脊椎

外科

潜む脅威:化膿性脊椎炎とは

- 脊椎を蝕む細菌感染症化膿性脊椎炎は、血液の流れに乗って細菌が脊椎に侵入し、炎症を引き起こす病気です。この病気は、肺炎や尿路感染症など、体の別の場所で起きた感染が原因となる場合があります。また、医療行為で使用するカテーテルから感染することもあります。感染の初期段階では、椎体と呼ばれる骨の周辺に位置する椎体終板に細菌が侵入し、膿が溜まった状態(膿瘍)を作ります。その後、椎体と椎体の間にあるクッションの役割を果たす椎間板を介して感染が広がっていきます。そして、最終的には骨髄にまで炎症が及ぶ骨髄炎を引き起こします。化膿性脊椎炎は、体の部位によって発症しやすい場所が異なり、胸椎と腰椎で発症することが多く、頸椎での発症は稀です。もし、化膿性脊椎炎が重症化すると、脊椎周辺の筋肉や、神経の通り道である脊柱管にまで膿瘍が拡大する可能性があります。その結果、麻痺などの重い合併症を引き起こす可能性があります。特に頸椎に感染した場合、気管や食道を圧迫するリスクがあり、非常に危険な状態となることがあります。高齢者や糖尿病患者、癌や血液疾患の治療を受けている方など、免疫力が低下している人は化膿性脊椎炎のリスクが高いため、特に注意が必要です。
その他

強直性脊椎炎:知っておきたい脊椎の病気

- 強直性脊椎炎とは私たちの体の中心を貫き、体を支える柱のような役割を果たす脊椎。強直性脊椎炎は、この重要な脊椎に炎症を引き起こし、やがて骨を硬くしてしまう病気です。まるで、本来はバラバラに動くはずの椎骨が、接着剤で固められたかのように動きが制限されてしまうのです。この病気の原因は、細菌やウイルスなどの外敵によるものではありません。私たちの体には、本来、外部から侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体から身を守るための免疫システムが備わっています。しかし、強直性脊椎炎の場合、この免疫システムが何らかの理由で誤作動を起こし、自分自身の体の細胞や組織を攻撃してしまうのです。これが、自己免疫疾患と呼ばれる病気のメカニズムです。強直性脊椎炎は、主に10代後半から30代の若い世代に発症することが多く、男性に多いという特徴も知られています。初期症状としては、腰や背中に痛みやこわばりを感じることが多く、安静にしている時や朝起きた時に症状が強く現れる傾向があります。病気が進行すると、脊椎以外の関節、例えば、肩や股関節、膝関節などにも炎症が広がり、痛みや腫れ、運動制限を引き起こすこともあります。強直性脊椎炎は、国の指定する難病に指定されています。これは、患者数が少なく、治療法が確立されていない病気であることを意味します。しかし、近年では、医学の進歩により、炎症を抑え、病気の進行を遅らせる効果的な薬が開発されてきています。また、患者さん自身ができる運動療法や生活習慣の改善なども、症状の緩和や進行抑制に役立つことがわかってきています。
脳・神経

椎間板ヘルニア:腰痛の原因と治療

- 椎間板ヘルニアとは?私たちの背骨は、複数の骨が積み重なって構成されており、それぞれの骨の間には、クッションの役割を果たす椎間板が存在します。この椎間板のおかげで、私たちは体を滑らかに動かすことができます。椎間板は、中心部に水分を多く含んだゼリー状の髄核と、それを包み込むように存在する線維輪という組織から成り立っています。椎間板ヘルニアは、この線維輪に亀裂が生じ、中の髄核が飛び出してしまうことで起こります。飛び出した髄核は、周囲にある神経を圧迫し、腰や足に痛みやしびれなどの症状を引き起こします。椎間板ヘルニアの原因は、加齢による椎間板の変性が最も多く、年齢を重ねるにつれて誰にでも起こる可能性があります。 また、重いものを持ち上げる、長時間同じ姿勢を続ける、猫背などの姿勢や動作も、椎間板に負担をかけ、ヘルニアのリスクを高める要因となります。椎間板ヘルニアは、適切な治療を行えば症状を改善し、再発を予防できる病気です。腰痛や足のしびれなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
外科

知っていますか? 現代人の多くが抱える「亀背」のリスク

- 姿勢が悪くなる「亀背」とは?「亀背(きはい)」とは、背骨が後ろ側に弯曲し、背中が丸まって猫背になっている状態を指します。その名の通り、まるで亀の甲羅のように背中が丸まっていることから、この名前が付けられました。近年、デスクワークやスマートフォンの普及により、前かがみの姿勢で長時間過ごす人が増えています。その結果、老若男女問わず、亀背の症状に悩む人が増加傾向にあります。亀背は、単に見た目の問題だけではありません。背中が丸まった状態が続くことで、肩や首、腰などに負担がかかり、肩こりや腰痛の原因となります。また、猫背によって胸郭が圧迫されることで、呼吸が浅くなり、呼吸機能の低下にもつながる可能性があります。さらに、内臓が圧迫されることで、消化不良などの内臓への負担も懸念されます。亀背は、放置すると悪化する可能性もあるため、日頃から正しい姿勢を意識することが大切です。具体的には、座っている時は、背筋を伸ばし、顎を引いて、目線は真っ直ぐ前に向けるように心がけましょう。また、適度な運動やストレッチを行い、背骨の柔軟性を保つことも重要です。
脳・神経

身体の司令塔:脊髄の役割と重要性

私たちの体の中心部、背骨の内部には、脳から続く重要な器官が存在します。それが脊髄です。まるで脳からの指令を全身に伝える電線のように、神経細胞が集まって太い束状になっています。 脊髄は、脳からの指令を体の各部へと伝達する役割を担っています。例えば、手を動かそうと考えた時、その指令は脳から脊髄を通って腕の筋肉へと伝わり、実際に手が動くのです。また、反対に、皮膚に触れた感覚や体の位置情報なども、脊髄を通じて脳へと送られます。 このように、脊髄は脳と体をつなぐ情報伝達の要と言えるでしょう。脊髄は、私たちが意識的に行う動作だけでなく、呼吸や心臓の動きなど、生きていく上で欠かせない体の機能にも深く関わっています。もし、脊髄が損傷してしまうと、脳からの指令が伝わらなくなったり、体からの情報が脳に届かなくなったりするため、体の麻痺や感覚障害といった重い症状が現れることがあります。
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