細菌

消化器

ピロリ菌:胃の病気との関係

私たち人間の胃の中に住み着くことができる細菌がいることをご存知でしょうか。その細菌はピロリ菌と呼ばれ、胃という過酷な環境でも生き抜くことができる驚異的な生命力を持っています。 胃は食べたものを消化するために強い酸性を帯びていますが、ピロリ菌はこの酸性の中でも生き延びることができる特殊な能力を持っています。自らの周囲の環境を中和する物質を作り出すことで、胃酸の攻撃から身を守っているのです。 ピロリ菌の感染経路は主に口からと考えられており、衛生状態が良くない環境では幼少期に感染してしまうことが多いと言われています。感染しても、多くの場合自覚症状が現れないため、知らないうちに感染しているケースも少なくありません。そして、一度感染すると、ピロリ菌は胃の中で長い年月をかけてゆっくりと増殖し続け、慢性的な胃炎を引き起こす原因となることがあります。さらに、長期間にわたる感染は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、そして胃がんのリスクを高める要因になる可能性も指摘されています。
消化器

胃の病気とピロリ菌

ピロリ菌とは、正式にはヘリコバクター・ピロリと呼ばれる、胃の粘膜に生息する細菌です。この細菌は、その名の通り、らせん状の形をしており、胃の中で生きていくための驚くべき能力を備えています。 私たちの胃は、強力な酸性の胃液で満たされており、食べ物を消化すると同時に、外部から侵入してくる細菌などの有害な物質を殺菌する役割を担っています。しかし、ピロリ菌は、この過酷な環境である胃酸の中でも生き延びることができるのです。 ピロリ菌は、世界中で非常に多くの人々に感染しており、特に衛生状態が十分ではない地域では、感染率が高い傾向にあります。かつて日本でも、衛生状態の悪さから多くの人がピロリ菌に感染していました。しかし、近年では上下水道などのインフラ整備が進み、衛生状態が大幅に改善されたため、感染率は低下してきています。 それでもなお、日本は先進国の中ではピロリ菌の感染率が高い国の一つとされており、特に中高年を中心に、依然として多くの感染者がいると考えられています。これは、過去の衛生環境の影響や、一度感染すると体内に長期間にわたって潜伏し続けるピロリ菌の特性によるものと考えられます。
その他

世界を脅かす感染症:パンデミック

パンデミックとは、ある感染症が国境を越えて世界規模で広がり、多くの人々の健康や社会、経済に深刻な影響を与える現象を指します。これは単に感染者数が多いということではなく、その感染症が地球全体の広範囲にわたって蔓延し、人々の生活や社会システムに大きな混乱をもたらす点が重要です。 パンデミックは、その発生源や感染経路、ウイルスの特性など、様々な要因が複雑に絡み合って発生します。例えば、新型のウイルスが出現した場合、人間には免疫がないため感染が拡大しやすくなります。また、国際的な人の移動や物流が活発化した現代社会では、ウイルスが短期間で世界中に拡散する可能性も高まっています。 パンデミックが発生すると、医療機関の逼迫、都市封鎖などの厳しい行動制限、経済活動の停滞、社会不安の増大など、様々な問題が引き起こされます。このような事態を防ぐためには、日頃から感染症対策を徹底し、ウイルスが蔓延しにくい社会環境を築いておくことが重要です。また、世界各国が協力して、感染症の監視体制を強化したり、ワクチンや治療薬の開発を推進したりすることも不可欠です。
呼吸器

