診察

検査

聴診器:医師の耳となる道具

聴診器は、医師が診察を行う際に欠かせない道具の一つです。体の表面に直接当てることで、心臓や肺など、体の内部から発生する音を聞くことができます。レントゲン写真のように体の中を直接見ることができるわけではありませんが、聴診器を通して聞こえる音は、医師にとって患者の状態を知るための重要な手がかりとなります。 聴診器は、大きく分けて集音部と伝音部に分かれています。集音部は、患者の体に直接当てる部分で、ここから体の内部の音を集めます。伝音部は、集めた音を医師の耳に伝える部分で、チューブや耳当てなどが含まれます。 聴診器を使うことで、心臓の音を聞いて脈拍の速さやリズムの異常を調べたり、肺の音を聞いて呼吸の状態を確認したりすることができます。また、お腹の音を聞くことで、消化器官の状態を判断することもできます。 聴診器は、医療現場において、患者を診察する際に欠かせない道具であり、医師は聴診器で得られた情報を他の診察方法と組み合わせることで、より正確な診断を下すことができます。
循環器

医療現場で使われる言葉:脈拍を意味する「プルス」

病院で働く医師や看護師たちは、専門的な知識を必要とする医療現場において、日々患者さんの治療にあたっています。 医療現場では、正確な情報伝達が欠かせないため、専門用語や独特の言い回しが多く用いられています。これらの言葉は、医療従事者間でスムーズなコミュニケーションを図り、迅速かつ的確な医療行為を行うために必要不可欠です。例えば、「バイタルサイン」「ルート確保」「状態変化」といった言葉は、医療従事者にとっては日常的に使う言葉ですが、一般の人には馴染みが薄いかもしれません。 このような医療現場特有の言葉は、患者さんにとっては分かりにくく、不安に感じられることもあるでしょう。しかし、これらの言葉は、患者さんの安全を守る上で重要な役割を果たしています。例えば、「アナフィラキシーショック」や「心肺停止」といった緊急事態を示す言葉は、医療従事者が状況を瞬時に理解し、適切な処置を施すために必要不可欠です。 医療従事者は、患者さんの立場に立って、分かりやすい言葉で説明するよう心がけることが大切です。患者さんも、分からない言葉があれば、遠慮なく質問することで、安心して治療を受けることができます。
歯科・口腔

診察時の安全確保:指甲

医師は、患者さんの訴えに基づき、病気の原因を探るため様々な診察を行います。その中でも、口の中や喉の奥を観察する口腔咽頭診察は、扁桃腺の腫れや炎症など、様々な病気を診断する上で欠かせません。 しかし、口腔咽頭診察は、医師にとってあるリスクを伴う診察としても知られています。診察を行う際、医師は患者さんの口の中に指を入れて、舌の付け根あたりを触診します。この時、患者さんが急に口を閉じてしまうと、医師の指を噛んでしまう可能性があるのです。特に、幼い子供の場合、診察に対する恐怖心から、反射的に口を閉じてしまうことがあります。また、意識がはっきりしない患者さんの場合も、自分の意思で口を開け続けることが難しいため、医師は注意深く診察を進める必要があります。 このようなリスクを避けるため、近年では、金属製のへらを用いて舌を押さえる方法が一般的になりつつあります。また、内視鏡を用いることで、医師が指を口の中に入れることなく、より安全に口腔咽頭を診察できるようになりました。しかし、小さな子供や嘔吐反射の強い患者さんの場合、内視鏡を用いた診察が難しいケースもあるため、医師は患者さんの状態に合わせて、適切な診察方法を選択する必要があります。
検査

診察の基本、指で診る「ジギタール」

病院では、医師は患者さんの体の状態を知るために、さまざまな方法を用います。聴診器で音を聴いたり、お腹を軽く叩いて反応を見たりと、五感をフル活用していると言っても良いでしょう。その中でも、直接指で触れて異常がないかを調べる診察方法を「ジギタール」と言います。これは英語の "digital examination" を省略した言葉で、日本語では指診という意味です。聴診や打診といった他の診察方法と異なり、ジギタールは医師の指先の感覚だけが頼りです。しかし、長年の経験と鍛錬を重ねた医師の指は、ごくわずかな体の変化も見逃しません。ジギタールを行うことで、腫瘍があるかどうかはもちろん、その腫瘍の硬さや炎症の広がりなどを直接感じ取ることができるのです。例えば、お腹を押さえてみて硬い部分があれば、腫瘍が疑われますし、押した時に痛みがあれば炎症を起こしている可能性があります。また、皮膚の温度や湿り気なども、指先で感じ取ることで重要な情報を得ることができます。このように、ジギタールは医師の経験と感覚によって、患者さんの体の状態を詳しく知ることができる、重要な診察方法と言えるでしょう。
消化器

