自己免疫疾患

アレルギー

混合性結合組織病:複数の膠原病の特徴を併せ持つ疾患

- 混合性結合組織病とは混合性結合組織病は、いくつかの膠原病の特徴を併せ持つ自己免疫疾患です。膠原病とは、本来、体を守るはずの免疫システムが、自分自身の体の組織を誤って攻撃してしまう病気の総称です。特に、骨や軟骨、血管など、体の様々な部分を繋ぎ支える結合組織が攻撃を受けることで、様々な症状が現れます。混合性結合組織病は、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎といった、代表的な膠原病の特徴を併せ持つ点が特徴です。それぞれの膠原病の特徴が、混合性結合組織病ではどのように現れるのか、具体的に見ていきましょう。まず、全身性エリテマトーデスは、顔面に出る蝶の形をした赤い発疹や関節の痛み、発熱、倦怠感といった症状が特徴です。次に、全身性強皮症は、皮膚が硬くなる症状や、指先の血行が悪くなるレイノー現象などがみられます。そして、多発性筋炎/皮膚筋炎は、筋肉の炎症による筋力低下や、皮膚の発疹、関節の痛みといった症状が現れます。このように、混合性結合組織病は、複数の膠原病の症状が複雑に重なり合って現れるため、診断が非常に難しい病気です。さらに、患者さん一人ひとりで、どの膠原病の症状が強く現れるかも異なり、症状の現れ方も様々であるため、治療法も患者さんの状態に合わせて慎重に検討する必要があります。
血液

命を脅かす血管の炎症:結節性多発動脈炎

私たちの体の中に張り巡らされた血管は、心臓から送り出された血液を全身に届けるという大切な役割を担っています。その中でも、心臓から送り出された血液を体の各器官へと運ぶのが動脈と呼ばれる血管です。この動脈に炎症が起こり、様々な体の不調を引き起こす病気が、結節性多発動脈炎です。 結節性多発動脈炎は、全身の中規模の動脈に炎症を引き起こします。炎症によって血管の壁がもろくなったり、血管が狭くなったりすることで、血液の流れが悪くなってしまいます。その結果、体の様々な場所に十分な血液が行き渡らなくなり、臓器に障害が生じるのです。 結節性多発動脈炎は、国の指定難病に認定されている病気です。これは、患者数が少なく、原因がまだよくわかっていないこと、そして治療法が確立されていないことを意味します。多くの患者さんが、原因不明の体の痛みや発熱、倦怠感などの症状に悩みながら、長く辛い闘病生活を送っています。
検査

関節リウマチと抗CCP抗体

関節リウマチは、免疫の働きに異常が生じ、本来体を守るはずの免疫細胞が、自分自身の関節を攻撃してしまうことで起こる病気です。原因はまだはっきりと解明されていませんが、遺伝的な要因と環境要因が複雑に関係していると考えられています。体のあちこちの関節に炎症が起こり、進行すると関節が破壊され、変形してしまうこともある、慢性的な炎症性疾患です。 関節リウマチは、早期に診断し、適切な治療を開始することが非常に重要です。早期に治療を開始することで、炎症を抑え、関節の破壊の進行を遅らせることができます。そして、関節の機能をできるだけ維持し、日常生活の制限を最小限に抑えることが期待できます。 関節リウマチの診断は、患者さんの症状、診察所見、血液検査、画像検査などを総合的に判断して行われます。関節の痛みや腫れ、朝のこわばりなどの症状に加え、血液検査ではリウマチ因子や炎症反応などを調べます。さらに、X線検査で関節の炎症や破壊の程度を評価します。関節リウマチは、放置すると関節の変形が進行し、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。早期発見・早期治療によって、病気の進行を抑え、より良い状態を保つことが期待できます。
検査

