神経学的検査

検査

腰痛の診察室:ラセーグ徴候って何?

- ラセーグ徴候とは腰痛には様々な原因が考えられますが、その中でも腰椎椎間板ヘルニアは、激しい痛みやしびれを引き起こす代表的な病気の一つです。腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の間にあるクッションの役割を果たす椎間板の一部が、何らかの原因で飛び出してしまい、神経を圧迫してしまうことで起こります。この腰椎椎間板ヘルニアを診断する上で、重要な検査の一つにラセーグ徴候があります。ラセーグ徴候は、腰から足にかけて伸びている坐骨神経の異常を調べる検査です。検査は、患者さんをベッドに仰向けに寝かせた状態で行います。医師が患者さんの片方の足をゆっくりと持ち上げていきます。もし、腰椎椎間板ヘルニアなどで坐骨神経が圧迫されている場合は、太ももの裏側からふくらはぎにかけて痛みやしびれが出現します。これがラセーグ徴候です。ラセーグ徴候は、腰痛の原因を特定する上で重要な手がかりとなります。しかし、ラセーグ徴候が出たとしても、必ずしも腰椎椎間板ヘルニアであるとは限りません。他の病気の可能性もありますので、医師の診察と、レントゲンやMRIなどの画像検査を組み合わせて、正確な診断を行う必要があります。
脳・神経

髄膜刺激症状とケルニッヒ徴候

- ケルニッヒ徴候とはケルニッヒ徴候は、髄膜炎などの病気の際にみられる、足の動きに関する異常な反応のことを指します。ロシアの医師であるウラジミール・ケルニッヒによって発見されたことから、この名前が付けられました。私たちの脳と脊髄は、髄膜と呼ばれる薄い膜で覆われています。この髄膜に炎症が起こる病気を髄膜炎といいますが、ケルニッヒ徴候は、この髄膜炎を疑う重要な手がかりの一つとなります。ケルニッヒ徴候は、患者さんを仰向けに寝かせた状態で確認します。まず、検査する側の足を股関節と膝関節をそれぞれ90度に曲げた状態にします。その後、ゆっくりと膝をまっすぐに伸ばそうとすると、髄膜に炎症がある場合、痛みとともに膝が完全に伸びなくなる、または抵抗を感じてしまうのです。これは、炎症によって髄膜が刺激され、筋肉が硬直することで起こると考えられています。髄膜炎は、命に関わることもある病気です。そのため、早期に診断し、適切な治療を開始することが非常に重要になります。ケルニッヒ徴候は、髄膜炎の早期発見に役立つ重要なサインであるため、医療従事者だけでなく、一般の人々もその特徴を知っておくことが大切です。
脳・神経

チャドック反射:錐体路障害を知らせるサイン

- チャドック反射とはチャドック反射は、神経系の状態、特に錐体路と呼ばれる運動神経系の経路に異常がないかを評価するために用いられる神経反射の一つです。この反射は、乳幼児期に自然と消失する原始反射の一つであり、通常、健康な成人では見られません。チャドック反射の検査方法としては、まず、患者さんを仰向けに寝かせた状態、もしくは椅子に座らせた状態で足を軽く外側に開いた状態にします。そして、検査を行う側とは反対の手で患者の足を軽く持ち、ハンマーの柄などの鈍的なもので、足の外くるぶしの下から踵を通り、つま先に向かって皮膚をこすります。もしも、錐体路と呼ばれる運動神経系の経路に障害があると、この刺激に対して足の親指が背側に反り返り、他の4本の指が開くような動き(バビンスキー反射) が見られます。これがチャドック反射陽性です。チャドック反射は、脳卒中や脳性麻痺、脊髄損傷などの神経疾患によって錐体路が障害を受けた場合に陽性となります。そのため、これらの疾患の診断や病状の評価に役立ちます。ただし、チャドック反射単独では診断を確定することはできません。他の神経学的検査と組み合わせて総合的に判断する必要があります。もしも、チャドック反射が陽性であった場合には、医師の診察を受け、適切な検査や治療を受けるようにしてください。
脳・神経