お腹の痛みとブルンベルグ徴候

- ブルンベルグ徴候とはお腹の痛みは、誰しもが経験するありふれた症状です。しかし、その痛みが命に関わる病気のサインである場合もあります。そのため、痛みの種類や現れ方を正しく理解することが重要です。今回は、腹膜炎の可能性を示唆する重要なサインである「ブルンベルグ徴候」について詳しく解説します。ブルンベルグ徴候とは、お腹を押したときに感じる痛みのサインの一つです。診察の際、医師はお腹の表面を優しくゆっくりと押していきます。そして、ある程度まで押し込んだ後、急に手を離すと、お腹に強い痛みを感じます。この痛みこそが、ブルンベルグ徴候と呼ばれるものです。では、なぜ手を離したときに強い痛みを感じるのでしょうか?健康な状態では、お腹の中は臓器で満たされており、臓器同士は腹膜と呼ばれる薄い膜で覆われています。しかし、腹膜に炎症が起こると、この膜が刺激に対して敏感になります。そのため、お腹を押さえられると強い痛みを感じます。さらに、急に圧迫が解除されると、炎症を起こした腹膜が急に伸びるため、より強い痛みを感じると考えられています。ブルンベルグ徴候は、腹膜炎の疑いがある場合に重要な診断材料となります。腹膜炎は、放置すると命に関わる危険な病気です。そのため、ブルンベルグ徴候が見られる場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
検査

医療の原点:問診の重要性

- 問診とは何か問診とは、医師が患者さんから直接お話を伺い、病気の診断の手がかりを得るための大切なプロセスです。患者さんが自分の言葉で症状や経過を伝えることで、医師は病気の全体像を把握することができます。問診では、まず現在の症状について詳しく伺います。いつから、どのような症状が現れたのか、痛みの程度や部位、症状の変化などを具体的に伝えてください。過去の病気や怪我、手術の経験なども、診断の重要な手がかりになります。次に、生活習慣や体質に関する質問をします。喫煙や飲酒の習慣、食生活、睡眠時間、運動習慣、アレルギーの有無、服用中の薬、過去の海外渡航歴などを伺うことで、病気の原因やリスク因子を特定していきます。また、家族の病歴も重要な情報です。 血縁者に同じような病気にかかった人がいる場合は、遺伝的な要因も考慮する必要があります。問診は、医師が患者さんを理解し、信頼関係を築くための第一歩です。 安心して話せる雰囲気の中で、包み隠さず伝えるように心がけましょう。医師も患者さんの訴えに耳を傾け、丁寧な説明と適切な診療を心がけています。
消化器

マクバーニー圧痛点:虫垂炎のサイン?

皆さんは、お腹の右側、特に下の方が痛くなった経験はありませんか?多くの人が経験する、ありふれた症状の一つと言えるでしょう。 食べ過ぎや消化不良など、一時的な原因で起こることも多く、深刻な病気ではない場合がほとんどです。少し休めば、自然と痛みが引いていくことも珍しくありません。 しかし、同じ場所に繰り返し痛みが出たり、痛みが強くなったりする場合には注意が必要です。特に、お腹の右下には、虫垂という臓器があります。この虫垂に炎症が起こると、いわゆる「盲腸」と呼ばれる状態になり、激痛を引き起こすことがあります。 お腹の右下の痛みと関連の深いポイントの一つに、「マクバーニー圧痛点」というものがあります。これは、おへそと骨盤の高い部分を結んだ線上で、おへそから三分の一ほど外側の部分にあたります。この部分を指でゆっくりと押したときに、強い痛みを感じるか、指を離したときに痛みが強くなる場合は、虫垂炎の可能性があります。 もちろん、お腹の痛みの原因は様々であり、自己判断は危険です。痛みが続く場合には、医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
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