脊髄損傷

脳・神経

脊髄損傷と自律神経過緊張反射

- 自律神経過緊張反射とは 自律神経過緊張反射は、脊髄を損傷した患者さんに起こる可能性のある深刻な合併症です。脊髄は、脳からの指令を全身に伝える役割を担っており、この脊髄が損傷を受けると、様々な神経伝達に障害が生じます。自律神経過緊張反射は、その中でも特に注意が必要な症状の一つです。 この反射は、主に胸髄と呼ばれる胸の高さにある脊髄を損傷した場合に多く見られます。そして、損傷を受けた部位よりも下の、麻痺のある部分への刺激がきっかけとなって起こります。例えば、衣服の締め付けや、尿が溜まったことによる膀胱の刺激、あるいは便秘による腸の刺激などが引き金となることがあります。 自律神経過緊張反射が起こると、急激な血圧の上昇が見られます。その他にも、ひどい頭痛、顔面紅潮、発汗、鼻づまり、脈拍の低下や徐脈などの症状が現れます。症状が重篤化すると、意識消失や痙攣、脳出血、最悪の場合は死に至る可能性もあり、迅速な対応が求められます。
泌尿器

自動性膀胱:脊髄損傷との関係

- 自動性膀胱とは自動性膀胱は、尿をためて、排出するという膀胱本来の機能が、神経の異常によって損なわれてしまう病気です。本来、健康な状態では、膀胱に尿がたまると、その情報が脳に伝えられます。脳は、今が排尿に適切なタイミングかどうかを判断し、適切なタイミングであれば、膀胱の筋肉を収縮させ、尿道括約筋を緩めるように指令を出します。その指令に従って膀胱の筋肉が収縮し、尿道括約筋が緩むことで、私たちはスムーズに排尿することができます。しかし、脳と膀胱をつなぐ神経経路が、病気や怪我などによって損傷を受けてしまうと、このスムーズな排尿のサイクルが乱れてしまいます。その結果、脳からの指令が膀胱に届かなくなり、膀胱は脳からの指令を待たずに、勝手に収縮と弛緩を繰り返してしまうようになります。これが自動性膀胱と呼ばれる状態です。自動性膀胱は、脳と脊髄をつなぐ橋と呼ばれる部位や、脊髄の上部が損傷を受けた場合に多く見られます。交通事故や脳卒中などが原因で、これらの部位が損傷してしまうと、自動性膀胱を発症する可能性が高まります。
PAGE TOP