アンドロゲン不応症:男性なのに女性?性の決定の複雑さ
- アンドロゲン不応症とは?アンドロゲン不応症は、生まれ持った性染色体が男性(XY染色体)であるにもかかわらず、身体的な特徴が女性として現れる病気です。通常、人間はそれぞれ決まった組み合わせの性染色体を持っています。女性はXX染色体、男性はXY染色体を持っており、これが身体的特徴の性差に繋がっています。アンドロゲン不応症の患者さんは、男性と同じXY染色体を持っているにもかかわらず、身体は女性として発達します。これは、男性ホルモンであるアンドロゲンが関係しています。アンドロゲンは、男性の身体的な特徴(男性器の発達や筋肉の成長など)を促すために重要な役割を果たしています。しかし、アンドロゲンは、それ単独では効果を発揮することができません。身体の細胞には、アンドロゲンと結びつくことで、初めてその効果を発揮できる「受容体」と呼ばれる部分が存在します。アンドロゲン不応症の患者さんの場合、このアンドロゲン受容体に異常があるため、アンドロゲンが正常に作用しません。その結果、XY染色体を持って生まれてきても、身体は男性として発達せず、女性の特徴を持つようになるのです。アンドロゲン不応症は、原因となる遺伝子の異常の程度によって、症状の程度に幅があります。外見上は完全に女性と変わらない場合もあれば、わずかに男性的な特徴が現れる場合もあります。また、思春期になっても月経が来ないなど、二次性徴に関連した症状が現れることもあります。