組織

循環器

静かなる脅威:虚血とその影響

私たちの体は、無数の細胞が集まってできており、それぞれの細胞がそれぞれの役割を担うことで、生命を維持しています。細胞が正常に働くためには、酸素や栄養が不可欠ですが、これらの物質を体の隅々まで届けているのが血液です。しかし、様々な原因でこの血液の流れが悪くなってしまうことがあります。これが「虚血」と呼ばれる状態です。 虚血は、体のどの部分でも起こる可能性があります。例えば、心臓に血液を送り出す血管である冠動脈が動脈硬化などで狭くなると、心臓に十分な血液が流れなくなり、狭心症や心筋梗塞といった深刻な病気を引き起こすことがあります。また、脳の血管が詰まったり狭くなったりすると、脳梗塞を引き起こし、意識障害や運動麻痺などの後遺症が残ることもあります。 虚血は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。治療法は、原因や症状、重症度によって異なりますが、血管を広げる薬物療法や、血栓を取り除くカテーテル治療、外科手術などが行われます。虚血は、私たちの健康や生命を脅かす可能性のある病気です。日頃から、バランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、血管を健康な状態に保つことが重要です。また、胸の痛みや痺れ、ろれつが回らないなどの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
その他

弾力性の源、エラスチン

- エラスチンとは私たちの体は、自由に動き、様々な活動を行うことができます。曲げたり、伸ばしたり、時にはねじったりと、複雑な動作も滑らかに行うことができますが、このような体の柔軟性を支えている重要な成分の一つに、「エラスチン」と呼ばれるタンパク質があります。エラスチンは、その名の通り、ゴムのように伸縮する弾力性を持つ特別なタンパク質です。まるでゴムひもが伸び縮みするように、エラスチンは、体に様々な力が加わっても、その力に応じて伸び縮みし、力がなくなると元の状態に戻る性質を持っています。このエラスチンは、体内の様々な場所に存在し、組織に弾力性と柔軟性を与えています。例えば、血管では、血液を送り出す心臓の拍動による圧力変化に柔軟に対応し、スムーズな血液循環を助ける役割を担っています。また、皮膚では、肌に弾力を与え、しわを防ぐ役割も担っています。その他にも、肺や軟骨など、体の様々な場所で重要な働きをしています。しかし、エラスチンは加齢と共にその生成量が減少し、また、紫外線や喫煙などの影響も受けて、その構造が壊れやすくなります。その結果、血管や皮膚、肺などの組織の弾力性が失われ、動脈硬化や皮膚のたるみ、肺気腫などの原因となることがあります。このように、エラスチンは私たちの体の柔軟性や弾力性を保つために非常に重要な役割を担っています。健康な体を維持するためには、エラスチンの働きを維持することが大切です。
検査

病気の原因を探る!病理診断の世界

- 病理診断とは 病理診断とは、患者さんから採取した臓器や組織の一部を、顕微鏡などを用いて観察し、病気の原因や状態を明らかにする診断方法です。 私たちの身体は、たくさんの細胞が集まってできています。病気になると、この細胞の姿や組織の構造が変化します。病理診断では、これらの変化を顕微鏡を使って詳しく調べることで、病気の原因を探ります。 例えば、がんが疑われる場合、患部の一部を採取し、顕微鏡で観察します。これにより、がん細胞の有無、がんの種類、進行度(悪性度)などを診断することができます。 このように、病理診断は、病気の原因や状態を正確に把握するために欠かせない検査方法です。病理診断の結果は、治療方針の決定や、病気の経過観察に大きく役立ちます。
外科

飛び出した臓器:ヘルニアを理解する

- ヘルニアとは? 私たちの体は、骨や筋肉、そして様々な組織によって支えられています。これらの組織は、まるで壁のように臓器を正しい位置に保つ役割を担っています。しかし、様々な要因によって、この「壁」の一部が弱くなってしまったり、隙間ができてしまうことがあります。 ヘルニアとは、このような体の壁にできた異常な開口部から、本来そこにはないはずの臓器の一部が飛び出してしまう状態を指します。 例えるなら、中身がいっぱい詰まった丈夫な袋を想像してみてください。この袋の一部が、何らかの原因で薄くなってしまったり、穴が開いてしまったとします。すると、袋の中身は、その薄くなった部分や穴から外に押し出されてしまいますよね。ヘルニアもこれと同じように、弱くなった体の壁から、臓器の一部が押し出されるようにして飛び出してきてしまうのです。 飛び出した臓器は、触ると柔らかいことが多いですが、常に痛みがあるわけではありません。しかし、飛び出した部分が大きくなったり、周囲の組織を圧迫したりすると、痛みや違和感を感じることがあります。また、場合によっては、飛び出した臓器への血流が悪くなり、緊急を要するケースも考えられます。
外科

知っておきたい病気:ヘルニア

- ヘルニアとは私たちの体は、まるで部屋のように、筋肉や組織の壁によっていくつもの区画に仕切られています。そして、胃や腸などの臓器は、それぞれ決められた区画の中に収まっています。しかし、この仕切りの壁が弱くなったり、穴が開いてしまったりすることがあります。ヘルニアとは、このように体の内部にある組織や臓器の一部が、本来あるべき場所から、弱くなった壁の隙間を通って飛び出してしまっている状態のことを指します。飛び出した臓器は、皮膚の下に膨らみとして現れることが多く、触ると柔らかいことが多いです。また、ヘルニアの種類や症状の程度によっては、痛みを伴うこともあります。痛みは、重いものを持ち上げたり、咳やくしゃみをしたり、長時間立っていたりするときに強くなることがあります。ヘルニアは、お腹、鼠径部(そけいぶ)、太ももの付け根、おへその周りなど、体の様々な場所に起こる可能性があります。また、加齢、肥満、妊娠、重いものを持ち上げるなどの腹圧がかかる動作、慢性的な咳なども、ヘルニアのリスクを高める要因となります。自己判断せず、体に異常を感じたら、医療機関を受診するようにしましょう。
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