臓器移植

外科

命のバトン:移植医療の現状と未来

- 移植とは何か移植とは、病気やけが、あるいは生まれつきの異常などによって、本来の働きを失ってしまった臓器や組織を、健康な臓器や組織と取り替える治療法のことです。たとえば、心臓病で心臓の働きが弱ってしまった場合、健康な心臓をほかの人から提供してもらい、移植することで再び健康な生活を送れる可能性があります。移植が必要となる臓器や組織はさまざまです。心臓や肺、肝臓、腎臓といった重要な臓器だけでなく、角膜や骨髄、皮膚なども移植の対象となります。これらの臓器や組織を提供してくれるのは、脳死と判定された方や、心停止後に臓器を提供することを承諾していた方です。移植手術は、高度な技術と専門知識を必要とする大変難しい手術です。しかし、移植によって、失われた体の機能を取り戻し、再び社会復帰できる可能性があります。また、場合によっては、移植が唯一の治療法となることもあります。移植は、まさに「命のバトン」をつなぐ医療と言えるでしょう。しかし、日本では、臓器提供を希望する人が少なく、移植を希望していても、なかなか順番が回ってこないのが現状です。臓器移植は、提供してくれる人がいて初めて成り立つ医療です。臓器移植について、一人ひとりが深く考え、自分自身の意思を明確にすることが大切です。

免疫抑制の要:タクロリムスの役割と注意点

- タクロリムスとは私たちの体には、体内に入ってきた細菌やウイルスなどから体を守る、免疫という優れた機能が備わっています。しかし、この免疫機能は、臓器移植を受けた後には、時に思わぬ働きをすることがあります。移植された臓器は、たとえ適合性を慎重に確認したとしても、提供者と患者さんでは全く同じではありません。そのため、患者さんの免疫システムは、移植された臓器を“自分以外のもの”と認識し、攻撃を加えてしまうことがあります。これが、臓器移植後にしばしば起こる拒絶反応と呼ばれるものです。拒絶反応が起こると、発熱や炎症、臓器の機能低下など、様々な問題を引き起こし、最悪の場合、移植された臓器は機能しなくなってしまいます。そこで、拒絶反応を抑え、移植された臓器を体の一部として受け入れるために、免疫抑制剤と呼ばれる薬が使われます。タクロリムスは、この免疫抑制剤の一種です。タクロリムスは、免疫細胞の働きを抑え、拒絶反応が起こるのを防ぐことで、移植された臓器がスムーズに体になじむのを助く役割を果たします。 タクロリムスは、臓器移植後だけでなく、アトピー性皮膚炎や関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療にも用いられることがあります。
外科

命をつなぐ尊い行為:ドナーについて

病気や事故などによって、体の一部が機能しなくなってしまうことがあります。その結果、日常生活に支障をきたしたり、命に関わるような深刻な状況に陥ったりすることも少なくありません。そのような患者さんの命を救うために、臓器移植という治療法があります。臓器移植は、機能を失った臓器の代わりに、健康な臓器を移植する治療法です。臓器を提供してくれる人のことを、ドナーと呼びます。 ドナーには、大きく分けて2つの種類があります。1つは、ご自身が亡くなられた後に臓器を提供する「脳死ドナー」と、もう1つは、生きている間に臓器の一部を提供する「生体ドナー」です。脳死ドナーは、心臓死とは異なり、脳の機能が完全に停止した状態を指します。この状態でも、心臓や肺など、他の臓器は機能していることがあります。そのため、人工呼吸器などを用いることで、心臓を動かし続けながら臓器を摘出することが可能になります。一方、生体ドナーは、主に親族間で、腎臓や肝臓の一部などを提供します。 ドナーから提供される臓器は、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球など、多岐にわたります。これらの臓器は、移植を必要とする患者さんの体内に移植され、再びその機能を取り戻すことが期待されます。ドナーは、まさに他の人の命と未来を救う、尊い贈り物をする存在と言えるでしょう。
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