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ラッセル音:肺の音の秘密

私たちは普段、日常生活の中で呼吸の音を意識することはほとんどありません。健康な状態であれば、呼吸は静かで穏やかに行われるからです。しかし、肺に何らかの異常が生じると、呼吸に伴って普段は聞こえない音が聞こえることがあります。これらの音は「副雑音」と呼ばれ、肺の状態を知るための重要な手がかりとなります。 副雑音には様々な種類がありますが、その一つに「ラッセル音」があります。ラッセル音は、粘り気の強い分泌物が気道に詰まっているときに、呼吸に伴って生じる音です。例えるならば、ストローにジュースを少し残した状態で息を吸ったり吐いたりしたときに聞こえる、ブツブツとした音に似たものが、ラッセル音です。 ラッセル音は、肺炎や肺水腫など、気道に分泌物が溜まりやすい病気でよく聞かれます。これらの病気では、炎症によって気道が狭くなったり、分泌物の排出が滞ったりするため、ラッセル音が発生しやすくなります。ラッセル音が聞こえる場合は、医師の診察を受け、適切な治療を受けることが重要です。
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肺にできる風船、ブラとは?

ブラとは、肺の中に通常よりも多くの空気が溜まってしまい、呼吸が困難になる病気です。この病気は、嚢胞性肺疾患の一つに分類されます。 私たちの体にとって、肺は空気中から酸素を取り込み、体内で発生した二酸化炭素を排出するための、とても重要な役割を担っています。この肺の一部が、風船のように膨らんでしまうのがブラの特徴です。 肺が膨らむことで、肺の組織が薄く引き伸ばされてしまうため、酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなります。そのため、息切れや呼吸困難といった症状が現れ、日常生活に支障をきたすこともあります。 ブラの原因は、まだ完全には解明されていませんが、喫煙や遺伝などが関係していると考えられています。また、加齢によっても発症リスクが高まると言われています。 ブラは、自然に治ることはほとんどなく、進行性の病気であるため、早期発見と適切な治療が重要です。
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COPD:知っておきたい肺の病気

- COPDとはCOPDは「慢性閉塞性肺疾患」の略称で、肺の気道と肺胞に異常が起こり、息苦しさや咳などの症状が慢性的に続く病気です。 肺の気道は、空気の通り道となる器官で、空気は気管支を通って肺胞へと送られます。肺胞は、ぶどうの房のように小さな袋が集まった構造をしていて、ここで血液中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するガス交換が行われています。 COPDを発症すると、これらの気道や肺胞に炎症が起こったり、気道が狭くなったり、肺胞が破壊されたりします。その結果、呼吸をするときに空気の通りが悪くなり、十分な酸素を体内に取り込めなくなるのです。 COPDは進行性疾患であるため、病気が進むと、日常生活でのちょっとした動作でも息切れがするようになります。例えば、階段の上り下りや少し速く歩いただけでも息苦しさを感じるようになり、最終的には安静時にも呼吸困難に陥ることがあります。このような状態になると、日常生活に支障をきたし、生活の質は著しく低下してしまいます。 COPDは決して珍しい病気ではなく、国内では500万人以上が罹患していると推定されています。特に、加齢とともに罹患率が高くなる傾向があり、中高年の喫煙経験者は注意が必要です。
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命を脅かす病気:肺がん

- 肺がんとは肺がんは、呼吸をするために重要な役割を担う肺に発生するがんです。空気の通り道である気管支や、酸素と二酸化炭素の交換を行う肺胞といった、肺を構成する様々な組織の細胞が、何らかの原因でがん細胞へと変化し、制御できないほどに増殖することで発生します。肺は、心臓や大血管など、生命維持に欠かせない臓器と非常に近い場所に位置しています。そのため、肺がんは進行すると、これらの臓器にも影響を及ぼし、呼吸困難や胸の痛み、血痰、咳、体重減少といった様々な症状を引き起こします。さらに、肺がんは他の臓器にも転移しやすい性質を持っています。骨や肝臓、脳など、体の様々な場所に転移することで、さらに深刻な症状を引き起こす可能性があります。肺がんは、早期発見・早期治療が非常に重要です。初期の段階では自覚症状が出にくいため、定期的な健康診断や、少しでも体に異常を感じたら、医療機関を受診することが大切です。
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肺結核:原因、症状、予防法

