遺伝性疾患

産婦人科

アンドロゲン不応症:男性なのに女性?性の決定の複雑さ

- アンドロゲン不応症とは?アンドロゲン不応症は、生まれ持った性染色体が男性(XY染色体)であるにもかかわらず、身体的な特徴が女性として現れる病気です。通常、人間はそれぞれ決まった組み合わせの性染色体を持っています。女性はXX染色体、男性はXY染色体を持っており、これが身体的特徴の性差に繋がっています。アンドロゲン不応症の患者さんは、男性と同じXY染色体を持っているにもかかわらず、身体は女性として発達します。これは、男性ホルモンであるアンドロゲンが関係しています。アンドロゲンは、男性の身体的な特徴(男性器の発達や筋肉の成長など)を促すために重要な役割を果たしています。しかし、アンドロゲンは、それ単独では効果を発揮することができません。身体の細胞には、アンドロゲンと結びつくことで、初めてその効果を発揮できる「受容体」と呼ばれる部分が存在します。アンドロゲン不応症の患者さんの場合、このアンドロゲン受容体に異常があるため、アンドロゲンが正常に作用しません。その結果、XY染色体を持って生まれてきても、身体は男性として発達せず、女性の特徴を持つようになるのです。アンドロゲン不応症は、原因となる遺伝子の異常の程度によって、症状の程度に幅があります。外見上は完全に女性と変わらない場合もあれば、わずかに男性的な特徴が現れる場合もあります。また、思春期になっても月経が来ないなど、二次性徴に関連した症状が現れることもあります。
目・眼科

難病:カーンズ・セイヤー症候群を知る

- カーンズ・セイヤー症候群とは?カーンズ・セイヤー症候群は、眼球の動きをコントロールする筋肉や、視力に重要な役割を果たす網膜という部分に異常が生じる病気です。 私たちの体を作っている細胞の一つ一つには、エネルギーを作り出す工場のような役割を持つ「ミトコンドリア」という小さな器官が存在します。カーンズ・セイヤー症候群は、このミトコンドリアの働きが、遺伝子の変化によって低下してしまうことが原因で起こります。ミトコンドリアは、特に多くのエネルギーを必要とする臓器、例えば心臓、筋肉、脳などに多く存在します。カーンズ・セイヤー症候群では、眼球の動きや視力に関わる組織でミトコンドリアの機能が低下するため、眼球運動障害や網膜の異常といった症状が現れると考えられます。この病気は、10代で発症することが多いものの、非常にまれな病気であるため、診断が難しい場合もあります。また、現在のところ、カーンズ・セイヤー症候群は、親から子に遺伝する病気ではないと考えられています。そのため、家族に患者さんがいる場合でも、その家族が必ずしもこの病気を発症するわけではありません。
血液

遺伝する出血性疾患:血友病

- 血友病とは血友病は、血液を固める働きが弱く、出血が止まりにくい病気です。私たちが日常生活で怪我をして出血しても、通常はしばらくすると血液が固まって出血は止まります。これは、血液の中に含まれる「凝固因子」というタンパク質が、複雑な過程を経て血液を固めているからです。しかし、血友病の患者さんの場合、この凝固因子が生まれつき不足していたり、うまく働かなかったりするため、出血すると止まりにくくなってしまうのです。血友病は、遺伝子の異常によって引き起こされる遺伝性疾患です。遺伝子とは、親から子へと受け継がれる、身体の設計図のようなものです。血友病に関わる遺伝子に異常があると、体内で凝固因子を十分に作ることができなくなります。血友病には、主にA、B、Cの3つの型があります。A型は凝固因子VIII(8)、B型は凝固因子IX(9)が不足しているために起こります。C型はXI(11)という凝固因子が不足していますが、A型やB型に比べて症状が軽いのが特徴です。血友病は、適切な治療を行うことで、健康な人と変わらない生活を送ることができます。定期的に不足している凝固因子を補う治療を受けることで、出血のリスクを抑え、関節の障害などを防ぐことが重要です。
検査

家族歴:病気のリスクを知る手がかり

家族歴とは、血縁関係にある家族が過去にかかった病気や、現在治療中の病気、あるいは体質などを記録したものを指します。具体的には、両親や祖父母、兄弟姉妹、叔父叔母といった親族の健康状態に関する情報が該当します。 家族歴が重要な理由として、家族間では遺伝的な体質や生活習慣が似ていることが多く、特定の病気を発症するリスクが共有される可能性があることが挙げられます。例えば、親や兄弟に癌や心臓病、糖尿病、高血圧といった生活習慣病を患っている人がいる場合、自身もこれらの病気を発症するリスクが高くなると考えられています。 自身の健康状態を把握し、将来的な病気のリスクを予測するためには、家族歴について把握しておくことが重要です。かかりつけの医師の診察を受ける際に、家族歴を伝えることで、より適切なアドバイスや治療を受けることができる可能性があります。
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