膠原病

その他

全身に炎症を起こすベーチェット病

- ベーチェット病とはベーチェット病は、原因がはっきりとは分かっていない、長く続く炎症性の病気です。体の様々な場所で炎症が起こるのが特徴で、特に口の中、皮膚、目、関節などで繰り返し炎症が見られます。この病気は、「シルクロード病」とも呼ばれています。これは、シルクロード沿いの国々で患者が多いことが理由です。日本では、ベーチェット病は特定疾患に指定されていて、およそ2万人の患者がいると推測されています。ベーチェット病では、口の中に繰り返し口内炎ができることが多く見られます。これは、多くの場合、初期症状として現れます。また、皮膚には、赤いブツブツやニキビのような発疹が現れたり、痛みを伴う赤い腫れができることがあります。目に炎症が起こると、視力が低下したり、物が歪んで見えたりすることがあります。さらに、関節に炎症が起こると、関節が腫れたり、痛んだり、動きが悪くなることがあります。ベーチェット病の症状は、患者さんによって様々です。症状が出たり消えたりを繰り返すことも多く、症状が全く出ない時期もあります。ベーチェット病は、命に関わる合併症を引き起こす可能性もあるため、早期に診断し、適切な治療を受けることが重要です。
アレルギー

知っておきたいシェーグレン症候群

- シェーグレン症候群とはシェーグレン症候群は、私たちの体を病気から守るはずの免疫システムが、誤って自分の体の一部を攻撃してしまうことで起こる病気です。免疫システムは、通常、細菌やウイルスなどの外敵から体を守りますが、シェーグレン症候群の場合、このシステムが正常に働かなくなり、涙や唾液を作り出す腺を攻撃してしまいます。涙腺や唾液腺は、体にとって大切な水分を作り出す役割を担っています。涙は目を保護し、潤いを保つために必要ですし、唾液は食べ物を消化しやすくしたり、口の中を清潔に保ったりするために欠かせません。しかし、シェーグレン症候群によってこれらの腺が攻撃されると、涙や唾液の分泌量が減ってしまいます。その結果、目が乾いたり、口の中が乾いたりといった症状が現れます。さらに、シェーグレン症候群は、涙腺や唾液腺だけでなく、全身の様々な臓器にも影響を及ぼす可能性があります。関節に炎症が起きることで関節痛が起こったり、皮膚が乾燥したり、疲れやすくなったりすることもあります。また、まれにですが、肺や腎臓などの臓器に炎症が起きることもあります。シェーグレン症候群は、比較的まれな病気ですが、中年の女性に多く発症することが知られています。症状は人によって様々で、軽度の乾燥症状だけのこともあれば、強い痛みや倦怠感を伴うこともあります。
皮膚科

全身性硬化症:皮膚や内臓に影響する難病

- 全身性硬化症とは全身性硬化症という病気の名前を耳にしたことがある方は、それほど多くないかもしれません。全身性硬化症は、皮膚や内臓が硬くなるという特徴を持つ、国が指定する難病の一つです。 この病気の原因は、免疫の異常によって自分の体の組織を攻撃してしまう、「自己免疫疾患」の一種だと考えられています。免疫細胞が誤って自分の体の細胞を攻撃してしまうことで、全身の結合組織で炎症が起こり、コラーゲンという繊維成分が過剰に作られてしまいます。 コラーゲンは、皮膚や血管、内臓など、体のあらゆる場所に存在する、組織と組織を結びつける役割を持つ大切なタンパク質です。しかし、全身性硬化症では、このコラーゲンが過剰に作られ、蓄積してしまうことで、組織が硬くなってしまいます。 初期症状としては、指先が冷たくなったり、白くなったりするレイノー現象や、皮膚が硬くなるといった症状が現れます。 病気が進行すると、全身の様々な臓器に影響が及びます。例えば、食道が硬くなって飲み込みにくくなる、肺が硬くなって呼吸困難になる、心臓の機能が低下する、腎臓の機能が低下するなど、生命に関わるような重篤な症状が現れることもあります。 全身性硬化症は、根本的な治療法が確立されていない難病です。 そのため、症状を和らげ、病気の進行を遅らせることを目的とした治療が行われます。
皮膚科