- 肺結核とは肺結核は、結核菌という細菌が原因で起こる感染症です。結核菌は、主に私たちの呼吸器系、特に肺に感染します。感染すると、咳や痰、発熱といった風邪に似た症状が現れます。これらの症状は比較的軽く、初期段階では見過ごされてしまうこともあります。しかし、適切な治療を行わないと病状が進行し、息切れや胸の痛み、血痰といった深刻な症状が現れることがあります。さらに重症化すると、呼吸困難に陥り、命に関わる危険性も高まります。結核は、空気感染によって広がります。感染者の咳やくしゃみ、つばなどと一緒に結核菌が空気中に飛び散り、それを吸い込むことで感染します。ただし、結核菌は、一度吸い込んだだけで必ずしも感染するわけではありません。結核菌に感染しても、多くの場合、私たちの免疫システムが働き、菌の増殖を抑え込むため、発病に至らないことが多いです。しかし、免疫力が低下している人や栄養状態が悪い人などは、結核菌に感染しやすく、発病するリスクが高いと考えられます。かつて結核は、「国民病」とも呼ばれ、多くの人々が命を落としてきました。しかし、衛生状態の向上や栄養状態の改善、そして効果的な治療法の開発と普及により、現在では発症数は減少傾向にあります。それでも、結核は決して過去の病気ではありません。早期発見・早期治療が重要であり、少しでも気になる症状があれば、医療機関を受診することが大切です。
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誤嚥:食べ物や液体が気管に入ってしまうこと

- 誤嚥とは私たちは普段、食事をするとき、食べ物を口の中でよく噛み砕き、唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすくしています。このとき、飲み込んだものは食道という管を通って胃へと送られます。しかし、何らかの原因で、飲み込んだものが食道ではなく、気管の方に誤って入ってしまった場合、これを「誤嚥」と呼びます。気管は空気の通り道であるため、ここに食べ物や飲み物が入ると、むせてしまいます。多くの場合、この反射によって異物を吐き出すことができます。しかし、乳幼児や高齢者、病気などで飲み込む機能が低下している方の場合、うまく吐き出すことができずに、誤嚥性肺炎などの深刻な病気に繋がる可能性があります。誤嚥は誰にでも起こりうることですが、特に注意が必要なのは、乳幼児と高齢者、そして病気などで飲み込む機能が低下している方です。乳幼児は飲み込む機能が未発達なため、注意が必要です。高齢者は、加齢に伴い飲み込む機能が低下しやすくなるため、注意が必要です。また、脳卒中やパーキンソン病などの病気により、飲み込む機能が低下している方も注意が必要です。誤嚥のリスクを減らすためには、食事の際はよく噛んでから飲み込む、姿勢を正して食べる、一口の量を少なくするなどの工夫が大切です。また、周囲の人が誤嚥のリスクを理解し、注意深く見守ることも重要です。
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肺の奥をのぞく:気管支肺胞洗浄とは?

- 気管支肺胞洗浄の目的 呼吸によって体内に取り込まれた空気は、鼻や口から気管を通って肺へと送られます。そして、肺の奥にある無数の小さな袋状の器官である肺胞に到達します。この肺胞こそが、血液中に酸素を取り込み、体内で発生した二酸化炭素を排出する、ガス交換の重要な役割を担う場所です。 気管支肺胞洗浄は、この肺胞の状態を詳しく調べるために行われる検査です。細い管を鼻や口から挿入し、気管支を通って肺胞に到達させます。そして、あらかじめ用意した少量の生理食塩水を肺胞内に注入し、その後、その液体を吸引して回収します。この回収した液体を「肺胞洗浄液」と呼びます。 肺胞洗浄液には、肺胞内に存在する細胞や細菌、異物などが含まれています。そのため、顕微鏡で観察したり、培養検査を行ったりすることで、肺胞に炎症が起きていないか、どのような種類の細胞が増えているのか、感染症の原因となる細菌やウイルスが存在するのかなどを調べることができます。 このように、気管支肺胞洗浄は、肺の奥深くにある肺胞の状態を直接調べることのできる、非常に有用な検査方法と言えるでしょう。原因不明の咳や呼吸困難、間質性肺炎などの病気の診断、治療効果の判定などに役立てられています。
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肺の奥を覗く:気管支肺胞洗浄とは

- 気管支肺胞洗浄とは 気管支肺胞洗浄は、肺の奥深くにある小さな袋状の組織「肺胞」に溜まっているものを採取し、顕微鏡などで詳しく調べる検査です。 肺胞は、私たちが呼吸によって体内に取り込んだ空気中の酸素と、血液中の二酸化炭素を交換するという、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。 この検査では、まず鼻や口から細い管を挿入し、気管支という空気の通り道を進みます。そして、目的の肺胞に到達したら、管の先から少量の生理食塩水を注入します。その後、注入した生理食塩水を吸引して回収し、その中に含まれている細胞や物質を分析します。 気管支肺胞洗浄は、咳や痰では排出されない肺胞内の状態を直接調べることのできる検査であり、原因不明の咳や呼吸困難、肺炎などの呼吸器疾患の診断に役立ちます。具体的には、感染症の原因となる細菌やウイルス、がん細胞、炎症細胞などを特定することができます。また、病気の活動性や治療効果の判定にも有用です。 気管支肺胞洗浄は、肺の奥深くまで管を挿入するため、患者さんにとって負担が大きい検査です。 検査中は医師や看護師が付き添い、患者さんの状態を注意深く観察しながら行います。また、検査前に十分な説明を受け、不安や疑問を解消しておくことが大切です。
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