意欲と快感の鍵、ドーパミン
私たちの脳内には、神経細胞と呼ばれる神経系の基本単位が無数に存在しています。これらの神経細胞は互いに情報をやり取りすることで、思考、感情、運動など、あらゆる脳の活動を可能にしています。この情報伝達の橋渡し役を担うのが、神経伝達物質と呼ばれる化学物質です。現在までに100種類以上の神経伝達物質が見つかっていますが、ドーパミンはその中でも特に重要な役割を担う神経伝達物質の一つです。ドーパミンは、運動調節、快感や意欲、学習や記憶など、様々な脳機能に関与しています。
ドーパミンは、脳の深部にある黒質や腹側被蓋領域などの神経細胞で産生されます。そして、これらの神経細胞から放出されたドーパミンは、他の神経細胞にある受容体と結合することで、情報を伝えます。ドーパミンが不足すると、パーキンソン病のように体の動きが遅くなったり、硬直したりすることがあります。一方、ドーパミンが過剰になると、統合失調症のように幻覚や妄想などの症状が現れることがあります。
このように、ドーパミンは私たちの脳と体の健康に欠かせない重要な役割を担っています。ドーパミン神経系の機能を維持することは、健康的な生活を送る上で非常に大切です。