肺炎球菌:身近に潜む脅威

- 肺炎球菌とは肺炎球菌は、私達の身の回りにごく普通に存在している細菌です。普段は、健康な人の鼻や喉などに住み着いていて、特に悪影響を及ぼすことはありません。しかし、病気や疲労、ストレスなどによって免疫力が低下すると、この肺炎球菌が体内で増殖し、様々な病気を引き起こすことがあります。肺炎球菌は、その名前から肺炎の原因菌としてよく知られていますが、肺炎以外にも、髄膜炎や敗血症といった命に関わる重い病気の原因となることもあります。髄膜炎は、脳や脊髄を包む髄膜に炎症が起こる病気で、高熱や頭痛、嘔吐などの症状が現れます。敗血症は、細菌が血液中に侵入し、全身に炎症が広がる病気で、発熱や意識障害、ショック状態などを引き起こし、死に至ることもあります。このように、肺炎球菌感染症は、決して軽視できない病気です。特に、高齢者や乳幼児、基礎疾患のある方などは、肺炎球菌による重症化リスクが高いため注意が必要です。肺炎球菌感染症から身を守るためには、普段から手洗いとうがいを徹底し、バランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけ、免疫力を高めておくことが重要です。また、肺炎球菌ワクチンの接種も有効な予防策となります。
その他

身近な医学用語:アイテルって何?

「アイテル」という言葉は、あまり日常会話では耳にする機会が少ないかもしれませんね。しかし、実際には私たちにとってそれほど遠い存在ではありません。「アイテル」とは、怪我をした時などに傷口に見られる、あの黄白色で粘り気のある液体のことを指します。医学の世界では「膿」と呼ばれています。少しばかり目を背けたくなるようなイメージがあるかもしれませんが、これは決して悪いことばかりではありません。むしろ、私たちの体が病気や怪我から回復しようと、懸命に働いている証拠なのです。 体の中に細菌やウイルスなどの病原体が侵入してくると、私たちの体は免疫システムを働かせて、それらと戦おうとします。その際、血液中にある白血球の一種である「好中球」が、病原体を攻撃し、死滅させます。アイテルは、この好中球や病原体の残骸、そして傷ついた組織の細胞などが混ざり合ってできたものなのです。つまり、アイテルは体の防衛反応によって生まれたものと言えるでしょう。 ただし、アイテルが多い場合や、なかなか治らない場合には、注意が必要です。それは、体の中で炎症が still 起きているサインかもしれません。そのような時は、自己判断せずに、医療機関を受診するようにしましょう。
その他

細胞の中の世界:細胞内寄生菌について

私たちの体の中には、たくさんの細胞が存在しています。そして、驚くべきことに、その細胞の中にまで入り込んで暮らしている細菌がいるのです。このような細菌は、細胞内寄生菌と呼ばれ、まるで細胞を自分たちの隠れ家のように利用して増殖していきます。 細胞内寄生菌の中には、細胞の外では生きていけないものもいれば、細胞の外でも増殖できるものもいます。例えば、結核菌のように、細胞の外では生きられない細菌は偏性細胞内寄生菌と呼ばれます。これらの細菌は、生きていくために必要な栄養や環境を宿主の細胞に完全に依存しているため、細胞の外では増殖することができません。 一方、サルモネラ菌のように、細胞の外でも増殖できる細菌は通性細胞内寄生菌と呼ばれます。これらの細菌は、環境に応じて細胞の中と外どちらでも生き延びることができ、宿主の細胞内に入り込んで増殖することで、免疫の攻撃から身を守ったり、栄養を効率的に摂取したりすることができます。 細胞内寄生菌は、私たち人間を含む様々な生物に感染し、時に病気を引き起こすことがあります。これらの細菌がどのようにして細胞に侵入し、細胞の中でどのようにして生き延びているのかを明らかにすることは、感染症の予防や治療法の開発に繋がると期待されています。
その他

