上肢拳上試験とバレー徴候
- バレー徴候とはバレー徴候は、脳卒中などの病気によって、手足の動きに麻痺が見られる際に、その麻痺の程度を詳しく調べるために行う検査で現れる体の反応のことです。 フランスの神経学者であるジャン・アレクサンドル・バレーの名前から名付けられました。この検査は、患者さんに両腕をまっすぐ前に伸ばしてもらい、目を閉じた状態でその姿勢を保ってもらいます。すると、麻痺のある側の腕は、徐々に下に下がってきたり、手のひらが内側に回ってしまったり、指が開いてしまうといった症状が現れます。これがバレー徴候と呼ばれるものです。なぜこのようなことが起きるのでしょうか?私たちの脳は、体全体に運動の指令を出しています。この指令は、脳から脊髄を通って筋肉へと伝えられます。この脳から脊髄、そして筋肉へと繋がる神経の通り道を錐体路と呼びます。脳卒中などで脳に損傷を受けると、この錐体路がうまく機能しなくなり、運動の指令が正しく伝わらなくなってしまいます。その結果、麻痺が起こったり、バレー徴候のような特有の症状が現れたりするのです。バレー徴候が見られるということは、脳から筋肉への運動指令の伝達経路である錐体路に障害が生じている可能性を示唆しています。 バレー徴候は、脳卒中の早期発見や、麻痺の程度を正確に把握するために重要な手がかりとなるため、医療現場で広く用いられています。