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血液

免疫の要!HLAと私たちの身体

- HLAとは何か?HLA(えいちえるえー)は、ヒト白血球抗原(じんはっけっきゅうこうげん)の略称で、私たちの体の細胞の表面にある、いわば名札のようなものです。この名札は、一人ひとり異なっており、自分自身の細胞と、そうでない細胞を見分けるために重要な役割を担っています。たとえば、風邪をひいたときや、体内に細菌が侵入したとき、私たちの体は免疫システムを使って、これらの病原体と戦います。このとき、HLAは、免疫細胞に「これは自分の細胞ではなく、敵である」ということを知らせる目印となり、免疫細胞が正確に病原体を攻撃するのを助けます。もし、HLAがない、あるいは正常に機能しない場合、免疫細胞は自分自身の細胞と、外敵を区別することができなくなってしまいます。その結果、自分自身の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患や、逆に、本来攻撃すべき病原体や異常な細胞を排除できず、感染症やがんになりやすくなる可能性があります。臓器移植の際にも、HLAの型が適合するかどうかが非常に重要です。提供者とレシピエントのHLAの型が大きく異なる場合、レシピエントの免疫システムは、移植された臓器を「自分のものではない」と認識し、攻撃してしまう可能性があります。これを拒絶反応といい、移植医療においては、いかに拒絶反応を抑えるかが大きな課題となっています。このように、HLAは、私たちの体の免疫システムにおいて、非常に重要な役割を担っています。HLAの研究が進歩することで、病気の治療法や予防法の開発、そして、より安全な臓器移植の実現につながることが期待されています。
その他

HEPAフィルター:その仕組みと重要性

- HEPAフィルターとはHEPAフィルターは、High Efficiency Particulate Air Filterの頭文字をとったもので、日本語では「高効率微粒子空気フィルター」といいます。その名の通り、空気中を漂う目に見えないほど小さな粒子を、高い効率で取り除くことができるフィルターです。0.3マイクロメートルという、髪の毛の太さの約300分の1ほどの大きさの微粒子に対して、99.97%以上の確率で捕集することができます。これは、1万個の微粒子が HEPAフィルターを通過しようとすると、そのうち9,997個以上がフィルターに捕らえられ、通過できるのはわずか3個以下になるということを意味します。この高い捕集性能から、HEPAフィルターは、空気清浄機をはじめ、病院の手術室や、薬品を扱うクリーンルームなど、清潔な空気環境を保つことが特に重要な場所で広く利用されています。HEPAフィルターは、非常に細かい繊維が複雑に絡み合った構造をしています。空気中の微粒子は、この繊維に衝突したり、繊維に引っかかったりすることで捕集されます。フィルターを通過する空気は、微粒子やほこりなどの汚れが取り除かれ、きれいになった状態で排出されます。HEPAフィルターは、私たちの身の回りで、清潔で安全な空気環境を守るために活躍していると言えるでしょう。
血液

HIV感染症:免疫との闘い

- HIV感染症とはHIV感染症は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)という病原体が体内に侵入することで発症する感染症です。 HIVは、免疫システムにおいて重要な役割を担うリンパ球という細胞の中でも、特にCD4陽性リンパ球と呼ばれる細胞に感染します。 このCD4陽性リンパ球は、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体から体を守るために非常に重要な役割を担っています。HIVに感染すると、このCD4陽性リンパ球が破壊され、その数が徐々に減少していきます。 CD4陽性リンパ球が減少し、免疫力が低下すると、健康な時には感染しないような弱い病原体にも感染しやすくなり、様々な病気を発症しやすくなります。 この状態を後天性免疫不全症候群、つまりAIDS(エイズ)と呼びます。HIVは、血液、精液、膣分泌液、母乳などの体液を介して感染します。 具体的には、感染者の体液が、傷口や粘膜(口の中、性器、肛門など)に直接触れることで感染します。 日常生活で感染する可能性は極めて低く、握手や抱擁、咳やくしゃみなどでは感染しません。HIV感染症は早期に発見し、適切な治療を受けることで、健康な状態を長く維持することが可能です。
血液