パンデミック:世界規模の感染症に備える

- パンデミックとはパンデミックとは、ある感染症が国境を越えて世界規模に拡大し、多くの人が罹患する可能性がある状態を指します。これは、単に感染者数が多いということではなく、地理的に広範囲にわたって感染が拡大している点が重要です。歴史を振り返ると、人類は幾度となくパンデミックに襲われてきました。14世紀にヨーロッパで猛威を振るったペストや、1918年から1920年にかけて世界中で流行したスペイン風邪などは、パンデミックの典型的な例です。これらの感染症は、多くの人々の命を奪っただけでなく、社会や経済にも深刻な影響を与えました。近年では、2009年に発生した新型インフルエンザや、2019年末から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミックと認定されました。これらのパンデミックは、私たちの生活に大きな変化をもたらし、医療体制の重要性や国際的な連携の必要性を改めて認識させることになりました。パンデミック発生時には、感染拡大を防ぐために、個人レベルでの予防対策(手洗い、うがい、マスクの着用など)に加え、社会全体で人の移動や集会の制限などの対策を講じることが重要になります。また、ワクチンや治療薬の開発も重要な課題となります。
呼吸器

肺炎球菌:知っておきたい身近な細菌

肺炎球菌は、私達の身の回りにあるごくありふれた細菌です。普段は、健康な方の鼻や喉にいても、病気を起こすことはほとんどありません。これは、私達の体が持つ抵抗力で、肺炎球菌の増殖を抑えているからです。しかし、体力が低下したり、免疫力が弱まっている時には注意が必要です。肺炎球菌は、この機会をついて体の中で急速に増殖し、肺炎、髄膜炎、敗血症といった深刻な病気を引き起こす可能性があります。これらの病気は、命に関わることもあります。肺炎球菌は、咳やくしゃみによる飛沫感染で人から人へと広がります。特に、高齢者や乳幼児、免疫力が低下している方は、肺炎球菌による感染症にかかりやすく、重症化しやすい傾向があります。日頃から、手洗いとうがいを徹底し、健康的な生活を心がけることが大切です。
その他

細胞壁を持たない微生物:マイコプラズマ

- マイコプラズマとはマイコプラズマは、私達の身の回りの空気中や土壌、水など、様々な場所に生息する微細な生物です。 私達の体にも、口の中や喉、鼻の中などに普通に存在しています。 この生物は、目に見えないほど小さく、その小ささは細菌と比較してもさらに小さいものです。しかし、その小さな体にも関わらず、私達の体に様々な影響を与えることがあります。マイコプラズマは、他の一般的な細菌とは大きく異なる特徴を持っています。それは、細胞を包む「細胞壁」と呼ばれる構造がないことです。 細胞壁は、細菌にとって、外部環境から身を守り、形を保つために重要な役割を果たしています。しかし、マイコプラズマはこの細胞壁を持たないため、形が一定ではなく、まるでアメーバのように形を変えながら動くことができます。この細胞壁がないという特徴は、マイコプラズマが様々な環境に適応し、生き延びるための武器となっています。 例えば、抗生物質の中には、この細胞壁の合成を阻害することで効果を発揮するものがあります。しかし、マイコプラズマは細胞壁自体を持たないため、これらの抗生物質の影響を受けずに生き続けることができます。 また、その小さな体と柔軟な形状により、他の生物の細胞の中に入り込み、増殖することも可能です。このように、マイコプラズマは、小さく目立たない存在でありながら、私達の健康や生活に影響を与える可能性を秘めた生物と言えるでしょう。
呼吸器

百日咳:その咳、もしかしたら…?

- 百日咳とは百日咳は、百日咳菌というごく小さな生き物が、空気中に漂うツバとともに体の中に入り込み、気管や気管支といった呼吸に関係する場所で増えることで発症する感染症です。感染力は非常に強く、特に免疫力が発達していない乳幼児は重症化しやすいため注意が必要です。この病気の名前は、文字通り、咳が百日間も続くことから名付けられました。もちろん、実際には誰もが百日間も咳をし続けるわけではありませんし、適切な治療を受ければ、それほど長く続くこともありません。しかし、もしも治療をせずに放っておくと、数週間から、場合によっては数ヶ月もの間、激しい咳に悩まされることになる可能性があります。百日咳の初期症状は、風邪とよく似ています。鼻水が出たり、喉が痛くなったり、微熱が続くといった症状が現れます。そして、1~2週間ほど経つと、特徴的な「コンコン」という乾いた咳が出始めます。この咳は、次第にひどくなり、息を吸う時に「ヒューヒュー」という笛のような音がするようになります。 百日咳は、ワクチン接種によって予防することが可能です。乳幼児期にワクチンを接種することで、重い症状になることを防ぐことができます。また、百日咳と診断された場合は、周囲への感染を広げないよう、医師の指示に従って適切な治療を受けることが重要です。
その他

