遺伝

脳・神経

生まれ持った心の傾向:気質について

私たちは皆、それぞれ異なる個性を持っています。明るい人もいれば、物静かな人もいます。楽観的な人もいれば、心配性の人もいます。このような一人ひとりの個性を形作る要素の一つに、「気質」があります。 気質とは、生まれながらに備わっている、心の反応の傾向のことです。外界からの刺激に対して、どのように感じ、どのように行動するかという、その人本来の反応パターンと言えるでしょう。 例えば、同じ出来事に遭遇したとします。ある人は、それを乗り越えられる試練だと捉え、前向きに乗り越えようとするかもしれません。一方、別の人は、その出来事に深く傷つき、なかなか立ち直れないかもしれません。このように、同じ出来事に対して異なる感じ方や反応の仕方をするのは、気質の違いによると言えるでしょう。 気質は、遺伝的な要素が大きく影響すると考えられています。しかし、育った環境や経験によっても変化する可能性があります。幼少期の親の育て方や、学校や社会での経験を通して、気質は少しずつ形作られていきます。 気質は、私たちの考え方や行動パターンに大きな影響を与えます。しかし、気質はあくまでも傾向であり、絶対的なものではありません。自分の気質を理解し、その特徴を踏まえた上で、より良い行動を選択していくことが大切です。
小児科

ダウン症:理解を深める

ダウン症は、21番目の染色体が通常より1本多く存在することで起こる先天的な症候群です。この染色体の異常は「トリソミー21」と呼ばれています。 染色体とは、私たちの体の設計図のようなもので、通常は2本ずつ対になって存在します。この設計図には、私たちの体の特徴や機能に関する情報が細かく書かれています。しかし、ダウン症の人は21番目の染色体が3本あるため、設計図の一部に重複が生じます。その結果、身体的特徴や発達に影響が現れます。 ダウン症の人の特徴としては、顔つきが特徴的であること、筋肉の緊張がゆるいこと、知的発達の遅れなどが挙げられます。しかし、これらの特徴は個人差が大きく、一概に全ての人に当てはまるわけではありません。 ダウン症は、出生前に羊水検査や母体血清マーカー検査などである程度予測することができます。出生後も、早期に適切な療育を受けることで、その子の持っている力を最大限に伸ばすことが可能です。
検査

染色体検査:遺伝情報を読み解く

- 染色体検査とは私たちの体は、細胞と呼ばれる小さな単位が集まってできています。その細胞の一つ一つの中に、核と呼ばれる場所があり、そこに遺伝情報が詰まった染色体が存在します。染色体は、DNAと呼ばれる物質が、まるで糸巻きのようにきつく折り畳まれてできています。このDNAには、私たちの体の特徴、例えば、目や髪の色、身長などを決める情報だけでなく、病気のリスクや体質に関する情報など、生命の設計図とも言える重要な情報が記録されています。染色体検査とは、この染色体の数や構造を調べる検査です。具体的には、血液などの細胞を採取し、特殊な方法で染色体の形が見えるようにして、顕微鏡で観察します。健康な人であれば、通常は2本ずつ対になった染色体が23対、合計46本見られます。しかし、生まれつき染色体の数が多かったり少なかったり、一部が欠けていたり、他の染色体とくっついていたりするなど、様々な異常が起こることがあります。これらの異常は、発育や発達、健康状態に影響を与える可能性があります。染色体検査は、このような染色体異常の有無を調べることで、原因不明の先天的な病気や発達障害、不妊症などの診断に役立ちます。また、一部のがんの診断や治療方針の決定にも用いられます。
その他

染色体異常:数の異常と構造の異常

私たちの体は、ごく小さな単位である細胞が集まってできています。細胞の一つ一つには核と呼ばれるさらに小さな構造があり、この核の中に、私たちの姿形や性質などに関する情報である遺伝情報が大切に保管されています。この遺伝情報を担っている物質がDNAです。 DNAは、デオキシリボ核酸と呼ばれる非常に長い糸状の物質で、もし伸ばすと全長2メートルにもなります。そのままではとても小さな核の中に収まりきらないため、普段は糸巻きのようにタンパク質に巻き付いたり折り畳まれたりしてコンパクトに収納されています。そして、細胞が分裂する時には、DNAはさらにギュッと凝縮されて棒状の姿に変身します。これが染色体です。 染色体は、遺伝情報を次の世代の細胞に正確に伝えるために非常に重要な役割を担っています。染色体を作るタンパク質は、DNAを保護したり、遺伝情報の読み出しを調節したりするなど、様々な働きをしています。染色体の数や形は生物の種類によって異なっており、私たち人間の場合には、1つの細胞の中に46本の染色体を持っています。
検査

家族歴:病気のリスクを知る手がかり

家族歴とは、血縁関係にある家族が過去にかかった病気や、現在治療中の病気、あるいは体質などを記録したものを指します。具体的には、両親や祖父母、兄弟姉妹、叔父叔母といった親族の健康状態に関する情報が該当します。 家族歴が重要な理由として、家族間では遺伝的な体質や生活習慣が似ていることが多く、特定の病気を発症するリスクが共有される可能性があることが挙げられます。例えば、親や兄弟に癌や心臓病、糖尿病、高血圧といった生活習慣病を患っている人がいる場合、自身もこれらの病気を発症するリスクが高くなると考えられています。 自身の健康状態を把握し、将来的な病気のリスクを予測するためには、家族歴について把握しておくことが重要です。かかりつけの医師の診察を受ける際に、家族歴を伝えることで、より適切なアドバイスや治療を受けることができる可能性があります。
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