免疫の要!HLAと私たちの身体

- HLAとは何かHLAとは、ヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen)の略称で、私たちの体を守る免疫システムにおいて、非常に重要な役割を担うものです。 私たちの体の中にある細胞は、それぞれ表面に「自分自身の細胞である」ことを示すマークをつけています。このマークがHLAであり、いわば細胞の「顔写真」のようなものです。免疫細胞は、体の中を常にパトロールして、侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体や、体内で発生した異常な細胞(がん細胞など)を見つけ出して攻撃します。この時、免疫細胞は細胞の表面に提示されたHLAをチェックします。自分自身の細胞が持つHLAであれば「味方」、そうでないHLAであれば「敵」と認識し、攻撃するかどうかを判断します。 つまり、HLAは免疫細胞が「自己」と「非自己」を区別するために不可欠なものであり、私たちの体を病気から守る上で非常に重要な役割を担っているのです。HLAは、非常に多くの種類が存在し、その組み合わせは個人によって異なります。そのため、HLAは臓器移植の際に、適合性を判断する重要な指標として用いられています。適合しないHLAを持つ者同士で臓器移植を行うと、拒絶反応が起こる可能性が高くなるためです。
検査

HbA1cでわかる!過去1~2ヶ月の血糖値コントロール

- HbA1cとはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という言葉を耳にしたことはありますか? これは、過去1~2ヶ月間の血糖値の状態を把握するための重要な指標です。 日々の血糖値を測ることも大切ですが、HbA1cを調べることで、より長期的な血糖コントロールの状態を知ることができるのです。私たちの体内にある赤血球には、酸素を全身に運ぶ役割を担うヘモグロビンというタンパク質が存在します。 グルコース(ブドウ糖)は、食事から摂取されエネルギー源となる重要な栄養素ですが、血液中のグルコースがヘモグロビンと結合するとHbA1cが生成されます。 血液中のグルコース値が高い状態が続けば、それだけ多くのグルコースがヘモグロビンと結合するため、HbA1cの値も高くなります。 HbA1cは、過去1~2ヶ月間の血糖値を反映して変化するため、日々の血糖値の変動に左右されにくく、安定した指標として糖尿病の診断や治療効果の判定に広く用いられています。
血液

免疫の破壊者、HIVの脅威

- HIVとはHIVは「ヒト免疫不全ウイルス」と呼ばれるウイルスの略称です。このウイルスは、私たちの体を病気から守る免疫システムを標的にして攻撃するという特徴を持っています。免疫システムは、体の中に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体から私たちを守ってくれる、いわば「体の防衛部隊」です。風邪をひいたときや、インフルエンザにかかったときに、熱が出たり、咳が出たりするのは、この免疫システムが病原体と戦っている証拠です。HIVはこの免疫システムの中で、特に重要な役割を担う「リンパ球」という細胞を破壊してしまいます。リンパ球は、例えるなら「体の防衛部隊の司令塔」のような役割を果たしています。司令塔であるリンパ球が破壊されてしまうと、免疫システムからの指令がうまく伝わらなくなり、体は防衛力を失ってしまいます。その結果、通常では感染症を引き起こさないような弱い病原体にも感染しやすくなってしまうのです。HIVは、血液、精液、膣分泌液、母乳などを介して感染します。HIVに感染しても、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、ウイルスは体の中で静かに増殖を続け、免疫システムを徐々に破壊していきます。そして、免疫力が著しく低下した状態になると、「後天性免疫不全症候群(AIDS)」を発症します。
血液

免疫力を奪うHIVとは?

- HIVとはHIVは「ヒト免疫不全ウイルス」の略称で、人間の免疫システムを攻撃するウイルスです。免疫システムは、私たちの体を病気から守るために非常に重要な役割を担っています。HIVはこの免疫システムの中で、特に重要な役割を果たす「CD4陽性T細胞」という細胞に感染します。CD4陽性T細胞は、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体を攻撃し、排除する司令塔のような役割を担っています。HIVはこのCD4陽性T細胞に感染し、細胞の中で増殖を繰り返します。その結果、CD4陽性T細胞は破壊され、免疫システムが正常に機能しなくなってしまいます。HIVは、感染した人の血液、精液、膣分泌液、母乳などの体液に含まれており、これらの体液が他の人に移ることによって感染します。具体的には、性交渉、血液を介した感染(注射針の共用など)、母子感染(妊娠中、出産時、授乳時)などの経路で感染します。HIVは空気感染や接触感染はしません。日常生活で感染する可能性は極めて低いと言えます。
生活習慣病