身近な脅威、感染症について

- 感染症とは私たちの身の回りには、目には見えない小さな生き物がたくさんいます。その中には、私たちの体の中に入ると、体に害を及ぼすものもいます。このような生き物のことを病原体といい、病原体が体の中に侵入して増え、体に悪さをすることで、私たちは病気になってしまいます。この病気を、感染症と呼びます。感染症を引き起こす病原体には、大きく分けて、細菌やウイルス、真菌など、様々な種類があります。それぞれの種類によって、引き起こされる病気や症状、感染経路などが異なります。例えば、風邪の原因となるのは主にウイルスであり、インフルエンザもインフルエンザウイルスというウイルスによって引き起こされます。食中毒は、細菌やウイルスによって汚染された食べ物を口にすることで感染します。病原体が体内に侵入したとしても、必ずしも感染症を発症するわけではありません。私たちの体は、生まれながらに備わっている免疫や、ワクチンや過去の感染によって得られた免疫によって、病原体から身を守る仕組みを持っているからです。この免疫システムのおかげで、多くの場合、病原体の侵入を防いだり、排除したりすることができます。しかし、体が疲れていたり、栄養が不足していたり、睡眠不足が続いたりすると、免疫の働きが弱まってしまうことがあります。また、病気やストレス、加齢なども、免疫力を低下させる要因となります。免疫力が低下すると、病原体の侵入を防ぐことができなくなり、感染症を発症しやすくなってしまいます。感染症を予防するためには、普段から、バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけ、免疫力を高めておくことが大切です。また、外出後の手洗いとうがいを徹底したり、人混みを避けるなど、病原体との接触を減らすように心がけることも重要です。

身近に潜む脅威、緑膿菌

私たちの身の回りには、目には見えないながらも無数の細菌が存在しています。その中でも、緑膿菌は、土壌や水場といった自然環境から、人間の皮膚や腸の中まで、実に様々な場所に生息している細菌です。 健康な状態であれば、緑膿菌は私たちと共存しており、特に病気を引き起こすことはありません。むしろ、土壌の栄養分を分解したり、腸内環境を整えたりと、自然界や私たちの体内で重要な役割を担っています。 しかし、緑膿菌は、免疫力が低下した人や、手術や怪我などで体内に侵入しやすくなっている人にとっては、脅威となる可能性があります。肺炎、尿路感染症、創傷感染症など、様々な感染症を引き起こすことが知られており、重症化すると命に関わることもあります。 特に、医療現場では、緑膿菌は院内感染の原因菌の一つとして警戒されています。これは、緑膿菌が抗菌薬に対する抵抗力を持ちやすい性質を持っているためです。院内感染を防ぐためには、手洗い・消毒の徹底など、医療従事者だけでなく、患者やその家族も共に感染予防対策に取り組むことが重要です。
脳・神経

破傷風:静かなる脅威とその予防

- 破傷風とは破傷風は、破傷風菌と呼ばれる細菌によって引き起こされる感染症です。この細菌は、土や埃の中など、私達の身の回りによく見られます。通常は、傷口を通して体の中に入り込みます。傷は、小さく浅いものから、大きく深いものまで様々ですが、破傷風菌は、傷口の奥深く、酸素が少ない環境で繁殖しやすいため、注意が必要です。破傷風菌は、体の中で毒素を作ります。この毒素は、神経に影響を与え、筋肉を異常に緊張させる作用があります。その結果、様々な症状が現れます。初期症状としては、口が開きにくくなったり、ものを飲み込みにくくなったりすることが挙げられます。さらに症状が進むと、全身の筋肉が硬直したり、痙攣を起こしたりすることもあります。特に、背中や腹部の筋肉が硬直することで、体が弓なりに反り返ってしまうこともあります。破傷風は、重症化すると命に関わる危険性も高く、予防が非常に重要です。予防には、破傷風ワクチンが有効です。乳幼児期に定期接種を受けることで、発症のリスクを大幅に減らすことができます。また、大人になってからも、追加接種を受けることで、効果を維持することができます。万が一、傷を負ってしまった場合には、傷口を清潔に保ち、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
検査