反射:神経疾患を診る窓

- 反射とは私たちが日々何気なく生活する中で、意識することなく、まるで自動的に起こる体の反応があります。熱いものにうっかり触れてしまい、思わず手を引っ込めてしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。あるいは、薄暗い場所に足を踏み入れたとき、自然と目が慣れてくるのも経験したことがあるでしょう。こうした意識とは無関係に、外界からの刺激に対して瞬間的に起こる反応のことを「反射」と呼びます。反射は、考えてから行動を起こすよりもはるかに速く、私たちの体を守ってくれる重要な役割を担っています。 例えば、熱いものに手を触れたとき、熱さを感じてから手を引っ込めるまでに時間をかけていたら、大やけどをしてしまうかもしれません。しかし反射によって、私たちは熱さを感じるのとほぼ同時に手を引っ込めることができるため、重傷を負わずに済むのです。反射は、感覚神経、脊髄や脳幹といった中枢神経、そして運動神経が関与した複雑な仕組みによって起こります。熱いものに手を触れた場合を例に考えてみましょう。まず、手の皮膚にある感覚神経が熱さという刺激を受け取ります。この情報は、神経を伝って脊髄や脳幹へと送られます。脊髄や脳幹では、受け取った情報に基づいて、手を引っ込めるという指令を出します。そして、この指令は運動神経を介して筋肉に伝えられ、筋肉が収縮することで、私たちは手を引っ込めることができるのです。このように、反射は私たちが意識することなく、体を守ってくれる非常に重要な機能と言えます。
目・眼科

生命の兆候:睫毛反射

- 睫毛反射とは眼は外界の情報を得るための重要な器官ですが、非常にデリケートな構造をしているため、外部からの刺激に対して無意識に眼を守るための仕組みが備わっています。その代表的なものの一つが、「睫毛反射」と呼ばれるものです。睫毛反射は、その名の通り、まつ毛に物体が近づいたり、風や光などの刺激を受けたりした際に、瞬時にまぶたを閉じて眼球を保護する反射的な反応です。この反射は、意識的にまばたきをする時とは異なり、外部からの刺激に対して無意識かつ瞬時に起こる点が特徴です。例えば、小さな虫が目に飛び込んできそうな時や、ボールが飛んできた時などに、私たちはとっさに目を閉じます。これは、意識して目を閉じようとしたのではなく、睫毛反射という生来備わっている反射機能によって、無意識のうちに眼が守られているのです。睫毛反射は、眼球を保護するために非常に重要な役割を担っています。もしも、この反射がうまく働かないと、眼球に傷がついたり、異物が入ったりする危険性が高まります。これは、視力低下や眼疾患に繋がる可能性もあるため、軽視することはできません。このように、睫毛反射は私たちが意識することなく、眼の安全を守ってくれている重要な機能と言えるでしょう。
脳・神経

意識障害を測る:3-3-9度方式とは

- 救急医療の現場で活躍 救急医療の現場は、一刻を争う状況です。患者さんの状態を迅速かつ的確に把握し、適切な処置を行うことが求められます。その中でも、意識障害の程度を評価することは、重症度を見極め、適切な治療方針を決定するために非常に重要です。 このような状況下で活躍するのが、「3-3-9度方式」と呼ばれる意識レベルの評価方法です。この方法は、呼びかけに対する反応、痛み刺激に対する反応、開眼の有無、という3つの項目をそれぞれ3段階で評価し、合計点数を算出します。 呼びかけに対する反応は、名前を呼んだり話しかけたりした時の反応を見ます。痛み刺激に対する反応は、肩を軽く叩いたり、爪の付け根をつねったりした時の反応を見ます。そして、開眼の有無は、文字通り、患者さんが目を開けているかどうかを見ます。それぞれの項目で、正常な反応が見られれば3点、異常な反応が見られれば点数が低くなります。合計点が9点であれば意識清明、点数が低いほど意識障害が重度であると判断されます。 3-3-9度方式は、医療従事者間で共通の評価基準となるため、患者さんの状態に関する情報を正確に共有することができます。また、簡便な方法であるため、救急医療の現場のように、時間的制約が厳しい状況においても、迅速に意識レベルを評価することができます。 このように、3-3-9度方式は、救急医療の現場において、患者さんの救命や後遺症の軽減に大きく貢献している重要な評価方法と言えるでしょう。
脳・神経

意識障害の評価:3-3-9度方式とは?

- はじめに医療現場において、患者さんの意識状態を把握することは、病気の深刻度を判断する上で非常に重要です。意識に何らかの異常がみられる状態、いわゆる「意識障害」は、命に関わる深刻な病気が隠れている可能性もあるため、迅速かつ的確な対応が必要となります。 では、医療従事者はどのようにして患者さんの意識レベルを判断しているのでしょうか? 実は、日本では古くから「3-3-9度方式」と呼ばれる独自の指標を用いて、客観的に意識障害の程度を評価しています。この方式は、呼びかけに対する反応、痛み刺激に対する反応、そして自発的な開眼の有無の3つの要素に基づいており、それぞれを3段階、3段階、9段階で評価することで、患者さんの意識レベルを詳細に分類することができます。 この章では、この重要な指標である「3-3-9度方式」について、その歴史的背景や具体的な評価方法、そして実際の医療現場における活用例などを交えながら詳しく解説していきます。
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