えば、血管でフィブリノイド変性が起こると、血管が狭くなったり、詰まったりして、血液の流れが悪くなります。その結果、臓器への酸素供給が不足し、臓器の機能が低下してしまう可能性があります。
その他

体の調節役!副腎皮質の役割と病気

- 副腎皮質ってどこにあるの? 副腎皮質は、名前の通り「副腎」という臓器の一部です。副腎は、ちょうど腎臓の帽子のように、左右の腎臓の上に乗っている小さな臓器です。 副腎は、中央部分の「髄質」と、その周りを囲む「皮質」の二つに分かれています。副腎皮質は、その名の通り副腎の外側部分を占める組織のことです。副腎自体は小さい臓器ですが、生命維持に欠かせないホルモンを作り出す、人体にとって非常に重要な臓器です。 副腎皮質は、副腎全体の約8~9割を占めており、名前の通り黄色っぽい褐色をしています。これは、副腎皮質がコレステロールを豊富に含んでいるためです。コレステロールは、副腎皮質ホルモンの材料となる重要な物質です。 副腎皮質は、体内の水分量やミネラルバランスの調整、ストレスへの対応、性ホルモンの産生など、様々な働きをするホルモンを分泌しています。そのため、副腎皮質が正常に機能しなくなると、様々な体の不調が現れる可能性があります。
その他

副腎皮質:小さな器官の大きな役割

- 副腎皮質ってどこにあるの? 副腎皮質は、名前の通り「副腎」という臓器の一部です。では、副腎はどこにあるのでしょうか?副腎は、私たちの体の中に左右一対ずつ、合計二つあります。そして、その名の通り腎臓にくっつくように存在しています。もう少し詳しく見ていくと、左右の腎臓の上部、ちょうど帽子をかぶせるようにちょこんと乗っているのが副腎です。 副腎は非常に小さく、その大きさは縦が約3cm、横が約5cmほどしかありません。形は三角形に似ています。この小さな臓器の中に、生命維持に欠かせないホルモンを分泌する重要な器官である副腎皮質は存在しています。 副腎は、外側部分を占める「副腎皮質」と、内側部分を占める「副腎髄質」の二つで構成されています。副腎皮質は、副腎全体の約8~9割を占めており、体の電解質バランスや糖質、脂質の代謝などを調整するホルモンなどを分泌しています。 副腎は小さく目立たない臓器ですが、生きていく上で非常に重要な役割を担っています。
血液

血液透析における生命線:ブラッドアクセス

- ブラッドアクセスとは血液透析を受ける患者さんにとって、ブラッドアクセスは、まさに生命線とも言える重要なものです。血液透析は、腎臓の機能が低下した際に、体内の血液を一度体外へ取り出し、人工的に老廃物や余分な水分を取り除いた後、再び体内に戻す治療法です。ブラッドアクセスは、この治療において、血液を体外循環させるための重要な役割を担っています。体外への血液の出入り口となるブラッドアクセスは、具体的には、動脈と静脈を体内または体外でつなぎ合わせることで作られます。このつなぎ目によって、血液透析に必要な大量の血液を、体外へ取り出したり、体内に戻したりすることができるのです。ブラッドアクセスには体内型と体外型の二つの種類があり、それぞれに利点と欠点があります。体内型は、自分の血管同士を手術でつなぎ合わせて作るため、異物を体内に埋め込む必要がありません。しかし、血管が成熟するまでには時間がかかり、すぐに使用できないという側面もあります。一方、体外型は人工血管を用いるため、手術後すぐに使用できます。しかし、感染症のリスクや、定期的な交換が必要となるなど、注意すべき点も存在します。いずれの方法でブラッドアクセスを作成するかは、患者さんの状態や生活スタイルなどを考慮して、医師とよく相談の上で決定されます。血液透析を安全かつ円滑に行うためには、ブラッドアクセスに対する正しい理解と、日頃からの適切な管理が欠かせないと言えるでしょう。
検査

原因不明の発熱、その名は不明熱

体温が上がり、体がだるくて熱っぽさを感じると、誰でも不安になりますよね。多くは風邪やインフルエンザといった、原因がはっきりとした病気であることが多いですが、中には原因が分からず、高い熱が長く続くことがあります。これが「不明熱」と呼ばれるものです。 不明熱とは、医学的には「原因不明の発熱」を意味し、文字通り、検査をしても熱の原因が特定できない状態を指します。一般的には、38度以上の発熱が3週間以上続き、1週間入院して検査を続けても原因が分からない場合に、不明熱と診断されます。 風邪やインフルエンザなどは、ウイルス検査で原因ウイルスが特定でき、比較的短期間で解熱することがほとんどです。しかし、不明熱は原因が特定できないため、治療法も原因に対するものとは限りません。場合によっては、対症療法で熱を下げながら、経過観察を行うこともあります。 原因不明の熱が続くという状況は、患者にとって大きな不安や負担となる可能性があります。不明熱は、比較的まれな病気ではありますが、その背後には、感染症、膠原病、悪性腫瘍など、様々な病気が隠れている可能性も考えられます。そのため、自己判断はせず、医療機関を受診し、医師の診断を受けることが重要です。
消化器

ありふれているのに奥深い、腹痛の謎

お腹のあたりに感じる痛みを総じて腹痛と呼びます。食べ過ぎや飲み過ぎなど、誰でも一度は経験するありふれた症状と言えるでしょう。 腹痛と一口に言っても、痛む場所は人それぞれです。みぞおちのあたりが痛む人もいれば、おへその周囲や下腹部など、痛む場所は実に様々です。また、痛みの種類も多岐に渡ります。キリキリと刺すような鋭い痛みを感じる人もいれば、シクシクと鈍く痛む人もいます。その他、締め付けられるような痛みや、お腹が張ったような感覚を訴える人もいます。 このように、腹痛には様々な種類や症状があり、その原因も多岐に渡ります。そのため、自己判断で対処するのではなく、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。特に、激しい痛みが続く場合や、発熱、嘔吐、下痢などの症状を伴う場合は、早急に医療機関を受診しましょう。
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