ループスアンチコアグラントを理解する

- ループスアンチコアグラントとは ループスアンチコアグラント(LA)は、血液が固まるのを防ぐ働きを持つ「アンチコアグラント(抗凝固物質)」という言葉を含むため、その名前だけ聞くと、血液を固まりにくくする物質のように思えるかもしれません。しかし実際には、LAは血液を固まりやすくする可能性のある自己抗体の一種です。 私たちの体内では、血管が傷ついて出血すると、それを止めるために血液を固める仕組みが働きます。この血液凝固には、様々な成分が関わっていますが、その中でも重要な役割を担うのが「リン脂質」という成分と「プロトロンビン」という血液凝固因子です。 LAは、このリン脂質とプロトロンビンが結合した状態に対して作られる抗体です。LAは、リン脂質とプロトロンビンの結合を阻害するのではなく、むしろ促進する働きがあります。その結果、血液凝固反応が過剰に促進され、血栓という血液の塊ができやすくなってしまうのです。 LAは、全身性エリテマトーデス(SLE)という自己免疫疾患の患者さんの血液中で高頻度に認められます。SLEは、自分自身の細胞や組織に対して抗体が作られ、様々な臓器に炎症を引き起こす病気です。LAは、SLEの活動性を評価する上で重要な指標の一つとなっています。
その他

知っておきたい橋本病:その症状と治療法

- 橋本病とは橋本病は、本来体を守るはずの免疫の働きが誤って自分の甲状腺を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。この攻撃によって甲状腺に慢性的な炎症が起こり、甲状腺ホルモンの分泌量が低下します。この状態を慢性甲状腺炎とも呼びます。甲状腺ホルモンは体の代謝を調整する重要な役割を担っているため、分泌量が低下すると、全身に様々な影響が現れます。 橋本病は、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気である甲状腺機能低下症の主な原因の一つとして知られています。日本では、比較的患者数の多い病気であり、特に女性に多く見られます。年齢層としては、30代から50代にかけて発症するケースが多い傾向にあります。 橋本病は初期段階では自覚症状が現れにくいという特徴があります。そのため、健康診断などで甲状腺ホルモンの値に異常が見つかり、初めて橋本病と診断されるケースも少なくありません。病状が進行すると、疲労感や倦怠感、体重増加、むくみ、寒がり、便秘、皮膚の乾燥、髪質の変化、月経不順などの症状が現れるようになります。 橋本病は完治が難しい病気ですが、適切な治療を行うことで症状を抑え、日常生活に支障が出ないようにコントロールすることができます。
アレルギー

免疫の異常で起こる関節リウマチ

- 関節リウマチとは関節リウマチは、本来は細菌やウイルスなどの外敵から体を守るはずの免疫システムに異常が生じ、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまうことで起こる病気です。このような病気を自己免疫疾患と呼びますが、関節リウマチはこの自己免疫疾患の一つに分類されます。関節リウマチでは、体の多くの関節が炎症を起こし、腫れたり痛んだりすることが特徴です。特に、手足の小さな関節が左右対称に侵されることが多く見られます。私たちの関節の内側には、滑膜と呼ばれる薄い膜が存在します。滑膜は関節液を作り出し、関節の動きを滑らかにする役割を担っています。しかし関節リウマチでは、この滑膜に炎症が起きてしまいます。炎症によって滑膜は異常に増殖し、関節の軟骨や骨を破壊しながら進行していきます。関節リウマチは、放置すると関節の変形が進み、日常生活に大きな支障をきたすようになります。早期に発見し、適切な治療を開始することが非常に大切です。
検査

全身性エリテマトーデスと抗Sm抗体

私たちの体は、常に細菌やウイルスなどの外敵の侵入にさらされています。これらの外敵から身を守るために、体内には免疫システムという精巧な防御システムが備わっています。この免疫システムは、自己と非自己、つまり自分の体の一部とそうでないものを正確に見分ける能力を持っています。そして、非自己、すなわち外敵だと認識したものだけに攻撃を仕掛けることで、私たちの健康を守っているのです。 しかし、この精巧な免疫システムにも、誤作動が起きることがあります。何らかの原因で自己と非自己の識別がうまくいかなくなると、免疫システムは自分自身の体の一部を攻撃し始めることがあります。これが自己免疫疾患と呼ばれる病気です。 自己免疫疾患では、本来攻撃すべきでない自分の細胞や組織に対して、抗体という攻撃物質が作られます。この抗体は、本来は細菌やウイルスなどの外敵に結合して、それらを排除するために働くものです。しかし、自己免疫疾患の場合、自分自身の成分に対して作られた抗体、すなわち自己抗体が、正常な細胞や組織を攻撃してしまうのです。 自己免疫疾患には、全身性エリテマトーデスや関節リウマチ、バセドウ病など、様々な種類があります。これらの病気は、それぞれ異なる臓器や組織を標的としていますが、共通しているのは、免疫システムの異常によって自己抗体が作られ、自分の体が攻撃されているという点です。
アレルギー

