クスマウル呼吸:深く速い呼吸が生む意味
- クスマウル呼吸とは普段、私たちが意識することなく行っている呼吸は、吸って吐いてというリズムと深さが自然と調節されています。しかし、病気やケガなどによって体が弱っている時などには、呼吸が速くなったり、深くなったり、普段とは異なる状態になることがあります。その中でも、「クスマウル呼吸」と呼ばれる呼吸パターンは、まるで空気中に酸素が足りない場所で必死に呼吸をしているかのように、深く速い呼吸を繰り返すのが特徴です。この特徴的な呼吸は、体の中の酸性度、つまりpHと呼ばれる値が、酸性に傾きすぎた状態を改善しようとする体の防御反応です。私たちの体は、健康な状態を保つために、常に弱アルカリ性に保たれています。しかし、糖尿病などの病気や、激しい運動、脱水症状などによって、体が酸性に傾いてしまうことがあります。この状態を「アシドーシス」と呼びます。「アシドーシス」になると、体は酸性に傾いた状態を改善するために、肺から二酸化炭素を多く排出しようとします。二酸化炭素は体内では酸として働くため、これを排泄することで、血液中のpHを正常に戻そうとするのです。その結果、呼吸中枢が刺激され、深く速い呼吸、つまりクスマウル呼吸が出現します。クスマウル呼吸は、体が酸性に傾いているサインであり、放置すると命に関わる危険性もはらんでいます。そのため、もしも周囲にクスマウル呼吸をしている人がいたら、速やかに医療機関を受診する必要があります。