PCR検査でわかること

- PCR検査とは近年、ニュースや新聞で「PCR検査」という言葉を耳にする機会が増えましたね。では、PCR検査とは一体どのような検査なのでしょうか。PCR検査は、「ポリメラーゼ連鎖反応」の略称で、検体の中に特定のウイルスや細菌の遺伝子があるかどうかを調べる検査です。例えば、新型コロナウイルスかどうかを調べる場合には、鼻の奥や唾液などから採取した検体に、新型コロナウイルスの遺伝子が含まれているかどうかを調べます。PCR検査の最大の特徴は、その感度の高さにあります。従来の検査方法では、検体中にウイルスや細菌がある程度の量まで増えないと検出できませんでしたが、PCR検査ではごくわずかな量の遺伝子でも検出することが可能です。これは、PCR検査が遺伝子を増幅させるという仕組みを持っているからです。少ない遺伝子量でも増幅することで、高い精度で検出できるのです。また、PCR検査は、従来の検査方法と比較して、短時間で結果が得られることも大きなメリットです。そのため、感染症の早期発見・早期治療に大きく貢献しています。近年では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために広く活用され、その名が知られるようになりました。
その他

院内感染の原因菌:クレブシエラ属とは

クレブシエラ属は、私たちの腸内に常に住み着いている細菌の一種です。腸内には、体に良い働きをするものから、病気を起こすものまで、様々な種類の細菌がいますが、クレブシエラ属もその一つです。 健康な人では、クレブシエラ属が病気を起こすことはほとんどありません。しかし、病気や高齢などによって免疫力が低下している人や、入院している人などは、クレブシエラ属によって日和見感染症を引き起こすことがあります。日和見感染症とは、健康な人では発症しにくい感染症ですが、免疫力が低下した際に発症しやすくなる感染症のことを指します。 クレブシエラ属は、顕微鏡で観察すると、他の腸内細菌と比べて少し大きく、周りに厚い膜を持っていることが特徴です。この膜は莢膜と呼ばれ、クレブシエラ属が体内の免疫細胞から攻撃されるのを防ぐ、いわば盾のような役割を果たしています。このため、免疫力が低下した人では、クレブシエラ属を排除することが難しく、感染症を引き起こしやすくなってしまうのです。
消化器

食中毒を防ぐために

食中毒とは、食べ物に付着した細菌やウイルス、有害な化学物質などを口にすることで、体調が悪くなる病気のことを指します。代表的な症状としては、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などが挙げられます。 食中毒の原因は多岐に渡り、大きく分けて細菌やウイルス、寄生虫といった微生物によるもの、農薬や食品添加物などの化学物質によるもの、フグ毒や毒キノコなどの自然毒によるものの3つに分類されます。 中でも細菌やウイルスによる食中毒は、気温や湿度が上昇する夏場に多く発生する傾向があります。これは、高温多湿な環境が、これらの微生物にとって増殖しやすい条件となるためです。 食中毒を予防するためには、食品の購入から調理、保管に至るまで、あらゆる段階で注意を払う必要があります。例えば、肉や魚などの生鮮食品は新鮮なものを選び、持ち帰る際は保冷剤を入れたクーラーボックスなどを使用し、低温を保つように心がけましょう。また、調理の際にはしっかりと加熱し、食品の中心部まで火を通すことが重要です。さらに、調理器具は清潔なものを使用し、生野菜などは流水でよく洗い流してから食べるようにしましょう。 食中毒は、適切な予防策を講じることで、その多くを防ぐことが可能です。日頃から食中毒のリスクを認識し、安全な食品の取り扱いを心がけましょう。
消化器