サイレントキラー!高脂血症を知ろう

- 高脂血症とは?高脂血症とは、血液中に脂質(ししつ)と呼ばれる脂肪成分が過剰に増えている状態を指します。脂質は私たちの体を構成する細胞膜やホルモンを作るために欠かせない成分であり、健康を維持する上で重要な役割を果たしています。しかし、 脂質が必要以上に増えてしまうと、血管の内側に溜まりやすくなり、血管を硬く狭くしてしまう動脈硬化を引き起こすリスクが高まります。動脈硬化は、血管の柔軟性や弾力性を低下させ、血液の流れを悪くする病気です。動脈硬化が進行すると、心臓に血液を送る血管(冠動脈)が狭窄・閉塞し、心筋梗塞を引き起こす可能性があります。また、脳の血管が詰まると脳梗塞を引き起こす可能性もあります。 心筋梗塞や脳梗塞は、命に関わるだけでなく、後遺症が残る可能性もあるため、動脈硬化の予防と早期治療が非常に重要です。高脂血症は、自覚症状がほとんどないため、健康診断などで指摘されて初めて気づくという方が多くいらっしゃいます。しかし、放置すると動脈硬化を進展させ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることになるため、注意が必要です。 食生活の改善や運動習慣の導入など、生活習慣の見直しによって脂質の値をコントロールすることが重要です。また、医師の指示のもと、適切な治療を受けていくことが大切です。
血液

善玉コレステロール:健康を守るHDLの役割

私たちの体内では、脂肪は水に溶けにくいため、血液中にそのままの形で溶け込むことができません。そこで、脂肪を体内で効率よく運ぶために活躍するのが「リポタンパク」と呼ばれる物質です。リポタンパクは、水と馴染みやすいタンパク質と、水に馴染みにくい脂肪が組み合わさってできたカプセルのような構造をしています。このカプセルの中に脂肪を取り込むことで、血液中に溶けにくい脂肪を全身に運ぶことができるのです。 リポタンパクには、運搬する脂肪の種類や量、大きさなどによっていくつかの種類があります。その中でも代表的なものが、いわゆる「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLコレステロールと、「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLコレステロールです。HDLコレステロールは、血管に溜まった余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す役割を担っています。一方、LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を担っていますが、過剰になると血管の壁にコレステロールを溜め込み、動脈硬化を引き起こすリスクを高めてしまうことがあります。 このように、リポタンパクは体にとって重要な役割を担っていますが、その種類や量によって健康への影響が大きく異なります。バランスの取れた食生活や適度な運動を心がけ、健康的なリポタンパクの量を維持することが大切です。
検査

HBs抗原:B型肝炎ウイルスの存在を示す指標

- B型肝炎ウイルス感染の指標となるHBs抗原 B型肝炎ウイルスは、肝臓に炎症を起こすウイルスの一種です。このウイルスに感染すると、血液中にHBs抗原と呼ばれるタンパク質の一部が検出されるようになります。 HBs抗原は、B型肝炎ウイルスそのものの表面に存在する物質です。ウイルスが肝臓の細胞に侵入し、増殖する際に、このHBs抗原も同時に作られます。そして、血液中に流れ出したHBs抗原が検出されることで、B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを判断することができるのです。 血液検査でHBs抗原が陽性、つまり検出された場合、過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがある、あるいは現在感染している最中である可能性を示しています。ただし、HBs抗原が陽性でも、必ずしも症状が出ているとは限りません。自覚症状がないままHBs抗原が陽性となるケースも少なくありません。 このように、HBs抗原はB型肝炎ウイルスの感染を判断する上で非常に重要な指標となります。HBs抗原が陽性と診断された場合は、医師の指示に従い、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。
検査

HbA1cってなに?糖尿病との関係を解説

- HbA1cとは?HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、過去1~2ヶ月の平均的な血糖値を反映する検査値です。健康診断などでよく耳にする「血糖値」は、その瞬間の血液中のブドウ糖の量を表しています。一方、HbA1cは、もっと長い期間の血糖の状態を知るための指標になります。私たちの体内では、食事から摂取したブドウ糖が血液中に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。この時、血液中のブドウ糖の一部は、赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質と結合します。この結合した状態のヘモグロビンを「HbA1c」と呼びます。血糖値が高い状態が続くと、それだけ多くのブドウ糖がヘモグロビンと結合するため、HbA1cの値も高くなります。赤血球の寿命は約120日なので、HbA1cは過去1~2ヶ月の間にどれくらい血糖値が高かったかを反映していると言えるのです。HbA1cは、糖尿病の診断や治療効果の判定に広く用いられています。また、糖尿病予備群の発見にも役立ちます。HbA1cの値を定期的に測定することで、自身の血糖コントロールの状態を把握し、健康管理に役立てることができます。
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