命のバトン:移植医療の現状と未来
- 移植とは何か移植とは、病気やけが、あるいは生まれつきの異常などによって、本来の働きを失ってしまった臓器や組織を、健康な臓器や組織と取り替える治療法のことです。たとえば、心臓病で心臓の働きが弱ってしまった場合、健康な心臓をほかの人から提供してもらい、移植することで再び健康な生活を送れる可能性があります。移植が必要となる臓器や組織はさまざまです。心臓や肺、肝臓、腎臓といった重要な臓器だけでなく、角膜や骨髄、皮膚なども移植の対象となります。これらの臓器や組織を提供してくれるのは、脳死と判定された方や、心停止後に臓器を提供することを承諾していた方です。移植手術は、高度な技術と専門知識を必要とする大変難しい手術です。しかし、移植によって、失われた体の機能を取り戻し、再び社会復帰できる可能性があります。また、場合によっては、移植が唯一の治療法となることもあります。移植は、まさに「命のバトン」をつなぐ医療と言えるでしょう。しかし、日本では、臓器提供を希望する人が少なく、移植を希望していても、なかなか順番が回ってこないのが現状です。臓器移植は、提供してくれる人がいて初めて成り立つ医療です。臓器移植について、一人ひとりが深く考え、自分自身の意思を明確にすることが大切です。