サルモネラ菌:食中毒を引き起こす身近な脅威

- サルモネラ菌とはサルモネラ菌は、私たちの身の回り、自然環境の様々な場所に生息する細菌です。土壌や水、そして動物の腸内など、あらゆる場所に潜んでいる可能性があります。特に、家畜やペットなどの動物はサルモネラ菌を腸内に保有していることが多く、これらの動物由来の食品は注意が必要です。 サルモネラ菌は、汚染された食品を食べることで、私たちの体内に侵入します。食品がサルモネラ菌に汚染される経路は様々です。例えば、家畜の腸内にいたサルモネラ菌が、食肉処理の過程で肉に付着したり、汚染された水や土壌を介して野菜や果物に付着したりすることがあります。また、ペットの爬虫類や両生類もサルモネラ菌を保有していることがあり、これらの動物に触れた後、適切な手洗いをせずに食品を扱うと、食品が汚染される可能性があります。 サルモネラ菌が体内に侵入すると、食中毒症状を引き起こします。主な症状としては、腹痛、下痢、発熱などが挙げられます。通常、これらの症状は数日で治まりますが、乳幼児や高齢者、免疫力の低下している方などは、重症化する可能性もあるため、注意が必要です。 サルモネラ菌による食中毒を予防するためには、食品の適切な加熱や手洗いの徹底が重要です。食品は十分に加熱することで、サルモネラ菌を死滅させることができます。また、調理前や食事前、トイレの後、動物に触れた後などは、石鹸と流水を使って手を丁寧に洗い、菌の体内への侵入を防ぎましょう。
その他

リケッチア感染症:小さな侵入者による大きな脅威

- リケッチア感染症とはリケッチア感染症は、リケッチアと呼ばれる微小な細菌によって引き起こされる感染症です。この細菌は、単独で増殖することができず、他の生物の細胞内に寄生して生きていきます。そのため、リケッチアは、マダニ、ノミ、シラミといった節足動物を介して、私たち人間の体内に侵入してきます。感染経路としては、これらの節足動物に咬まれたり、刺されたりすることが挙げられます。感染すると、数日の潜伏期間を経て、発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感といったインフルエンザに似た症状が現れます。また、発疹が現れることも多く、リケッチア感染症の診断に役立ちます。リケッチア感染症は、世界中で発生しており、特に、気温の高い時期や地域で多く見られます。適切な治療が行われなければ、重症化し、髄膜炎や脳炎、腎不全、呼吸不全などを引き起こす可能性もあります。リケッチア感染症の治療には、抗生物質が有効です。早期に診断し、適切な治療を開始することで、重症化を防ぐことができます。リケッチア感染症を予防するためには、節足動物に咬まれないようにすることが重要です。草むらや森に入る際には、長袖、長ズボンを着用し、虫除けスプレーを使用するなどの対策を心がけましょう。また、ペットを飼育している場合は、定期的にノミやダニの駆除を行うことも大切です。

感染症治療の立役者:抗生物質

抗生物質は、微生物が作り出した、他の微生物の増殖を抑える物質です。例えるなら、目に見えない小さな生き物が、別の小さな生き物を退治する武器を作り出すようなものです。この武器は、人間にとって悪い影響を与える細菌を退治するために使われます。私達が普段かかる病気の中にも、抗生物質が有効なものがたくさんあります。例えば、肺炎は肺に炎症を起こす病気ですが、細菌が原因で起こる肺炎には抗生物質がよく効きます。また、おしっこを出す時に痛みを伴う尿路感染症や、皮膚に炎症を起こす病気も、抗生物質で治療できる場合があります。抗生物質は、細菌の種類によって効果が異なります。細菌を退治するための武器も、敵の種類に合わせて変える必要があるのです。ですから、自己判断で抗生物質を使うのは大変危険です。医師の診察を受け、適切な抗生物質を処方してもらうことが重要です。
検査

