股関節

外科

人工股関節:痛みのない生活を取り戻す

- 人工股関節とは人工股関節とは、股関節の機能が損なわれた際に、その一部または全部を人工物で置き換える手術のことです。加齢や病気、怪我などが原因で股関節に痛みや動きの制限が生じ、日常生活に支障をきたす場合に検討されます。股関節は、骨盤側の臼蓋と呼ばれる受け皿と、大腿骨側の骨頭と呼ばれる球状の部分が組み合わさってできています。この関節部分の表面は軟骨と呼ばれる弾力のある組織で覆われており、滑らかな動きを可能にしています。しかし、変形性股関節症や関節リウマチ、大腿骨骨頭壊死症、骨折などが原因で股関節に障害が生じると、軟骨がすり減ったり、骨の形が変形したりして、激しい痛みや関節の動きが悪くなることがあります。このような場合、人工股関節置換術が有効な治療法となります。この手術では、損傷を受けた股関節を、耐久性に優れた金属やセラミック、ポリエチレンなどの素材で作られた人工関節に置き換えます。具体的には、骨盤側の臼蓋には人工臼蓋、大腿骨側の骨頭には人工骨頭を埋め込みます。人工骨頭は、ステムと呼ばれる棒状の部分に接続されており、このステムは大腿骨の骨髄内にしっかりと固定されます。人工股関節置換術によって、痛みが軽減され、股関節の動きが改善されるため、歩行動作や日常生活動作が楽になります。その結果、患者さんの生活の質(QOL)の向上に大きく貢献することができます。
小児科

先天性股関節脱臼:赤ちゃんの股関節の病気

生まれて間もない赤ちゃんに見られる病気の一つに、先天性股関節脱臼というものがあります。これは、赤ちゃんの股関節が本来あるべき場所からずれてしまっている状態を指し、医学的には発育性股関節形成不全(DDH)とも呼ばれます。股関節が完全に外れてしまっている場合だけでなく、外れやすい不安定な状態も含まれます。この先天性股関節脱臼は、比較的多くの赤ちゃんに見られる病気であり、特に女の子に多く発症する傾向があります。 この病気の原因は、まだはっきりと解明されていませんが、いくつかの要因が重なって発症すると考えられています。一つは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間の姿勢です。逆子や骨盤位と呼ばれる姿勢でいた場合、股関節に負担がかかりやすく、発症のリスクが高まると言われています。また、女の子は男の子に比べて、股関節を柔らかくするホルモンの影響を受けやすいため、発症率が高いと考えられています。さらに、家族に股関節脱臼の経験者がいる場合も、発症する可能性が高まるとされています。 先天性股関節脱臼は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。そのため、赤ちゃんを出産した際には、股関節の検査を受けることが推奨されています。治療法としては、股関節を正常な位置に戻すための装具を装着したり、場合によっては手術を行ったりします。早期に発見し、適切な治療を行うことで、後遺症を残さずに治癒できる可能性が高まります。
検査

股関節のレントゲン撮影におけるラウエンシュタイン法

- ラウエンシュタイン法とは?ラウエンシュタイン法は、股関節のレントゲン撮影を行う際の一つの方法で、患者さんの体の位置や脚の角度を細かく指示することで、より鮮明な画像を得ることを目的としています。この方法は、別名「ラウエン法」とも呼ばれ、股関節の状態を詳しく調べる必要がある場合に頻繁に用いられます。股関節は、骨盤の一部である寛骨臼と、太ももの骨である大腿骨の頭の部分が組み合わさってできています。大腿骨の頭と胴体の間は、大腿骨頸部と呼ばれる、やや細くなった部分でつながっています。この大腿骨頸部は、骨粗鬆症などによって骨折しやすい部分としても知られています。ラウエンシュタイン法を用いることで、この大腿骨頸部を含む、股関節を構成する骨を様々な角度から映し出すことができます。具体的には、患者さんは検査台の上に仰向けになり、撮影する側の足を内側に回転させます。この時、膝を曲げて足を反対側の太ももに乗せるようにすることで、股関節をより大きく回転させることができます。この方法で撮影を行うことで、大腿骨頸部の前後左右のわずかな変形や、股関節の隙間(関節裂隙)の状態をより正確に把握することができます。そのため、骨折の診断はもちろんのこと、変形性股関節症などの病気の診断にも非常に役立ちます。変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ったり、変形したりすることで痛みや動きの制限が生じる病気ですが、ラウエンシュタイン法によるレントゲン撮影は、その進行度合いを判断する上でも重要な検査です。
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