全身性硬化症:皮膚や内臓が硬くなる病気

- 全身性硬化症とは全身性硬化症は、皮膚や内臓など、体の様々な場所に硬化(線維化)が起こる病気です。線維化とは、本来は柔軟性のある組織が、コラーゲンというたんぱく質が過剰に作られることで、硬くなってしまう現象です。この線維化は、血管や内臓など、全身の結合組織で起こる可能性があります。健康な状態では、結合組織は体の組織や器官を支え、弾力性を与える役割を果たしています。しかし、全身性硬化症を発症すると、この結合組織が硬くなってしまい、本来の機能を果たせなくなります。その結果、皮膚の硬化や色素沈着、関節の痛み、指先の潰瘍、臓器の機能障害など、様々な症状が現れます。全身性硬化症は、国の指定難病に認定されている希少疾患です。厚生労働省の研究班の報告によると、国内の患者数は約2万2千人と推定されています。原因は未だ解明されておらず、根本的な治療法は確立されていません。しかし、早期に診断し、症状に合わせた適切な治療を行うことで、病気の進行を遅らせ、生活の質を維持することが可能です。
その他

結合組織病:全身に影響を及ぼす疾患群

私たちの体は、様々な組織や器官が複雑に組み合わさって成り立っています。骨や筋肉、心臓や肺など、それぞれが重要な役割を担っていますが、実はこれらの組織を支え、体を一つのまとまりとして形作っている重要な組織があります。それが結合組織です。 結合組織は、骨、軟骨、皮膚、血管など、体のあらゆる場所に存在しています。例えるならば、レンガ造りの家のレンガとレンガの間を埋めるセメントのように、様々な組織や器官の隙間を埋め尽くし、それらをつなぎとめる役割を担っています。 結合組織の役割は、単に組織や器官をつなぎとめるだけではありません。組織に弾力性を与えたり、外部からの衝撃を吸収したり、組織の修復を助けたりと、多岐にわたる機能を持っています。例えば、皮膚の弾力性も結合組織のおかげですし、怪我をした時に傷口がふさがるのも結合組織の働きによるものです。 このように、結合組織は、目立つ存在ではありませんが、私たちの体が正常に機能するために欠かせない存在なのです。
アレルギー

膠原病:全身に影響を及ぼす疾患群

- 膠原病とは膠原病とは、体の中で重要な役割を果たしている結合組織が、自分自身の免疫システムによって攻撃されてしまう病気の総称です。特に、結合組織の主成分である膠原線維が標的となることから、膠原病と名付けられました。膠原線維は、骨や軟骨、皮膚、血管、内臓など、体のあらゆる場所に存在し、組織の強度や弾力性を保つ働きをしています。例えるなら、建物を支える鉄骨のようなものです。この膠原線維が炎症を起こしたり、破壊されたりすることで、様々な臓器に障害が生じ、多岐にわたる症状が現れるのが膠原病の特徴です。膠原病には、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、強皮症など、多くの種類が存在します。それぞれの病気によって、主に障害を受ける臓器や症状、経過は大きく異なります。膠原病の原因はまだはっきりとは解明されていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に関係していると考えられています。また、膠原病は、比較的若い世代、特に20代から40代の女性に発症しやすいことも特徴の一つです。膠原病は、早期に発見し、適切な治療を行うことで、症状の進行を抑え、日常生活を維持することができる病気です。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
その他

膠原病類縁疾患:古典的膠原病との関連

- 膠原病とは膠原病は、体の様々な部位で炎症を引き起こす病気の総称です。 私たちの体は、臓器や組織を支え、結びつける役割を持つ結合組織で構成されています。膠原病は、この結合組織や血管の壁に炎症が起こり、組織が硬くなってしまう「線維素様変性」と呼ばれる変化を特徴とします。1942年、ポール・クレンペラーという医師によって提唱された膠原病は、当初、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、結節性多発動脈周囲炎、リウマチ熱の6つの病気を「古典的膠原病」として定義しました。膠原病は、免疫の異常が原因と考えられています。 本来、免疫は細菌やウイルスなどの外敵から体を守る仕組みですが、膠原病では、この免疫システムが誤って自分の体の組織を攻撃してしまうのです。 その結果、炎症が慢性化し、様々な臓器に障害を引き起こします。膠原病の症状は、発熱、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感など、風邪に似た症状で始まることが多いです。 また、皮膚の発疹や脱毛、口内炎、胸膜炎、心膜炎など、様々な症状が現れることもあります。膠原病は、早期発見・早期治療が大切です。 早期に適切な治療を開始することで、症状をコントロールし、病気の進行を抑えることが期待できます。
皮膚科

