静かなる脅威:高炭酸ガス血症を知る
私たちは、生きていくために欠かせない酸素を呼吸によって体内に取り込んでいます。そして、体内に取り込んだ酸素を使って栄養分を分解し、エネルギーを作り出す過程で、二酸化炭素が発生します。
通常、体内で発生した二酸化炭素は血液によって肺に運ばれ、呼吸によって体外に排出されます。このように、私たちの体には、体内の二酸化炭素の量を一定に保とうとする働きが備わっています。
しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れてしまうと、血液中の二酸化炭素の濃度が高くなってしまうことがあります。この状態を「高炭酸ガス血症」と呼びます。
高炭酸ガス血症は、呼吸機能の低下や代謝異常、薬剤の影響など、様々な要因によって引き起こされることがあります。例えば、肺炎や気管支喘息などの呼吸器疾患があると、肺でのガス交換がうまくいかなくなり、二酸化炭素が体内に蓄積しやすくなります。また、糖尿病などの代謝性疾患でも、体内の酸塩基平衡が乱れ、高炭酸ガス血症を引き起こすことがあります。
高炭酸ガス血症になると、倦怠感や頭痛、めまい、呼吸困難などの症状が現れることがあります。重症化すると、意識障害や昏睡状態に陥ることもあります。
高炭酸ガス血症の治療法は、その原因や重症度によって異なりますが、基本的には、酸素投与や人工呼吸器による呼吸管理、薬物療法などを行います。