PCR検査:ウイルスの検出

近年、ニュースや新聞などで「PCR検査」という言葉を耳にする機会が増えましたね。では、PCR検査とは一体どのような検査なのでしょうか? PCR検査とは、「ポリメラーゼ連鎖反応」の略称で、特定のウイルスや細菌の遺伝物質を人工的に増幅させて、その有無を調べる検査方法です。 私たちの体の中には、細胞の中に遺伝情報をつかさどるDNAが存在しています。ウイルスも同様に、遺伝情報を持つDNAやRNAを持っています。PCR検査では、このウイルス特有のDNAやRNAを検出することで、感染の有無を判断します。 検査では、まず、鼻の奥や喉の粘膜を綿棒でこすり、検体を採取します。この検体には、もし感染していれば、ごくわずかな量のウイルスが含まれています。PCR検査では、このわずかな量のウイルス遺伝子を、試験管の中で増幅させることで、検出を容易にします。 PCR検査は、従来の検査方法と比べて、感度が高く、微量のウイルスでも検出することができるという特徴があります。そのため、感染初期の段階でもウイルスの有無を調べることができ、早期発見・早期治療に繋がると期待されています。
その他

身近に潜む脅威:溶連菌感染症

- 溶連菌とは溶連菌は、正式には溶血性レンサ球菌と呼ばれる細菌の一種です。顕微鏡で観察すると、丸い形をした菌が鎖のようにつながって見えることから、この名前が付けられました。この細菌は、私たちの身の回りにも普通に存在しています。空気中に漂っていたり、ドアノブや電気のスイッチなど、いろいろな物に付着していることがあります。そのため、誰でも溶連菌に感染する可能性がありますが、健康な状態であれば、体内に入る菌の数が少なかったり、体の抵抗力で撃退することができるので、必ずしも発症するわけではありません。 しかし、免疫力が低下している時や、疲労が溜まっている時などは、溶連菌に対する抵抗力が弱くなってしまうため、注意が必要です。特に、幼児や小学生など、小さな子供は免疫力が発達段階にあり、溶連菌に感染しやすいため、集団生活の中で流行しやすくなります。溶連菌に感染すると、代表的な症状として、喉の痛みや発熱を伴う咽頭炎や扁桃炎などを引き起こします。その他、発疹や舌の炎症などが現れることもあります。症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
消化器

食中毒を防ぐために

食中毒とは、食べ物に付着した細菌やウイルス、有害な化学物質などを口にすることで起こる病気のことです。普段私たちが口にする食品は、安全に食べられるように様々な工夫が凝らされていますが、それでも食品の栽培・製造・加工・調理・保存などの過程において、様々な原因で有害な物質が混入してしまうことがあります。 食中毒の原因となる有害物質として代表的なものは、細菌やウイルスです。サルモネラ菌や腸管出血性大腸菌O157、ノロウイルスなどがこれにあたります。これらの微生物が食品中で増殖すると、食後数時間から数日のうちに、腹痛や下痢、嘔吐などの症状を引き起こします。 また、魚介類に寄生する寄生虫や、毒キノコなどの自然毒も食中毒の原因となります。寄生虫は、加熱が不十分な魚介類を生で食べることで体内に入り込み、腹痛や下痢、アレルギー症状などを引き起こします。毒キノコは、食用と間違えて摂取してしまうことで、嘔吐や下痢、発熱、神経麻痺などの深刻な症状を引き起こすことがあります。 さらに、食品添加物や農薬などの化学物質も、過剰に摂取すると食中毒の原因となることがあります。食中毒を予防するためには、食品の適切な取り扱いが重要です。食品は清潔な環境で保管し、十分に加熱してから食べるようにしましょう。また、調理器具は清潔に保ち、生肉や魚介類を触った後はよく手を洗いましょう。
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