蝶形紅斑:全身性エリテマトーデスのサイン

- 蝶形紅斑とは顔面に、まるで蝶が羽を広げたような形をした赤い発疹が現れる症状を蝶形紅斑と呼びます。この発疹は、両方の頬から鼻筋にかけて広がり、その形状が蝶に似ていることからその名が付けられました。蝶形紅斑は、それ自体が痛みやかゆみなどの直接的な症状を引き起こすことは稀です。しかし、その特徴的な見た目から、医師はこの紅斑を重要なサインと捉えます。蝶形紅斑は、様々な要因によって引き起こされる可能性がありますが、中でも全身性エリテマトーデス(SLE)という自己免疫疾患との関連が深く指摘されています。SLEは、免疫システムが自分の体の組織を攻撃してしまう病気で、皮膚症状以外にも、関節痛、発熱、倦怠感など、様々な症状を引き起こします。蝶形紅斑は、SLEの初期症状として現れることが多いため、早期発見・早期治療の観点からも重要な症状と言えるでしょう。もし、顔面に蝶形紅斑に似た発疹が現れた場合は、自己判断せずに、速やかに皮膚科や内科を受診し、医師の診断を受けるようにしてください。
アレルギー

混合性結合組織病:複数の膠原病の特徴を併せ持つ疾患

- 混合性結合組織病とは混合性結合組織病は、いくつかの膠原病の特徴を併せ持つ自己免疫疾患です。膠原病とは、本来、体を守るはずの免疫システムが、自分自身の体の組織を誤って攻撃してしまう病気の総称です。特に、骨や軟骨、血管など、体の様々な部分を繋ぎ支える結合組織が攻撃を受けることで、様々な症状が現れます。混合性結合組織病は、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎といった、代表的な膠原病の特徴を併せ持つ点が特徴です。それぞれの膠原病の特徴が、混合性結合組織病ではどのように現れるのか、具体的に見ていきましょう。まず、全身性エリテマトーデスは、顔面に出る蝶の形をした赤い発疹や関節の痛み、発熱、倦怠感といった症状が特徴です。次に、全身性強皮症は、皮膚が硬くなる症状や、指先の血行が悪くなるレイノー現象などがみられます。そして、多発性筋炎/皮膚筋炎は、筋肉の炎症による筋力低下や、皮膚の発疹、関節の痛みといった症状が現れます。このように、混合性結合組織病は、複数の膠原病の症状が複雑に重なり合って現れるため、診断が非常に難しい病気です。さらに、患者さん一人ひとりで、どの膠原病の症状が強く現れるかも異なり、症状の現れ方も様々であるため、治療法も患者さんの状態に合わせて慎重に検討する必要があります。
その他

多発血管炎性肉芽腫症:理解を深める

皆さんは、「多発血管炎性肉芽腫症」という病気を聞いたことがありますか?おそらく、ほとんどの方が初めて耳にする病名でしょう。多発血管炎性肉芽腫症は、あまり聞き馴染みのない病気ですが、全身の血管に炎症が起こることで、様々な臓器にダメージを与えてしまう、稀ながらも重篤な病気です。 この病気は、以前は「ヴェゲナー肉芽腫症」と呼ばれていましたが、近年では「多発血管炎性肉芽腫症」という名称が一般的になっています。原因はまだ完全に解明されていませんが、免疫の異常によって自分の血管を攻撃してしまうことが発症の仕組みだと考えられています。 具体的な症状としては、発熱や倦怠感、体重減少といった全身症状に加えて、鼻や副鼻腔の炎症、咳や呼吸困難、関節痛、皮膚の発疹など、様々な症状が現れます。放置すると、腎臓や肺などの臓器に深刻な障害を引き起こす可能性もあるため、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。 今回は、この多発血管炎性肉芽腫症について、詳しく解説していきます。病気の詳しいメカニズムや症状、そして治療法まで、わかりやすくお伝えしますので、この病気について正しく理解を深めていきましょう。
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