自己免疫

検査

自己免疫疾患の指標:抗核抗体

- 抗核抗体とは私たちの体を守る免疫システムは、通常、細菌やウイルスなどの外敵にのみ攻撃を仕掛けます。この攻撃を担うのが「抗体」と呼ばれる物質です。抗体は、特定の敵だけに反応するように作られており、その敵を的確に見分けて攻撃します。 ところが、「抗核抗体」は、この免疫システムの働き方が少し異なります。 抗核抗体とは、その名の通り、「細胞の核」を攻撃する抗体のことを指します。細胞の核は、いわば体の設計図である遺伝情報(DNA)を保管している大切な場所です。抗核抗体がこの核を攻撃してしまうと、正常な細胞が傷つけられ、様々な症状が現れる可能性があります。 では、なぜ私たちの体は自分自身の細胞を攻撃してしまうような抗体を作ってしまうのでしょうか? その理由はまだ完全には解明されていません。しかし、遺伝的な要因や、ウイルス感染、紫外線、ストレス、喫煙などの環境要因が関係していると考えられています。抗核抗体は、膠原病や自己免疫疾患の指標として検査されますが、抗核抗体を持っているからといって必ずしもこれらの病気を発症するわけではありません。 多くの場合、抗核抗体は健康な人にも低いレベルで存在しており、特に症状を引き起こすことはありません。しかし、抗核抗体の量が多い場合や、特定の種類の抗核抗体が検出された場合は、医師の診察が必要となることがあります。
アレルギー

自己免疫疾患:免疫が自己を攻撃する病気

私たちの体には、ウイルスや細菌など、外から侵入してくる様々な病原体から身を守るための、免疫という優れたシステムが備わっています。このシステムは、まるで体の中にいる軍隊のように、体内に入ってきた異物を素早く認識し、攻撃することで、私たちを病気から守ってくれています。 免疫システムは、大きく分けて自然免疫と獲得免疫の二つに分けられます。自然免疫は、生まれつき体に備わっているシステムで、侵入してきた病原体に最初に攻撃を仕掛けます。一方、獲得免疫は、一度出会った病原体の特徴を記憶し、次に同じ病原体が侵入してきた際に、より効果的に攻撃できるようになるシステムです。 このように、私たちの健康を維持するために非常に重要な役割を担っている免疫システムですが、時にその働きに異常をきたしてしまうことがあります。本来であれば、体を守るべき免疫システムが、自分自身の細胞や組織を誤って攻撃してしまうことがあるのです。このような病気を自己免疫疾患と呼びます。 自己免疫疾患では、免疫システムが、本来攻撃すべきではない自分の体の成分に対して、抗体と呼ばれる攻撃物質を作ってしまうことがあります。この抗体が、自分の体の特定の臓器や組織を攻撃してしまうことで、様々な症状が現れます。自己免疫疾患には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、バセドウ病など、多くの種類が存在し、その症状も多岐にわたります。
検査

自己免疫疾患の鍵、抗ARS抗体とは

- 抗ARS抗体ってどんなもの?私たちの体の中では、常に新しいタンパク質が作られています。タンパク質は、体の組織や臓器を構成するだけでなく、酵素やホルモンとしても働いて、生命活動の維持に欠かせない役割を担っています。 このタンパク質を作る過程で、アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)という酵素が重要な役割を担っています。ARSは、タンパク質の材料となるアミノ酸と、アミノ酸を運ぶtRNAという物質を結合させる働きをしています。例えるなら、ARSは、タンパク質という家を建てるために、レンガ(アミノ酸)と、レンガを運ぶトラック(tRNA)を連結させる作業員のようなものです。 抗ARS抗体とは、このARSに対して作られる自己抗体のことを指します。自己抗体とは、本来は細菌やウイルスなどの外敵から体を守るはずの免疫システムが、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまうことで生じる抗体のことを言います。 つまり、抗ARS抗体は、本来は体にとって必要なARSという作業員を、敵だと誤って攻撃してしまう自己抗体なのです。 ARSが抗ARS抗体によって攻撃されると、正常に働くことができなくなり、細胞はタンパク質を作ることができなくなってしまいます。その結果、様々な疾患を引き起こす可能性があります。家を建てる作業員が仕事をできなくなれば、家は完成しません。それと同様に、ARSが働かなくなると、私たちの体は正常な機能を維持することが難しくなってしまうのです。
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