静かなる脅威:アテロームと動脈硬化
私たちの体を網の目のように巡っている血管は、生きていく上で欠かせない大切な器官です。特に、動脈は心臓から送り出された血液を体の隅々まで届けるという重要な役割を担っています。しかし、歳を重ねたり、生活習慣によって、動脈の内側には“アテローム”と呼ばれる脂肪の塊が溜まっていくことがあります。
アテロームは、血管の老化現象の一つと考えられています。動脈は、生まれたばかりの頃は弾力があり滑らかですが、加齢とともに弾力を失い硬くなっていくため、血管の内側に傷がつきやすくなります。すると、その傷を修復しようと、コレステロールや脂肪などが集まってきて、血管の内側に蓄積していきます。これがアテロームの始まりです。
アテロームは、最初は小さくても、徐々に大きくなり、血管の内側を狭くしていきます。 その結果、血液の流れが悪くなり、様々な体の不調につながる可能性があります。例えば、心臓に栄養を送る血管が狭くなると、胸の痛みや圧迫感を感じる狭心症、さらに悪化すると心筋梗塞を引き起こす危険性があります。また、脳の血管が狭くなると、脳梗塞のリスクが高まります。
アテロームの形成を防ぐためには、血管を老化させない生活習慣を心がけることが大切です。バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙など、健康的なライフスタイルを維持することで、血管の老化を遅らせ、アテロームの予防に繋がると考えられています。