ウェゲナー肉芽腫症:全身に炎症を引き起こす難病

- ウェゲナー肉芽腫症とはウェゲナー肉芽腫症は、血管に炎症が起こることで、体の様々な場所に異常をきたす病気です。特に、中規模や小規模の動脈と呼ばれる血管が炎症を起こしやすく、この炎症によって血管が狭くなったり、詰まったりすることで、血液がスムーズに流れなくなります。その結果、体の様々な臓器に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、様々な症状が現れます。この病気は、全身の血管に炎症が起こる可能性があるため、全身性血管炎と呼ばれ、国の指定難病にも指定されています。なぜこのような病気になってしまうのか、その原因はまだ完全には解明されていません。しかし、自分の体の細胞を外部から守るはずの免疫システムが、誤って自分の体の血管を攻撃してしまうことが原因の一つと考えられています。ウェゲナー肉芽腫症は、命に関わることもある病気ですが、早期に発見し、適切な治療を行うことで症状を抑え、病気の進行を遅らせることが期待できます。
脳・神経

ルイス・サムナー症候群:知っておきたいこと

- はじめにルイス・サムナー症候群は、私たちの身体を動かし、感じ取ることを司る神経系に影響を与える、発症数の少ない病気です。この病気は、筋肉の衰えや感覚の異常など、日常生活に困難をもたらす様々な症状を引き起こします。 多くの場合、手足の感覚が鈍くなったり、力が入りにくくなったりする症状が最初に現れます。 これらの症状は、進行すると歩行や日常生活動作に支障をきたす可能性があります。ルイス・サムナー症候群は、免疫システムの異常によって引き起こされると考えられており、自身の神経を誤って攻撃してしまうことで様々な神経症状が現れます。 具体的には、神経線維の周りを覆っているミエリン鞘と呼ばれる部分が免疫システムの攻撃対象となり、神経伝達が正常に行われなくなることで様々な症状が現れると考えられます。現時点では、ルイス・サムナー症候群を完全に治す治療法は見つかっていません。しかし、免疫グロブリン療法や血漿交換療法といった治療法によって、免疫システムの異常な活動を抑制し、症状の進行を抑えたり、改善したりすることが可能です。 また、リハビリテーションによって筋肉の機能や日常生活動作能力を維持することも重要です。この記事では、ルイス・サムナー症候群の原因や症状、治療法について、より詳細な情報を提供することで、この病気に対する理解を深めることを目的としています。 また、患者さんやそのご家族が、この病気と向き合っていく上で必要な情報や支援についても触れていきます。
アレルギー

自己と非自己を見分ける力:末梢性免疫寛容

私たちの体は、常に外界から侵入しようとする細菌やウイルスなどの脅威にさらされています。これらの脅威から身を守るために、体内には免疫システムと呼ばれる精巧な防御システムが備わっています。免疫システムは、自己と非自己を正確に見分け、非自己であると判断した細菌やウイルスなどを攻撃し、体から排除する働きを持っています。この自己と非自己を見分ける能力は、免疫寛容と呼ばれる巧妙なメカニズムによって支えられています。免疫寛容は、免疫システムが自己の成分に対して攻撃を行わず、非自己のみに対して反応することを可能にする仕組みです。 免疫寛容には、大きく分けて中枢性免疫寛容と末梢性免疫寛容の二つがあります。中枢性免疫寛容は、骨髄や胸腺といった免疫細胞が作られる場所で、自己の成分に反応する免疫細胞をあらかじめ除去してしまうことで成立します。一方、末梢性免疫寛容は、リンパ節や脾臓などの末梢組織において、自己反応性の免疫細胞の働きを抑制することで成立します。 免疫寛容は、私たちの体が正常に機能するために非常に重要な役割を担っています。もし、免疫寛容が破綻すると、免疫システムが自己の組織を攻撃してしまう自己免疫疾患を発症する可能性があります。自己免疫疾患には、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、1型糖尿病など、様々な疾患が知られています。これらの疾患は、免疫システムの異常によって引き起こされるため、その治療には免疫抑制剤などが用いられます。 このように、免疫寛容は私たちの健康を守る上で非常に重要な役割を担っています。免疫寛容のメカニズムをより深く理解することで、自己免疫疾患などの病気の予防や治療法の開発に繋がることが期待されています。
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